仮面ライダーディケイド×ホロライブ×MCU ―世界を繋ぐ仮面の旅人―   作:十六夜 蓮

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第11話 株式会社カバー移送

 

 

防音室の扉の前で、紫咲シオンは腕を組んで立っていた。

 

……立っていたというより、途中から明らかに落ち着きを失っていた。

 

「……中で何を話してるのよ」

 

シオンは恨めしそうに扉を睨む。

 

蓮とニック・フューリーが部屋へ入ってから、すでにかなりの時間が経過していた。

 

最初は大人しく待つつもりだった。

 

蓮が真剣な顔をしていたから、少しくらいは我慢しようと思っていた。

 

だが――。

 

「いや、無理でしょ」

 

シオンは近くに置かれていた紙コップを手に取った。

 

それを防音室の扉へ押し当てる。

 

「これなら、聞こえるんじゃない……?」

 

紙コップへ耳を当て、扉へ体を寄せる。

 

しかし、防音室の扉は、その程度で中の会話を漏らすほど甘くはなかった。

 

「何も聞こえない……!」

 

シオンは悔しそうに唇を尖らせた。

 

「なんで防音性能だけ、こんなに優秀なのよ……」

 

もう少し角度を変えれば、何か聞き取れるかもしれない。

 

そう考えたシオンが、さらに扉へ近づいた瞬間だった。

 

ガチャリ。

 

突然、扉が開いた。

 

「……」

 

「……」

 

紙コップを耳へ当てたままのシオンと、扉を開けた蓮の目が合う。

 

蓮はしばらく無言で姉を見つめた。

 

シオンも、しばらく無言で弟を見返した。

 

やがてシオンは、何事もなかったかのように紙コップを耳から離す。

 

「……飲み物を探してただけ」

 

「耳で飲むの?」

 

「魔女だから」

 

「便利だね」

 

蓮は小さくため息をついた。

 

その背後から、ニック・フューリーが姿を現す。

 

シオンは気まずそうに顔を背けた。

 

蓮は廊下の先へ目を向ける。

 

そこには、慌ただしく社員たちへ指示を出している谷郷元昭の姿があった。

 

蓮は片手を上げる。

 

「谷郷さん、こちらです」

 

「蓮くん?」

 

谷郷は破壊された壁や混乱するスタッフたちを気にしながら、蓮たちのもとへ歩いてきた。

 

「状況はどうなっているんですか? 警察への説明もありますし、タレントたちの安全確認も――」

 

蓮はフューリーへ視線を向けた。

 

「詳しい話は、中でお願いします」

 

谷郷はフューリーを見て、僅かに目を細める。

 

明らかに普通の来客ではない。

 

黒い眼帯。

 

黒いコート。

 

そして、ただ立っているだけで周囲を圧倒するような存在感。

 

それでも、谷郷は取り乱さなかった。

 

「……分かりました」

 

蓮はシオンへ振り返る。

 

「シオンは、荷物をまとめた方がいいよ」

 

「は?」

 

シオンの眉が跳ね上がった。

 

「荷物って何? 今日はもう帰っていいってこと?」

 

「うん。帰る準備」

 

「何か、言い方が怪しいんだけど」

 

シオンは不審そうに蓮を睨む。

 

蓮は僅かに目を逸らした。

 

「とりあえず、必要な物をまとめておいて」

 

「……分かった」

 

シオンは納得していない様子で頬を膨らませる。

 

「帰る準備をしてくる」

 

その時、フューリーが低い声で付け加えた。

 

「引っ越しの準備もな」

 

シオンの動きが止まった。

 

「……はい?」

 

蓮は額へ手を当てる。

 

「今、言わなくてもよかったですよね?」

 

フューリーは平然とした顔で答える。

 

「いずれ知ることだ」

 

「その『いずれ』が早すぎるんですよ」

 

シオンは蓮の腕を強く掴んだ。

 

「引っ越しって何!? シオン、何も聞いてないんだけど!」

 

「今から説明するから」

 

「絶対にやばいやつじゃん!」

 

「否定は……できないかな」

 

「そこは否定してよ!」

 

蓮は困ったように苦笑すると、谷郷とフューリーを防音室へ案内した。

 

「こちらです」

 

三人は、社長室の代わりにも使える防音室へ入る。

 

入室する前、蓮は谷郷へ声をかけた。

 

「谷郷さん。かなり大きな話になります」

 

谷郷は真剣な表情で頷く。

 

「分かりました」

 

蓮は続いてフューリーを見る。

 

「後の説明は、フューリーに任せます」

 

「お前も同席しろ」

 

「僕には、現場の状況整理とタレントへの対応があります」

 

蓮は廊下の惨状へ視線を向けた。

 

「それに、これ以上僕が一緒にいると、谷郷さんの胃が壊れます」

 

「すでに手遅れだと思うがな」

 

「本人の前で言わないでください」

 

蓮はそう言い残し、防音室の扉を閉めた。

 

廊下に残されたシオンは、じっと蓮を見つめている。

 

「蓮」

 

「……何?」

 

「後で全部説明して」

 

「うん」

 

「引っ越しのことも」

 

「うん」

 

「逃げたら怒るから」

 

「逃げないよ」

 

「ライダーの力で逃げても?」

 

「逃げません」

 

シオンはしばらく蓮を睨んでいたが、やがて不満そうに息を吐いた。

 

「じゃあ、荷物をまとめてくる」

 

「お願い」

 

シオンはぶつぶつと文句を言いながら、廊下の向こうへ歩いていった。

 

「本当に何なのよ……。朝から寝坊して、怪人に攫われて、過去へ行って、電王になって、今度は引っ越しって……」

 

キャリーケースの置かれた部屋へ向かいながら、シオンは両手を広げる。

 

「シオンの一日、濃すぎでしょ……!」

 

蓮はその背中を見送り、申し訳なさそうに笑った。

 

「本当にごめん」

 

そして、自分のデスクがあるマネージャー室へ戻った。

 

 

マネージャー室は、当然ながら混乱の渦中にあった。

 

事務所の壁の一部が破壊された。

 

正体不明の怪人が現れた。

 

紫咲シオンが連れ去られた。

 

そして、その場にいた者たちは、蓮が仮面ライダーへ変身する瞬間を目撃してしまった。

 

蓮が戻ると、複数のマネージャーが一斉に顔を上げた。

 

「あ、蓮さん!」

 

「大丈夫なんですか!?」

 

「怪我は!?」

 

「それより……その……」

 

一人のマネージャーが、恐る恐る尋ねる。

 

「蓮さんって、本当に仮面ライダーだったんですか?」

 

室内が静まり返った。

 

全員が聞きたかったことだった。

 

蓮は自分の椅子へ座り、パソコンを起動しながら答える。

 

「まあ、そうですね」

 

「軽い!」

 

「そんな軽く答えることですか!?」

 

「本物なんですよね!? 撮影とかじゃないんですよね!?」

 

「事務所の壁を破壊する撮影は、しないと思います」

 

「ですよね!?」

 

蓮は困ったように苦笑した。

 

「おそらく、この後、谷郷さんから重大な発表があります」

 

「重大な発表?」

 

「はい」

 

蓮は机の上に散らばった資料を片づけながら言う。

 

「たぶん、肉体労働です」

 

「え?」

 

「肉体労働?」

 

「どうしてですか?」

 

「荷造りとか、移動の準備とか」

 

その瞬間、数人のマネージャーが持つスマートフォンが同時に鳴った。

 

ピコン。

 

ピコン。

 

ピコン。

 

室内に、通知音が連続して響く。

 

蓮のパソコンにも、社内連絡ツールからの通知が表示された。

 

送信者は、経営管理部。

 

件名は――。

 

『株式会社カバー移送について』

 

マネージャー室の空気が凍りついた。

 

「……移送?」

 

「株式会社カバーを、移送?」

 

「会社って、移送されるものなんですか?」

 

「少なくとも、普通はされませんね」

 

蓮は静かに通知を開いた。

 

画面には、簡潔ながらも衝撃的な文章が並んでいた。

 

『本日発生した異常事案を受け、株式会社カバーは、アメリカの組織S.H.I.E.L.D.から支援を受けることとなりました』

 

『関係者の安全確保および業務継続のため、当面の間、一部部署、所属タレントおよび関係スタッフを、アメリカにある管理施設へ移送します』

 

『本件は役員会で承認された決定事項です』

 

『対象者は、必要最低限の業務機材、身分証明書、生活用品を準備してください』

 

『詳細は、追って通達します』

 

文章を読み終えたマネージャー室は、数秒間、完全な静寂に包まれた。

 

そして――。

 

「はああああああ!?」

 

誰かの叫び声が響き渡った。

 

「アメリカ!?」

 

「今からですか!?」

 

「パスポートは!?」

 

「タレント全員なんですか!?」

 

「配信はどうなるんですか!?」

 

「案件や収録は!?」

 

「そもそも、S.H.I.E.L.D.って何なんですか!?」

 

蓮は椅子へ座ったまま、深く息を吐いた。

 

「……始まった」

 

一人のマネージャーが蓮へ詰め寄る。

 

「蓮さん! これはどういうことなんですか!?」

 

「簡単に言えば、安全確保です」

 

「説明が簡単すぎます!」

 

「ですよね」

 

別のマネージャーが頭を抱える。

 

「今日は朝からおかしいですよ……。怪人は出るし、蓮さんは仮面ライダーだし、今度は会社がアメリカへ移動するし……」

 

「僕も、そう思います」

 

「当事者が冷静すぎます!」

 

蓮はパソコンの画面を見ながら、タレントたちのスケジュール表を開いた。

 

まずはシオン。

 

次に、現在事務所へ来ているメンバー。

 

さらに、近日中に収録や案件を予定しているタレント。

 

移動させるべき人員は多い。

 

しかし、混乱している時間はなかった。

 

「まず、今日出社しているタレントの所在を確認してください」

 

蓮は落ち着いた声で指示を出し始める。

 

「配信中の人については、担当マネージャーが一時停止か終了を判断してください。外出中の人には直接連絡を。家族への説明が必要な人は、リストへまとめてください」

 

「蓮さんが仕切るんですか?」

 

「谷郷さんは今、フューリーと協議中です。現場を動かす人間が必要ですから」

 

「でも、蓮さんは怪我を……」

 

「動けます」

 

蓮は静かに言い切った。

 

その声を聞き、マネージャーたちは少しずつ落ち着きを取り戻していく。

 

状況は異常だ。

 

だが、誰かが動かなければ、混乱はさらに大きくなる。

 

蓮はマネージャー室全体を見回した。

 

「これから一番優先するべきなのは、タレントとスタッフの安全です」

 

室内の全員へ届くように、はっきりと告げる。

 

「仕事の調整は、その次です。配信も案件も、命より優先するものではありません」

 

誰も反論しなかった。

 

蓮は続ける。

 

「S.H.I.E.L.D.については、谷郷さんから正式な説明があると思います。それまでは、外部へ情報を漏らさないでください。SNSへの投稿も禁止です」

 

「家族への連絡は?」

 

「必要です。ただし、詳細はまだ伝えないでください」

 

蓮は少し考え、言葉を選ぶ。

 

「『会社の安全対策により、一時的に拠点を移動する』程度に留めてください」

 

「分かりました」

 

「タレントたちには、どう説明しますか?」

 

「各担当マネージャーから説明してください。ただし、現場を目撃していない人へ、怪人や仮面ライダーのことを一度に伝えるのは避けてください」

 

蓮は真剣な表情で付け加える。

 

「パニックを起こさせないよう、慎重にお願いします」

 

その時、廊下の方からシオンの声が聞こえた。

 

「蓮ー!」

 

蓮が振り返る。

 

リュックを背負い、キャリーケースを引いたシオンが、マネージャー室へ戻ってきた。

 

「荷物をまとめた!」

 

「早いね」

 

「だって、引っ越しって言われたし!」

 

シオンはマネージャー室の中を見回し、重苦しい空気に気づいた。

 

「あ、みんなも見たんだ」

 

一人のマネージャーが、恐る恐るシオンへ尋ねる。

 

「紫咲さん……本当にアメリカへ行くんですか?」

 

シオンは蓮を見る。

 

「シオンも、今知ったところ」

 

「ですよね……」

 

シオンは蓮のデスクの横まで歩いてくると、小声で問いかけた。

 

「蓮。これ、本当に行くの?」

 

「行くことになると思う」

 

「ホロライブごと?」

 

「少なくとも、狙われる危険性が高い人たちは」

 

「危険性って……」

 

シオンは眉をひそめた。

 

蓮は周囲へ聞こえないように、少しだけ声を落とす。

 

「今日のシオンみたいに、怪人から標的にされる可能性がある人たち」

 

「……」

 

シオンは何も言えなくなった。

 

自分は実際に怪人へ攫われた。

 

過去へ飛ばれ、初配信の日まで破壊されかけた。

 

そのため、今回の措置を単なる過剰反応だと否定することはできなかった。

 

蓮はマネージャーたちへ指示を続ける。

 

「各担当は、タレントの現在地と連絡可能かどうかを、共有スプレッドシートへ入力してください」

 

画面に新しい管理表を作成していく。

 

「すぐに移動できる人、移動できない人、家族の確認が必要な人。それから、ペットや必要機材の有無も分けてください」

 

「ペットも対象ですか?」

 

「置いていけない人もいるでしょう」

 

「確かに……」

 

「配信機材は、必要最低限で構いません。現地の環境は、S.H.I.E.L.D.側で用意するそうです」

 

「本当に何でもありですね、その組織……」

 

「僕もそう思います」

 

再び、社内連絡ツールの通知が鳴った。

 

今度は、全社向けの追記だった。

 

『各部署責任者は、移動対象者のリストアップを本日中に完了してください』

 

『移動第1陣は、紫咲シオンおよび担当マネージャー紫咲蓮を含む関係者とします』

 

シオンが画面を覗き込む。

 

「……第1陣?」

 

蓮も同じ文字を見つめていた。

 

「やっぱり、僕たちが最初か」

 

「どうして?」

 

「今日の事件の中心にいたからだと思う」

 

シオンは、リュックの肩紐を強く握った。

 

「アメリカ……」

 

これまでは、遠い場所だった。

 

ライブやイベントで海外へ行くことはあっても、今回の移動はまったく意味が違う。

 

旅行ではない。

 

案件でもない。

 

コラボでもない。

 

避難。

 

そして、世界を巡る戦いの始まり。

 

マネージャー室の奥で、誰かが小さく呟いた。

 

「本当に……何が起きているんですか?」

 

蓮は僅かに目を伏せた。

 

「世界が、混ざり始めているんです」

 

その言葉の意味を、全員が理解できたわけではなかった。

 

しかし、蓮の真剣な表情を見て、冗談ではないことだけは伝わった。

 

 

その頃、防音室では。

 

谷郷がフューリーから一通りの説明を受け、深く息を吐いていた。

 

「……つまり、弊社のタレントや社員が、未知の存在から狙われる可能性があると」

 

「そうだ」

 

「そして、御社――S.H.I.E.L.D.が、安全な施設を提供すると」

 

「そうだ」

 

谷郷はしばらく黙った。

 

経営者として考えても、あまりにも非現実的な話だった。

 

だが、実際にビルの壁は破壊された。

 

社員もタレントも危険に晒された。

 

そして、自社のマネージャーである紫咲蓮は、仮面ライダーとして怪人と戦っていた。

 

受け入れがたい。

 

しかし、否定することもできない。

 

谷郷は静かに尋ねた。

 

「タレントたちの活動は守れますか?」

 

フューリーは即答した。

 

「守る」

 

「彼女たちを、兵器や戦力として扱わないと約束できますか?」

 

「少なくとも、俺はそうするつもりはない」

 

谷郷はフューリーを真っすぐ見つめた。

 

「その言い方は、少し不安ですね」

 

「正直に答えただけだ」

 

「では、こちらも正直に言います」

 

谷郷の声が、僅かに強くなる。

 

「彼女たちは、弊社の大切なタレントです。数字でも、戦力でもありません」

 

フューリーは黙って聞いている。

 

「紫咲蓮くんも同じです。彼はマネージャーであって、あなた方の兵士ではありません」

 

「分かっている」

 

「ならば、私たちは協力します」

 

谷郷ははっきりと告げた。

 

「ただし、カバーに関わる人間を守るためです」

 

フューリーは僅かに頷いた。

 

「それでいい」

 

 

防音室の外では、すでにカバー全体が動き始めていた。

 

荷物をまとめる者。

 

タレントへ連絡する者。

 

家族への説明文を考える者。

 

修繕業者への連絡を一時停止し、S.H.I.E.L.D.の担当者と協議する者。

 

そして、その中心で蓮はパソコンに向かい、次々と情報を整理していた。

 

シオンはその隣に立ち、まだ納得しきれない顔で呟く。

 

「蓮」

 

「何?」

 

「アメリカへ行っても、ちゃんとシオンの配信環境はあるんでしょうね?」

 

蓮は少しだけ笑った。

 

「そこは最優先で確認するよ」

 

「ゲームはできる?」

 

「たぶん」

 

「ネット回線は?」

 

「S.H.I.E.L.D.なら速いんじゃないかな」

 

「なら許す」

 

「許す基準、そこなんだ」

 

シオンはぷいっと顔を背けた。

 

「不安だから、いつも通りできるものがないと嫌なの」

 

その言葉を聞き、蓮はキーボードを打つ手を止めた。

 

シオンは強がっている。

 

普段と同じように文句を言い、ゲームや配信の話をしている。

 

だが、本当は不安なのだ。

 

知らない場所へ移動すること。

 

これまでの日常が失われるかもしれないこと。

 

そして、何よりも弟が戦いへ向かうことが。

 

蓮は静かに言った。

 

「大丈夫」

 

シオンが蓮を見る。

 

「できる限り、いつも通りにするよ」

 

「……本当?」

 

「うん。僕が何とかする」

 

シオンは少しだけ目を細めた。

 

「また、そうやって一人で背負う」

 

「今回は、みんなでだよ」

 

蓮はマネージャー室を見回した。

 

全員が混乱しながらも、それぞれの役割を果たそうと動いている。

 

ホロライブを守るために。

 

タレントたちを守るために。

 

自分たちの居場所を守るために。

 

シオンは小さく息を吐いた。

 

「じゃあ、シオンも準備する」

 

「助かるよ」

 

「でも、後で全部説明だからね」

 

「うん」

 

「あと、シオンはもう電王にならないから」

 

「それはモモタロスに言って」

 

「あの赤鬼、絶対また来るじゃん……」

 

蓮は困ったように苦笑した。

 

その時だった。

 

窓の外を、数機の黒いヘリコプターが横切った。

 

機体には、S.H.I.E.L.D.の紋章が刻まれている。

 

その姿を見たマネージャー室の全員が、言葉を失った。

 

蓮は窓の外を見上げる。

 

「……本当に始まったな」

 

株式会社カバー移送。

 

それは、ただの避難ではなかった。

 

ホロライブが、これまで知らなかった世界の裏側へ足を踏み入れる、最初の一歩。

 

そして紫咲蓮にとっては、仮面ライダーとしての戦いと、マネージャーとしての仕事が、完全に重なった瞬間だった。

 

 

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