仮面ライダーディケイド×ホロライブ×MCU ―世界を繋ぐ仮面の旅人―   作:十六夜 蓮

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第26話 総力戦、空母を落とすな

サブタイトル

 

総力戦、空母を落とすな

 

前書き

 

第26話です。

 

ハルクが落下した後も、深刻な損傷を受けたヘリキャリアは高度を失い続けていました。

 

空飛ぶ空母を救うため、科学者、英雄、そしてホロライブの仮面ライダーたちによる総力戦が始まります。

 

本文

 

ヘリキャリアは黒煙を噴き上げながら、徐々に高度を落としていた。

 

艦内には、けたたましい警報音が鳴り響いている。

 

赤い非常灯が通路を染め、天井や壁の亀裂からは火花が散っていた。

 

『第一エンジン、出力低下!』

 

『第三エンジン、ローター停止寸前!』

 

『姿勢制御が安定しません!』

 

『高度維持、困難!』

 

艦内放送から、次々と危険な報告が流れてくる。

 

その中へ、トニーの声が割り込んだ。

 

『こちらスターク。今から第三エンジンの内部へ入る。誰か制御パネルを確認してくれ』

 

蓮は通路を走りながら通信を繋いだ。

 

「トニー、どうすればいい?」

 

『キャプテンがエンジン制御パネルの前にいる』

 

「なら、キャプテンが――」

 

『正直、あまり理解していない』

 

別の回線から、スティーブの声が聞こえた。

 

『……否定はしない』

 

トニーは構わず続ける。

 

『誰か、機械に強い人間はいないか? できれば熱核物理学、機械工学、それから空中空母のエンジン制御に詳しい人材』

 

「最後の条件を満たす人はいないと思うけど……」

 

蓮は周囲を見回し、すぐに判断した。

 

「ぼたん!」

 

近くで周囲を警戒していたカブトが振り返る。

 

「ん?」

 

「第三エンジンの制御区画まで、こよりを連れていって!」

 

あくあに肩を貸されていたこよりが、驚いたように顔を上げた。

 

「えっ、こより!?」

 

「パネルを確認するだけでいい!」

 

蓮はこよりの様子を見る。

 

「走れる?」

 

「走れなくはないけど……さっきハザードを使ったから、ちょっと足が……」

 

「それなら、ぼたんに運んでもらう」

 

カブトが軽く頷いた。

 

「了解」

 

「えっ?」

 

こよりが反応するよりも早く、ぼたんはその体を軽々と抱き上げた。

 

「しっかり掴まってて」

 

「ちょ、ちょっと待って! これ、お姫様抱っ――」

 

「クロックアップ」

 

《CLOCK UP》

 

次の瞬間、二人の姿が通路から消えた。

 

「ひゃああああああっ!?」

 

こよりの悲鳴だけが、残響のように通路へ残された。

 

蓮は一瞬だけ、その消えた方向を見つめる。

 

「……大丈夫かな」

 

あくあが少し考えてから答えた。

 

「こよちゃんの胃は、大丈夫じゃないかも」

 

 

第三エンジン制御区画。

 

スティーブは複雑な制御パネルの前に立ち、次々と切り替わる数値を確認していた。

 

表示されている専門用語は、どれも現代の航空技術に関するものだった。

 

七十年前の軍用機とは、あまりにも勝手が違う。

 

「……赤く表示されている箇所が多いことは分かる」

 

その時。

 

目の前に、カブトとこよりが突然現れた。

 

《CLOCK OVER》

 

「着いたよ」

 

ぼたんは、近所まで散歩してきたかのような口調で言った。

 

一方、地面へ降ろされたこよりは、目を回しかけている。

 

「は、速すぎる……」

 

両膝へ手をつき、荒い息を吐く。

 

「胃が途中へ置いていかれた……」

 

スティーブは突然の登場に一瞬だけ驚いたものの、すぐに表情を戻した。

 

「助かった。こより、この制御パネルを見てくれ」

 

こよりは自分の頬を両手で叩いた。

 

「了解!」

 

大きく息を吸い、画面へ向き直る。

 

「ホロライブの頭脳担当、再起動!」

 

通信機からトニーの声が響く。

 

『エンジンのどこかで過負荷が発生している。原因を特定してくれ』

 

「確認します!」

 

こよりはパネルへ表示された数値を、猛烈な勢いで追い始めた。

 

「電力配分に異常……ローター駆動系への負荷が規定値を超過……」

 

複数の画面を次々と切り替える。

 

「補助回路が焼損寸前。冷却機構も一部停止しています」

 

ぼたんが横から画面を覗き込んだ。

 

「直せそう?」

 

「原因は見つけた!」

 

こよりは、すぐに制御パネルの操作へ入る。

 

「このバイパスを切断して、過剰な負荷を予備回路へ逃がします!」

 

スティーブが頷いた。

 

「頼む」

 

「第一系統、遮断!」

 

こよりがスイッチを切り替える。

 

「負荷を第三補助回路へ移行! 冷却系統を再接続!」

 

赤く点滅していた警告表示が、一つずつ黄色へ変わっていく。

 

「よし、過負荷は解除!」

 

通信の向こうから、トニーが反応した。

 

『いい仕事だ、ピンクの科学者』

 

「今、結構真面目な場面ですよね!?」

 

『僕は真面目に褒めている』

 

こよりは僅かに頬を緩めた。

 

しかし、トニーの次の言葉で表情を引き締める。

 

『だが、問題はまだ残っている。ローターを動かすためのブースターが死んでいる』

 

「どうするんですか?」

 

『ローターの中へ入って、手で押す』

 

ぼたんが即座に通信へ割り込んだ。

 

「待って。ローターが回り始めたら、アイアンマンのスーツでも細切れになるんじゃない?」

 

『そうならないように祈ってくれ』

 

「祈りでエンジンは直らないんだよね」

 

こよりは焦りながら、制御システムの図面を確認する。

 

「ステーター制御装置を使って極性を反転させれば、磁気浮上制御を一時的に解除できるはず……!」

 

スティーブが真剣な顔で言った。

 

「僕にも理解できる言葉で説明してくれ」

 

一瞬の沈黙。

 

トニーが即座に答えた。

 

『パネルの横に、赤いレバーが見えるか?』

 

スティーブは右側へ視線を向ける。

 

「ある」

 

『それを引けば、ローターへ制動がかかる。僕が脱出する時間を稼げるはずだ』

 

「いつ引けばいい?」

 

『合図を送る。それまで待機してくれ』

 

「分かった」

 

スティーブは赤いレバーへ手をかけた。

 

ぼたんは窓の外で停止している巨大なローターを見つめる。

 

「一秒ずれただけでも危なそうだね」

 

こよりも冷や汗を浮かべながら頷いた。

 

「失敗したら、スタークさんが本当に細切れに……」

 

『聞こえているぞ』

 

こよりは真顔で答えた。

 

「聞こえるように言いました!」

 

『頼もしい科学者だ』

 

「絶対褒めてないですよね!?」

 

 

格納庫付近の通路。

 

まつりはシオンに支えられながら、未だに荒い呼吸を整えていた。

 

こよりが第三エンジン区画へ向かった後、蓮は周囲へ倒れている兵士たちを確認している。

 

意識を失っているだけで、命に別状はない。

 

蓮は床へ落ちていた銃を、念のため遠くへ蹴り飛ばした。

 

「この区画は、大体片づいたはず……」

 

そう言いかけた、その時だった。

 

通路の奥から、奇妙な電子音が響く。

 

《MASQUERADE》

 

蓮の表情が変わった。

 

続けて、別の音声が重なる。

 

《MAGMA》

 

《ANOMALOCARIS》

 

「この音……!」

 

蓮は通路の奥へ顔を向けた。

 

先ほど制圧したはずの兵士たちの一部が、ゆっくりと立ち上がっていた。

 

気絶したふりをしていたのだ。

 

彼らは懐から、小型のUSBメモリに似た装置を取り出す。

 

ガイアメモリ。

 

兵士たちは迷うことなく、メモリを首筋や腕のコネクタへ押し当てた。

 

肉体が黒い光へ包まれる。

 

次々と、人間の姿から異形の怪人へ変貌していった。

 

マスカレイド・ドーパント。

 

全身から高熱を放つマグマ・ドーパント。

 

古代生物のような装甲を持つアノマロカリス・ドーパント。

 

シオンは、まつりを庇うように前へ出た。

 

「何、あれ!?」

 

「ガイアメモリで変身する怪人だ」

 

蓮はディケイドライバーを腰へ当てる。

 

「ドーパント!」

 

ライドブッカーからカードを引き抜く。

 

「変身!」

 

《KAMEN RIDE》

 

カードをドライバーへ挿入した。

 

《DECADE》

 

黒とマゼンタの装甲が、蓮の体を包み込む。

 

仮面ライダーディケイド。

 

ディケイドはライドブッカーをソードモードへ変形させ、まつりたちの前へ立った。

 

「二人から離れろ!」

 

ドーパントたちが一斉に襲いかかる。

 

ディケイドは正面から迫ったマスカレイドを斬り払い、続けて別の一体の腕を掴んだ。

 

そのまま勢いよく壁へ叩きつける。

 

しかし、数が多い。

 

通路の左右から、さらに複数のドーパントが現れた。

 

別の区画では、ブレイドとなったポルカと、ファイズとなったあくあも怪人の群れに囲まれていた。

 

「ちょっと、数が多すぎない!?」

 

ポルカはブレイラウザーを振るい、二体のマスカレイドをまとめて弾き飛ばす。

 

ファイズとなったあくあも、迫るドーパントを牽制しながら叫んだ。

 

「こいつら、どこから湧いてきたの!?」

 

ディケイドはライドブッカーで攻撃を受け止めながら、通信を繋いだ。

 

「誰か、援護に来られる!?」

 

その直後。

 

別の通路から、大きな声が返ってきた。

 

「待ってて!」

 

駆けつけたのは、スバルだった。

 

彼女の腰には、デンオウベルトが巻かれている。

 

右手にはライダーパス。

 

そして、その隣にはシオンも立っていた。

 

シオンの指には、赤い宝石が埋め込まれた魔法使いの指輪が装着されている。

 

「シオン、無理するな!」

 

ディケイドが叫ぶ。

 

しかし、シオンは鋭い視線を返した。

 

「無理してるのは蓮でしょ!」

 

「でも――」

 

「今度はシオンたちが戦う番!」

 

スバルはライダーパスを構えた。

 

「よし……!」

 

少し緊張した様子で、ベルトへパスをかざす。

 

「変身!」

 

《SWORD FORM》

 

赤い光がスバルの全身を駆け抜けた。

 

同時に、モモタロスの意識がスバルの体へ重なる。

 

赤い装甲が形成され、桃を思わせる電仮面が顔へ装着された。

 

仮面ライダー電王、ソードフォーム。

 

「久しぶりの――」

 

電王は走りながら、大きく腕を広げた。

 

「俺、参上!」

 

スバルの声が、体の奥から響く。

 

「ちょっと、モモタロス! 勝手に決め台詞を言うな!」

 

「俺が憑いたんだから、これを言わなきゃ始まらねぇだろ!」

 

「スバルの体なんだけど!?」

 

シオンはウィザードライバーを腰へ装着する。

 

《DRIVER ON》

 

ベルトから軽快な音楽が流れ始めた。

 

《シャバドゥビ タッチ ヘンシン!》

 

《シャバドゥビ タッチ ヘンシン!》

 

シオンはフレイムウィザードリングを右手へ装着した。

 

魔法使いのように、ゆっくりと腕を構える。

 

「変身!」

 

指輪をウィザードライバーへかざす。

 

《FLAME PLEASE》

 

赤い魔法陣が現れた。

 

《ヒー、ヒー、ヒーヒーヒー!》

 

炎を纏った魔法陣が、シオンの体を通り抜ける。

 

黒いローブのような装甲。

 

赤く輝く宝石を思わせる胸部と頭部。

 

魔法を操る指輪の戦士。

 

仮面ライダーウィザード。

 

変身を終えたシオンは、自分の両手を見つめる。

 

「……本当にシオンがウィザードになった」

 

ディケイドはドーパントの攻撃を受け流しながら、横目でその姿を見た。

 

「似合ってるよ」

 

「今それ言う!?」

 

電王がデンガッシャーをソードモードへ組み替える。

 

「よっしゃあ! 怪人ども、まとめてぶっ飛ばすぜ!」

 

「だから、勝手にスバルの体を動かすな!」

 

「細けぇことを言うな!」

 

「細かくない!」

 

言い争いながらも、電王はドーパントの群れへ突撃した。

 

デンガッシャーを大きく振るう。

 

「おりゃあっ!」

 

赤い刃がマスカレイドたちを次々と弾き飛ばしていく。

 

ウィザードもリングを入れ替えた。

 

《CONNECT PLEASE》

 

目の前に、小さな魔法陣が現れる。

 

そこへ右手を入れ、反対側からウィザーソードガンを引き抜いた。

 

「本当に出てきた……!」

 

一瞬だけ驚いたものの、すぐにソードモードへ切り替える。

 

刀身へ炎を纏わせた。

 

「まつりたちに近づくな!」

 

炎の斬撃が放たれ、迫っていたドーパントたちをまとめて吹き飛ばす。

 

ディケイド。

 

ブレイド。

 

ファイズ。

 

電王。

 

ウィザード。

 

そしてキバ。

 

六人の仮面ライダーが、ヘリキャリアの通路でドーパントの群れを押し返していく。

 

しかし、艦の状況はさらに悪化していた。

 

『第一エンジン、完全停止』

 

艦内放送が響く。

 

『繰り返します。第一エンジン、完全停止』

 

ディケイドは奥歯を噛み締めた。

 

「まずい……!」

 

第一エンジンが停止すれば、ヘリキャリアの姿勢制御はさらに崩れる。

 

第三エンジンでは、トニー、スティーブ、こより、ぼたんが復旧作業を続けている。

 

だが、第一エンジンまで停止した状態では、修復が間に合う前に墜落する可能性が高い。

 

ディケイドは電王へ叫んだ。

 

「電王!」

 

「何だ!」

 

「デンライナーで、ヘリキャリアを牽引して!」

 

電王はドーパントを蹴り飛ばしながら振り返る。

 

「デンライナーで!?」

 

スバルの驚いた声が響く。

 

「空母を列車で引っ張るの!?」

 

だが、モモタロスは即答した。

 

「分かった!」

 

「分かったの!?」

 

「時の列車を舐めるな!」

 

電王はライダーパスを高く掲げた。

 

空間が大きく歪み始める。

 

ヘリキャリアの前方。

 

厚い雲の中へ、どこからともなく巨大な線路が出現した。

 

空中へ浮かぶ、無限に続く軌道。

 

甲高い汽笛の音が夜空へ響く。

 

時空の裂け目を突き破り、巨大な列車が姿を現した。

 

デンライナー。

 

そのあまりにも異常な光景に、S.H.I.E.L.D.の通信回線が一瞬で混乱した。

 

『前方に巨大な列車が出現!』

 

『空中に線路だと!?』

 

『識別信号なし!』

 

『攻撃準備に入りますか!?』

 

ディケイドは通信機へ叫んだ。

 

「フューリー! 外に現れた列車は味方です! 撃たないでください!」

 

フューリーの声が返ってくる。

 

『今度は空飛ぶ列車か』

 

「時の列車です!」

 

『違いが分からん』

 

「それと、もう一体来ます!」

 

『まだ増えるのか?』

 

ディケイドはキバへ顔を向けた。

 

「トワ! キャッスルドランも頼む!」

 

キバが頷く。

 

「分かった!」

 

キバットが翼を大きく広げた。

 

「よっしゃ! 今度は城の出番だ!」

 

トワは新たなフエッスルを取り出す。

 

キバットへ咥えさせ、強く吹き鳴らした。

 

《キャッスルドラン!》

 

低く、不気味な音が響く。

 

ヘリキャリア側面の空間が大きく揺れた。

 

雲を押し退けるように、巨大な影が姿を現す。

 

石造りの城。

 

その下部から伸びる、巨大な龍の頭部と四肢。

 

魔皇竜キャッスルドラン。

 

デンライナーがヘリキャリアの前方から接近する。

 

キャッスルドランは側面へ回り込み、落下を続ける船体へ並んだ。

 

フューリーの声が、再び通信へ響く。

 

『列車の次は、翼の生えた城か』

 

「はい!」

 

『……もう何が来ても驚かん』

 

フューリーはすぐに艦内へ命令を出した。

 

『全砲門へ通達。前方の列車と側面の城を友軍として識別しろ! 絶対に撃つな!』

 

デンライナーの車体から、巨大な連結用ケーブルが射出される。

 

金属製のフックが、ヘリキャリア前方の頑丈な構造部へ食い込んだ。

 

複数のケーブルが固定される。

 

キャッスルドランも巨大な爪を伸ばし、ヘリキャリアの側面を下から支えた。

 

龍の翼が、大きく羽ばたく。

 

ゴゴゴゴゴ……!

 

傾き続けていたヘリキャリアの動きが、僅かに止まった。

 

電王がドーパントを斬り払いながら叫ぶ。

 

「引っ張れえええええっ!」

 

スバルの声も重なる。

 

「デンライナー、頑張れえええっ!」

 

デンライナーが力強く汽笛を鳴らす。

 

車輪から火花が散り、空中の線路を全力で走り始めた。

 

キャッスルドランも低い咆哮を上げる。

 

翼を羽ばたかせ、巨大な爪で船体を押し上げていく。

 

落下速度が、僅かに緩んだ。

 

だが、止まったわけではない。

 

空の外では、デンライナーとキャッスルドランが必死にヘリキャリアを支えている。

 

その内側では、ホロライブの仮面ライダーたちがドーパントの群れと戦い続けていた。

 

ディケイドはマスカレイドを斬り伏せながら叫ぶ。

 

「あと少しだ! 修復が終わるまで、ここを持ちこたえる!」

 

ウィザードはウィザーソードガンをガンモードへ変形させる。

 

炎の魔法弾を連続で放ち、ドーパントたちを押し返した。

 

「言われなくても!」

 

電王はデンガッシャーを振り回し、正面の怪人を弾き飛ばす。

 

「俺たちがいるんだ!」

 

モモタロスが大声を上げる。

 

「この程度で落ちるわけねぇだろ!」

 

「モモタロス、ちゃんと手加減して!」

 

「分かってるっての!」

 

ファイズとなったあくあは、素早い動きで敵の間を駆け抜ける。

 

銃やガイアメモリを次々と蹴り飛ばした。

 

「みんな、もう少しだけ踏ん張って!」

 

ブレイドとなったポルカは、一枚のラウズカードをブレイラウザーへ通す。

 

《SLASH》

 

ブレイラウザーの刃へ、青白いエネルギーが集まった。

 

「座長の舞台は――」

 

ポルカは勢いよく剣を振り抜く。

 

「まだ終わってないよ!」

 

エネルギーを纏った斬撃が、複数のドーパントをまとめて吹き飛ばした。

 

キバとなったトワは、キャッスルドランへ意識を集中させながらも、目の前に迫る怪人を蹴り飛ばす。

 

「絶対に――」

 

倒れた相手からガイアメモリを抜き取り、床へ投げ捨てる。

 

「みんなで帰る!」

 

空飛ぶ巨大空母を、時の列車と龍の城が支えている。

 

その内部では、ホロライブのアイドルたちが仮面ライダーへ変身し、怪人の群れと戦っていた。

 

この場所では、世界の常識など、とっくに崩壊している。

 

だが。

 

その光景の中心で、蓮は確かなものを感じていた。

 

今までは、一人だった。

 

正体を隠し。

 

誰にも頼らず。

 

世界の破壊者という名を背負いながら、怪人たちと戦ってきた。

 

けれど、今は違う。

 

シオンがいる。

 

スバルがいる。

 

トワがいる。

 

あくあがいる。

 

ポルカがいる。

 

ぼたん、こより、まつり。

 

そして、まだ戦場へ立っていない仲間たちもいる。

 

この戦いはもう、紫咲蓮だけのものではなかった。

 

「みんな……」

 

ディケイドはライドブッカーを強く握り直した。

 

目の前には、まだ多くのドーパントが残っている。

 

ヘリキャリアの高度も、少しずつ下がり続けていた。

 

修復が間に合う保証などない。

 

それでも、諦める者は一人もいなかった。

 

ディケイドはライドブッカーを正面へ構える。

 

「行くぞ!」

 

「おう!」

 

「任せて!」

 

「絶対に落とさない!」

 

「全員まとめて吹き飛ばすよ!」

 

ライダーたちの声が、一つに重なった。

 

墜落までに残された時間は、僅か。

 

それでも。

 

誰一人として、空母を見捨てるつもりはなかった。

 

 

 

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