仮面ライダーディケイド×ホロライブ×MCU ―世界を繋ぐ仮面の旅人―   作:十六夜 蓮

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第35話 平成の力

 

 

スターク・タワー、ペントハウス。

 

ロキは両腕に特殊拘束具を装着され、ナターシャによってゆっくりと立たされた。

 

ハルクに何度も床へ叩きつけられた体が痛むのか、その表情には僅かな苦悶が浮かんでいる。

 

「……随分と手荒な扱いだな」

 

シオンは腕を組み、ロキを睨みつけた。

 

「ニューヨークを戦場にした人が言う台詞じゃないでしょ」

 

「私は人ではない。神だ」

 

「今は捕まった神様でしょ」

 

「……口の達者な姉弟だな」

 

ロキは小さく肩をすくめた。

 

だが、先ほどまでの余裕はもう残っていない。

 

ゲートは閉じた。

 

チタウリの母艦は破壊され、地上の軍勢も沈黙した。

 

杖は奪われ。

 

四次元キューブも停止させられた。

 

地球侵略は失敗した。

 

すべては終わったはずだった。

 

しかし、その時。

 

ペントハウスの外から、再び悲鳴が聞こえた。

 

一人や二人ではない。

 

大勢の市民が、何かから逃げるような悲鳴。

 

続いて。

 

ドォォォン!

 

スターク・タワー全体を揺らすほどの轟音が響いた。

 

天井から細かな破片が落ちる。

 

蓮は即座に顔を上げた。

 

「……まだ何かいる」

 

スティーブもすぐに窓際へ向かう。

 

「全員、警戒しろ!」

 

蓮は割れた窓から身を乗り出し、眼下の大通りを確認した。

 

そこには。

 

巨大な影が立っていた。

 

ビルの数階分にも及ぶ巨体。

 

人型ではあるが、その姿は大きく歪んでいる。

 

黒く濁った装甲。

 

胸部へ刻まれた、不気味な時計を思わせる意匠。

 

赤く光る巨大な複眼。

 

その姿は、どこか仮面ライダーに似ていた。

 

しかし、決定的に違う。

 

人々を守る戦士ではない。

 

仮面ライダーの歴史と力を、悪意によって歪めた怪物。

 

蓮の表情が険しくなる。

 

「……あれは」

 

低い声で呟く。

 

「巨大なアナザーライダー……!」

 

怪物が低い咆哮を上げた。

 

「グオオオオオオ……!」

 

巨大な腕を振るう。

 

それだけで道路上の車や瓦礫が吹き飛ばされ、近くのビルの外壁が大きく砕けた。

 

逃げ遅れた市民たちが悲鳴を上げる。

 

スティーブは盾を握り直した。

 

「紫咲」

 

蓮へ顔を向ける。

 

「あの怪物を止められるか?」

 

蓮はすぐには答えなかった。

 

振り返る。

 

そこには、ニューヨーク決戦を戦い抜いたホロライブの仲間たちがいた。

 

まつりとこよりは、プトティラコンボとハザードフォームの力によって大きく消耗している。

 

トワ。

 

ぼたん。

 

あくあ。

 

ポルカ。

 

フレア。

 

全員が、ヘリキャリアから戦い続けてきた。

 

シオンとスバル。

 

ミオとAZKiも、慣れない力を何度も使っている。

 

普通なら、もう戦場へ立たせるべきではない。

 

休ませなければならない。

 

しかし。

 

窓の外からは、今も逃げる人々の声が聞こえる。

 

あの怪物を放置すれば、ようやく救われたニューヨークが再び破壊される。

 

蓮は短く息を吐いた。

 

「みんな」

 

ホロライブのメンバーたちが、一斉に蓮を見る。

 

「まだ戦える?」

 

一瞬だけ、沈黙が流れた。

 

それを最初に破ったのは、シオンだった。

 

「当たり前でしょ」

 

ウィザードリングを握り締める。

 

「ここまでやって、最後だけ蓮に任せられるわけないじゃん」

 

スバルも拳を握る。

 

「そうだぞ!」

 

「もう十分戦ったよ」と言いたげな体を奮い立たせる。

 

「ここまで来たら、最後までやるしかないだろ!」

 

ぼたんはカブトゼクターへ手を添え、軽く笑った。

 

「もう一戦くらいならいけるよ」

 

トワもキバットと顔を見合わせる。

 

「みんなを守るためならね」

 

「その意気だ、トワ!」

 

キバットが翼を広げた。

 

こよりは僅かにふらつきながらも、ビルドドライバーを握る。

 

「ホロライブの頭脳担当――」

 

一度、自分の頬を叩いた。

 

「まだ計算できます!」

 

まつりもオーズドライバーとオースキャナーを手に取る。

 

「今度こそ、ちゃんと制御するから!」

 

「本当に無理はしないでよ」

 

シオンが釘を刺す。

 

「分かってるって!」

 

フレア。

 

ポルカ。

 

あくあ。

 

あやめ。

 

みこ。

 

おかゆ。

 

ミオ。

 

AZKi。

 

彼女たちも、それぞれの変身アイテムを手にした。

 

その後方では。

 

これまで戦況を見守っていたメンバーたちも、一歩前へ出る。

 

夜空メル。

 

フワワ・アビスガード。

 

モココ・アビスガード。

 

ロボ子さん。

 

癒月ちょこ。

 

そして。

 

一番後ろに立っていた、ときのそらが静かに前へ進んだ。

 

その両手には。

 

ジクウドライバー。

 

そして、ジオウライドウォッチが握られていた。

 

蓮は、そらが持つ二つのアイテムを見る。

 

「そらさん」

 

「私も行くよ」

 

そらは窓の外で暴れる怪物を見上げた。

 

「ここは、みんなの未来が続いていく世界だから」

 

蓮は力強く頷く。

 

「分かりました」

 

右手を大きく払う。

 

ペントハウスの中へ、灰色のオーロラカーテンが出現した。

 

光の幕の向こうには、巨大な怪物が立つニューヨークの大通りが映し出されている。

 

「行くぞ」

 

蓮たちは次々とオーロラカーテンを潜った。

 

 

次の瞬間。

 

ホロライブのメンバーたちは、ニューヨークの大通りへ降り立っていた。

 

目の前には、ビルを超えるほどの巨体を持つアナザーライダー。

 

近くで見ると、その異様さはさらに際立っている。

 

歪んだ複眼。

 

不自然に膨張した肉体。

 

胸部と顔には、仮面ライダーの原型を嘲笑うかのような意匠が刻まれていた。

 

まつりは、思わず声を上げる。

 

「あのアナザーライダー、何!?」

 

そらは巨大な怪物を見上げた。

 

その瞳には、初めて見るはずの怪物に対する奇妙な理解が宿っている。

 

「アナザー1号だよ」

 

「一号……?」

 

蓮が怪物を見据える。

 

「すべての仮面ライダーの始まり」

 

ライドブッカーを強く握った。

 

「仮面ライダー1号の歴史と力を、歪めた存在か……!」

 

アナザー1号が巨大な口を開き、咆哮した。

 

「グオオオオオオッ!」

 

腕を大きく振り上げる。

 

そして、ビルごと薙ぎ払うような勢いで、ライダーたちへ向かって振り下ろした。

 

「避けろ!」

 

蓮の声と同時に、全員が散開した。

 

ドゴォォン!

 

巨大な拳が道路へ叩きつけられる。

 

アスファルトが大きく陥没し、道路全体へ亀裂が走った。

 

駐車されていた車が衝撃で跳ね上がる。

 

瓦礫が弾丸のように空中へ舞った。

 

スティーブたちは、逃げ遅れた市民の避難へ向かっている。

 

トニーは傷ついたマーク7を纏ったまま、ペントハウス側でロキを監視していた。

 

この巨大な怪物へ立ち向かうのは。

 

紫咲蓮と、仮面ライダーの力を託されたホロライブのメンバーたち。

 

蓮はディケイドライバーを腰へ当てた。

 

「みんな」

 

アナザー1号を正面から見据える。

 

「ここで止める」

 

そらもジクウドライバーを腰へ装着した。

 

「うん」

 

メンバーたちが、それぞれの変身アイテムを構える。

 

ミオの体へ現れるアークル。

 

AZKiの腰へ装着されるオルタリング。

 

メルがデッキから引き抜く龍騎のカード。

 

あくあのファイズドライバー。

 

ポルカのブレイバックル。

 

あやめの変身音叉・音角。

 

ぼたんのカブトゼクター。

 

スバルのデンオウベルトとライダーパス。

 

トワのキバットベルト。

 

フワワとモココのダブルドライバーとガイアメモリ。

 

まつりのオーズドライバー。

 

フレアのフォーゼドライバー。

 

シオンのウィザードライバー。

 

みこの戦極ドライバー。

 

ロボ子さんのドライブドライバー。

 

ちょこのゴーストドライバー。

 

おかゆのゲーマドライバー。

 

こよりのビルドドライバー。

 

蓮はライダーカードを。

 

そらはジオウライドウォッチを構える。

 

ニューヨークの大通りに、全員の声が重なった。

 

「変身!」

 

無数の変身音と光が、一斉に街を満たした。

 

炎。

 

風。

 

雷。

 

魔法陣。

 

機械音。

 

時を刻む鐘の音。

 

異なる歴史を持つ力が、次々と戦士の姿を形作っていく。

 

仮面ライダークウガ。

 

仮面ライダーアギト。

 

仮面ライダー龍騎。

 

仮面ライダーファイズ。

 

仮面ライダーブレイド。

 

仮面ライダー響鬼。

 

仮面ライダーカブト。

 

仮面ライダー電王。

 

仮面ライダーキバ。

 

仮面ライダーW。

 

仮面ライダーオーズ。

 

仮面ライダーフォーゼ。

 

仮面ライダーウィザード。

 

仮面ライダー鎧武。

 

仮面ライダードライブ。

 

仮面ライダーゴースト。

 

仮面ライダーエグゼイド。

 

仮面ライダービルド。

 

仮面ライダーディケイド。

 

そして。

 

《RIDER TIME》

 

《KAMEN RIDER ZI-O》

 

時を告げる音と共に、仮面ライダージオウが姿を現した。

 

平成を駆け抜けた仮面ライダーたち。

 

二十の歴史を背負う戦士たちが、巨大なアナザー1号の前へ並び立つ。

 

アナザー1号は、ライダーたちを見下ろすように低く唸った。

 

まるで。

 

歪められた始まりの歴史そのものが、平成の時代を否定しようとしているかのようだった。

 

ディケイドはケータッチを取り出した。

 

ジオウも、グランドジオウライドウォッチを握る。

 

「一気に行く」

 

蓮が静かに告げる。

 

そらも頷いた。

 

「うん」

 

周囲へ並ぶ仲間たちを見る。

 

「みんなの力で」

 

ディケイドはケータッチを操作した。

 

《KUUGA》

 

《AGITO》

 

《RYUKI》

 

《FAIZ》

 

《BLADE》

 

《HIBIKI》

 

《KABUTO》

 

《DEN-O》

 

《KIVA》

 

九人のライダーの紋章が、ケータッチへ次々と表示される。

 

ディケイドライバーへ装着した。

 

《FINAL KAMEN RIDE》

 

《DECADE》

 

マゼンタと白の光が、ディケイドの全身を包む。

 

装甲が大きく変化する。

 

胸部へ、クウガからキバまでのライダーカードが並んだ。

 

仮面ライダーディケイド、コンプリートフォーム。

 

コンプリートフォームの誕生と同時に。

 

クウガからキバまでの九人へ、カード状の光が現れた。

 

その光は、それぞれのライダーが持つ可能性と共鳴する。

 

クウガとなったミオが、カードを潜り抜ける。

 

黒を基調とした究極の戦士。

 

仮面ライダークウガ、ライジングアルティメット。

 

「これが……クウガの究極の力……!」

 

アギトとなったAZKiの全身を、眩い黄金の光が包む。

 

仮面ライダーアギト、シャイニングフォーム。

 

龍騎となったメルの背後へ、ドラグランザーが現れる。

 

炎の力を纏った赤い装甲。

 

仮面ライダー龍騎サバイブ。

 

ファイズとなったあくあの胸部装甲が展開し、全身のフォトンブラッドが赤く輝く。

 

仮面ライダーファイズ、ブラスターフォーム。

 

ブレイドとなったポルカの全身へ、十三体のアンデッドの紋章が刻まれる。

 

仮面ライダーブレイド、キングフォーム。

 

響鬼となったあやめは、装甲声刃を手に赤い強化装甲を纏う。

 

仮面ライダー装甲響鬼。

 

カブトとなったぼたんは、ハイパーゼクターを装着する。

 

《HYPER CAST OFF》

 

《CHANGE HYPER BEETLE》

 

仮面ライダーカブト、ハイパーフォーム。

 

電王となったスバルには、モモタロスたちだけではなく、ジークの力まで重なった。

 

仮面ライダー電王、超クライマックスフォーム。

 

スバルは自分の全身へ追加された装甲を見回す。

 

「うわ、これ……!」

 

体の内側で、モモタロスが楽しそうに笑った。

 

「おお! 全部乗せみてぇで強そうじゃねぇか!」

 

「全部乗せって言い方やめろ!」

 

「実際、全部乗ってんだろ!」

 

キバとなったトワの周囲へ、黄金の魔皇力が溢れ出す。

 

全身を金色と赤の装甲が包み込んだ。

 

仮面ライダーキバ、エンペラーフォーム。

 

キバットが興奮したように飛び回る。

 

「エンペラーだぜ、トワ! 王様だ、王様!」

 

「悪魔でアイドルで王様って、属性盛りすぎじゃない!?」

 

「格好いいからいいんだよ!」

 

一方。

 

ジオウとなったそらは、グランドジオウライドウォッチを起動した。

 

《GRAND ZI-O》

 

黄金のウォッチを、ジクウドライバーへ装着する。

 

《グランドタイム!》

 

そらは静かにドライバーを回転させた。

 

《クウガ!》

 

《アギト!》

 

《龍騎!》

 

《ファイズ!》

 

《ブレイド!》

 

《響鬼!》

 

《カブト!》

 

《電王!》

 

《キバ!》

 

《ディケイド!》

 

《ダブル!》

 

《オーズ!》

 

《フォーゼ!》

 

《ウィザード!》

 

《鎧武!》

 

《ドライブ!》

 

《ゴースト!》

 

《エグゼイド!》

 

《ビルド!》

 

歴代平成ライダーの名が、時代を遡るように次々と響き渡る。

 

《祝え!》

 

黄金の時計を思わせる装甲が、そらの全身を包み込む。

 

《仮面ライダーグランドジオウ!》

 

仮面ライダーグランドジオウ。

 

平成仮面ライダーの歴史を、その身へ刻んだ時の王。

 

その誕生と共に。

 

Wからビルドまでのライダーたちの体も、一斉に輝き始めた。

 

フワワとモココ。

 

二人の意識が重なった仮面ライダーWの中央へ、エクストリームメモリが降り立つ。

 

《XTREME》

 

緑と黒、そして白銀の装甲。

 

仮面ライダーW、サイクロンジョーカーエクストリーム。

 

オーズとなったまつりの前へ、紫色のコアメダルが現れる。

 

プテラ。

 

トリケラ。

 

ティラノ。

 

先ほどは、その破壊衝動に呑まれかけた力。

 

しかし今度は違う。

 

グランドジオウから溢れる平成ライダーの歴史と、周囲へ並ぶ仲間たちの存在が、まつりの意識を支えていた。

 

紫色の冷気を静かに纏う。

 

仮面ライダーオーズ、プトティラコンボ。

 

まつりは両手を見つめ、ゆっくりと息を吐く。

 

「大丈夫……」

 

自分へ言い聞かせるように呟く。

 

「今度は、まつりがこの力を使う」

 

フォーゼとなったフレアの全身へ、四十個のアストロスイッチの力が集まる。

 

《COSMIC ON》

 

仮面ライダーフォーゼ、コズミックステイツ。

 

ウィザードとなったシオンは、アックスカリバーを手に無限の魔力を纏う。

 

《INFINITY PLEASE》

 

《ヒースイフードー! ボーザバビュードゴーン!》

 

仮面ライダーウィザード、インフィニティースタイル。

 

鎧武となったみこの頭上へ、黄金の果実を思わせる巨大なロックシードが現れる。

 

《極アームズ!》

 

仮面ライダー鎧武、極アームズ。

 

ドライブとなったロボ子さんへ、トライドロンの力が集まる。

 

《FIRE ALL ENGINE》

 

仮面ライダードライブ、タイプトライドロン。

 

ゴーストとなったちょこの周囲へ、無限を象徴する眩い光が満ちる。

 

《ムゲン進化!》

 

仮面ライダーゴースト、ムゲン魂。

 

エグゼイドとなったおかゆの全身へ、無敵の黄金装甲が形成される。

 

《輝け! 流星の如く!》

 

《黄金の最強ゲーマー!》

 

《ハイパームテキエグゼイド!》

 

仮面ライダーエグゼイド、ムテキゲーマー。

 

ビルドとなったこよりは、六十本のフルボトルの成分を内包する純白のボトルをドライバーへ装填した。

 

《GENIUS》

 

《ARE YOU READY?》

 

「変身!」

 

《完全無欠のボトルヤロー!》

 

《ビルドジーニアス!》

 

《スゲーイ! モノスゲーイ!》

 

仮面ライダービルド、ジーニアスフォーム。

 

二十人の主役ライダー。

 

そのすべてが、最強の力を纏ってニューヨークへ並び立つ。

 

眩い光が、大通り全体を満たした。

 

アナザー1号の赤い複眼が、その輝きに揺れる。

 

グランドジオウとなったそらは、自分の両手を見つめた。

 

平成ライダーの歴史を背負う力。

 

一人の少女が受け止めるには、あまりにも大きな力だった。

 

胸の奥へ重いものが流れ込んでくる。

 

戦い。

 

別れ。

 

受け継がれてきた願い。

 

それぞれの時代で人々を守ってきた、仮面ライダーたちの記憶。

 

そらは一瞬だけ息を呑んだ。

 

しかし。

 

恐怖よりも先に、不思議な確信が胸へ浮かんだ。

 

「なんだろう……」

 

アナザー1号を見上げる。

 

「行ける気がする」

 

隣に立つディケイドが笑った。

 

「それ、かなり大事な感覚ですよ」

 

「そうなの?」

 

「仮面ライダーは、最後にはそういう気持ちで立ち上がるから」

 

アナザー1号が怒り狂ったように咆哮した。

 

「グオオオオオオッ!」

 

巨大な拳が、ライダーたちへ振り下ろされる。

 

しかし。

 

今度は、誰一人として怯まなかった。

 

「ハイパークロックアップ」

 

《HYPER CLOCK UP》

 

ハイパーカブトの姿が消える。

 

超高速の世界へ入り、振り下ろされる巨大な腕へ何度も蹴りを叩き込んだ。

 

拳の軌道が僅かに逸れる。

 

その隙に、ライジングアルティメットとなったミオが道路を蹴った。

 

「はあああっ!」

 

一気に跳躍し、アナザー1号の腕へ拳を叩き込む。

 

ドゴォン!

 

巨体が僅かに揺れた。

 

シャイニングアギトとなったAZKiが続く。

 

「今度は私!」

 

シャイニングカリバーから黄金の斬撃を放ち、腕の装甲を切り裂いた。

 

龍騎サバイブとなったメルは、ドラグバイザーツバイへカードを装填する。

 

ドラグランザーが炎を吐き、アナザー1号の顔面を焼いた。

 

ファイズ・ブラスターフォームとなったあくあは、フォトンバスターを構える。

 

「そこ!」

 

赤い光弾が脚部へ連続して命中する。

 

キングフォームとなったポルカは、重い黄金の装甲をものともせず突進した。

 

「座長の最終公演だよ!」

 

キングラウザーへ複数のラウズカードの力を重ね、巨大な脚部へ斬り込む。

 

装甲響鬼となったあやめも、装甲声刃を構えた。

 

「清めの音を聞け!」

 

強烈な音撃が、アナザー1号の全身へ叩き込まれる。

 

エンペラーキバとなったトワは、ザンバットソードを振り抜いた。

 

赤黒い魔皇力の斬撃が飛び、胸部の時計型装甲へ直撃する。

 

超クライマックスフォームとなった電王が、全身へ複数のイマジンの力を集めて突撃した。

 

「俺たちの必殺技――」

 

モモタロス。

 

ウラタロス。

 

キンタロス。

 

リュウタロス。

 

ジーク。

 

そしてスバルの声が重なる。

 

「クライマックスバージョン!」

 

「シオン! 上!」

 

ディケイドの声に、インフィニティースタイルとなったシオンが空へ跳んだ。

 

「分かってる!」

 

アックスカリバーを巨大化させる。

 

眩い魔力を纏った斧剣が、アナザー1号の肩へ振り下ろされた。

 

ズドォン!

 

コズミックステイツとなったフレアは、周囲に散乱していた瓦礫へコズミックエナジーを作用させる。

 

「街に被害を出させない!」

 

落下する瓦礫の軌道を変え、人のいない場所へ移動させた。

 

ジーニアスフォームとなったこよりは、アナザー1号の全身を高速で分析していた。

 

膨大な情報が複眼の内側へ流れる。

 

装甲の構造。

 

エネルギーの流れ。

 

各部の損傷。

 

巨大化を維持している力の集中地点。

 

「解析完了!」

 

右膝を指さす。

 

「右膝部! 装甲の接続が弱くなっています!」

 

ムテキゲーマーとなったおかゆが、黄金の残像を残して飛び出した。

 

「それじゃあ、弱点を連続攻撃だねぇ」

 

凄まじい速度で右膝へ接近する。

 

「えい、えい、えい」

 

軽い声とは裏腹に、無数の蹴りと拳が一瞬で叩き込まれた。

 

アナザー1号の右膝が、大きく沈む。

 

極アームズとなったみこが、頭上へ無数のアームズウェポンを展開した。

 

「全部まとめて――」

 

大橙丸。

 

無双セイバー。

 

パインアイアン。

 

イチゴクナイ。

 

マンゴパニッシャー。

 

歴代アーマードライダーの武器が、一斉にアナザー1号へ向けられる。

 

「持ってけにぇええええっ!」

 

武器の雨が降り注ぐ。

 

アナザー1号の全身で、連続して爆発が起きた。

 

タイプトライドロンとなったロボ子さんが、高速で怪物の周囲を旋回する。

 

タイヤカキマゼールによって複数の能力を切り替え、攻撃の方向を撹乱した。

 

ムゲン魂となったちょこは、眩い感情の力を纏いながら巨大な腕を受け止める。

 

サイクロンジョーカーエクストリームとなったWは、地球の本棚から得た情報をもとに、アナザー1号の行動を先読みしていく。

 

《PRISM》

 

プリズムビッカーの斬撃が、胸部へ刻まれた歪んだ時計の意匠を切り裂いた。

 

プトティラコンボとなったまつりは、紫色の翼を広げる。

 

破壊衝動を抑え込み。

 

自分の意思で、冷気を一点へ集中させる。

 

「今度は――」

 

アナザー1号の左脚を凍結させた。

 

「まつりが、この力を使う!」

 

巨大な怪物の両膝が崩れる。

 

アナザー1号はバランスを失い、片膝を道路へついた。

 

ドォォォン!

 

ニューヨークの大通り全体が大きく揺れた。

 

ディケイド・コンプリートフォームは、グランドジオウの隣へ並ぶ。

 

「そらさん」

 

「うん」

 

「合わせられますか?」

 

そらは静かに頷いた。

 

「みんなの力が、ここにある」

 

グランドジオウの装甲に刻まれた、平成ライダーのレリーフが一斉に輝き始めた。

 

ディケイドの胸に並ぶライダーカードも、マゼンタの光を放つ。

 

コンプリートフォームの背後へ。

 

クウガからキバまでの、歴代ライダーの幻影が並んでいく。

 

グランドジオウの周囲にも。

 

ディケイドからビルドまでのライダーたちの幻影が現れた。

 

平成の歴史。

 

二十人のライダーが築き上げてきた力が、二人の中心へ集まっていく。

 

アナザー1号は片膝をついたまま、怒り狂ったように咆哮した。

 

「グオオオオオオオオッ!」

 

全身から、濁った黒いエネルギーが溢れ出す。

 

衝撃波が大通りを駆け抜けた。

 

道路が割れ。

 

街灯が折れ。

 

周囲のビルの窓ガラスが、次々と砕けていく。

 

それでも。

 

平成ライダーたちは退かなかった。

 

ディケイドはライドブッカーを正面へ構える。

 

「仮面ライダー1号は、すべての始まりだ」

 

アナザー1号の赤い複眼を見据える。

 

「その力と歴史を、怪物へ歪めるなんて――」

 

声へ、静かな怒りが宿る。

 

「許されるわけないだろ」

 

グランドジオウとなったそらも、真っすぐ前を向いた。

 

「始まりがあるから、今がある」

 

背後へ並ぶ仲間たちを見る。

 

「そして、今があるから、未来へ続いていける」

 

アナザー1号へ向き直った。

 

「その歴史は、私たちが守る」

 

その言葉に、全員が力強く頷いた。

 

平成ライダーの最強フォームが、巨大なアナザー1号を取り囲んでいる。

 

瓦礫の陰へ避難していたニューヨークの人々は、その光景を見上げていた。

 

色とりどりの戦士たち。

 

絶望的な巨体を前にしても、一歩も退かない英雄たち。

 

アベンジャーズとは違う。

 

この地球へ現れた、もう一つの希望。

 

ディケイドは通信を開いた。

 

「全員、最後まで気を抜くな!」

 

インフィニティースタイルとなったシオンが答える。

 

『分かってる!』

 

超クライマックスフォームのスバルも叫んだ。

 

『行くぞおおおおっ!』

 

ジーニアスフォームのこよりが、分析結果を全員へ共有する。

 

『弱点解析、完全終了!』

 

エンペラーフォームとなったトワが、ザンバットソードを構えた。

 

『ここで終わらせる』

 

グランドジオウとなったそらが、一歩前へ出る。

 

黄金の装甲が、ニューヨークを照らすように輝いた。

 

「みんな」

 

静かに。

 

しかし、力強く告げる。

 

「行こう」

 

次の瞬間。

 

平成仮面ライダーたちは、一斉に地面を蹴った。

 

巨大なアナザー1号を倒すために。

 

歪められた始まりの歴史を、正しい姿へ戻すために。

 

ニューヨーク決戦。

 

その最後の戦いが、始まった。

 

 

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