転生したら聖園ミカだったけど、どう考えてもここはキヴォトスではない。   作:Othuyeg

11 / 12
お待たせしました。
どうでもいいですが今日は作者の誕生日です。


記録11 日本支部決戦①

 ──ゴッシャァァーン!!

 

 正面玄関を破壊しながら、村上さんのRX-7カブリオレがクロノス日本支部に突入する。道中も俺が渡した銃を巧みに使って襲い来る獣化兵(ゾアノイド)を蹴散らしていたし、戦闘能力は想定通りかそれ以上のものになっているようだ。まさかその銃口が渡した俺本人に向けられるとは思わなかったが。

 

 「うわぁっ!?」

 「手荒ですまない、晶君。ここがクロノス日本支部だ。俺はいったん離れるが、健闘を祈る。『パテル』もな」

 「モウ! 私ハツイデ!?」

 

 俺の抗議を爽やかな笑みで受け流すと、村上さんは車を反転させ、幾人かの獣化兵(ゾアノイド)を引き受けて出ていった。思念波をギュオーのものに偽装して、獣化兵に自分を追わせたんだろう。

 

 「俺は1階から順に哲郎さんたちを探す。『パテル』、お前はどうする?」

 「フーン、ジャア私ハ屋上カラ行コウカナ。マタ後デネェー」

 

 俺はフワリと浮き上がると、日本支部の外に出て屋上を目指した。

 俺は自分のガバさを理解してるつもりなので、晶に同行はしない。主人公に味方する第3勢力っぽいムーブがしたいのもあるし、うっかり認識干渉のバリアが緩んで晶に今正体がバレたりしたら台無しだからな。

 ……などと考えていると。

 

 「アッ」

 「え?」

 

 ヘリコプターで避難中の職員に出くわしてしまった。気まずい……。

 

 「エット、ンー……ウン。死ンデクレル?」

 「やっぱりそうなるよなぁ! 逃げろー!!」

 

 いや、流石にこの距離でそれは無理だって……。ごめん、死んでくれ。必死に距離をとるヘリコプターのローターを、俺は重力指弾(グラビティ・ブレット)風の低出力プレッシャーカノンで破壊した。当然、浮力を失ったヘリは墜落する。カプコン製かな? んなわけないか。

 

 「うわーっ!!?」

 「……」

 

 ……気まずい。

 

 

 


 

 

 

 「くっ、瑞紀! 哲郎さん! どこだ、どこにいる……!?」

 

 駆ける、駆ける。ガイバーに殖装した俺は、日本支部をくまなく駆け回って二人の姿を探し回る。しかし、二人の姿は一向に見つからなかった。

 階段を駆け上り、5階に辿り着いたとき、一人の恰幅の良い人影が見えた。まさか哲郎さんか、とも一瞬思ったが、それは決して哲郎さんなんかではなかった。

 

 「困っているようだね、深町晶君……」

 「あなたは……!? ちょうどいい、何者かは知らないが、あなたに聞こう。2人はどこにいる?」

 

 決して薄くはないが特筆するほど豊かでもない白髪に、かつてはしっかり整えられていただろう(ひげ)、そして何より、昏い執念にギラついた瞳。どこを取っても、哲郎さんとは似つかない老齢の男性。

 恐らくこの日本支部の重要なポスト……少なくとも、かつてはそうだっただろう男に、俺は語気を強めに尋ねた。

 

 「くっくっく……私が知るものか。私は今や、この日本支部の支部長ではない……」

 「支部長? どういうことだ……?」

 

 どうやら彼は元支部長、と言うことのようだが。自嘲するように笑う彼の様子に俺は異様なものを感じ取り、思わず後退(あとずさ)った。

 

 「私はね、度重なる失態、即ち君たちの大活躍のために支部長の座を降ろされ……対ガイバー専用試作獣化兵『エンザイム』に、調整されてしまったのだよ!!」

 「っ!」

 

 その言葉と共に、男の身体が盛り上がり、でっぷりとした醜悪な獣化兵に変貌した。鋭い鉤爪と、およそ食べ物を口にするには適さないだろう細長い牙。クロノスと言う組織は、不要になった人をこんなにもふざけた怪物に変えてしまうのか? 俺は拳を握り締め、小さな憐憫と義憤を覚えた。

 

 「ふふふ、『エンザイム』は私の他にも存在する……。無理な調整で、もはや余命幾ばくもない者たちだが……貴様を殺せればそれでいいという者たちでもある。

 さあ行くぞ、エンザイム軍団! ガイバーⅠの頭部制御球(コントロールメタル)を抉り出せ!」

 「くそっ……!!」

 

 男の言葉と共に、同じような姿をした獣化兵たちが現れ、俺に向かって一斉に襲いかかってくる。

 多勢に無勢だが、ここを突破するにはやるしかない。俺は高周波ソードを伸長し、『エンザイム』というらしい彼らと対峙した。

 

 

 


 

 

 

 晶がエンザイム軍団との戦闘を開始した頃。日本支部司令室付近の個室に監禁されている瑞紀は、目の前で同じく監禁されている哲郎に向けて、(おもむろ)に口を開いた。

 

 「ねえ、兄貴。どういうことなのか、説明してもらえるよね。何か知ってるんでしょ」

 「そうしたいのは山々だが、俺としても状況がよく分かってなくてな……」

 

 哲郎は頭を掻こうとして、自分の腕が後ろ手に縛られていることを思い出した。

 

 「分かってることだけでいいからとにかく説明してよ。私は何にも分かってないんだよ」

 「うーん、それもそうだなぁ……」

 

 妹の見るからに不満気な様子に、哲郎はどこから話したものかと内容を整理し始める。

 

 「えっとだな……まず推測になるが、ここはクロノスっていう秘密結社の基地だ。それもかなり大規模な……」

 「ちょっと待ってよ。秘密結社? クロノス? この状況でふざけてるの!? 私たち拉致されてるんだよ!?」

 

 怒りを乗せた声をぶつける瑞紀に、哲郎はたじろぐ。だが、自分は間違ったことは言っていないはずと思い直して、毅然と言い返した。

 

 「ふざけてなんかない。事実として秘密結社クロノスは存在してるし、俺たちを拉致したのはほぼ間違いなくそのクロノスなんだ。よく分からんだろうが現実問題そうなんだから諦めてくれ」

 「う……。分かったよ、信じる。それで、そのクロノスって秘密結社は何をしてるの?」

 

 瑞紀の問いに、哲郎は少し迷う。何せ、彼もクロノスが何をしている組織なのかをほとんど理解していないからだ。

 

 「俺もよく分からないんだが……生物兵器を作ってるらしい。ここに連れてこられた時に見た怪物がいただろ? あれは獣化兵、ゾアノイドと言って、クロノスが作ってる改造人間らしい」

 「改造人間って……なにそれ。いよいよ『仮面ライダー』ってやつみたいな世界観だね※1

 「世界観言うな。受け入れ難いかもしれんが現実だぞ」

 「分かってるよ」

 

 そんな会話をして手持ち無沙汰な時間を潰していると、部屋の外がにわかに騒がしくなる。わあわあ、ギャー、ドゴシャ、などと、何か戦闘をしているような音に気を惹かれた哲郎は、そっと立ち上がってドアに近づく。

 ドアに耳をつけて音を聞こうとした時、その向こうから声がした。

 

 「危ないぞ、瀬川哲郎。離れていたまえ」

 「えっ?」

 

 何か不穏なものを感じた哲郎は、声の言う通り急いでドアから離れる。すると。

 

 ──バギャッッ!!

 

 ドアノブが弾け飛び、勢いよくドアが開く。唐突な展開についていけなかった2人は、瞬時吹き飛んだドアノブに視線を向けるが、すぐに頭を整理してドアに視線を戻す。

 ……そこに立っていたのは。

 

 「ガイバー……!?」

 「その通り。私はガイバーⅢ、と名乗っている者だ。君たちを助けに来た」

 

 思わぬ救援に、目を見開いて呆然としてしまう哲郎。それを見て「今は詳しい説明をしている暇はない」と移動を急かすガイバーⅢ。

 

 「あ、あぁ。そうだな。早く逃げよう」

 

 哲郎はクロノスとの戦い(に巻き込まれたこと)で鍛えられた胆力で、冷静さを取り戻してガイバーⅢに続く。

 

 「えっ、ちょっ、ちょっと! 待ってよ! どういうこと!? ガイバーって何よ! 説明して兄貴!」

 「すまん、後にしてくれ! とにかく逃げるぞ!」

 

 約1名、状況を呑み込めず置いてけぼりを食らっているが……足は動いているので、まあ些事だろう。

 ともあれこうして、瑞紀と哲郎はクロノス日本支部脱出の手掛かりを得たのだった。

※1
初代仮面ライダーの放送は1971年4月3日に開始。この時期の最新のTVシリーズは1988年10月23日からの「仮面ライダーBLACK RX」で、1992年にはBlu-Ray・DVDで「真・仮面ライダー 序章(プロローグ)」が配信されている。本作では制圧戦の時期を事実上1992年であるとしているため、その後の映画「仮面ライダーZO」や「仮面ライダーJ」などに続く後発シリーズは上映・放送されていないものと思われる。




ガイバーⅢがパーティに加入しないお助けキャラみたいになってる。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。