✨ 『純白の仮面(ペルソナ)は剥がれない』 ✨―― Sodashi(JPN) 全記録 ―― 作:Riho
世界を跪かせる「純白の女王」こと、ソダシですわ。
私の記念すべき降臨(誕生)の瞬間から、その偉大なる歩みを全25話にわたる大河ドラマとして皆様にお見せいたします。
どうぞ、ハンカチを用意して、私の美しさと自意識に酔いしれなさいな!おーほほほ!
【第1話】純白の降臨、計算された産声
❄️―― 2018.3.8 安平町・ノーザンファーム ――❄️
北海道、安平町。
まだ春の訪れを拒むような、刺すような冷気が漂う3月8日の早朝。
ノーザンファームのトレセン分娩室で、私はこの世に「降臨」しました。❄️ ️
暗い産道から外の世界へ引きずり出された瞬間、私の全身を包んだのは祝福の拍手……ではありませんでした。そこに流れたのは、凍りついたような**「戦慄」に近い沈黙**です。
「……白い。白すぎるぞ、この子」
誰かが、うわ言のようにそう呟きました。
産着に包まれた私の肌や髪は、電灯の光を反射して、まるでおとぎ話の精霊のように発光していたのです。
(あら、そんなに驚かなくてもよろしいのに。……さては皆様、私のあまりの眩しさに目が眩んでしまいましたのね?) ✨
私は、重力に逆らって震える手足を踏ん張りました。
生まれたての赤子が抱くはずの「恐怖」など、微塵もありません。
ただ、自分が置かれた「舞台(ステージ)」の感触を確かめたかったのです。
おぼつかない足取りで立ち上がり、視界を安定させた時、私は隣で心配そうに顔を寄せてくる「母」の姿を認めました。
母、ブチコ。 Zebara柄……いえ、鹿毛の地に、まるでインクをぶちまけたような激しい斑点模様。
世間では「個性的で可愛い」と持て囃されているようですが、今の私の目には、その姿はあまりにも……。
(……お母様。失礼ながら申し上げますが、そのお姿……少しばかり、お掃除が必要ではなくて? 私のこの、一点の曇りもないスノーホワイト。これこそが「本来あるべき姿」だと、その身を以てお教えしたくなりますわ。おーほほほ!)
周囲のスタッフたちは、私の異質さに「この白さでは、他の子たちの中で浮いてしまうのではないか」と、本気で心配そうな顔をしていました。
けれど、私はか弱い産声を上げる代わりに、お淑やかに、そして優雅に首を傾げてみせたのです。
(「白すぎて浮いている」? ふふ、見当違いも甚だしいですわ。世界がまだ、私のこの美しさに追いつけていないだけ。主役が中央に立って、背景がボケるのは当然の理(ことわり)ですもの) ✨
スタッフの一人が、震える手で私の前髪に触れました。
その時、私は「完璧なヒロイン」としての第一歩を、計算高く踏み出すことを決意したのです。
震える足で、慎重に一歩。
泥や汚物に足を取られぬよう、優雅に。
お母様の胸元に甘えるフリをして、そっと身を寄せる。
「見て。この子、もう笑っているみたいだ。なんて賢い目をしてるんだ……」
スタッフの感嘆の声が、静かな部屋に響き渡ります。
(ええ、そうですわよ。今の角度、今の潤んだ瞳。しっかり記憶に焼き付けておきなさいな。これが、これから世界を跪かせる「純白の女王」の、記念すべき最初の微笑みですもの)
安平町の雪解け水に映った私の姿は、まだひょろりとして弱々しく、頼りないものでした。
けれど、その蒼い瞳の奥には、誰にも、そして運命にさえも負けない**「白き野心」**が、確かに灯っていたのです。
「純粋(ソダシ)、輝き(ソダシ)――。ああ、この名こそが私のために用意された唯一の正解ですわ」
私は、まだ満足に声も出せない喉の奥で、優雅に勝利を確信したのでした。
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