​✨ 『純白の仮面(ペルソナ)は剥がれない』 ✨​―― Sodashi(JPN) 全記録 ――   作:Riho

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いつもご愛読ありがとうございます!
第11話は、2021年の秋華賞(G1)です ✨
札幌記念で世界の女王を破り、二冠達成へ向けて圧倒的1番人気で挑む阪神2000m。
「今日、歴史の教科書の1ページが更新されますの」
自信に満ち溢れたソダシを待ち受けていたのは、ゲート内での衝撃的なアクシデントでした……。
激痛と口の中の血の味を隠し、気高く走り抜いた白き女王の「誇り高い闘い」をぜひご覧ください。


✨ 『純白の仮面(ペルソナ)は剥がれない』 ✨―― Sodashi(JPN) 全記録 ―― 第11話

 【第11話】白銀の矜持、紅く染まった「秋の冠」  

 ―― 2021.10.17 阪神 11R 秋華賞 ―― 

 

               

 

2021年10月17日。阪神レース場に集まった観客の熱気は、私の「完全復活」と「二冠達成」を疑わない、確信に満ちた熱を帯びていました。✨

 

単勝1.9倍。一番人気の重圧? くすっ。そんなもの、今の私には最高のダイヤモンド・アクセサリーでしかありません。

 

パドックを歩く私の純白の姿に、秋の柔らかな光が反射し、まるですべてを祝福しているかのよう。

 

(……ふふ、皆様。今日、この場所で『純白の髪を持つウマ娘による三冠最終章制覇』という、歴史の教科書の1ページが更新されますの。一文字たりとも見逃さないよう、その目に焼き付けなさいな)   

 

ところが……運命の女神は、時として残酷で、悪趣味な「演出」を仕掛けるものですわ。

 

  【激痛:沈黙の戦場(ゲート)にて】

 

運命の15時40分。

 

いつものように「映えない」ゲートに苛立ち、一刻も早く、光輝くターフへと飛び出そうとした、その刹那でした。

 

「――ガツッッ!!」

 

(……っ!? な、何ですの、今の……!? 歯、私の前歯が……!)    

 

ゲートの鉄柵に、顔面を強打しました。脳を揺らすような衝撃。そして、じわりと口の中に広がる、嫌な、重苦しい鉄の味。

 

今浪さんも、鞍上の駿人さんも、まだ異変に気づいていません。

 

(……おだまりなさい、私。ここで痛いなんて顔をしたり、取り乱したりしては、女王失格ですわ。……血の味? ふふ、これは私を飾る『紅いルージュ』だと思えばいいだけのこと。……さあ、開けなさい!)

 

扉が開くと同時に、私は激痛など1ミリも感じさせていないかのような、気高く鮮やかなスタートを切りました。

 

  仁川の直線、遠のく桃色の旗

 

道中、私は2番手を追走します。

 

いつもなら、心地よい秋風を感じて加速するはずなのに、今日は一歩踏み出すごとに、口の中の傷がズキズキと熱く脈打ちます。

 

ハロンタイムは12.8 – 11.6 – 12.2……。

 

内回りのタイトなコーナーを曲がる遠心力が、今の私にはあまりにも過酷で、意識を遠のかせます。

 

4コーナー。後方から迫るライバルたちの、地鳴りのような足音。

 

(……負けませんわ。私は……私はソダシなんですのよ! 誰が、誰がこんな端くれの痛み如きに、跪くものですか……!)    

 

ですが、直線。

 

私の執念とは裏腹に、身体は残酷な真実を突きつけます。

 

息を深く吸い込むたびに、空気が傷口に染み、集中力が砂のように零れ落ちていく。

 

外からアカイトリノムスメさんが、ファインルージュさんが、私のプライドを切り裂くように抜き去っていきます。

 

「ソダシ、伸びない! ソダシ、どうした!? 苦しいのか!?」

 

実規の声。スタンドの、悲鳴に近い絶望のどよめき。

 

(……見ないで。そんな、憐れみと不信の目で見ないでくださいまし……! 私はまだ、走って……私は、まだ美しく……!)  ⚡️

 

結果は、10着。

 

電光掲示板に、私の番号が灯ることはありませんでした。

 

  誇り高き「流血」の独白

 

引き上げてくる私を、今浪さんが真っ青な顔で迎えてくれました。

 

「ソダシ! お前、口から血が……! 歯が、えらいことになっとるやないか!」

 

ようやく、隠し通していた痛みが、彼の震える声によって白日の下にさらされました。  

 

(……あら、今浪さん。お騒がせですわ。少しだけ、ゲートが私に嫉妬して噛みついてきただけですわ。……それより、今浪さん、しっかり御覧なさい。10着でも、最後まで私の足取りは乱れていなくて? 私は最後まで……女王でありましたかしら?)   

 

その夜、診断されたのは「前歯のぐらつき(動揮)」。

 

全速力で走るウマ娘にとっては耐え難い苦痛。

 

それでも私は、レース中に一度も弱音を吐くことも、走るのをやめることも、美しくない涙を流すこともありませんでした。

 

SNSでは『ソダシ、歯をぶつけるアクシデント』『10着大敗も、痛みに耐えた姿に涙』という言葉が溢れかえります。

 

「……同情なんて、およしなさい。私は、痛みに負けたのではありませんわ。ただ、今日の阪神の神様が、私をより劇的に描くために意地悪をした。それだけのこと。……さあ今浪さん、お薬の後は、最高級の、口当たりの良いゼリーを用意してくださる? ……私の美学は、この程度の衝撃では、1ミリも揺るぎませんから」    

 

女王は、血の混じった唾液を飲み込み、再び前を向きます。

 

この屈辱も、痛みも。すべては次なる「白き衝撃」を、より鮮やかに塗り上げるための背景に過ぎないのです。




ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました!つ♡
ゲートで歯をぶつけてしまうアクシデントがあり、前歯のぐらつき(動揺)という激痛を抱えながらも、弱音ひとつ吐かずに最後まで駆け抜けた秋華賞……!涙
10着という悔しい大敗の結果よりも、最後まで「女王としての美学」を絶対に崩さなかったソダシの強いプライドに胸が熱くなりますね……! 痛々しい姿を心配する今浪さんの優しさも切ないシーンでした…… ✨
次回は【第12話】!
秋華賞の傷も癒えぬソダシに突きつけられたのは、あまりにも衝撃的な「ダート転向」の通達――!?衝撃 
「泥? 砂? 私を誰だと……!」と馬房で大荒れする完璧お嬢様の葛藤とプライドの行方は……!? 泥✨
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