​✨ 『純白の仮面(ペルソナ)は剥がれない』 ✨​―― Sodashi(JPN) 全記録 ――   作:Riho

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いつもご愛読ありがとうございます!
第8話は、2021年の優駿牝馬(オークス)です 
無敗の桜花賞馬として、圧倒的1番人気を背負って挑む東京2400m。
「最高の照明」を浴びて自信満々に府中のターフに降り立ったソダシでしたが、彼女を待ち受けていたのは果てしなく続く直線の試練でした……!
完璧なお嬢様が見せる、初めての敗北と「プライドの葛藤」をぜひご覧ください。


✨ 『純白の仮面(ペルソナ)は剥がれない』 ✨―― Sodashi(JPN) 全記録 ―― 第8話

 【第8話】樫の迷宮、女王が知った「渇き」の味  

 ―― 2021.5.23 東京 11R 優駿牝馬(オークス) ―― 

 

               

 

2021年5月23日。初夏の陽光が、残酷なほど眩しく東京レース場を照らしていました。✨ 

 

パドックに足を踏み入れた瞬間、地鳴りのような「静かな熱狂」が私を包みます。

 

制限下とはいえ、詰めかけた観客の皆様の視線……。それはまるで、私という一点に集まる無数のレーザーポインターのよう。

 

(……ふふ、よろしい。その羨望の眼差し、すべて私の白い肌を輝かせるための『照明』として受け取って差し上げますわ。皆様、歴史の証人になる準備はできていまして?)   

 

単勝1.9倍。圧倒的な支持。

 

「ソダシならやってくれる」「純白の二冠馬が見たい」

 

そんな身勝手な期待の重さを、私は心地よいドレスの重み程度にしか感じていませんでした。

 

  【絶望:暗室での不吉な湿り気】

 

ゲート裏。今浪さんが私の前髪を整え、何度も何度も頷いています。

 

ですが、今日の私は、いつも以上に「映えない」この監獄に苛立っていました。

 

(……ちょっと。今日のゲート、なんだかいつもより湿っぽくて不快ですわ! 今浪さん、しっかり仰ぎなさいな。隼人さん、早くここから出して! 私の白い肌が、汗でくすんでしまいますわ! 早く、早く!!)   

 

扉が開いた瞬間、私は怒りを糧に、いつものように先頭集団へと躍り出ました。

 

  終わらない直線、届かない樫の冠

 

1コーナー、2コーナー。ハロンタイムは12.5 – 11.1 – 11.8……。

 

私は先行集団のインコース、獲物を狙う絶好位をキープします。

 

スタンドからは、私の白い姿が一完歩ごとに進むたび、ため息のような歓声が漏れ聞こえてきます。

 

(そうよ、これでいい。最後はいつものように、突き放して差し上げますわ。……あら、でも……)

 

4コーナーを回り、府中の広大な直線。

 

視界が開けた瞬間、私はある異変に気づきました。

 

走っても、走っても、ゴールが近づかないのです。

 

(……何ですの? この道、長すぎませんこと? どこまで行けば終わるのです? お肌が……お肌が乾燥して、ヒリヒリいたしますわ!)    

 

残り400メートル。

 

いつもなら火を噴くはずの私の加速が、まるで見えない泥に足を取られたかのように重く、鉛のように沈みます。

 

その時、スタンドの空気が一変しました。

 

「……えっ?」「ソダシ、伸びない!?」「嘘だろ!?」

 

悲鳴にも似た、どよめき。

 

私を讃えていたはずの視線が、一瞬にして「不信」と「落胆」の刃に変わります。

 

外から、かつて札幌で退けたはずのユーバーレーベンさんが、信じられない力強さで私を抜き去っていきます。

 

続いてアカイトリノムスメさん、さらには見たこともない伏兵たちまで……。

 

(……っ! 嘘でしょ!? 足が……動きませんの!? 喉が焼けるようですわ。空気が、空気が足りませんの! 私を、見ないで……そんな目で見ないでくださいまし!!)  ⚡️

 

結果、8着。

 

無敗の神話が、府中の硬い芝の上に、音を立てて崩れ落ちた瞬間でした。

 

  屈辱の独白:女王の「砂を噛む夜」

 

引き上げてくる私を、今浪さんが無言で迎えてくれました。

 

「お疲れさん、ソダシ。よう頑張ったな……」

 

彼の顔は、悔しさよりも、ただひたすらに私への労りに満ちていて……。

 

それが、負けたこと以上に、私のプライドを切り刻みます。  

 

(……今浪さん、お水! 早くお水を! 2400メートルなんて、誰が考えたのです? 悪趣味にも程がありますわ。……ええ、負けましたわよ。完敗ですわ。でもこれは、この『道』が私に嫉妬して、わざとゴールを遠ざけただけのこと。私の美しさが、距離に追いつかなかっただけですからね!)   

 

その夜、栗東に戻った私は、SNSの画面を一度も開きませんでした。

 

溢れかえる憐れみ、そして「やはり距離か」という冷静な分析。

 

女王という座から引きずり下ろそうとする、下界の喧騒。

 

「……おだまりなさいな。女王は一度転んだくらいで、その地位を譲ったりはしませんわ。……見ていなさい。次に私が立つ舞台では、この屈辱を100倍にして、皆様に『絶望』としてお返しして差し上げますから」    




ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
距離の壁に泣き、8着という惨敗を喫してしまったオークス。
「お肌が乾燥しますわ!」と強がりつつも、今浪さんの優しさに胸を痛め、静かに悔しさを噛み締めるソダシの姿を描いてみました。
無敗神話はここで一度途切れてしまいましたが、白毛の女王の物語はまだまだここからです 
次回からは【第2期:後半】!
夏の避暑地・札幌でのリフレッシュ(裏での猛特訓!?)を経て、あの「世界の女王」に挑む【第9話・第10話:札幌記念編】へ突入します!
「面白かった!」「ソダシの意地をもっと見たい!」と思っていただけたら、ぜひページ下の評価(ポイント)や感想、ブックマークをいただけますと大変励みになります! ✨
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