遺言ミスった。
仲間を泣かせる粋な言葉とか。奮い立たせるキザなセリフも考えてたのに。
ついうっかり、男としての本心が出て、「おっぱい吸いてえ」とだけ言って死んじゃった。マジかよ。
言った瞬間、俺の事見てギャンギャン泣いてた勇者ちゃんとか聖女ちゃん、戦士のルーカスとか魔術師のモチヅキの顔が【え?】ってなってたのがはっきり見えた。
その後困惑しながらも聖女ちゃんが服脱ごうとしててまあ、嬉しかったけど。『まさか?!』とか思っちゃったけど。
結局は吸う前に死んじまった。ただ恥を見せた挙句、おっぱいも吸えずに終わるの酷いって。
あ~あ、途中までは良かったんだけどなぁ。正面に魔王、後方は魔物の大群に挟まれて。誰か魔物の対処をしなきゃ負ける!!って状況になり。
名乗り出て、しっかり致命傷喰らいながらも時間稼ぎしきったとこまでは良かった。ここまでは我ながら、すんげえ格好良かったと思う。
それがなぁ、遺言が性欲ド真ん中って....凹むわ。
頼むぞ、みんな。俺の石碑にはかっこいい嘘の名言とか刻んどいておくれよ。『聖女のおっぱいを求めながら死んだ男』とかド直球な事書かないでくれよ。
『....独り言が長いな、貴様』
さーせん。神様。
いやぁ、意識が沈んだと思ったら急にここだったからさぁ。ついつい言いたいこと、全部言っちゃった。
『貴様の事を語る石碑には、しっかりと嘘が書かれておる。安心せい』
それはそれでちょっと悲しい気も。まあ、いいや。
で、神様。わざわざ俺みたいな小悪党呼び出して、何の用?まさか天国とか行ける感じ?立ちションとか結構したんだけど俺。
『残念ながら、天国には行かせられん』
マジかよぉ、地獄って隠れられるスポットあるかな。穴場とか教えてくれませんか。
『地獄でもない』
じゃあどこやねん。
まさかここでずっと監禁?神様って結構ヤンデレだったりする?美少女だから喜んで受け入れるけど。
『無制限に失礼だな、お前』
おっと呼び方が変わった。ジョークジョーク。世界救った...人達の手伝いしたんだから許してちょ。
『....はあ。転生だよ、転生。貴様には、条件を選んだ上で次の生を歩ませてやろう』
おお。良いのか悪いのか全然分からない。唐突すぎてちょっと想像がつきにくいな。
『人間の基準で言えば、悪いということは絶対に無かろう。王子でも豪商の息子でも。偉大な戦士や魔術師の元でも。どんな生まれでも選ばせてやる。
それだけではないぞ。魔術への適正。知能。その他あらゆる才能を、多少制限は付くが---』
うーん。
全部普通、あと孤児でお願いします。
『は?』
ほら、神様から明確に貰った才能とか、活躍しても微妙な心境になっておもんなさそうなんで。
生まれも良かったら、そりゃ嬉しいけど...中身がおっさんの子供育てる親が可哀想じゃないですか。
ってことで。全部普通、孤児で。
『待て待て待てもうちょっと考えろ?選び放題だぞ?王族に生まれて、妾を抱えて貴様の大好きな胸に囲まれた生活を堪能することだって出来るんだぞ?豪商の息子として遊び放題だぞ?貴様の使えなかった魔術を思いのままに使うことも、力を振るって信奉される事だって...』
結構俗っすね神様。
『何年人類を見守ってきたと思ってるんだ、私が。知りすぎとるわ人の欲なぞ。特に勇者とその仲間は常に監視しておるし貴様の欲望もモロバレだ』
見られっぱなし....ちょっと興奮するなぁ。
『やっぱ地獄行きでいいか?』
はは。ご勘弁を。
というか、子供の頃から大人の精神ってだけで大分ズルだし行けますって。周りのガキへゴリゴリに正論ぶつけて泣かせるとこ見てください。
『....そうか』
『だが、それだと貴様に与える予定だった力が余るぞ。行き先を決める必要がある』
あー、じゃあ....もし仲間が転生する事があったら振り分けといてください。
しないなら、適当な良い人とかで。
もういいすか?
『....分かった』
『....偉大なるアナタの旅路に、どうか幸運があらんことを』
あざっす。
神様
やさしい。人類のことを手のかかる子供だと思っている。
主人公
良くも悪くも前向き。基本的にアホ。