「ああ、困った困った。
まさか、魔王を討ち滅ぼした勇者達がこんな結末で終わってしまうとは。
残念で残念で、仕方がない。」
誰も認知できず、そして入れもしない部屋がある。
そんな部屋に、恐怖を感じるほどに美しい、ソファに座る一人の少女と。
それに負けず劣らず美しい、怯えた顔の黒い髪をした女が居た。
少女は、まるで、独り言であるかのように呟きを続ける。
「勇者は依存の末に餓え死に、
聖女が執着を狂わせ禁術の反動で散り。
君に至っては、初恋を捨てられず自死にも近い手段を選んだ。
唯一生きた戦士も、無駄な仁義に囚われ最後には空っぽ、殺すだけの木偶の坊。
斥候に至っては、他の四人の傷の原因と来た」
「なんとも、功績は立派なのに。あまりにも結末が罪深い。こんな連中を、天国に行かせる訳には行くまい。
我が教義では、自死は罪。禁術も罪。過度な殺生も罪である。そして他者の柱となったにも関わらず、勝手に消える愚行も罪にしよう。
五体満足にも関わらず飯を断つような行為も自死と変わらぬ。
魔王討伐の功など、私の教義に反した罪人には無いも同然。嗚呼、勿体ない。」
少女の口調は愉快だった。
だが、表情には何も浮かんでいない。
あまりの言い草に、女は畏れを抱きながらも、怒りと憎悪を隠さない顔をした。
「だが人々を救ったことは事実。地獄行きという訳にも、いくまいなぁ」
「困った、困った、大いに困った。天国にも地獄にも行けぬ奴等など、あんまりにも面倒だ」
「この私の手を煩わせる魂など、勝手に何処かに行くが良かろう」
「私の慈悲だ。せめてもの弁明だけ許して。適当な所へ捨ててやる」
少女は初めて、目の前の女と目を合わせた。
じっと、ただ見つめる。
ちょいちょい、と手を招いた。
女がおそるおそる、ゆっくり近寄ると、物理的に有りえない筈の挙動で一気に引き寄せられた。
顔と顔との距離は20cmにも満たず、必然、体格差によってまるで女が少女を押し倒したかのような姿勢になってしまう。
少女が女の顔に手を伸ばした。
「なあ、人間というのは何時だってバカな死に方をするなぁ」
「....」
「全員が全員、というわけではないが。バカばかりだ。お前も、お前の仲間も」
「........そうかも、しれません」
「私に似たのだな、きっと」
「....そうかもしれません」
伸ばした手で。ただ、横顔を撫でていた。高価な壊れ物でも扱うかのように、優しく、柔らかに。
「私からすれば瞬きをする間に、君達は死んでいく」
「....」
「瞬きの後も続く頑張りをした事だけは、認めてやる」
「......はい」
ぽつぽつと。褒め言葉なのか。貶しているのか。分からない言葉が、体感にして数十分は投げられた。
いつの間にか女は肩から力を抜いて、体を少女に預けきっている。
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「一つだけ、聞いてやる」
「なんでしょうか」
「胸は大きい方が良いか?」
ぶふっ、と女が吹き出した。少女はニヤニヤと、悪戯が成功した子供のような笑みを浮かべている。
顔を赤くして、しばらく堪え。はっきりと女は答える。
「......顔が埋まるくらい、大きくしてください」
「ふふん。分かった」
神
親馬鹿
ちょっと短いので今日(日曜)の夜も更新します。