ギャグ要員は転生するようです。   作:がんぎまり

14 / 23
とある孤児院。

 「ねえ、しすたー。まえいってたすきなひとって、どんなひと?」

 「しすたー、すきなひといるの?!おしえてよ!!」

 「かっこいいひと?」

 

 うーん。かっこよかったかは、微妙かなぁ。顔はちょっと、間抜けだったし。

 

 「そうなのぉ?しすたーはきれいなのに、すきなひとは、かっこよくないの?」

 「いつもきてるおうじさまじゃないの?」

 

 そうだねぇ、ぜんぜん、かっこよくない人なの。ずーっと、変な事ばっかりしてる人。

 

 「じゃあ、しすたーは、へんなひとがすき?」

 「えー、ムークちゃんとか?フォリスくんとか?」

 

 変な人だから、好きなわけじゃないよ。アタシはその人が好きで、その人が偶然、変な人だったってだけ。

 

 「.....むずかしい。わかんない」

 「どういうことー」

 

 んふふ。そうだねえ、なんて言うのかなぁ。難しいかも。

 みんなは、アタシのこと、好き?

 

 「だいすき!!」

 「すきだよー!」

 「おりょうり、おいしいし!」

 「それにね、あのね」

 ......

 

 うん、いっぱいありがとう。本当にみんな集まってきちゃった。

 じゃあさ、もしもアタシが昔から....そうだなあ、ウーロおじさんみたいに怖い顔をしてても、皆は好きなまま?

 

 「うん!」

 「だって、しすたーはやさしいからすきなんだもん」

 「このまえのくっきーも、またたべたいし!!!」

 「こわいひと、たおしてくれた」

 

 ね、そういうこと。

 『好き』ってね、ちょっとずつなんだよ。

 辛い時に隣にいてくれて、嫌な事を背負ってくれて。楽しい時に、笑顔で一緒に楽しんでくれて。

 いろんな、色んな事があったの。それで。

 気付いたら、好きになるの。

 

 「.....やっぱり、むずかしい?」

 「わかんないよー」

 「しすたー、おなかいたい、なおしてぇ」

 

 きっと皆がおっきくなったら、分かるようになるよ。

 今、治すわ。

 

 

 

 

 --------------------------------------------

 

 

 

 

 .................

 

 「しすたぁー」

 

 ...あら、フォリス。どうしたの?

 

 「ねれないの」

 

 まあ、大変ね。

 

 「....しすたーのすきなひと、きになって」

 

 うーん、私のせいかしら。ごめんね?

 

 「ねえ、しすたー。ほんとに、あの、かっこいいおにいちゃんじゃないの?」

 

 殿下の事かしら?あの方はちょっと、違うかなぁ。

 

 「けど、おにいちゃんはすきっていってたよ」

 

 .....あら、そう。

 けど、私は好きじゃないわ。

 

 「おにいちゃん、かっこよくて、やさしいよ?」

 

 そうね。

 

 「おかしくれるし、えらいひとだし、しすたーのこと、すきだよ?」

 

 そうねぇ。

 

 「ずっときてるよ、おにいちゃん」

 

 もう、五年は来てるのかしら。

 

 「それでも、すきじゃないの?」

 

 うん。嫌いじゃないわ、けど、好きな人は別よ。

 

 「どこにいるの、すきなひと」

 

 わからないわ。けど、待ってたらきっと来るのよ、あの人は。

 

 「.....しすたー、へんだよ」

 

 そうね、私もきっと、変よ。

 

 「しすたー、ずっとがんばってる。ずっと。」

 

 あら、急にどうしたの。ありがとうね。

 

 「おにいちゃんのおよめさんになったら....もうがんばらなくて、いいよ?」

 

 .......フォリスはずっと、賢くて、優しいのね。

 

 「えほんでよんだの。はくばのおうじさまが、がんばってるひとをむかえにくるって。ふたりはしあわせにくらすって」

 

 私は此処を離れないわ。

 

 「....ぼくたちが、いるから?」

 

 半分は、そうよ。

 けどね、それは悪い意味じゃないのよ。

 貴方達が大事だから、私が此処にいたいの。

 

 「....うん」

 

 それにね。

 私が好きなのは、白馬の王子様じゃないのよ。

 泥まみれで、何処にでも行くおバカさんが好きなの。

 

 「じゃあ、なんで、おそとにでないの」

 

 そうねぇ。

 ね、フォリス。空を飛ぶ鳥を、捕まえられると思う?

 

 「うーん、うーん.....ぼくには、むり.....」

 

 私にだって、無理よ。けどね、鳥はいつか巣に帰るわ。

 だから私は、此処で待つのよ。

 鳥を捕まえるのに必要なのは、網じゃあないのよ。居心地の良い巣なの。

 子供が沢山いて、笑ってて、そこに私がいれば、彼は来るわ。

 いつか、絶対にね。

 これが、もう半分。

 

 「じゃあ、ぼく、べっどきれいにするよ。おそうじ、も、がん....ばう.....」

 

 ふふ。とびっきり立派なのを作ってね?

 

 

 

 おやすみ、フォリス。

 

 

 「...........」




シスター
手の届く範囲を知った。


フォリス
今日からおそうじ当番
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。