ギャグ要員は転生するようです。   作:がんぎまり

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出会い

 見つからない。

 何処を探しても、見つからない。

 正直、舐めていた。同じ時代にさえいれば、あのおバカは目立つからどうとでもなる、と楽観していた。

 私は忘れていたのだ。人類の生活圏は、魔王によって狭まっていたという事実を。

 魔王が居なくなってから約二百五十年が経過した今。人類の生活圏は、異種族を含めて約23倍にもなっていた。

 嫌な形の因果応報が過ぎる。何だ?世界を救った結果好きな人と会えなくなるって。嫌がらせかな?

 

 様々な場所に入り込む身分のために魔術学園をさっさと卒業したのが、確か十三の時。

 それからもう五年が経ったが、一向に彼の手掛かりさえ掴めない。

 今日も収穫は、無し。

 溜息が出る。

 

 

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 見知らぬ街の中をぼんやりと歩いていると、腰のあたりが軽く叩かれた。

 すわ不審者か、と魔術を展開してしまったが、叩かれた方を見るとそこには心配そうな顔をした子供がいた。

 歳はおおよそ五歳、六歳程度に見える。中々に綺麗な顔立ちをしていた。服装はちょっと荒いが、洗濯自体はちゃんとしていそうだ。

 

 「....何か、僕に用かな?」

 「おねえちゃん、すごく、つかれたかお、してる」

 

 まあ、しているだろう。ここ最近は、多分ずっと。

 

 「お気遣いありがとう。けど大丈夫だよ。お姉さんはこれでも凄く強いからね」

 「....つよくても、つかれてたら、たいへんだ、よ?」

 「....そうかもね」

 

 ふと、少年の頭に手を伸ばす。

 撫でてみると、猫のような仕草で手のひらに頭をくしくしと擦り付けてくる。可愛いなぁ。

 

 「ぼくのいえ、きて。しすたー、やさしいよ」

 「....急ぎの用事があるんだ。遠慮しておくよ」

 「ようじがあるのに、ぼくのまえ、さんかいも、とおる?」

 「う」

 

 疲れている時に嘘をつくもんじゃないな。特に勘の良さそうな子の前で。

 痛い所を突かれた。そうか、そんなに周回していたのか。

 考え事をしている時の癖は、どうにも死んだ所で治らないらしい。

 

 「うそ、だめだよ」

 「そうだね」

 「ざんげ、しよ」

 「....じゃあ、お言葉に甘えて」

 

 長く同じ事をしていても、上手く出来ないものかな。

 ちょっとした息抜きという事で、行ってみてもいいだろう。

 少年に手を引かれるままに、僕は道を進んでいった。

 

 

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 えっ。

 

 「あら、久しぶりね」

 「うそぉん....」

 「しすたーと、おねえちゃん、しりあい?」

 

 髪色は、変わっていた。純白の銀から、少し青みがかった銀色に。

 けれど、そこに居たのは。確かに。

 

 「メルちゃん?!」

 「ふふふ、懐かしいわね、その呼び方も」

 

 いや、確かに、いるとは、知ってたけれども。

 こんな何の脈絡もなく、急に会うとは。

 

 「うん、大分長い知り合い、かな」

 「私の大事な親友よ、フォリス」

 「訂正。親友ですメルちゃん大好き」

 

 う、うぐぐ。あんまりにも急な再会と親友呼びは涙腺によくないぞ。

 

 「おねえちゃん、ないてる」

 「あら、泣き虫ねぇ」

 「逆にメルちゃんはなんでそんな落ち着いてるのぉ!」

 

 なんか、昔みたいだ。いや、前世の事なんて昔で当然なんだけど。

 最後の方は、ちょっと、怖かったから。僕達にだけ優しくて、他の人には少しだけトゲトゲしてた。

 今のメルちゃんは、最初の方のニコニコしてたメルちゃんだ。

 

 「色々あったのよ?私もね」

 「....ボクも、色々あったよ」

 

 見て分かるよ、お互いにね。

 

 

 

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 久々に会う二人、それも死線をくぐり抜けた仲間....兼、まあ分かりきった恋敵?ともなれば、夜が更けても話題が尽きることは無い。

 

 「へぇー、メルちゃんは待つんだ。じゃあ見つけたら持ってくるね」

 「ふふふ、頼みますよ、私は巣作りを続けるので。捕まえたら連絡します」

 

 巣....巣....?まあいいや。昔からちょっと不思議ちゃんだし、メルちゃん。一々考えてたらキリが無い。

 多分、普通の女の子だったら男の子を共有する前提は狂気だけど....まあ、しょうがないよね。

 ぼくたちは、最高の仲間で。好きな人が、あんまりにも、唯一だから。

 総合的に見たらどう足掻いてもあの男が悪いので。うん。責任は取らせるのだ。

 

 

 「ボクは商家だったかなぁ、貴族は面倒だし丁度良かった」

 「私は出家に手間取りました。少しズルも使う羽目に」

 

 

 「へぇ、あのフォリスって子魔法使えるんだ。教えようか?」

 「....モチヅキが教えると教会が灰になってしまいますよ」

 「失礼な、そんなもの残らないよ」

 

 

 

 

 弾んでいく会話が、急に、真面目な顔をしたメルちゃんに遮られた。

 

 「そうだ。ねえ、モチヅキ。言わなきゃいけない事があるのよ」

 

 「ん?なーにー?」

 

 

 「ありがとうね」

 

 

 少し。息が詰まった。急だ。

 

 

 「貴方のおかげでしょう?全部」

 「......そう、だね。分かるんだ」

 「勿論、分かるわ。頑張った事くらい、ね」

 

 彼女の気配は、前世から一切変わっていない。ということは、未だに彼女は----『聖女』なのだろう。ならば、気付くのか。仕込みにも。

 

 「そして、ごめんなさい」

 

 「......うん」

 

 「愚かな事をしたわ。セレスも、私もね。貴女は、前を向いたのに」

 「生きていれば、きっと少しは助けになれた」

  

 「....しょうがないよ。あいつが、悪い」

 「それと」

 「ぼくは謝られるより。褒められる方が好き」

 

 

 「昔から、いい子ですね。モチヅキは」

 

 「ふふ。そう、そっちのほうが、いいね」

 

 

 あの70年が、少し軽くなった気がした。




フォリス
使用可能魔術は
・【水球】
・【送風】
・【水滞】


・【魔導臨界圧殺砲】←NEW!
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