ギャグ要員は転生するようです。   作:がんぎまり

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懐かしく狂おしく。

 「疲れた....」

 

 マッサージ店?は成功した。そう、大成功。ちょっと成功しすぎなくらい。

 まさかと思うじゃん、この時代の人間がただの欠損も治せないくらい気術が劣化してるって。

 いやまあ、コスパは悪い技術だよ?前提として使いこなすには才能と頑丈な肉体が必要で。

 内臓に負担掛かるし。

 精神的にクソ辛いし。

 その割にメリットは病気と怪我に強くなるくらいで。魔術とか聖術に比べたら派手さは無いよ。

 けどねぇー、流石に大事な部分くらいは広まっててくれよ。俺がせっかく色々開拓して広めたのに。全然残ってないじゃん。

 聖術を閉じ込めた道具とかも広まって。平和になって、いい事なんだろうけど。ちょっと寂しいね。

 

 治って泣く人も、うずくまる人も、壊れたみたいに笑い始める人も。見るのは嫌いじゃないけど、朝の八時から今の二十二時に至るまでずーっと見てるとね、流石に疲れる。

 店は既にマスターの店の二階から、大通りに接した中々の立地に移転した。お偉いさんの娘を治療したら、是非ってプレゼントしてきたんだよね。流石に断れなかったよ。

 うーん、全身筋肉痛でバキバキ。まあちょっといきめば治るんだけど。便利だなー、やっぱ。

 けど心の疲れは残ったまんまだ。昔なら、余裕で耐えれたんだろうけど。ちょっと色々鈍ったかな、けど、悪くない鈍り方な気もする。

 床と壁掃除してー、ナドゥに餌やりしてー、飯食うにはマスターの店に行かなきゃ、か。ちょっとだけダルいな。寝ちゃおうかな。けど、今日はシチュー作って待ってるらしいんだよな。

 明日も予約は入ってる。病気の子供達は流石にサボれない。早く色々済ませて寝なきゃいけないんだけど。

 

 「いてててて」

 

 気術ってねぇ、心臓から出るよく分かんねえエネルギーで使うんだ。

 飯も食わずにずーっと働いてたせいで、結構、というかめっちゃ、痛い。

 これでも痛みには強い方なんだけどねー、ちょっと涙出ちゃうわ。

 心臓複製してブーストしたらちょいマシになるんだけど、胃に飯がない状況でやるとワンチャン死ぬ。ということで、耐え。

 

 「うぐ、いち、いて、て」

 

 いたいよー、めっちゃいたいよー、心臓ぎしっぎしいってるよ~。

 流石に、この未成熟な体でやるのは無茶だったか。けどお金貰っちゃったし。喜んでくれたし。このくらいはしょうがないか。等価交換ってやつ?

 ルーカスとか来てくれないかな、心情的には、ちょっと、楽になる。

 けどあいつも、今頑張って働いてるらしいし。だめか。

 

 

 

 「ふふ」

 

 ちょっと懐かしいな。昔、気術下手くそだった頃、無理矢理、オヤジ治そうとして。怒られたっけ。心臓も、叩かれた頬も痛くて。

 

 『何やってんだテメエ!!』

 『そんなんするくらいなら、棚から酒持って来いバカ野郎が!!』

 

 遺言あれだったからなー、最後くらいはもうちょい締めてくれよ、オヤジ。元気してるかな。何処かで。今度は酒飲めてるのかな。

 くだらない考え事をしていると、ナドゥが膝の上に寄ってくる。

 

 「グゲゲゲゲ、ギ?」

 「ありがとうね。大丈夫だよ、すぐ、おさまるから」

 

 うーん、ワニってこんな表情豊かだっけ。角もなんか小さくなる代わりに、色も濃くなってるし。

 ナドゥの....ほっぺた?らしき場所を無心でもちもちしていると、ちょっとマシになってきた。

 

 

 

 

 

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 コンコン、と。

 

 

 客用の正面ドアから、ノックの音がした。もう、夜も遅いのに。

 

 「さーせーん、もう閉店してまーす」

 「ゲゲゲー」

 

 ちなみに最近ナドゥが合いの手を覚えた。可愛くて中々好評。

 

 「すみません、少し、入れてくださいませんか?お話だけでも、よろしいのです」

 「店主がお疲れなので無理でーす」

 「でしたら、尚更」

 「グゲッ」

 

 疲れた耳にもはっきりと聞こえる。綺麗な女の声だった。まだ、若そうな。

 それはそれとして尚更ってなんやねん。

 普段の俺なら喜んでドアを開けてエスコートする所だが。流石に今はちょっとね。

 

 コンコンコンコン。

 

 「入れて、いただけませんか?」

 「ごめんね、明日の夕方からは空いてるよ。予約するかい?」

 「いえ、今が、良いのです」

 「....明日には、何処かに行かなきゃいけないとか?」

 

 うーん、訳アリか?まだ無理出来なくはないし。マッサージしても良いんだけど。

 問題はねぇ。

 

 

 ドアの向こうから感じる気配が今の俺よりは強そうって事なんだよなぁ。

 

 

 「ええ、ではそういう事でお願いします」

 「それ言っちゃったら嘘じゃん」

 「そうですね。」

 

 

 どうしよー、逃げた方が良いか?けど俺より強い相手にナドゥ抱えて逃げれないしなー。

 

 

 コンコンコンコンコンゴンゴンゴンゴンゴン。

 

 

 「開けてください」

 「勝手に入ってきて、今の俺は動けないから」

 

 

 あかんな、コレ。また神様と会うことになりそう?

 

 

 

 

 バキッ、と、向こうから鈍い音がした。

 

 

 




気術
あんまりにもピーキー。
現代においては、前衛なら基礎は知ってるかな?程度の広まり。
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