神々が降り立つ【神代時代】、それ以前を【英雄の時代】と呼ぶ者が多いが、多くの者が知らないもう一つの呼び名が存在する。その名は【指輪の時代】
その時代を作ったのは剣を持った屈強な戦士では無く
多くの知恵を持った魔法使いでも無く
一人のハイエルフの転生者
彼はハイエルフでありながら植物を育てる鍬の代わりに鎚を持ち
自然から持たされる恵みの代わりに鉄を打ち
同族が得意とする弓の代わりに剣を握った。
そんな異端な存在を排他的な同族は許さずハイエルフの名を剥奪し森から追い出した。
そんな彼も【穴】から這い出てくる怪物に蝕まれる世界を哀れに思いその力を振るった。
彼はそれぞれの種族の最強の戦士に特別な指輪を作りその力を持って英雄達の足掛かりを作った。
しかし事が収まり欠けたその直前、力に溺れる強欲な者が現れ指輪の奪い合いが起こり神の降臨と共に指輪は殆どが失われ多くの人の記憶からも忘れ去られた。
こうして結局大きな争いの火種を作っただけに終わったハイエルフは息絶え歴史は進み【穴】は【ダンジョン】と呼ばれる様になりその周囲には【英雄の都 オラリオ】と言う街が出来た。
そんな都も絶対的な力が消え【暗黒期】と呼ばれる闇の時代が訪れた。
そんな闇と戦う少女が一人、彼女の名はアーディ・ヴァルマ、街の憲兵の役を担う【ガネーシャ・ファミリア】のLv3そんな彼女は現在怪しい露天商の通報を受け様子を見ていた。
「へぇ~じゃあ本当に普通に露天商してただけなんだね」
「そうですよ?ちゃんと許可も取ってあります」
「そっか、ごめんねぇ〜最近は物騒だから皆見慣れない物とか人を見ると警戒しちゃうみたい」
「そうなのか、俺も最近この街に来て情勢なんか全く入れてなかったもんでな、取り敢えず騒がせたな、コイツを貰ってくれ」
商人はそう言うとアーディに指輪を渡す。
「え?これ良いの?売り物でしょ!?」
「ああ、構わん構わん、一応ここにある道具全部魔道具ではあるらしいんだが使い方も何も分からん物ばかりでな、そういうのが好きな物好き用だ、んじゃ嬢ちゃん、この街の平和を守ってくれよ〜」
商品はそう言いそそくさとその場を離れた。
その場に残されたアーディは手の中に残った指輪をじっと見つめ試しに指に嵌めてみる。
「…………………………………………まぁ、使い方も分からない魔道具って言ってたしね」
アーディは首を横に振り気持ちを切り替えると【ガネーシャ・ファミリア】の本拠に戻り仕事をこなした。
彼女の運命が変わるまでもう少し。