闇派閥の攻勢は弱まる事を知らずより残虐に、より悪辣になっていく。
多くの闇派閥と冒険者、そして無辜の民が命を落とし街は阿鼻叫喚の地獄に変わる。
「ナイフを捨てて!!君にこんな事をさせる人達の言う事なんて聞いちゃ駄目!!」
そんな地獄の中でアーディは慈愛を忘れず今も自身に襲い掛かろうとしていた少女にそう手を差し伸べる。少女はナイフを捨てアーディに近付きアーディは笑みを浮かべ少女を抱きしめる。
「神様…………お父さんとお母さんに、合わせて下さい」
カチッと何かが起動する音と共にアーディは意識は黒に塗りつぶされた。
「え?」
次に目が覚めた時、アーディは暗い廃屋にいた。
周りを見回しても夜なのか遠くまでは見渡せず冷たい風が吹き付けている。
「寒い…………ここはどこ?私……何で生きてるの?」
『お前は死から追放されたのだ』
「誰っ!?」
聞き慣れない声が聞こえ周りを見回す、あるのは瓦礫ばかりで人の気配は無い。
『ここは生死の間、生者でも死者でもない者が流れ着く地』
更に声が聞こえ振り返るとそこには青白く発光する年老いたエルフがいた。その姿はまるで幽霊や精霊等肉体を持たない存在の様で何処か神々しかった。
『私とお前の様にな』
「貴方…………誰?」
『ケレブリンボール』
「ケレブリンボール?あの、【妖精の名工】って言われた【英雄の時代】の?」
『昔の話だ、今は哀れな死者の魂、その指輪に宿ってしまった、な』
アーディは自身の指に嵌められた指輪を見る。
「これ、これは何なの?」
『私の作品の1つ【人の指輪】だ、【最も純粋だった人族の英雄】の為に作った。争いの中で名を忘れられ君の手に渡った』
「どうして私なの?」
『君を選んだ訳では無い、だがその指輪がある間は生き続けられる。力を試してみるか?』
そう言うとケレブリンボールは姿を消し夜の様だった視界が開け気が付くとアーディは少女の自爆に巻き込まれた場所に立っていた。
「いたぞ!!無知なる冒険者だ!!」
「無知なる者に天罰を!!」
怒涛の展開に呆けている内に闇派閥が集まりアーディは闇派閥を制圧していく。
「あつっ!?」
その中でアーディが闇派閥の一人の顔に触れると突然強烈な熱を持ちケレブリンボールの様に右手が青白く光る。
『掴み直せ』
すると隣にケレブリンボールが現れそれだけ言うと再び消える。
ケレブリンボールに言われた様にアーディが闇派閥の頭を掴むとアーディの目の前に何人かの人物像が現れるが闇に塗り潰された様に全員が真っ黒だった。
『敵の中には幹部の情報を得られる者がいる。彼らから幹部の情報を抜き出し弱点や情報を得るのだ』
試しに1人触れてみるとその人物の情報が頭に入ってくる。
『ヴァレッタ、残虐な女だ、Lvはあちらが高い様だが雑兵に囲まれている。利用すれば勝ち目はあるだろう』
ケレブリンボールがそう言うとアーディの肉体に精神が戻り闇派閥の頭が爆散した。
「な、何!?」
『記憶を抜かれた事に肉体が耐えられなかった。彼らは共通してそうだ』
アーディは出来るだけこの力を使わない様にしようと密かに決意した。