女の子の魂を封印したカードって凄い高値付きそう   作:好みのタイプはエルフェンノーツ

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ルールは大体遊戯王だぜ!


遊が名前に入ってたりしないかはこっそり聞いてます

 カードゲームが好き、と聞いたら大体の人は、ああ、この人は誰かと紙をしばく……紙をしばくは一般用語じゃないか。とにかく誰かと遊ぶのが好きなのだと思うだろう。まあオタク趣味としてちょっと引く人も居るだろうけど、それは今は一旦置いといて。

 

 私もまあ、別に対戦も嫌いじゃない。デッキトップで解決してドパガキになるのは気持ちいいし、絶対に捲れない盤面を完成させられて即降参するのもそれはそれで醍醐味だ。後攻はプレミ……これも一般用語じゃないね。後攻から捲るのに特化したデッキを使ってぐちゃぐちゃにしてやるのも気持ちいいけど……いけない、話がどんどん脱線しちゃうね。

 

 閑話休題。

 

 カードゲームの楽しみ方は大きくわけて2つだと思う。1つはさっき言った誰かと対戦して遊ぶ楽しみ方。まあ大多数はこれだよね。環境とかTier1とか新規カード強すぎだろとか言ってるタイプの人達。

 

 でも私は少数派。気に入ったカードを集めて楽しむコレクター。最近だと配信者とかが無限回収、なんて題してやってるのが有名かな? 気に入ったイラストのカードを何枚も何枚も集めたり、実用性の無い弱いカードを、イラストが好きだから! って集めたり。最近だとイラストありきの版権もののカードゲームも増えてるとは思うけど。アレは対戦しても楽しいのかな? 

 

 まあなんというか。要は収集癖というやつだ。勿論カードによってはとんでもない値段が付いたりもするのだけど、そういうのは得てして投資家(笑)の標的にされるから、私はそういうのにはあまり手を出さなかった。どの道手放す気も無かったしね。

 

 強いカード、弱いカード、見た目が怖いカード、愛らしいカード。或いはカードに付けられたフレーバーテキストや裏設定。私としてはカードゲームの醍醐味はそこにあって、勝った負けたの勝負はおまけみたいなもの。

 

 ただお気に入りのカードを眺めていられればそれで幸せ。私のカードゲームへの向き合い方はそんなもので、そしてそれは死んでも変わらないものだった。

 

 

 

 

 

 カードゲームと言えば日陰の趣味。ネットで臭いと馬鹿にされ、転売ヤーの玩具にされ、子供の趣味でしょと馬鹿にされ、そんな三重苦……どころじゃない苦しみを背負ってたのだけど。

 

「メジャーになるとこれはこれで怖いね……」

 

 AR技術だかホログラム技術だか理屈は忘れたけれど、なんかすごい最新技術(小並感)によって投影されたモンスター同士が路上で殴り合っている。それを見ても『あれ? そういえば今日イベントある日だっけ? 野良での対戦が盛り上がってるだけ?』程度にしか思わない程度には私もこの世界に順応してきた。初めて見た時は大興奮だったんだけどね。

 

 異世界転生、なのだと思う。ほぼ前世と変わらないけれど。違うとすればカードゲームが市民権を得ている……どころか前世で言うところの野球とかサッカーを超えるレベルの娯楽として広まっているところ。言葉の通じない海外に行ってもカードさえ見せれば交流が出来るのだから凄い。多分カードゲームの販促アニメの世界だね、これは。

 

 とはいえ別に私が知ってるカードゲームの世界という訳でもない。聞いた事ないだけかもしれないし、架空……というかこの世界特有のカードゲームなのかもしれないけれど、少なくとも前世の知識を活かしてチート無双! なんてことは出来ないみたい。そうじゃなかったら世界大会とか目指してたんだけどねぇ……

 

 そんな私は対戦イベント(フリーマッチかな? もしかしたらランキング系かも。この世界野良デュエルも普通にARとか使いだすから分かんない)をスルーして行きつけのカードショップに向かっている最中である。余談だがカードショップの数は前世に比べるとむしろ少ない。カードの価値が高すぎて中々取り扱えないのだとか。オリパ専門店! とか出来まくるより健全で何よりだと思う。あれはもうギャンブルだよ。

 

「こんにちはー、店長、ローダーください、ローダー。あとスリーブとファイル」

 

「いらっしゃい。平日の昼からよく来るわね〜。パックはいいの?」

 

「私が買わないの知ってるでしょ店長。あと私のお仕事はシフト制だから今日がお休みなんです」

 

 ローダー……簡単に言うとカードを保管するための保護具? 大事な本にブックカバーを付けるようなものだと思ってもらえたら。

 

「パック無視してスリーブとか買うのカノンちゃんぐらいだからねぇ……別にそのまま使っても平気なのに」

 

「拘りですよ、こだわり」

 

 この世界のカードは不思議パワーなのか超技術なのか知らないけれど、何故か傷1つ付かない。白かけとかで揉める事が無いのは買取とかでも便利そう。でもカードを破こうとすれば破けるんだよね。やっぱ不思議パワーと見た。

 

「それに子供が買う分が無くなっちゃうじゃないですか、私が買ってたら」

 

「うーん、別にウチは子供向けの店ってわけでも無いんだけどね……シングル販売もしてるし」

 

「数百万円は展示であって販売とは言わないと思うんですけど……」

 

 とはいえこれは別に店長の値段設定がおかしい訳じゃない。何せこの世界、アタッシュケースいっぱいのレアカードで商談成立とかする世界だから。夏恒例の宝くじの1等がカードって辺りで色々と察して欲しい。

 

「そんなことより! カノンちゃんも対戦してったら? たまにはカノンちゃんの対戦見たいんだけど」

 

「露骨に話逸らしましたね……というか嫌ですよ。子供は泣くか癇癪起こしますし……歳上にすら嫌われるんですからね? 私のデッキ」

 

 フリー対戦もごく一般的……これは前世でもそうか。まあフリー対戦にすら観客が付くのは一般的じゃなかったけれど。カッコイイドラゴンとかイケメン戦士とか美少女ケモ娘とかふわふわした動物とかが動く映像は見てるだけでも楽しめるのである。自分でやった方が楽しくない? って思うかもしれないけど、この手の世界にありがちで、統一テーマを組むだけで一苦労なのである。構築済みデッキとか無いからね。

 

「そこはほら、カノンちゃん他のカードもいっぱい持ってるし? というか、ウチで買ってないのにどこで集めてるの? ……まさか浮気!?」

 

「貰ったり拾ったりです。他の店は……まあ行ったりもしますけど……」

 

「やっぱり浮気じゃないの!」

 

「ええ……」

 

 店長(自称20代後半、女性、独身。私は30代後半か40代前半だと思ってる)はよよよ……と泣いてるフリをしてる。別にカドショ巡りなんて普通……でもないんだよねこの世界。さっきも言った通り店自体が少ないから。

 

「傷ついちゃったわ……もうこんなんじゃこれから来るちびっ子ちゃん達の相手できる自信無いわね……誰か代わりに対戦してくれたらな〜……」

 

「はぁ……分かりましたよ。代わりに参加賞としてスリーブください。どうせ私ぐらいしか買わないんですし。あといつものデッキは使いませんからね」

 

「ありがと〜! やっぱりカノンちゃんは優しいわね〜」

 

「店長が無理矢理やらせてるんでしょうが……」

 

 私としてもサプライを取り揃えてくれるお店は有難いのである。大事なカードを剥き出しで放置する……問題無いと頭では分かっていても落ち着かないのです。ローダーに入れたりファイリングしたりしないとね。

 

 

 

 

 

 

「姉ちゃん何のデッキ使うの~?」

 

「ん~【ひつじ雲】かなぁ……ふわふわしてて可愛いし」

 

「うわ、女っぽ~」

 

「姉ちゃんだっつってんだろうがガキ。男の子はどうせドラゴンとか剣士でしょ?」

 

「へへ! 店員の姉ちゃんには特別に見せてやるよ! じゃーん、【爆炎竜イグニス】!」

 

「お、カッコイイドラゴン。裁縫セットの柄になってそう」

 

 あと店員じゃないよ私は。正直転職はしたいけどさ。この世界のカードショップの店員はジッサイカチグミなのである。前世的に言えばタワマン所有者とか、土地持ちとか、そんな感じ。カードゲームがインフラみたいなもんだからね……まあ色々事情があるから常連Aでしかないんだけど。

 

 ということで子供と対戦。まあでも、これもある意味バイトみたいなもんか? 給料は現物支給だけど。

 

 目の前では赤い裁縫ドラゴン……じゃなかった、【爆炎竜イグニス】が私の出した【ひつじ雲ラムネ】に噛みついている。見た目だけだと完全にお食事シーン。

 

「残念だけど【ラムネ】は戦闘破壊されないよ。そんで戦闘したモンスターを眠らせる」

 

 具体的には裏守備表示にする。ルール? 遊〇王をイメージしてくれれば大体合ってる。低速環境の頃のやつね。融合までしかなかったぐらいゲートボールな頃。

 

「残念なのはそっちだぜ! 【イグニス】は戦闘したモンスターを燃やし尽くすんだ!」

 

「げ」

 

 うーんジンギスカン。一応こっちのエースモンスターだったんだけどな。相性が悪いよ相性が。

 

 結局そのまま押せ押せで私の負け。ホビーアニメの子供って大体強いよね。運命力とかの差なんですか? まあこの世界の世界チャンピオンは私より年上だけど。あ、店長よりは多分年下。

 

「うーんGG。対戦ありがとうございました」

 

「姉ちゃんもっと頑張れよ~?」

 

「泣かすぞ?」

 

 とまあ、和やかな時間を過ごしていたのだけど──

 

「邪魔するぜぇ!」

 

 下品な声をあげながら、下品なドアの開け方をする下品な男が入ってきた。見た目もなんかばっちぃ。

 

「ここに俺が求めるカードがあるって聞いてなぁ! ちょっと見せてもらおうか!」

 

 なんだ、態度と見た目が悪いだけの普通のお客さん──

 

「よし、コイツを俺に寄越しな! ジュース代ぐらいは払ってやるからよぉ!」

 

 なわけないよねぇ……

 

 数百万のカードを150円に値切るのは大阪のおばちゃんもビックリだよ。通るかそんなもん! って言いたいところだけど……

 

「──なら、ソウルバウトだ! 勝ったら俺の言い値にしてもらおうか!」

 

 この世界、これが通っちゃうのである。あ、ソウルバウトは要は対戦しようってことね。この世界のカードゲームの名前がソウルカードだからそこから来てるっぽい……じゃなくて。

 

「ね、姉ちゃん。あれ警察とか……」

 

「動いてくれないんだよねえ……カード絡みだと」

 

 民事不介入ならぬソウルバウト不介入。なんでも数千年前から続いてきたソウルバウトを妨害するとカードの精霊の怒りを買うのだとか。具体的には手札事故しか起こさなくなるらしい。まあ指名手配レベルで悪質になると奴をソウルバウトで拘束しろ! ってなるらしいんだけど、それも結局勝てば無罪放免だし。

 

 なので普通は用心棒的な人が居たり店長がそもそも強かったりするのだけど……残念ながらこの店はどっちも満たしていない。いや強いて言うなら──

 

「ではそこの下品なお兄さん。対戦相手は私でいいですか?」

 

「誰でも構わねぇぜ? 俺の【冥府王】は無敵だからな!」

 

 私が用心棒なのかもしれないなぁ……ここお気に入りだし……

 

 




完全に流行りを逃したので供養がてらウケないかな…と投稿です。よければ高評価とか感想とか
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