女の子の魂を封印したカードって凄い高値付きそう 作:好みのタイプはエルフェンノーツ
今回はきちんと決めて、私が先攻。【戒律】も要はロックデッキなので単純にありがたい。まあ先攻1ターン目盤面制圧なんて言葉はこの世界にはないんだけど。カードパワーが足りないよ。
「それじゃ早速。『第一戒律』を手札から発動。効果は墓地利用の禁止……だけど……」
「【星詠み】は墓地はあまり使いませんよ?」
「知ってる。まあ準備だからさ。私はこれでターンエンド」
モンスターも伏せ札も出さない……というか手札に来てない。まあ時間稼ぎのためのカードは手札にあるから問題なし。いわゆる手札誘発である。
「……私のターン! 『星詠みの観測者』を召喚して効果発動! デッキの上から5枚めくってその中から【星詠み】カードを一枚手札に加え、その後好きな順番で戻します」
濃紺のローブを着た少女が姿を現して、空へと手を伸ばす。何も掴めるはずの無いその手には光が握られており……うん、ARは今日も絶好調みたいです。闇のバウトだとなんかいつもより余計に動いているような気もする。気のせいかもしれないけど。
「そのまま『星詠みの観測者』で直接こうげ──」
「直接攻撃宣言時に手札の『戒律の代行者』の効果発動。このカードを手札から捨てて戦闘を強制終了。その後好きな戒律を一つ進める……今回だったら『第二戒律』の発動だね」
第二はサーチ封じ。これで『星詠みの観測者』は機能停止だね。まあ一応デッキの順番はいじれるけど。
「──エンド時に『第三戒律──逃れることなかれ──』を発動。効果は除外領域の利用の禁止……だけどこれも【星詠み】には関係ないね。そのまま私のターン……は、カードを一枚伏せてエンドかな」
第一以外の戒律は某ファラオみたいにカードの効果でしか場に出せないんだよね。まあそうじゃなきゃ第五から場に出して先攻一ターン目全ハンデスとかできちゃうしね。
「『星詠みの観測者』の効果を発動します。5枚めくって──そのまま戻します」
手札には加えられないからね。まあデッキトップ弄るのも役には立つだろうけど、手札補充にはならない。
「そしてめくられた『星詠みの導き手』の効果を発動。このカードが公開された時、場に特殊召喚されます!」
「おお、上手くすり抜けてきたね」
デッキから直接出されるのは戒律じゃ防げないんだよねぇ。リクルート系は第四で封殺できるんだけど。
「今度こそ直接攻撃です! お願い!」
「伏せカード、『無力の刻印』。場の全てのモンスターの攻撃力をゼロに」
モンスターを使わないデッキなら実質ノーリスク。まあ【戒律】はモンスターも居ないわけじゃないけどさ。殴り合い重視じゃないからまあヨシ。
「さ、さっきからのらりくらりと……!」
「大人は卑怯なものだからねぇ。エンド時に『第四戒律──奇跡に縋ることなかれ──』をデッキから場に。効果は【戒律】を除く場のカードの効果の無効化。私のターンは何もせずエンド。そろそろ終わろうか……できれば、全力で抗って欲しいけど」
次の向こうのエンドで戒律は揃う。だからひっくり返すならこれがラストチャンス……なのだけど。まあ場のカードの効果を無効にされてそれができるのかという話。やっぱロックデッキって良くないね。
「まだ終わりません! 手札の【星詠みの星天姫 アストレア】の効果を発動します! 【星詠み】モンスターが場に二枚以上居る時特殊召喚! デッキの上から5枚をめくりその中の【星詠み】モンスターの数×1000の攻撃力を得ます!」
現れたのは月光を溶かしたかのような銀白色の髪をした少女。純白の……なんだろ、巫女装束とローブを掛け合わせたような服。そして彼女が持つ杖を振れば空に星明りが灯る。ミオちゃんの魂を入れるのに相応しそうなカードで何よりだ。
「いいねぇ、手札で起動する……【星詠み】のエースかな?」
「……おばあちゃんから貰った大事な子です」
「ますます素晴らしい。貴女の全力を私にちょうだい?」
「──アストレアで直接攻撃!」
一気にライフが削られる。具体的にはソウルカードを手札に加えられるぐらい。まあもうそんなもの必要ないけど。
「……第五戒律を場に。そして私のターン。【裁きの天使】を召喚」
天秤を持った目隠しをした天使。おなじみミカちゃんです。向こうの【アストレア】に比べるとウチの天使禍々しすぎない? 見た目はどっちも神秘的だと思うんだけど……こう、雰囲気が……
「バトル。【裁きの天使】の攻撃時戦闘するモンスターの攻撃力をゼロにし、効果を無効化する……まあ、これは第四があるからあんま意味ないんだけど」
「──【アストレア】!」
相手の魂のカードを破壊する。もはやこれは魂への凌辱と言っても過言ではないのでは? こうなってくるとライブラリーアウト専用のデッキとかも使ってみたくなるね。まあ私がこの世界で十全に使えるのって【戒律】だけなんだけどさ。【戒律】ならやりたいことは大体できる。他のデッキだと前世のリアルでのTCGぐらい。やっぱ不思議パワーだね。
「──うん。いいね。ちょっと顔つきが幼くなった……かな?」
【星詠みの星天姫 アストレア】にミオちゃんの魂が封じ込められたカードを手に取って眺める。とりあえずコレクション行きは確定として、星空っぽく周りを飾ったりしたくなるねこれは。久しぶりに工作でもしようかな?
今日のプラネタリウムのチケットとかも傍に飾っておこうか。やはりきちんと思い出を作った方が思い入れが出来てグッドだね。【星詠み】デッキは……うん、ミカちゃんに渡しとこう。なんか不思議パワー吸い取ったりとかするらしいし。
休みを1日費やしたわけだけど、それに見合うだけの価値のある物を手に入れられた素敵な1日だったね、うん。
「おはようございまーす……あれ、ステですか?」
「そうそう。朝比奈さん。まあいつ来てもおかしくはなかったけど……思ったより急だったわねぇ……」
「お疲れ様です、先輩。御家族様への連絡とかは?」
「あの人、連絡先とか無かったから……後見人には連絡済み」
「
「ないものねだりしてもしょうがないでしょ。それよりカノンさん、葬儀社への引き渡しとかは頼んでもいい?」
「はいはい。もうエンゼルは済んでます?」
「ええ。それじゃ他の申し送りだけど──」
闇のバウトで魂をカードに封じると、その人は最初から存在しなかったことになる。その辻褄合わせは結構雑で、どういう風に行われるかはその時になるまで私も分からないのだけど、今回は単純に居なかったことになったっぽいかな? まあ私のコレクションについて知ってるのは私だけでいい。別に人に自慢したいわけでもないし、好きなものは独り占めしたいタイプなので。
まあこうでもなってなければ私は多分とっくに連続失踪事件の重要参考人とかになっていただろうから有り難くはあるのだけど、仕組みが分からないのはどこまで頼っていいのか少し不安でもある。本当に全部消えてくれてるなら闇のバトラーの噂なんて無いはずだし。ちなみにミカちゃんに聞いてみたら「神の御力です」でゴリ押された。
ともあれ朝比奈ミオという少女を覚えている人間はもう誰も居ない。多分大会は別の人間が優勝したことになっているし、私の昨日の行動を録画しているカメラがあったとしても、ただ一人でぶらついていた記録しか残っていないはずだ。よってすべて世は事もなし、ということだ。
だからまた退屈な日常が戻ってくる……はずだったのだけど。
「あの……カノンさん、ですよね? 私、朝比奈ミオの友人だったんですけど……」
「んー……誰の事だろ。ちなみにお嬢さまはどちら様で?」
「天城ユウキって言います。カノンさんも……その、視える人、ですよね?」
遊は付きそうにないけどユウという音の入った名前。ワンアウト。肩辺りにふわふわ浮いている二本脚で立っている猫の妖精。ツーアウト。覚えていないはずの人間の事を覚えている。スリーアウト……? 何故か私も精霊が見える人扱いされている。ゲームセットか?
「……とりあえず、仕事終わってからでもいい? 大体何の話かは察したからさ」
「あ、そうですよね! すみません……」
推定この世界の主人公の来襲……え、私討伐されるやつ?
とりあえずプロローグ終わりって感じです
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