女の子の魂を封印したカードって凄い高値付きそう 作:好みのタイプはエルフェンノーツ
「で、実際のところどうなの? ミカちゃん」
「質問が抽象的すぎませんか?」
主人公ちゃん……もとい、ユウキちゃんと別れて私が来たのは例のいつものお店。いつ来てもこの子は居るけど、24時間365日居るのだろうか? それとも時間によっては閉まってたりする?
「うーん……じゃあそもそも闇のソウルバトラーって何? なんか私が要らないからって捨てたカードから魂の力を吸収してるってのは前聞いたけどさ」
「ええ。我が神の贄とさせていただいています。……そして、神に仕えるのは私だけでは無いということです」
「えーっと……他にも担当が居るってこと? 闇のソウルバトラー量産計画?」
ガブリエルとかウリエルとか居るのかな。いや、普通に他のテーマの誰かしらとかかな。王に仕える騎士とかそんな感じのテーマとかあるし、ミカちゃんが神って呼んでる存在を王として崇めてる、みたいな。
「はい。まず、闇のソウルバトラーとは一言で言えば贄の回収装置ですね。バウトの際に生じる魂のぶつかり合いによるエネルギーを集め神に捧げ、現世に降臨させる。その為に子飼いとして精霊が使っている人間が闇のソウルバトラーとなります」
「うお」
急にいっぱい喋るじゃん。というかやっぱそういう不思議エネルギーもあるのね。ちゃんと研究したら世の中のエネルギー問題全部解決できるんじゃなかろうか。ルールとマナーを守って、楽しくタービンを回そう!
「じゃあ私はミカちゃんの子飼い?」
「便宜上はそうなりますね。おかげで他の闇のソウルバトラーと遭遇してないでしょう? 基本的に互いに不可侵ですから」
「そんな縄張りみたいなシステムあるんだ……」
じゃあ逆に私がどこかしら他の縄張りに入りそうになったらミカちゃんに止められたりするのだろうか。なんかそう言われると縄張り広げたくなってくるね。自分の色で塗りつぶしたらいい?
「一応闇のソウルバトラー同士で戦って勝てば縄張りを奪える……というか、精霊が味方してくれるとは思いますよ?」
「あれ? 声に出てた?」
なんかナチュラルに思考を読まれた気がする。というか不可侵じゃなかったの? あれか、基本は不可侵だけど舐められたら殺せ! みたいな感じなのか。それか正式な手続きを踏めば決闘していいとかなのか。
「ちなみに私が負けたらミカちゃんは浮気するの?」
「負けないと信じていますよ?」
「答えになってなーい」
まあ負けたらロクなことにならなそう……というか実質死ぬっぽいしどうでもいいっちゃどうでもいい。悪党の最期なんて笑えるぐらい惨めなものだろうし。
「あと結局精霊って何? 神とやらを復活させようとしてる存在……ってわけじゃないんだよね?」
「それはその精霊次第ですが……簡単に言うなら、観光客……ですかね」
「もしかして精霊の世界から遊びに来てる?」
「まあ、その精霊によっては、ですが。私は遊びのつもりはありませんし」
「神様の降臨のために頑張ってるんだもんねぇ……」
ミカちゃん含め闇のソウルバトラーに付いている精霊はお仕事。ユウキちゃんみたいな普通の人……主人公は普通の人でいいのかな……? に付いてる精霊は遊びに来てるって感じかな。なんか世界を移動するのにも凄いエネルギーが発生してそう。もっと具体的に言うとこの世界をアニメと仮定して、精霊を捕まえて研究するクールがありそう。
「じゃあ最後の質問。ミカちゃんはなんで私を選んだの?」
「波長が合うから、ですかね。【戒律】デッキは結構人を選びますし」
「人のことを害悪ロックデッキがお似合いの陰キャって言ってる?」
「陰……?」
精霊の世界に陰キャ陽キャは無いのだろうか……なんてことはどうでもよくて。やっぱりこうなると闇のソウルバトラーごとに使うテーマは違いそうだね。くっついてる精霊のテーマを各々使ってるんでしょう。【冥府】の精霊とか居たら狩りやすそうだね。
「私からも聞いておきたいことがあるのですが、よろしいですか?」
「お? 何々?」
「神の降臨の暁には、どんな願いでも一つ叶える、というのが我々神に仕える精霊の闇のソウルバトラーへの勧誘文句なのですが、何か叶えたい願いなどはありますか?」
「え、なんでそれ最初に言ってくれてないの? ミカちゃんもしかして私のこと結構嫌い?」
「いえ……貴女が説明する前に嬉々として闇のソウルバトラーになって、しかもそのまま好みの女の子だ! と収集を始めたから言う機会を逃して……」
「そ、そんなことあったっけ」
黒歴史です、黒歴史。一時のテンションに身を任せちゃだめだぞ! なんで私はこんなカードを手元に……? って整理する時に後悔することになるから。まあ証拠になっても困るし燃やすか! ってする前にミカちゃんが引き取ってくれたから解決したんだけど。私としてもカードを捨てたり燃やしたりは抵抗があるのです。要らないカードだとしてもね。
「それで、何かあります?」
「うーん……」
何でも叶う、なんて言われてもな。お金……? 女……? ソウルカードの強さとか……?
「特にないかも……? しいて言うならこのまま人をカードにする力は使いたいぐらい……?」
「おや、てっきりご執心のあの人を手元に置きたいと言うかと思いましたが」
「あっはっは。お姉ちゃんはそりゃもう専用スペースを作ってるぐらい欲しいけど、コレクションは自分の力で手に入れなきゃ意味無いの。風情が無いでしょ?」
お姉ちゃん──と言っても別に姉妹が居るわけじゃない。私は一人っ子です……なんてのはどうでもよくて。子供の頃に面倒を見てくれた近所のお姉さん、的な意味でのお姉ちゃんである。ちっちゃい頃の呼び方の癖って抜けないよね。
「……そう言ってもう何年ですか? 忘れられてるのを実感したくないからと会いにも行ってないですし……」
「あー! あー! 聞こえなーい! ……しょうがないじゃん、憧れのお姉ちゃんが全世界の憧れになっちゃったんだから」
お姉ちゃん──白銀レイは、現世界王者なのです。サイン会とかあるから会おうと思えば会えるんだけど……行かない理由はミカちゃんが言った通り。ファンの一人、として扱われるだけだろうから……というか『昔面倒を見てた近所の子』なんて記憶にどれだけ残ってるんだという話。少なくとも成長した姿じゃ気づいてもらえないでしょ。だからコレクションにする時まで会うつもりはない……んだけど。
「当然強いんだよねぇ……勝てる気しないよ……相性も良くないし」
「む……【戒律】より強いデッキなんて──」
「あるでしょ流石に……汎用カード増やすかぁ……」
「手に入るんですか?」
「闇のバウトで狩り続けてればそのうち……?」
この世界の汎用カードはとんでもない貴重品である。値段が高いという意味ではなく、ただ単純に絶対数が少ないという意味で。
この世界でカードを手に入れる方法はパック開封……なのだけど、このパック開封にも不思議パワーが関わっているらしく製造元ですら何が出てくるのか分からないのだとか。そんなもの売るなよ、と思わなくは無いが、そもそも実は製造元がどこなのかはっきりしてなかったりする。まあ多分あんまり深く考えちゃいけない所。カードの精霊なんているオカルトな世界で前世基準で物事を考える方が間違っているのである。
ともあれそういうわけで、何が出るか分からないある意味オリパみたいなものをこの世界の人達は開けているのだけど、出てくるカードはその人と縁のあるカードが多い。私だったら【戒律】関連みたいな。そしてこの世界はデッキが魂と評されたりするような世界で、みんな一つデッキが完成したらもうパックを開けないのである。
そうなると汎用カードを引ける人なんて何人居るんだよという話で……妖怪少女に好かれる人がデッキとして成り立たないような妖怪少女詰め合わせデッキを使ってるところを狩る、みたいなことしないと汎用カードが手に入らないのです。私は何枚かこの方法で集めたけど。
「……よし! ミカちゃんお願い! 他の闇のソウルバトラーの居場所教えて!」
「……もしかしなくても狩ろうとしてます?」
「うん。私はカードが手に入ってはっぴー、世間様は治安が良くなってはっぴー、ミカちゃんは子飼いの部下が強くなってはっぴー、ユウキちゃんも闇のソウルバトラーを退治出来てはっぴー。こんな幸せで溢れる事やらない理由が無いでしょ」
「基本的に不可侵って言いましたよね……?」
「いやいや、同業者として挨拶に行くだけだって。実力が見たくなってついついやりすぎちゃうかもしれないけど」
「……まあいいでしょう。私にも得が無いわけじゃありませんし……ただ、貴女の暴走ということにさせてもらいますよ?」
「いいよ。制裁とかあるにしても、要は負けなきゃいいだけでしょ?」
「なんでその自信を世界王者相手には出せないんですか……? 本命処女……?」
「なんでそんなスラングは知ってるの?」
本命以外にも処女で悪うござんしたね……なんてことはどうでもよくて。
ひとまずこれで闇のソウルバトラーの情報はゲット。あとはこれを調査して頑張って手に入れた情報としてユウキちゃんに共有すればヨシだね。なんなら闇のソウルバトラー退治は彼女に任せてもいいし。カードは貰うって契約にしたからね。
デッキは魂!とかプライドの象徴!とかの世界でライブラリアウト系のデッキ使ったら死ぬほど嫌われルーンですかね…?