ザ・ワールド・ザ・サバイバル   作:きゅぼ

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一日目 昼

「みなさーん、東京に着きましたよー。寝てる人起きてくださーい」

ちなみに俺たちは寝ていない。

「バスを降りたらみなさんのベースキャンプへ行きまーす。着いたらもう各自行動してくださーい。尚、食料やその他諸々、生活に必要なものはこちらから支給しまーす」

相変わらず間延びした話し方だ。

「ではみなさーん、僕についてきてくださーい」

皆坂田に続いてぞろぞろとバスを降りていく。俺たちは最後尾についた。暫く歩いていると、麗馨が口を開いた。

「ねぇ、ベースキャンプって何?」

ここは敦が答える前に俺が!

「ベースキャンプっていうのは必要になるものを集めて置いてあるキャンプのことで、普通は登山の時に使う言葉だけど、便宜上そう表現してるんだと思うよ」

「要するに俺らの本拠地だな」

くそー!また大事なとこだけさらっと言いやがって!…とは言えず。

「へぇ、そうなんだー」

麗馨は納得した感じで頷いている。

その後は会話も散発的で、一行はただただ歩いていた。

「はい、着きましたよー。ここがみなさんのベースキャンプでーす」

と言って、坂田は大きなホテルを指さした。

「あ、あれ?ベースキャンプってテントでも張ってあるのかと思ったんだけど」

俺の言葉に、敦が答える。

「外にいつ魔物が出てくるかわからねぇのにそんな柔(やわ)な設備使ってられるかよ」

言われてみれば全くその通りである。

「ではみなさーん、ホテルにチェックインしてくださーい。今は死を運ぶ者(デス・ブリンガー)は宇宙に戻っているので安全でーす。チェックインしたらのんびりしててくださーい。みなさんに闘ってもらわなければいけない状況になったらこちらから連絡しまーす」

死を運ぶ者(デス・ブリンガー)が宇宙に戻っている?俺はまた、坂田の言っていることが分からなかった。取り敢えず敦に聞いてみる。

「なぁ敦、死を運ぶ者(デス・ブリンガー)が宇宙に戻ってるってどういうことだ?」

「どういうことだって言われても…どうもこうも、そのまんまの意味だろ。バスん中でケータイのネットしてる時に見たんだけど、未確認生物である死を運ぶ者(デス・ブリンガー)は、宇宙人が地球に送ってきたものらしい。だから戦闘でダメージを受けたり、あの魔物が地球にいたくなくなったら宇宙に帰るんだ。そして回復してからまたこの地球に戻ってくる。つまりどんだけ俺らが死を運ぶ者(デス・ブリンガー)を痛めつけたところで、宇宙に帰られた瞬間全てがパーになるんだよ」

「じゃあ…私たちは勝てないの?」

薫が聞いた。

「いや、勝てないわけじゃない。魔物が宇宙に帰る前にとどめを刺してしまえばそれで勝てるだろ。それができる可能性は確かに低いけど」

「はいそこー。早くチェックインしてくださーい」

いつの間にかチェックインしていないのはもう俺たちだけのようだ。

「あ、やべ、行かないと」

俺の言葉にあとの三人も動き出す。ホテルの中に入ると、受付の人が声をかけてきた。

「特殊部隊の方々ですね。部屋番号は205と206になります」

カードキーを手渡され、俺たちは部屋に向かった。

「部屋が二つ用意されてるのは、男女で分かれろってことだよな?」

俺の言葉に薫が反応する。

「え?男女一組ずつ入るんじゃないの?」

「えっと…あの…」

反駁しようと思ったものの、言葉が思いつかない。敦が口を開く。

「別に男女一組ずつでもよくないか?麗馨もいいだろ?」

「う、うん…」

「んじゃ決まりだな。俺は薫と入るからお前は麗馨と入ってくれ」

という言葉を残して、敦は薫と二人で行ってしまった。麗馨は明らかに乗り気ではないが、これもチャンスだと思おう。

「よろしく、麗馨」

「うん、よろしくー」

不快さを感じさせない返事だが、心の中では何を思っているのだろうか。

「取り敢えず部屋に向かうか」

「そうだね」

俺は麗馨と歩き出した。無言で俺の半歩後ろを歩く麗馨。幼馴染だろうと、この心の距離は縮まらないのだろうか。無言で歩いているのは気まずいので何か話を振ろうと思っていたら、彼女から話しかけてきた。

「湊は怖くないの?」

「ん?何が?」

「だって、よく考えてみてよ。私たちこれから闘わないといけないんだよ?自衛隊を全滅させたような魔物を相手に」

俺は一瞬言葉に詰まったが、自分が思ったことをどうにか言葉にしていく。

「確かに俺も怖い。でもさっき敦も言ってたけど、闘わずして死ぬより闘って死ぬ方がいいじゃん?どっちちしたって俺死ぬ気ないけど」

「湊は強いね…私なんかよりずっと強い…」

「いきなりどうした?お前らしくないぞ?」

俺は麗馨の顔を覗き込む。…が、顔は見せてくれず、彼女はそっぽを向いてしまった。それっきり会話もなく、ただ黙々と足を進める。

「あ、着いたみたいだね」

「おう、そうだな。入るか」

俺たちは205号室だ。最後にチェックインしたためか、部屋はホテルの端である。若干移動が面倒くさい。隣には敦と薫がいる206号室がある。きっと二人はいちゃラブしていることだろう。呑気なやつらだ。

「ねぇ、いつまで部屋の前に立ってるの?」

いつの間にか麗馨は部屋の中に入ってしまったようだ。

「あ、ああ、悪い悪い」

俺も取り敢えずは部屋に入ることにする。部屋の中にはシングルベッドが二つとトイレやその他諸々があった。ごく普通の二人部屋である。

「こうやって部屋だけ見てると、まるで旅行にでも来たみたいだよね」

「でも、手に持ってるのが拳銃とナイフじゃあな…」

俺は先程学校で配布された拳銃とナイフを持って苦笑した。

「雰囲気ぶち壊しだよねー。誰だ!こんなの考えたの!出てこい!」

麗馨が空手の正拳突きをしながら無邪気に騒いでいる。正直めちゃくちゃ可愛い。だが…湊は考える。先程からそうなのだが、麗馨は先ほどからどこかが変だ。どこが、と聞かれると上手く説明できないが、いつもの麗馨ではない気がする。俺はそれを確かめてみることにした。

「なぁ、さっきからお前おかしくないか?」

「んー?何がー?」

「いや、何がって言われるとわかんないんだけどさ。なんかいつものお前と違うっていうか」

「そう?」

「いや…俺の思い違いかな…あ、そうそう、俺たちが手に入れた能力探してみないか?

「あ、それいい考えだねー!でも、どうやって?」

「わかんないけど例えばさ、"布団よ浮き上がれ!"とか念じて布団が本当に浮き上がったらそれが能力じゃないか?あんま喩えよくないけど」

「おー、そっか。じゃあ私も何かやってみよ」

と言うなり、彼女はこう叫んだ。

「魔物よ、いなくなれー!」

…しかし何も起こらない。

「いや、それじゃあ魔物いなくなったかわかんないし能力判別できねーじゃんかよ」

俺は思わず苦笑した。だが魔物が消えることを願う辺り、やはり彼女は可愛い。

「じゃあ分かった。湊よ落ちろ!」

なんで俺が…と言おうとした、その刹那。とてつもなく大きな力が俺の背中を押した。

「うわぁああ!」

情けない悲鳴を上げながら俺は本当に腰掛けていたベッドから落ちてしまった。

「わぁ、本当に落ちた」

「お前ね…」

俺は呆れながらベッドに座り直した。

「これが私の能力?」

「どーやらそうらしいな。物を思い通りに動かす力、といったところか?」

「物を思い通りに動かす力、か…うむ、悪くないな!」

お前はどこの悪代官だ。

「次は湊の能力探そうよ」

しかし俺の、そうだな、という声は放送にかき消された。

「みなさーん、また死を運ぶ者(デス・ブリンガー)が現れましたー。今から言う二十人はホテルのエントランスに集まってくださーい」

気が滅入るような知らせに、俺と麗馨は顔を見合わせて苦笑した。

「飯田、二ツ屋(ふたつや)、髙木…」

どんどん呼ばれていく名前を聞いていると、

「…円城寺、桐山、津田、七木…」

やはりこの四人の名前はあった。俺たちは闘いに行かなくてはならない。

「んじゃさっき来たばっかで名残惜しいけど、行くか」

「うん、早く決着つけてこのホテルでのんびりしよう!」

実現しそうにないことだが、今の俺にはそんな麗馨の気遣いがとても嬉しかった。彼女はどれだけ怖くても闘おうとしている。それなら俺は全力で大好きな麗馨を守るだけだ。俺たちはまたここに戻ってくることを信じて部屋を後にした。

 

エントランスに着くと、敦と薫は既にいた。薫は緊張の面持ちだ。敦も焦燥感を隠せてはいない。俺はそんな二人に努めて明るく声をかけた。

「よっす、再び」

「おう」

「おっす」

分かりづらいので解説しておくが、今の台詞は最初に言ったのが敦で次に言ったのが薫である。はい、どーでもいい解説終わり。俺は本題に切り込むことにした。

「なぁ、あの薬で手に入れた能力探した?」

「ああ、探したよ。俺は物体を瞬間移動させる能力。薫は右手で触れた物を思い通りの形に変える能力だ」

二人ともとても実用的な能力だ。そういえば俺は、自分で話を振っておきながら自分の能力を見つけられていない。心の中で落胆した。

「んで?湊と麗馨はどんな能力なんだよ」

「麗馨は、物体を移動させる能力。瞬間移動ではないっぽい。俺は…まだ見つけてない」

俺は…と少しタメを作ってしまったせいか、敦と薫、麗馨までもが落胆している。

「お前まだ見つけてないの?魔物に対抗し得る(うる)力が何か分からないんじゃ、勝てるもんも勝てねぇぞ」

敦は恐らく、怒っているのではなく純粋に俺を心配している。

「でも、見つけられねぇもんしょうがねぇじゃんかよ」

「まぁ、そうだな…」

そこで坂田が喋り出した。

「はーい、全員集まりましたかー?今から魔物を倒す特殊部隊であることを証明するブレスレットを渡しまーす。みなさん必ず手首につけてくださーい」

坂田は鋼鉄製のブレスレットを掲げた。なんでわざわざ鋼鉄で作ったのかは疑問だが、俺たちは取り敢えずブレスレットを受け取り、手首につけた。つけた瞬間、鋼鉄製であるはずのブレスレットがぐにゃりと曲がり、手首に完全にフィットした。

「!?」

全員が声にならない驚愕の声を上げている。

「…これ、つけたのはいいけどもう取れないよ?」

最初に口を開いたのは麗馨だった。集まった他の皆も手首を振ったりしているが、ブレスレットが取れる気配はない。

「ブレスレットが取れない仕様になっているのは、みなさんが激しい戦闘をされても特殊部隊の証明であるそれが取れないようにするためでーす。ちなみにそれは電波を発しているのでみなさんの位置情報もこちらに筒抜けでーす。みなさんが東京から出てしまわれるとそれが大爆発を起こしまーす。人が即死するレベルの爆発なのでみなさんそのブレスレットに殺されたくなかったら東京から出ずにちゃんと闘ってくださーい。ちなみに無理に外そうとしても大爆発しまーす」

坂田が喋り終わった途端、ブーイングの嵐。

「聞き分けの悪い方々ですねー。拳銃、本当に発砲しますよー?」

坂田は拳銃を構え、本当に発砲した。弾丸はある生徒の頭の横すれすれを通り過ぎていった。

「ではみなさん、大人しく闘ってきてくださーい」

俺たちは坂田にホテルから追い出されてしまった。

 

外へ出ると、死を運ぶ者(デス・ブリンガー)が暴れ回っていた。俺は何をすることもできず、ただただ壊されていく街を見ていたが、

「こっちに来るぞ!みんな逃げろ!」

という敦の声で皆動き出した。

「固まっていてもあいつの思うつぼだ!みんな散らばれ!」

こんな時でも敦は冷静だ。俺も一人で、人がいない方向に逃げた。暫く走っていると瓦礫の山が見えたので、俺はその瓦礫の山の後ろに隠れることにした。ふぅ…これでひとまずは安心だ。

しかしこれではあの魔物に攻撃一つも加えることができない。俺は瓦礫の山の脇から魔物を覗き、隙を伺った。魔物は相変わらず街を破壊し続けている。

するとその時、魔物が咆哮した。俺はびびってすぐ瓦礫の山に隠れてしまったが、魔物が周囲を攻撃する様子はない。

「俺が魔物を止めている間にみんな攻撃しろ!」

敦が叫んでいる。そうか!敦の能力は物体を瞬間移動させる力。魔物が移動すると同時にもとの場所に瞬間移動させて相手を拘束しているのだ。

「私もやる!」

どこに隠れていたのか、麗馨も出てきて魔物を拘束しはじめた。

「サンキュー、麗馨。でもちょっときついな…」

「なんて力なの…!」

二人とも余裕はなさそうだ。

「俺たちの拘束は持ってあと一分だ!その間にみんな攻撃してくれ!」

この言葉でようやく周りも動き出した。雄叫びを上げて魔物に斬りかかっていく者、拳銃を撃っている者。俺も魔物の足元を一心不乱に斬っている。皆が一丸となって魔物を攻撃している。している…のだが。魔物はほぼダメージを受けていないようだ。

「まずい!そろそろ限界だ!みんな離れてくれ!」

せっかく敦と麗馨が頑張ってくれているのに、俺は何もダメージを与えられなかった。俺は自責の念に苛(さいな)まれながら魔物から離れた。

敦と麗馨による戒めがなくなった魔物は、先ほどよりも激しく暴れ出した。鋭い鉤爪で建物を次々と壊していく。恐らくこの鉤爪に巻き込まれたら、俺の命はない。俺は攻撃することもできずに、ただただ逃げていた。なんて情けないやつなんだ。でも今の俺にはこうすることしかできなかった。

また鉤爪がこちらへ迫ってくる。俺は回転レシーブの要領で鉤爪を避け、まだ壊されていない建物に身を潜めた。

「あ、湊!無事なんだね!」

あまりに急の出来事で一瞬思考がフリーズした。そして今しがた俺に起こったことを理解する。俺は逃げているうちに麗馨の隠れているところへ来たようだ。こんな時でも思考が止まるくらい緊張するのだから不思議だ。

「お、おう、麗馨か。俺は無事だよ。麗馨すごかったな」

「ああ、さっきのこと?いや、あれは…敦だけに任せるのもいけないと思って。助力できたかどうかは分からないけど…」

「いや、きっと力になってたよ。それに比べて俺は…魔物に傷一つ入れられなかった」

「私、湊が攻撃してるとこ見たよ。湊、鬼の形相だったね」

麗馨が笑いながら俺を茶化してくる。こんな状況下に置かれても、麗馨は変わらなかった。

「うっさい!必死だったんだよ」

俺も笑って返す。

「てか俺ら闘わなくていいのか?こんなとこで喋っちゃってるけど」

率直な疑問だ。

「いや、多分私たちが頑張って拘束してその間に他のみんなが攻撃するっていう形がベストだと思う。今の私たちにはもう拘束する力が残ってないから、攻撃はせずに逃げて逃げて、魔物が宇宙に帰るのを待った方がよくない?…っていう敦の意見に従って私は行動してます」

恐らく、それが一番賢明な策だろう。敦の聡明(そうめい)さには頭が上がらない。

「そうだな。今はもう待つしかないか。てか、作戦も何も立ててなかったし、今思うと無謀な挑戦だよな」

「ほんとほんと。作戦タイムくらいくれたらよかったのに。あの坂田とかいう人」

「だな」

俺の相槌を最後に、会話は途切れてしまった。俺たちは無言でただ、魔物が宇宙に帰るのを待っている。ずっと待っている。

そのまま数時間、俺たちはただ逃げ続けた。

と、その時。白い光が魔物を覆った。俺たちは眩しさに思わず目を逸らす。そして気付いた時には、魔物の姿は無くなっていた。どうやら宇宙に帰ったようだ。

「はぁ…ひとまず終わったか…」

俺は今まで溜まっていた疲労に急に襲われ、こんな情けない声を上げてしまった。

「終わったね…」

横にいる麗馨もかなり疲れているようだ。その時、放送が流れた。どこに音源があるのかは分からないが、結構近くから聞こえてくる。

「はーい、みなさんお疲れ様でしたー。また明日の戦闘に備えてホテルでゆっくり休んでくださーい。夕食はバイキングでーす」

夕食はバイキング、その言葉を聴いた瞬間、何人かの生徒が歓喜の声を上げた。そういえば俺たちは昼の間ずっと戦闘していたので、昼食を摂っていない。殆ど逃げているだけだったが、俺は途轍(とてつ)もなく疲れてしまっていた。

「喜べる元気があるのっていいよな…」

「ほら、元気だして。ホテルに戻ろ?みんながいい食材食べる前に、私たちが食べるんだぁ!」

麗馨は可愛らしくそう言って、俺の背中を叩いた。痛い。痛いが、それでも俺は嬉しかった。麗馨は俺を気遣ってこんなことをしてくれているのだ。

「ああ、そうだな!よし、ホテルまで競走だ!」

空元気でもいいから元気を出す。それだけでも意外と疲労感は少なくなるものだ。もっとも、俺の場合は隣に好きな人がいるから元気が出たのだろうが。

「お?言ったね?私負けないからね!よーい、どん!」

と言うなり、麗馨は走り出した。あまりにも不意打ちだったので、俺は走り出そうとして足がもつれ、その場に倒れてしまった。

「いてててて…」

「あれあれ?さっきまでの威勢のよさはどこへいったのかな?」

麗馨がからかう。俺はひっでー、と一言毒ついてから立ち上がって走り出した。

「おお、きたきた。でも私も負けないよーん」

「待てー!麗馨ー!」

結局、勝負には麗馨が勝った。俺はぜーぜー言いながらホテルのエントランスのソファに横になった。

「あー、疲れた。部活三日分くらい走った」

「湊もまだまだだねー」

「バレー部が陸上部に勝てるわけないだろ…」

言い忘れていたが俺はバレー部で麗馨は陸上部である。麗馨は百メートル走で全国大会に出場するくらい足が速いので、このクソ田舎でアホみたいにバレーをやっている俺が足の速さで勝てるわけがない。ちなみに、一応俺はエーススパイカーだ。

「よし湊、ご飯食べに行こう!」

「いいけど、敦と薫を待たないのか?」

「待ちたいけどお腹すいた!ねぇ湊、行こうよ」

「しょーがないなぁ。んじゃいくか」

途端に、麗馨が満面の笑みを浮かべた。やばい。可愛い。可愛すぎる。笑った時にできる笑窪(えくぼ)も魅力的だ。本当に、悩殺するやつである。

「本当は湊も食べたいくせにー!」

正直、否定はできない。

と、その時。エントランスの自動ドアが開き、敦と薫が入ってきた。

「お前ら速すぎ…」

敦はもはや呆れている。

「陸上部さすがだね」

「いやぁ、それほどでもー」

麗馨はこう言っているが、二人は恐らく俺たちを誉めてはいない。

「それよりさ、四人揃ったことだし夕食にしようぜ。もう腹減って仕方ないんだけど」

業を煮やした俺の言葉に三人とも首肯し、俺たちは食堂に向かった。




いやぁ、小説って難しいですねぇ。
書いてみてしみじみと思います。
この小説は1年程前に書き上げたものなんですが、文字数が約74,000字…とても40,000字に抑える勇気と気力、僕にはありませんでした、ハイ。
話はもう出来てるので、更新の頻度は結構高いと思います。
ひとりでも多くの方に読んで頂けたら幸いです。
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