もう一人のハミダシ者   作:琴葉(Kotoha)

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初対面の印象って大事だよね?

 

 

 

 

 

月夜「どうしてこうなったんだ…」

 

僕、羽月月夜(うづきつくよ)は困っていた。

普段から面倒事を避けていた僕は人知れず影の中で育つような生き方をしていた。何気ない学校生活で何気ない勉強をして、何気ない時間を過ごして、ごく普通の放課後を送るはずだった。それなのに…

 

 

月夜「どうして生徒会室の前に…」

 

事の発端は数日前…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先生M「ツッキー、生徒会に入れし」

 

月夜「…はい?今なんと?和泉先生」

 

昼休み、和泉先生に校内放送で突然名指しで呼ばれたと思えばいきなり『生徒会に入れ』と言われた。え、なにこの勧誘方法?ショッピングモールでティッシュを配ったりする人でもここまでしなくない?

 

里「いやだから、生徒会入れし。」

 

月夜「いやそうではなく。なんで僕が生徒会に?入る理由もなければ入る義理も微塵もありませんが」

 

里「いやだってツッキー、今年度の頭にこっちに通ってんじゃん?編入手続きとか諸々やったんだけど、今年度に入ってからまともに学校に通ってなかったってツッキーの親戚とか親御さんから聞いたし。

んで、ツッキーだって卒業とかは最低限したいっしょ?」

 

月夜「そりゃ卒業はしたいですよ。高卒さえできればあとは流れでどうにかなるってものですし」

 

里「いやだから、卒業どころか進級のための出席日数がギリ危ないんだって。ツッキーの都合を理解してるのはアタシだけだし」

 

ぐうの音も出ない。千玉学園…通称ダマ学には今年度の頭から入ってからというもののロクに脚すら運べていない。

一日中パソコンと向き合って個人的なことをやってばかりだったとはいえほぼ半年は放置している、と言われても仕方のないことだ

 

里「こっちに来てからは一人暮らしだから大変だって気持ちはわかるよ?でもさ、理由が理由だしこれ以上は放っておけないってゆーか」

 

月夜「は、はあ…それで、僕が生徒会に入るメリットは?」

 

里「出席日数の確保とかできるし。」

 

月夜「それだけですか?」

 

里「うん、それだけ。」

 

月夜「…それだけのために生徒会に入れと?」

 

里「そゆこと。ツッキーだって卒業はしておきたいっしょ?さっきも言ったけど出席日数がマジで危ないからこのままじゃ来年は留年、最悪卒業すらできないから。」

 

月夜「…ちなみにあと何日休んだらアウトなんです?」

 

里「9回表、2-0で2ストライク2アウト、ランナー1.2塁の状態でツッキーがアウトになったら負けなくらい」

 

なんで野球に例えたんだこの先生。野球の知識なんてないに等しい僕にとっては微塵も理解できない。

 

里「つまり、もう二桁分も休めないってこと。これ以上休んだら本当に危ないって」

 

月夜「は、はあ…」

 

里「というか、もう提出してあるし」

 

月夜「何をです?」

 

里「生徒会に入るための書類」

 

月夜「…へぃ?」

 

里「いやだから生徒会に入るための書類、もう提出したし。あ、ツッキーの親戚と親御さんにも許可取ってるから安心しろし。んじゃ今週の水曜、生徒会室で待ってるから」

 

月夜「は…?」

 

 

 

 

 

はああああああああ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月夜「…どうしてこうなった」

 

いやまあ状況的には先生に呼び出されても仕方ないとは思ってたよ?それも『留年とかする?』みたいな話をされると思ってたし。

でも呼び出されてからの第一声が『生徒会に入れ』って命令形ってマジ?こんなの地球と月がお互いの引力に惹かれて衝突するくらいありえない話だよ?

 

月夜「でもまあ…今更取り消すことなんてできないだろうし…大人しく従っておこう。大丈夫、印象が悪かったら後でこっそり届け出を提出すばいいし」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月夜「こんにちは…」

 

男子「…誰?」

 

月夜「あ、和泉先生から呼ばれてきました1年の羽月月夜といいます。」

 

男子「あー、ミリ先生から聞いてたけどもう一人の後輩ってキミのことだったんだ。俺は和泉智宏、前期ではくじ引き会長とか言われてたけど今期は立候補して正式な生徒会長になったんだ、よろしく。」

 

ミリ先生とは和泉先生のことだ。『里』の一文字だけで『ミリ』と読むから生徒たちの間では『ミリ先生』と呼ばれてるけどさすがになれなれしすぎて『和泉先生』と僕は呼んでる

 

智宏「キミもミリ先生に巻き込まれた側なんだな…立ち話もなんだし、座って話そう。他のメンバーもそろそろ来始める時間だし」

 

月夜「は、はあ・・・」

 

僕は用意された椅子に座った。くじ引き会長って呼ばれてたのはこの人のことだったんだ…

 

智宏「それで、生徒会に入るんだっけ?ミリ先生から大体の経緯は聞いてるけど」

 

月夜「そうですね、和泉先生から聞かれてるのであれば間違いはないです。不登校気味でしたし、出席日数も危険域だから生徒会に入れって…」

 

智宏「あー…月夜もなんだ。」

 

月夜「『も』?」

 

智宏「うちの生徒会、大半が前期のメンバーなんだけど元は不登校の生徒ばかりでさ。今はちゃんと通ってきてくれてるけどそれぞれ事情を抱えてるから出席日数の確保のために生徒会に入らないかって勧誘したんだよ。」

 

月夜「あー…なるほど」

 

つまりは元不登校メンバーの集まり、ってことですかここの生徒会?なんか僕みたいな感じの人たちなのだろうか…あれ?そういえば会長はこの人で間違いないんだろうけど他のメンバーはまだ来てないって言ってた。

そのうち来るって言ったけど、一応聞いておいた方がいいのだろうか?

 

月夜「ところで和泉会長、他のメンバーっていうのは…」

 

と聞こうとしたところで生徒会室のドアが開いた。





いつからヒロインが1話目から出ると錯覚していた?



羽月月夜(うづきつくよ)

クリエイティブポイント:???

千玉学園1年生。極力面倒事は避けたいがために存在感は薄めだがけっして陰キャとかではない(陰と陽の中間あたり)。
千玉学園内に昔馴染みがいるらしいが、当の本人はまったく気付かずに過ごしている模様
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