お待たせしましたね。
案外読んで下さる方々がいるようで恐悦至極!
当作品はストック無しでのお送りです。
感想のどしどし待ってます!
おそらくは次話で【斬魄刀】……来ると思います。
頑張って書いてきますね!それじゃ!
あ、どっかで掲示板とかやってみたいですね?
始解できる辺りでやってみようと思います。
その時は、活動報告で会話のモデルを募りますね!
掲示板ってやつを見たことがないんだ私は……(´・ω・`)
追記
色々調整。
最後に次話への繋がりを追記。
足腰もしっかりしてきて、二足歩行が出来るようになった。
この世界の言葉も喋れるようになってきた。
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本気で生きると決めて、まずどうしようかと考えた。
生前では何が必要だったか。
赤ん坊に出来る事は少ない。
せいぜい抱き上げられた拍子に胸に顔を埋めるぐらいだ。
メイドにそれをやるとはあからさまに嫌そうな顔をする。
きっとあのメイドは子供嫌いに違いない。
運動はもう少し後でいいだろうと考えた俺は、
文字を覚えるため、家の本を読み漁った。
語学は大切だ。
よって、この世界の文字を覚えることを、最初の課題とした。
家にあったのはたった5冊だ。
本は高価であるのか、
パウロやゼニスが読書家ではないのか、
恐らく両方だろう。
たった5冊とはいえ、文字を読めるようになるのには十分だった。
この世界の言語は日本語に近かったため、すぐに覚えることが出来た。
単語を覚えるだけでよかった。
言葉を先に覚えていたのも大きい。
父親が何度か本の内容を読み聞かせてくれたから、単語をスムーズに覚える事ができたのだ。
この身体の物覚えの良さも関係しているのかもしれない。
よくよく考えてみれば、ネトゲの情報を覚えるようなものだ。
面白くないわけがない。
それにしても、あの父親は乳幼児に本の内容が理解できるとでも思っているのだろうか?
俺だったからよかったものの、普通の一歳児なら大顰蹙ものだ。
家にあった本は下記の5冊だ。
・世界を歩く
世界各国の名前と特徴が載ったガイド本。
・フィットアの魔物の生態・弱点
フィットアという地域に出てくる魔物の生態と、その対処法。
・魔術教本
初級から上級までの攻撃魔術が載った魔術師の教科書。
・ペルギウスの伝説
ペルギウスという召喚魔術師が、仲間たちと一緒に魔神と戦い世界を救う勧善懲悪のお伽話。
・三剣士と迷宮
流派の違う三人の天才剣士が出会い、深い迷宮へと潜っていく冒険活劇。
下二つのバトル小説はさておき、上三つは勉強になった。
特に魔術教本は面白い。
魔術の無い世界からきた俺にとって、魔術に関する記述は実に興味深いものである。
読み進めていくと、いくつか基本的なことがわかった。
1.まず、魔術は大きく分けて3種類しかないらしい。
・攻撃魔術:相手を攻撃する
・治癒魔術:相手を癒す
・召喚魔術:何かを呼び出す
この3つ。まんまだ。
もっと色々なことができそうなものだが、
教本によると、魔術というものは戦いの中で生まれ育ってきたものだから、
戦いや狩猟に関係のない所ではあまり使われていないらしい。
2.魔術を使うには、魔力が必要であるらしい。
逆に言えば、魔力さえあれば、誰でも使うことが出来るらしい。
魔力を使用する方法は2種類。
・自分の体内にある魔力。
・魔力の篭った物質から引き出す。
どちらかだ。
大昔は自分の体内にある魔力だけで魔術を使っていたらしいが、
世代が進むにつれて魔術も研究され、高難度になり、
それに伴って消費する魔力が爆発的に増えていったそうだ。
魔力の多い者はそれでもいいが、魔力の少ない者はロクな魔術が使えなかった。
なので、昔の魔術師は自分以外のものから魔力を吸い出し、魔術に充てるという方法を思いついたのだ。
3.魔術の発動方法には二つの方法がある。
・詠唱
・魔法陣
詳しい説明はいらないだろう。
口で言って魔術を発動させるか、
魔法陣を描いて魔術を発動させるか、だ。
大昔は魔法陣のほうが主力だったらしいが、今では詠唱が主流だ。
というのも、大昔の詠唱は一番簡単なものでも1分~2分ぐらい掛かったらしい。
とてもじゃないが戦闘で使えるものではない。
詠唱が主流になったのは、ある魔術師が詠唱の大幅な短縮に成功したからだ。
一番簡単なもので5秒程度まで短縮し、攻撃魔術は詠唱でしか使われなくなった。
もっとも、即効性を求められない上、複雑な術式を必要とする召喚魔術は、未だに魔法陣が主流だそうだ。
4.個人の魔力は生まれた時からほぼ決まっている。
普通のRPGだとレベルアップする毎にMPが増えていくものだが、
この世界では増えないらしい。
ほぼ、というからには多少は変動するようだが……。
俺はどうなんだろうか。
魔術教本には魔力の量は遺伝すると書いてある。
一応、母親は治癒術を使えるみたいだし、ある程度は期待していいんだろうか。
不安だ。
とりあえず俺は、最も簡単な魔術を使ってみることにする。
魔術教本には、詠唱が主流らしいので、そっちで練習することにする。
術としての規模が大きくなると詠唱が長くなり、魔法陣を併用したりしなければいけないらしいが、最初は大丈夫だろう。
熟練した魔術師は、詠唱がなくても魔術が使えるらしい。
無詠唱とか、詠唱短縮ってやつだ。
しかし、なぜ熟練すると詠唱なしで使えるようになるのだろうか。
魔力の総量が変わらないということは、レベルアップしてもMPが増えるわけじゃないだろうし……。
逆に、熟練度が上がると消費MPが減るんだろうか。
いや、仮に消費MPが減った所で、手順が減る理由にはならないとか。
………まぁいいか。
とりあえず使ってみよう。
俺は魔術教本を片手に、右手を前に突き出して、文字を読み上げる。
「汝の求める所に大いなる水の加護あらん、
清涼なるせせらぎの流れを今ここに、
ウォーターボール」
血液が右手に集まっていくような感触があった。
その血液が押し出されるようにして、右手の先にこぶし大の水弾が出来る。
「おおっ!」
と、感動した次の瞬間、水弾はバチャリと落ちて、床を濡らした。
教本には、水の弾が飛んでいく魔術と書いてあるが、その場で落ちた。
集中力が切れると、魔術は持続しないのかもしれない。
俺は再度右手を構え、先程の感覚を思い出しながら、頭でイメージする。
まず頭でイメージして、何度も何度も頭の中で繰り返して、それから実際やってみる。
躓いたら、そこをまた頭でイメージする。
脳内で完璧に成功するまで。
「すぅ……ふぅ……」
深呼吸を一つ。
邪念が混じった、もう一回。
ギュッとあつめてひねり出して水水水水…………。
「ハァッ!」
と、思わず寺生まれの人みたいな掛け声を上げた瞬間、水弾ができた。
「おっ、え……?」
ばちゃ。
「……………あ。」
驚いた瞬間、水弾はあっけなく落ちてしまった。
しかし、今、詠唱しなかったよな?
なんでだ……?
俺がやった事と言えば、さっき魔術を使った時の感覚を、そのまま真似しただけだ。
もしかして、魔力の流れを再現できれば、別に詠唱しなくてもいいのか?
無詠唱ってそんな簡単にできるもんなのか?
「簡単に出来るんなら、詠唱ってのはなんの意味があるんだ?」
身体の魔力を手の先に集めて、頭の中で形を決める。
それだけで、だ。
なら、詠唱なんて必要ないだろう。
みんなこうすればいい。
………ふむ。
もしかすると、詠唱というのは魔術を自動化してくれるのではないだろうか。
いちいち集中して全身から血液を集めるように念じなくても、言葉を発するだけで全てやってくれる。
車のマニュアルとオートマのようなもので、実は手動でやろうと思えば出来るものなのではないだろうか。
『詠唱すれば自動的に魔術を発動する』。
これの利点は大きい。
まず第一に、教えやすい。
体中の血管から血液を集めるような感じでー……と、説明するより、詠唱すれば誰でも一発で出来る方が、教えるほうも教えられる方も楽だ。
そうして教えている間に段々と、『詠唱は必要不可欠なもの』となっていったのではないだろうか。
第二に、使いやすい。
言うまでもない事だが、攻撃魔術を使うのは戦闘中だ。
戦闘中に目をつぶって、うぬぬー、と集中するより、早口で詠唱した方が手っ取り早い。
全力疾走しながら精緻な絵を書くのと、
全力疾走しながら早口言葉を言うの、どっちが楽かという事だ。
「人によっては前者の方が楽かもしれんが……」
パラパラと魔術教本をめくってみたが、無詠唱の記述はなかった。
おかしな話だ。
俺がやった感じでは、そう難しくは無かった。
俺に特別才能があるのかもしれないが、他の人がまったく使えないって事はないだろう。
こう考えるのはどうだろう?
魔術師は普通、初心者から熟練者まで、みんな詠唱で魔術を使い続けるのだ。
何千回、何万回と使い続けるうちに身体が詠唱に慣れきってしまい、
いざ無詠唱でやろうとしても、どうやればいいのかわからない。
ゆえに、一般的ではないとされ、教本には書かれていない。
「おお、辻褄があってる!」
てことは、今の俺は一般的ではないってことだ。
すごくね?
うまいこと裏ワザを使えた感じじゃなくね?
うっは、興奮してきた!
………。
おっと、いかんいかん。
ちょっと落ち着け、クールになれ。
生前の俺はこの感覚に騙されてあんなことになったんだ。
自重しよう自重。
大切なのは、自分が他人より上だと思わないことだ。
俺は初心者。
ビギナーズラックだ。
才能があるとか勘違いしないで、ひたすら練習に励むべきだ。
……よし。
最初に魔術を詠唱して唱えて、その感覚を真似して、ひたすら無詠唱で練習する。
これでいこう。
「それじゃあもう一発。」
と、右手を前に出してみると、妙にだるい。
しかも、なんか肩のあたりにズッシリと重いものが乗っている感じがする。
疲労感だ。
集中したせいだろうか。
いや、このぐらいで切れる集中力は持ちあわせていないはず。
「てことは、MPが切れたか……?」
なんてこった……。
魔力総量は生まれた時に決まるのなら、俺の魔力は水弾二発分という事になる。
うーむ。さすがに少なすぎね?
それとも、最初だから魔力をロスしてるとか、そういうのなんかね?
いや、そんな馬鹿な。
……。
念のためもう一発出してみたら、気絶してしまった。
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気絶したルーデウス、その精神世界で一人の男が宙を見上げていた。
『……やっとだな。』
黒い空を、静かな風が渡る。
シュヴァルツは、小さく息を吐く。
『あやつが、初めて魔力を使い切った。』
『ここからだ。』
『あやつの魔力量は、爆発的に増えていく。』
背後からホワイトが身体を起こす。
『……あ?』
『魔力って、生まれた時に決まってんじゃなかったのか?』
シュヴァルツは静かに頷く。
『一般には、そのように考えられている。』
『だが、それは半分だけ正しい。』
『器の大きさは、生まれ持った資質に左右される。』
『しかし幼き肉体は、その器を満たし切れてはおらぬ。』
『幼少期に魔力を使い切ることを繰り返せば、その器そのものが育つ。』
『それが、この世界の理だ。』
ホワイトは口角を吊り上げた。
『へぇ……。』
『つまり、今あいつがぶっ倒れたのは無駄じゃねぇってことか。』
『ああ。』
『今の気絶は代償ではない。』
『成長の証だ。』
シュヴァルツは眠るルーデウスへ視線を向ける。
『無詠唱。』
『そして、魔力枯渇。』
『やはり、あやつは記憶の歩みを違えなかった。』
『あやつはまだ知らぬ。』
『自らの選択が、この先の人生を大きく変えることを。』
ホワイトは笑った。
『はっ。』
『目ぇ覚ましたら、どうせまた無茶するぜ。』
『あいつ、そういう奴だからな。』
シュヴァルツもまた、わずかに口元を緩める。
『……それでよい。』
『歩み続ける者だけが、強くなれる。』
『我らは、その歩みを見届けよう。』
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「もう、ルディったら、眠くなったらちゃんとトイレにいってベッドに入らなきゃダメでしょ?」
起きた時には、読書中に居眠りして、おねしょをした事になっていた。
ちくしょう。
この歳で寝小便したと思われるとは……。
ちくしょう……ちくしょう……。
って、まだ二歳か。寝小便ぐらい許されるか。
てか、魔力少なすぎだろ。
はぁ……萎えるわー……。
まぁ、水弾二発でも、使い方次第か。
精々、咄嗟に出せるように練習だけしておくか……。
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あれから数日が経った。
水弾を作れる回数が増えたのを確認した。
成長に応じて増えていくのだろうか?
これからは、限界まで魔力を使っていく事にした。
同時に、使える魔術の数を増やしていく。
感覚さえ覚えれば、無詠唱で再現することは簡単だ。
とりあえず、近日中に全系統の初級魔術は完全にマスターしたいと思う。
初級魔術というのは、文字通り攻撃魔術の中で最も低いランクに位置する。
魔術の難易度は七段階に分かれている。
初級、中級、上級、聖級、王級、帝級、神級。
一般的に一人前と呼ばれている魔術師は、
自分の得意な系統の魔術が上級まで使えるが、
他の魔術はそこまでらしい。
上級より上のランクを使えるようになると、
系統に応じて火聖級とか水聖級とか呼ばれて一目置かれるのだとか。
ちょっと憧れる。
しかし魔術教本には、火・水・風・土系統の上級の魔術までしか載っていなかった。
教本に書かれている水系統の初級魔術は以下の通りだ。
水弾:水の弾を飛ばす。ウォーターボール。
水盾:地面から水を噴出させて壁を作る。ウォーターシールド。
水矢:20cmほどの水の矢を飛ばす。ウォーターアロー。
氷撃:氷の塊を相手にぶつける。アイススマッシュ。
氷刃:氷の剣を作り出す。アイスブレード。
氷も水系に含まれるらしい。
ひと通り使ってみた。
初級と一口に言っても、使う魔力はまちまちだった。
水弾を1とすれば、大体2~20ぐらいか。
基本的には水系だ。
火を使って火事にでもなったら危ないからな。
そう言えば、消費魔力は温度も関係しているのか、上級になればなるほど氷が増えていくようだ。
しかし、水矢とか飛ばすとか書いてあるのに飛んでいかなかった。
なんだろう、どこかで何かを間違えているのだろうか……。
うーむ?
魔術教本には、魔術の大きさや速度についても書いてある。
もしかすると、弾を作り出した後に、さらに魔力で操作するのだろうか。
やってみる。
「お?」
水弾が大きくなった。
「おお!」
ばちゃん。
「おぉ……。」
しかし、やはり落ちてしまう。
その後、色々やって水弾を大きくしたり小さくしたり、
サイズや数を増やしてみたりと、
新たな発見はあったが、一向に飛んで行かない。
ふよふよと浮いた火の玉を風で飛ばしてみたりもしたが、何かが違う気がする。
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『ふむ。こうか?』
ルーデウスの精神世界。
そこで私は、精神世界を介して共有された記憶と、この世界の魔術理論を基に術式を組み替えていた。
いくつか試してみて分かったことがある。
まず、魔術とは詠唱や魔法陣そのものが力を生む技術ではない。
本質は――。
イメージだ。
術者が何を起こしたいのか。
どのような現象を発生させるのか。
それを明確に理解し、魔力によって現実へ干渉する。
それが魔術の本質なのだろう。
もちろん、必要な魔力や現象への理解は必要になる。
火を出すならば、ただ「燃えろ」と願えばいいわけではない。
熱。
燃焼。
温度。
形状。
それらを理解し、魔力によって再現する必要がある。
だが逆に言えば――。
既存の術式に存在しない現象でも、理論とイメージさえ成立するならば、再現は可能ということだ。
そう考えると……。
【無の世界】
この世界において、転移魔術や召喚魔術の経路として利用される空間。
しかし、本当にそれは必要不可欠なものなのだろうか。
それとも――。
術者が「そこを通る」と認識しているから、魔術がその形を取っているだけではないのか。
転移とは、本質的には空間を越える技術だ。
A地点からB地点へ移動する。
ならば必要なのは、中間地点ではなく。
二つの座標を繋ぐこと。
「無の世界へ移動する」
という工程を想定しているからこそ、魔術はその経路を形成する。
ならば。
別の方法も存在するのではないか。
例えば――。
私の影を媒介として空間を繋ぐ。
影そのものを一種の境界として利用する。
ユーハバッハの能力にあったような、影を介した干渉。
それをこの世界の魔術理論へ落とし込めば……。
転移だけではない。
攻撃。
防御。
物質の収納。
あるいは、影を通じた移動。
応用の幅は広い。
まだ完全な再現には至らないが、可能性は見えた。
他には、【
純粋に魔力を整えて行うより、魔術化した方がこういったのは威力が上がる傾向にあるようだ。
ただ、【
なんらかの効果を付与する時は魔術が有用のようだ。
ああ……そう言えば。
ホワイトは、肉体の再生についても研究を進めている。
奴の力は【変化】。
肉体そのものを別の形へ変える力だ。
しかし、それだけでは再生とは呼べない。
失われた肉体を作り直すには、材料が必要になる。
そこで治癒魔術を利用する。
治癒魔術には、傷ついた肉体を修復する力がある。
細胞を補完し、失われた部分を埋める。
だが、本来ならば限界が存在する。
なぜなら、治癒魔術だけでは「どのような形に戻すべきか」という情報が足りないからだ。
そこで肉体変化を組み合わせる。
不足した細胞を生成する。
そして、生成された細胞の位置、形状、性質を変化させる。
本来なら存在しないはずの肉体を、別の力で補う。
完全な再生ではない。
しかし――。
治癒魔術による修復。
肉体変化による構築。
二つを組み合わせれば、擬似的な超速再生が可能になる。
腕を失えば腕を作る。
肉体を貫かれれば、その部分を変化させる。
虚の仮面も、その応用だ。
必要な場所だけを変質させ、瞬時に防御器官を形成する。
……まだルーデウスの身体では扱えぬ力だ。
こうも研究していると。
私たちがあやつに干渉するためのそれこそ斬魄刀のようなものが必要に感じてくる。
毎夜試しているがうんともすんともいわない。
私としてはあやつに早めに渡してやりたい。
いざという時、手を貸してやれんというのは歯痒いものだ……。
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2ヶ月後。
試行錯誤の末、ようやく水弾を飛ばすことが出来た!
それが切っ掛けとなり、詠唱の仕組みが解明できた。
詠唱は、
生成→サイズ設定→射出速度設定→発動のプロセスを辿っているのだ。
そのうち、サイズ設定と射出速度設定を術者がいじることで、魔術が完成する。
つまり詠唱をすると、
まず自動的に使いたい魔術の形が作り出される。
その後、一定時間以内に魔力を追加して、サイズを調整、
サイズ調節後、さらに一定時間以内に魔力を追加することで、射出速度を調整。
準備時間が終わると、術者の手を離れ、自動的に発射される。
多分間違っていない……と思う。
詠唱の後、2回に分けて魔力を追加するのがコツだったのだ。
サイズ調節をしなければ、射出速度の調節に行かない。
どおりで飛ばそうとしても大きくなるだけで何も起こらないわけだ。
ちなみに無詠唱でやる場合は、それら全てのプロセスを自分でやる必要がある。
面倒に思えるが、入力待ち時間を短縮できるため、
詠唱するよりも数段早く発射する事ができる。
また、無詠唱ならば生成の部分もいじることができた。
例えば教本には書いていないが、水弾を凍らせて、氷弾にするとかだ。
アイデア次第でいくらでも応用が効くのだ。
面白くなってきた!
……………………けど、基本は大事だ。
色々と実験するのは、魔力総量がもっと増えてからにしよう。
魔力総量を上げる。
息をするように無詠唱で魔術を使えるようになる。
次の課題はこの2つだ。
小さなことからコツコツだ。
よーし、頑張るぞ。
そうして、俺は毎日、気絶寸前まで初級魔術を使い続けて過ごした。
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精神世界。
ルーデウスが気絶し、静かな時間が流れる。
私は一本の木を眺めていた。
以前よりも枝葉は増え、幹は僅かに太くなっている。
『……魔力を使うたび、この世界も育つ。』
その時だった。
ズ……。
足元が微かに震える。
風が止まった。
ホワイトが顔を上げる。
『……今の、感じたか。』
『ああ。』
シュヴァルツも静かに振り返る。
精神世界の最奥。
光の届かぬ黒い霧の向こう。
そこから、微かな鼓動が聞こえた。
ドクン。
一度だけ。
だが確かに。
『また強くなったな。』
ホワイトが目を細める。
『前にもあったよな、これ。』
『……半年ほど前にも、一度。』
シュヴァルツは静かに答える。
『あれから魔力を使うたび、少しずつ存在感を増している。』
ドクン。
再び鼓動。
黒い霧の奥で、何かが脈打つ。
姿は見えない。
ただ、そこに【在る】ことだけが分かる。
ホワイトは背中の斬月へ手を掛ける。
『敵か?』
『いや。』
シュヴァルツは首を振る。
『敵意は感じぬ。』
『なら何だ?』
少しの沈黙。
『……我らと同じだ。』
『ルーデウスの魂から生まれた、もう一つの可能性。』
その言葉と同時に。
黒い霧の奥で、小さな紫色の光が一瞬だけ灯る。
しかし次の瞬間には消えた。
静寂だけが残る。
ホワイトは鼻で笑う。
『そのうち出てくるってか。』
『……いずれな。』
シュヴァルツは静かに目を閉じる。
『まだ目覚める時ではない。』
二人はそれ以上近付こうとはしなかった。
黒い霧の奥では。
誰にも知られることなく。
小さな鼓動だけが、ゆっくりと強くなっていた。
後悔は消えない。
消えないからこそ、
明日を変える理由になる。