艦これの二次創作を書かせてもらいますよろしくお願いします
日本が文明開化した頃には既にその存在が確認されていた海の怪異「深海棲艦」。
海を行くモノなら所属国家、組織、武装の有無、軍民、有人無人、海洋生命体すら……あらゆる分類、区別すること無く襲い掛かる武装生命艦。
それどころか、自ら以外の生命の殲滅を目的に空中や陸上にすら進出する魔物。
それらとの本格的な戦争が始まったのは西暦にして1936年……昭和11年のことである。
それまではシャチやサメと同程度の脅威であったのだが、その年を境にして組織化された軍隊となり人類と妖精に襲い掛かって来たのだ。
各国軍は善戦するものの決定的な有効策を打ち出せず、その物量に圧倒されジリジリと後退していった。
最早滅亡は時間の問題と思われたそんな時、妖精を中心とした技術者達の手によってとある新兵器が開発された。
艦娘
鋼鉄や燃料といった艦船の材料を依代にして平行世界にて活躍した艦艇達を少女として召喚したモノである。
普段は少女でも、背負った艤装と呼ばれる装備を艦へと変身させれば通常艦艇と遜色無い戦闘力を発揮出来る。
稼働する為のあらゆる資材は人間大が背負える艤装の分で十分であり、既存の艦艇を遥かに凌駕する高いコストパフォーマンスを発揮。
ある程度の練度に達すれば能力が根本的に強化される「改造」と呼ばれる進化も可能であり、武装の交換等の大規模改装も僅かな資材で短時間の内に可能。
損傷した場合も艤装を修理し少女姿で安静にしていれば一日二日で全快する。
例え艦船状態で撃沈されても艦娘自身が脱出し艤装を修復すれば復帰も可能。
何より、艦娘たった一人での運用が可能。
そんな超兵器だ。
彼女ら艦娘と人類、妖精は団結し態勢を立て直すと反撃を開始した。
平行世界の記憶を持つ「前世持ち」と呼ばれる人々の全面的な協力もあり、1940年代終盤には戦争は圧倒的不利から膠着状態まで押し戻すことが出来たのだった。
さて、そんな状況下にあれば日本のような島国は大きな問題に直面する。
深海棲艦の直接的な脅威も去ることながら、海上輸送路の確保と言う死活問題も解決せねばならなかったのだ。
前世持ちが中心となり、平行世界の轍は踏むまいと開戦当初から海上護衛に力が入れられ惜しみなく新兵器や艦艇が投入された。
これは初期の段階では大きな成果を上げた。
船団護衛は効率化され、潜水艦出没海域には積極的攻勢にすら出たのだ。
護衛艦隊は通常艦艇のみの編成であったが、深海潜水艦や小型艦の跳梁を許さず、海上交通路や本土近海の制海権確保に成功した。
戦局が安定する頃には被害は極限され、日本海軍海上護衛艦隊の面々はどうにか安堵することが出来たのだった。
しかし、そこからが護衛艦隊の艱難辛苦の始まりであった。
西暦1941年半ば……マリアナ諸島はトラック島への輸送船団が大型巡洋艦や軽空母を含む機動部隊に襲撃され壊滅。
当初は深海棲艦の侵攻作戦の前兆かと思われたが、彼らはその後も太平洋全域で通商破壊に注力。
神出鬼没に現れては船団に襲い掛かるこの艦隊の戦力は、海防艦や護衛駆逐艦、特設空母ばかりの護衛艦隊に対処出来る域を超えていた。
しかし、その対処は遅れた。
「輜重輸卒も兵隊ならば蝶々蜻蛉も鳥の内」という歌が示す通り日本軍の補給、輸送に関する軽視は根深く、連合艦隊にすら「船団護衛など子供のやること」と大真面目に公言する者も居た。
連合艦隊主力が対応すれば済むものを、態々艦を引き抜いて護衛艦隊に対応させたのがいい証拠だ。
そのような使い走りは護衛艦隊がしろ……と。
こうして通商破壊機動部隊出現から遅れること半年後、海上護衛優先の主力艦隊である「機動護衛艦隊」がどうにか設立と相成ったのである。
いや、それすら紙の上の存在であり配備艦待ちという有様。
時に1941年も暮れに迫った12月のことであった。