シャニマスの世界で、色の見えない彼女はなにを見る   作:ヒナまつり

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短めです。


未来とか、アイドルとか

 

 ─色、色彩…それは鮮やかで目を惹く─。白と黒じゃ表せない感情や力強さ…その全てを僕に示してくれるもの。

 

 なのに、パッと咲いて気がついたら消えてしまう。

 

 テレビも、草木も明日にはきっと色を失って…喧騒の中に朽ちていく─。

 

 ─悲しい、寂しい。あんなにも輝いているのに誰にも見られないのも気がついたら消えてしまうのも…どうしようもなく痛い。

 

 そして…それが、その色が僕には無いことが─。

 

 「ねぇ、アンタ。何か…悩んでんの?」

 

 その言葉に、僕は直ぐに言葉を返すことは出来なかった。

 

 だって、久しぶりにテレビや草木などではなくちゃんと人に宿った色を見たから。

 

 「──へぇ、イイ顔するじゃん…。なんだ、悩んでいるわけじゃねぇのか─」

 

 何故か僕の顔を見て、彼女は輝かしい笑顔でそう言った。けど、変だ…僕は特に顔を動かした記憶はない。彼女は何の事を言っているんだろう?そう思って、僕は彼女へ問う。

 

 「─いい顔って…?」

 

 「…自覚ねぇのか?アンタ、私を見た瞬間から笑ってる。ほら、…見るか?」

 

 そう言って差し出された手鏡に写る僕は確かに、羽那のように色付いた笑顔をしていた…。

 

 ─というか、初めてちゃんと自分自身の顔を見た気がする。あぁ、でも…。

 

 「─君の笑顔の方が色付いてる…柔らかで、淡く綺麗。ねぇ─もう少し、見ていてもいい?」

 

 「─まぁ、好きにしろよ。─それで、小学生が一人でどうしたんだ…?」

 

 ─小学生?僕が…小学生?冗談、苦手な人なんだ。僕、もうちょっとで高校生なのに─。

 

 あ、そういえばよく…警察に母親居るか聞かれた…もしかして─?

 

 「─僕、小学生に見える…?」

 

 「…あぁ、違うのか?だってアンタ─」

 

 そう言いながら、彼女は僕の全身を眺めてから口に溜めた言葉を漏らそうとする。

 

 ─それ言われたら、元男の尊厳…消えちゃう、だから─。

 

 「─その先は、言わないで…悲しくなる。─僕、樒かさね。…中学生。君は…?」

 

 「─私は斑鳩ルカ。んで?学校はどうしたんだよ…中学生なんだろ…?」

 

 「─サボった。色、探すために…。でも、そのお陰で今日見つけた─。綺麗で、輝く…金の糸。─ふふっ、やっぱり綺麗…」

 

 何回も何回も見ても、彼女…斑鳩さんの笑顔は羽那と少し違う…でも、目を惹く色をしている。

 

 太陽のようで、たまにテレビに写ってる色のついたアイドルのように…。

 

 「─なぁ、そんなに私の笑顔は綺麗か…?アンタの笑顔の方が…」

 

 「─そんなことない。私の笑顔は、斑鳩さんから…色を貰っただけ。…僕は、欠陥品─だから。でも、斑鳩さんのは…君にしかない、1つだけの色…。─太陽や月みたいに、たった1つの─。」

 

 僕の笑顔の方が、そんなことを言われてしまったから僕は自分でも驚くぐらい必死に口を動かした。

 

 そんな僕のたどたどしい言葉を斑鳩さんは席にきたナポリタンを食べながらも耳を傾けてくれた。

 

 ─やっぱり、彼女は優しい人なんだろう。この…彼女から溢れる色は、もしかしたらその心から来ているのかも知れない。

 

 羽那だって、優しい子だったから…。でも、じゃあ何で草木にも、空にも色があるんだろう…?

 

 ─そう、自分の世界に入り込んでしまいそうな僕は斑鳩さんから返された言葉で頭を悩ませることになった…。

 

 それは─

 

 「─アンタだって、1つだろ。それに…色がないのなら、白なら何色にも染められるんじゃねぇか─?」

 

 「…染められる、こうすれば─?」

 

 そう言いながら僕はゆっくりと手を伸ばして、斑鳩さんの色に触れる。

 

 明るい赤、金の糸…それが僕の手に溶けるように重なって無色の僕に塗られていく。

 

 鮮やかに、斑鳩さんの色でありながら全てが溶けて混ざり合って彼女にはない僕の色へと変わりながら透明なキャンバスが染め上げられる。

 

 ─それはまるで着物の染色のように、一度しか表せない儚い色合いで─。

 

 「─綺麗…これが斑鳩さんに、染めて貰った色…。大切に…するね?」

 

 「─はっ…なんだよそれっ───アンタ、すっごいじゃんかっ!ねぇ、アンタ…アイドル向いてるよっ!なんていうか─目が離せないっ…今のそんな感じがした!」

 

 「─ふぇっ…?あの…急に、手。そ、それに近っ─」

 

 興奮した大きな犬のようになった斑鳩さんは輝きを増して僕の手を取りながら急に身体を近づけアイドルについてとか僕の今さっきしたことの凄さについていっぱい話し始めた。

 

 でも、僕の頭は触れた手の暖かさや柔らかさでいっぱいでその全てが耳を通り抜けていった。

 

 ─はわ、はわわっ…やわらかっ、あったかっ…変になるぅ…っ!

 

 人と、特に女性となんて触れあおうとなんかしたことも無いから刺激がぁ…!

 

 「─ねぇ、聞いてんの?…お、おいっ!かさね?…かさねぇっ!?──っ!」

 

 わぁ…お空からお迎えが来たぁ…。色がぁ…いっぱいだぁ…!ここが、天国ぅ…?

 

 

 

 「─はっ!…あれ、色消えちゃった─。なにが、起きたんだっけ…?」

 

 「…はぁ、やっと起きたのかよ。──やっぱり、あの目を惹くヤツのせいか?」

 

 ─はっ…人殺しの斑鳩さんだっ!離れないと…。

 

 変な勘繰りをして考え込む斑鳩さんから僕は距離を取りながら、今さっきの色を思い出していた。

 

 黒と金色…暖かな赤。色んな色が重なって僕の身体を染めていく…あの感覚を。

 

 そして、今まで見て覚えた色を…眺めているだけで消えていってしまった輝きを…思い出しながら引き出した。

 

 羽那の色を、羽那から満ちた世界の色を…そして、視界の隅で輝いていた景色を─。

 

 「─思い出…忘れないように。─見て貰える、ように」

 

 そう思って滲んだ色はあの日の羽那から溶けて世界を染めたように僕の身体から世界に色を溢れさせた。

 

 消えていく色の儚さも、羽那の明るい色も全部が混ざって…でも全部が立って…色んな角度から見るときっと変わる、そんな色が─世界を染めていく。

 

 「─やっぱり、凄い。なぁ、本当にアイドル…やらないか?かさねのそれ…私が見た中で一番凄い─。ダンスとか、歌とかそんなんじゃ現せない…輝き。それは、アイドルとしてイイ武器になるって…!」

 

 「─アイドルは、分かんない…。それに─僕にはあんな衣装…似合わないよ」

 

 見上げた僕の視界に写ったのはキラキラでヒラヒラな服で輝くステージに立つ、何処かのアイドルの広告だった。

 

 そもそも、元が男だからスカートもフリフリな服も着るのに抵抗があるのに…あんなの着れない。

 

 それに、僕の身体はちいちゃくて細くて、人形みたいに真っ白。こんな身体で興奮する人なんて居ないだろうし、そもそもしてほしくもない。

 

 だから─アイドルなんて…

 

 「─そっか、分かった。じゃあさ、その目を惹くやつ教えてよ!その代わりに私も色?教えるからさ…っ!」

 

 「─うん。それなら、いいよ。…教えれるか、分からないけど─僕、斑鳩さんの色見てたいし…」

 

 「…じゃ斑鳩じゃなくて、ルカでいい。あっ、集まるなら連絡先交換しよ─」

 

 ─連絡先交換…携帯。どうやってやるの…?友達、居なかったから分かんない…そうだ─。

 

 「─あ、えっと…携帯、使うのヘタで。その、交換…ル、ルカがやって─?」

 

 「─っ、わかった…!───ほら、これで何時でも連絡出来るから…暇な時何時でも送っていいから。じゃっ、かさね。私はもう帰らなきゃだからまたね」

 

 「─あっ、うん。またね…ありがとう。─ルカ」

 

 お金を払って離れていくルカの背中を目で追ってそして視界から消えた時、僕の心には悲しみが溢れた。

 

 羽那と別れてしまった時と同じように。

 

 また、色がたまにしか見えなくなっちゃうだろうから…。

 

 でも、色を思い出しながら眺めた町の景色は色褪せずにまだそこに存在していた。

 

 それは、ルカから届いたこれからよろしくというメッセージの効果か…それとも今さっきまでやっていた色移しのお陰かは分からない。

 

 けれど、心にあった寂しさや孤独感はこの繋がりのお陰で少しだけ和らいだ気がして─。

 

 それだけで未来とか、アイドルとかよく分からないけれどこの先も生きていけるってそう思えたんだ…。




過去のルカの口調ムズすぎます。
もし変だったら感想とかで教えてくださると助かります。
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