第三話 努力は力となる
弘治三年(一五五七年)夏。
剣術の稽古を始めてから二十五日が過ぎた。
黒川新九郎の毎日は変わらない。
朝は父・黒川宗久から読み書きと算術を学び、昼は礼法を学ぶ。
午後になると剣術指南役・小島源八から木刀の握り方や足運びを教わる。
まだ三歳。
派手な技を教わることはない。
ただひたすら基礎を積み重ねる日々だった。
しかし、新九郎は知っている。
その努力は決して無駄ではないことを。
◇
その日の夜。
寝所で一人になった新九郎は静かに呟いた。
「ステータス。」
青白い画面が目の前に浮かび上がる。
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名前:黒川 新九郎
年齢:3
レベル:1
EXP:100/100
HP:10/10
MP:10/10
筋力:1
耐久:1
敏捷:1
知恵:10
統率:2
政治:1
魅力:3
器用:4
運:5
SP:0
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スキル
・鑑定 Lv1
・言語理解 LvMAX
・剣術 Lv1(熟練度 50/100)
・礼法 Lv1(熟練度 25/100)
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称号
・転生者
・唯一の成長者
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(ついに……。)
この二十五日間。
毎日欠かさず学び、礼を学び、木刀を振り続けた。
学問で一。
礼法で一。
剣術で二。
一日合計四の経験値。
二十五日で百。
その瞬間、画面が淡く輝き始めた。
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【レベルアップ】
Lv1 → Lv2
HP +2
MP +2
筋力 +1
耐久 +1
敏捷 +1
SPを3獲得しました。
次のレベルまで必要経験値:150
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(これがレベルアップ……。)
全身がほんのり温かくなる。
筋肉がわずかに引き締まり、視界も少しだけ鮮明になったような気がした。
劇的な変化ではない。
だが、確実に強くなっている。
そして、新たな表示が現れる。
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SP:3
自由に能力へ割り振ることができます。
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(今は使わない。)
知恵を伸ばすべきか。
統率か。
政治か。
それとも武を優先するべきか。
まだ判断材料が足りない。
貴重なSPは、本当に必要な時まで温存すると決めた。
◇
翌朝。
宗久は新九郎を伴い、領内の村へ向かった。
「若いうちから領民を知ることも当主の務めだ。」
「はい、父上。」
田では農民たちが汗を流している。
子どもたちは走り回り、老人は農具を修理していた。
「殿、おはようございます。」
「今年も豊作になりそうです。」
宗久は一人ひとりに声を掛け、近況を尋ねる。
新九郎はその姿を静かに見つめていた。
(武士は戦だけじゃない。)
(民がいてこその領地なんだ。)
◇
ふと、一人の老人へ意識を向ける。
(鑑定。)
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源助
年齢:57
状態:健康
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(まだ能力は見えないか。)
鑑定で分かるのは、名前と年齢、健康状態だけ。
どうやら鑑定のレベルを上げなければ、さらに詳しい情報は見られないようだ。
新九郎は画面を閉じる。
(これも鍛えれば成長するはずだ。)
◇
館へ戻る途中、宗久が口を開いた。
「新九郎。」
「はい。」
「武士にとって最も大切なものは何だと思う。」
突然の問いだった。
新九郎は少し考える。
「……民を守ることでしょうか。」
宗久は静かに笑った。
「それも大切だ。」
「だが、そのためには家を守らねばならぬ。家を守るには家臣をまとめ、領民に信頼されねばならん。」
「武だけでは足りぬということですね。」
「その通りだ。」
宗久は満足そうに頷いた。
新九郎もまた、心の中で頷く。
(この世界のシステムは正しい。)
筋力だけではなく、知恵、統率、政治、魅力。
武将に必要な力すべてが成長する。
ならば、自分は戦国最強の剣士ではなく――
戦国最高の武将を目指そう。
その決意とともに、新九郎は静かに歩みを進めた。
現在のステータス
名前:黒川 新九郎
年齢:3
レベル:2
EXP:0/150
HP:12/12
MP:12/12
筋力:2
耐久:2
敏捷:2
知恵:10
統率:2
政治:1
魅力:3
器用:4
運:5
SP:3
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【スキル】
鑑定 Lv1
・名前
・年齢
・状態(健康・負傷・病気など)が分かる
言語理解 LvMAX
剣術 Lv1
熟練度:50/100
礼法 Lv1
熟練度:25/100
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【称号】
・転生者
・唯一の成長者
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