レベルアップする戦国武将   作:沙耶王

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初めての稲葉山城

 

第五話 初めての稲葉山城

 

 弘治三年(一五五七年)晩夏。

 狩りの日から五日が過ぎた。

 新九郎の日課も少しずつ形になってきていた。

 朝は読み書きと算術を学び、知恵を養う。

 午前は礼法を学び、武家の作法を身につける。

 午後は木刀を握り、岩田源八の指導のもと剣術の基礎を学ぶ。

 夕方には村上与一のもとで小弓を手に取り、狙いを定める稽古を繰り返す。

 まだ三歳。

 どれも長時間ではない。

 しかし、毎日欠かさず積み重ねることこそが、新九郎の強さの源だった。

 夜、寝所で静かにステータスを開く。

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 【五日間の日課を完了しました】

 経験値 +25

 学問熟練度 +25

 礼法熟練度 +25

 剣術熟練度 +25

 弓術熟練度 +25

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 続いて、現在の能力が表示される。

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 名前:黒川 新九郎

 年齢:3

 Lv:2

 EXP:44/150

 HP:12/12

 MP:12/12

 筋力:2

 耐久:2

 敏捷:2

 知恵:10

 統率:2

 政治:1

 魅力:3

 器用:4

 運:5

 SP:3

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 【スキル】

 鑑定 Lv1

 言語理解 LvMAX

 剣術 Lv1 熟練度:61/100

 弓術 Lv1 熟練度:26/100

 礼法 Lv1 熟練度:58/100

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 (少しずつだが、確実に前へ進んでいる。)

 焦る必要はない。

 努力は決して裏切らない。

 そう自分に言い聞かせ、新九郎は静かに目を閉じた。

 ◇

 翌朝、黒川館へ一騎の早馬が駆け込んできた。

 「斎藤家より使者!」

 宗久は書状を受け取ると静かに目を通す。

 「義龍様より登城の命だ。」

 家老・佐久間兵庫が頭を下げる。

 「直ちに支度いたします。」

 宗久は新九郎へ向き直った。

 「新九郎。」

 「はい、父上。」

 「評定には入れぬが、稲葉山まで同行するか。」

 「よろしいのですか。」

 「ああ。控えの間で待つことにはなるが、一国の中心を知ることもまた学びだ。」

 「承知いたしました。」

 ◇

 三日後。

 宗久とともに稲葉山へ到着する。

 山麓には大きな城下町が広がり、多くの商人や旅人が行き交っていた。

 荷を運ぶ者、店先で客を呼ぶ商人、行き交う武士たち。

 黒川領とは比べものにならない賑わいに、新九郎は思わず息を呑む。

 その先には、美濃の本城・稲葉山城が堂々とそびえ立っていた。

 (これが……斎藤家の本城。)

 険しい山上に築かれた城は、まるで美濃そのものを見下ろしているかのような威容を誇っていた。

 ◇

 城門へ着くと、宗久は新九郎へ言う。

 「私はこれより評定へ向かう。」

 「兵庫、お前は新九郎を頼む。」

 「はっ。」

 新九郎は佐久間兵庫とともに控えの間へ入り、静かに待機した。

 兵庫が穏やかに話しかける。

 「若様。この部屋にも様々な身分の武士が出入りします。」

 「誰がどのように振る舞うか、よくご覧なさい。」

 「はい。」

 ◇

 新九郎は姿勢を正し、周囲へ目を向ける。

 使者。

 奉行。

 近習。

 国人領主。

 それぞれ礼の仕方も、歩き方も違う。

 身分が高い者ほど無駄な動きがなく、落ち着き払っていた。

 (同じ武士でも、立ち居振る舞いだけで違いが分かる……。)

 新九郎は一つひとつを胸へ刻み込んだ。

 ◇

 その時だった。

 「義龍様、お通りになります!」

 廊下へ鋭い声が響く。

 控えの間にいた全員が一斉に膝をつき、深く頭を垂れた。

 兵庫も小声で促す。

 「若様。」

 「はい。」

 新九郎も教わった通り背筋を伸ばし、静かに頭を下げる。

 やがて数人の足音が近づいてきた。

 一歩。

 また一歩。

 その足音だけで、場の空気が張り詰める。

 誰一人として声を発しない。

 新九郎はほんの一瞬だけ視線を上げた。

 堂々たる体躯。

 鋭く周囲を見渡す眼光。

 歩くだけで威厳を感じさせる存在感。

 (あの方が……斎藤義龍。)

 歴史に名を残す戦国大名。

 初めて目にしたその姿は、新九郎の心へ深く刻まれた。

 その瞬間、視界に青白い文字が浮かび上がる。

 

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【イベント達成】

 

『初登城』

 

初めて主君の居城へ登城しました。

 

報酬

 

EXP +15

 

知恵 +1

 

統率 +1

 

 

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 【新スキルを習得しました】

 『観察 Lv1』

 人物や周囲の状況を、より正確に把握できるようになります。

 知恵 +1

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 続いて、さらに表示が現れる。

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 【礼法熟練度 +25】

 礼法 Lv1

 58/100

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 (実際の場で礼を尽くしたから……。)

 日々の稽古だけでは得られない経験が、自分を成長させていた。

 ◇

 夕刻。

 評定を終えた宗久と合流し、一行は黒川領への帰路につく。

 山道を歩きながら宗久が尋ねた。

 「どうだった、稲葉山は。」

 「黒川にはないものばかりでした。」

 「多くの武士がおり、それぞれに役目がありました。」

 宗久は満足そうに頷く。

 「それを見抜けたなら十分だ。」

 「武士は剣だけで家を守るのではない。」

 「人を見て、世を知ることもまた力となる。」

 「はい、父上。」

 今日見た景色。

 今日出会った人々。

 そして、美濃を統べる斎藤義龍。

 そのすべてが未来の黒川家当主となる自分を育てる糧となる。

 そう確信しながら、新九郎は暮れゆく稲葉山城を静かに振り返った。




ステータス
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名前:黒川 新九郎
年齢:3
Lv:2
EXP:59/150
HP:12/12
MP:12/12
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能力値
筋力:2
耐久:2
敏捷:2
知恵:11
統率:3
政治:1
魅力:3
器用:4
運:5
SP:3
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スキル
鑑定 Lv1
言語理解 LvMAX
剣術 Lv1 熟練度:61/100
弓術 Lv1 熟練度:26/100
礼法 Lv1 熟練度:58/100
観察 Lv1 熟練度:15/100
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