ようこそ配信者ちゃんの教室へ(全年齢向け)   作:ロボっピ

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配信 その2

登録者数150人突破の配信にて_____

 

 

 

 

 

「これからも頑張っていくから応援してね。――それじゃあ、大事なお話が終わったところで、ここからは雑談配信始めるよ〜!相談、質問ある子はどんどんコメントしてね!」

 

カメラに向かってひらひらと両手を振ると、待ってましたと言わんばかりに画面のチャット欄が凄まじいスピードで動き始めた。

 

「みんな早速コメントありがとう! あ、そうそう、購買で売ってる数量限定のシュークリーム、みんなはもう食べた? エンジェルちゃんね、すっごく気になってるんだけど、いつも売り切れでまだ一度も買えたことないんだよね〜。食べた子いたら味を教えて――あ、早速スパチャが届いたよ!」

 

画面の端に、500ポイントのスパチャと共に質問がポップアップした。

 

 

[質問大好き侍]:(500pt)

正体がバレたくないのに、なんでバーチャルアバター(Vアバター)にしないの?

 

 

「質問大好き侍さん、スパチャありがとー! 『正体がバレたくないのに、なぜバーチャルにしない?』かぁ……。うん、聞かれると思った!」

 

パン、と両手を合わせて楽しげに微笑む。

 

「実はね、エンジェルちゃんも最初はめちゃくちゃ悩んでたんだ。でも、正直に言うとね? なんで正体がバレるリスクがあるのにVチューバーにならなかったかというと……単純に、私がVアバターを作れる実力がなかったからなんだよね〜(笑)。だって難しそうじゃん! その時はまだ、優秀なプロデューサーの『ピ』とも出会ってなかったしね。だからウィッグとメイクで乗り切る力技を選んじゃいました!」

 

テヘペロ、と可愛らしく舌を出してウインクしてみせると、コメント欄には納得の言葉が流れていく。

 

続いて、また別の500ポイントスパチャが画面に滑り込んできた。

 

 

[平和主義]:(500pt)

同性の男友達がほしいのですが、自分は一部の人達から嫌われてしまっているようです。どうすればいいでしょうか?

 

 

「あ〜、なるほどね! 同性の友達が欲しいのに、一部の男子から嫌われちゃう……かぁ。

ん〜、これエンジェルちゃんの完全な勘なんだけどさ。平和主義さんって、もしかして女子にモテたりしない?(笑)」

 

画面に向かって、悪戯っぽくクスクスと笑ってみせる。

 

「いい? 男子が同性から理由もなく嫌われる時ってね、だいたいは『嫉妬と劣等感』が原因なの!

たとえばさ、平和主義さんが『友達になりたいな』ってその男子達に近づくとき、周りの女子達も一緒についてきたりしてない?

男子からすればね、それって『女子を引き連れて、自分のモテっぷりを自慢しにきてる』ように見えちゃうわけ! それに、君が仲良くなろうと声をかけても、反抗する男子達の態度を見て、周りの女子から怒られたら、男子側は不満に思うよね」

 

人差し指を立てて、諭すように画面を見つめる。

 

「それに、君が優しくて正しい『いい子ちゃん』であればあるほど、周りの女子から『あんたも平和主義さんを見習いなよ』って君と比べられて、その男子達のプライドがズタズタになっちゃうんだよね。そりゃあ面白くないし、拒絶したくもなるよ〜。

だから、エンジェルちゃんからの救済アドバイス!

焦って誰にでも好かれようとしたり、無理に距離を詰めようとするのは今すぐストップ!

まずはね、極力自分からは関わらないように一歩引いて、周囲の男子達をじーっくり観察してみて? 冷静に一歩引いて見ていれば、誰がただのひがみで攻撃してくる人で、誰が本当に自分と波長が合う人なのかが、ちゃーんと見えてくるはず。そうやって、君が本当に心から仲良くなれる人を、自分の目で見極めて見つけるの」

 

「……あ! それとね? ここからが一番大事な鉄則だよ!」

 

カメラにグッと顔を近づけ、真剣な表情を作る。

 

「その『本当に仲良くなりたいな』って思える男子を見極めたら、話しかける時に、ぜーーったいに周りの女子達を引き連れちゃダメ! それじゃ、同じことの繰り返しだから、必ず『一対一』で話しかけること! 女子の目が届かない場所で、男同士、サシで話すの。

それからもう一つ、平和主義さん、周りの女子達のことも、ただ甘やかすだけじゃダメだよ?」

 

「君のことが大好きで、君の味方をするために男子を悪者にして攻撃しちゃう女子達がいたらね、そこは君が責任を持ってしっかりコントロールして、暴走を止めてあげなきゃ。

『僕のために怒ってくれてありがとう。でも、彼らを傷つけるのはやめてほしいな』って、まずは一番近くにいる女子達を優しく諭して、男子達を攻撃させないようにコントロールできるようになれば、上出来なんじゃない?」

 

 

 

 

 

[名無しの生徒]:アドバイスのキレが凄すぎて鳥肌立った

[クラスの隅のオタク]:エンジェルちゃん、心理カウンセラーか何かなの?

[匿名希望の羊]:平和主義くん、天然モテ男確定で草。でもアドバイスまじで的確だわ

[Aクラス]:これ、リアルタイムで回答してんの天才すぎるだろ……

 

 

 

 

画面の向こうの絶賛コメントを横目に、また新しいスパチャが流れる。

 

 

[裏垢男子]:(1000pt)

エンジェルちゃんの歌が聴きたい!

 

 

「おっ、歌のリクエスト? いいよー! 何がいい?」

 

 

 

 

 

[地雷チェッカー]:エンジェルちゃん絶対地雷臭がするから、闇めの『〇けの花』で!

 

 

 

 

 

「って、地雷臭って、なんだよぉ!? エンジェルちゃんは清楚で純真な天使なんですぅー! もー!」

 

 

 

 

 

[名無しの生徒]:わかるわぁww w

[匿名希望の羊]:地雷臭は否定できんww w

[クラスの隅のオタク]:その曲は解釈一致すぎる!!

 

 

 

 

「もう、みんなひどいなぁ……。でも、リクエストされたからには、完璧に歌っちゃうんだからね?」

 

スッと表情を切り替え、胸に手を当てる。

 

イントロが流れると同時に、ピの手によって画面の照明が少し落ち、エモーショナルな光の粒子が舞い散る演出が入った。

 

――そして、エンジェルちゃんが歌い出す。

 

その歌声は、普段のトークの時と同じ、天使のように可愛らしい声のままだった。けれど、音程を一つも外すことなく、どこか切なく胸を締め付けるように歌い上げる。決して本職のプロのような圧倒的な歌唱力というわけではない。それでも、キャラクターの魅力を全く崩さずにしっかりと感情を乗せて歌う彼女に、さっきまでふざけていたコメント欄の動きがピタりと止まる。

 

 

 

 

 

 

[名無しの生徒]:え……っ!?

[クラスの隅のオタク]:う、うっっっっっま!!!!

[匿名希望の羊]:キャラ声を崩さずにこの上手さはヤバい

[マスクメロン]:普通に上手くてびっくりした……聞き入っちゃう

 

 

 

 

歌い終わると同時に、画面を埋め尽くすほどの拍手の絵文字。

もちろんこれで終わるはずもなく、次の瞬間、画面が真っ赤に染まった。

最高額の『赤スパチャ』が、何個も、何個も連続で叩きつけられたのだ。

 

 

 

【¥10,000】次はアニソン歌って!!

【¥10,000】ボカロいけますか!?

【¥10,000】神すぎる!アンコール!!

 

 

 

「わわわっ!? ちょ、ちょっと待って! 赤スパが、画面が真っ赤だよ! 『次これ歌って!』って、みんな曲のリクエスト早すぎて追いつかないよ〜〜っ!」

 

大量の赤スパと弾幕のようなリクエストに、エンジェルちゃんは目を丸くしてあたふたと両手を振り回す。

しかし、すぐにいたずらっぽく不敵な笑みを浮かべ、マイクを握り直した。

 

「……って、ここでおろおろしてたら天使の名が廃るよね! よーし、みんなの熱い想い、受け取ったよ! 今夜はオールナイトライブだーー!!」

 

 

 

 

その後、宣言通りにエンジェルちゃんは二十曲ほどを全力で歌い上げ、コメント欄を大熱狂させたまま、この日の配信は終了した。

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