@白妙ミコト
今日の20時から『Pokémon Champions』をします。
ダブルバトルのランクバトルです。
パーティーはもう作ってあります。
好きなポケモンだけで戦うわけじゃないので、僕の選出に文句を言わないでください。
#ミコト観察中
↪︎ポケモンきた!
↪︎対戦やってるの意外
↪︎初見じゃないの?
↪︎どんなパーティーか楽しみ
↪︎猫ポケモンだけで戦って
↪︎ニャオハは絶対入ってるよね?
↪︎ミコトなら対戦も強そう
↪︎スト6みたいにランク上位なのかな
↪︎@白妙ミコト
猫だけでパーティーを組むとは言ってません。
ちゃんと勝つために考えました。
ニャオハはかわいいですが、今回はいません。
↪︎かわいいって認めた
↪︎ミコトも猫だから仲間?
↪︎好きなポケモンは?
↪︎@白妙ミコト
配信で見せます。
予想して待っていてください。
午後8時。
配信が始まると、ゲーム画面の横に制服姿の白妙ミコトが現れた。いつも通り猫耳と二本の尻尾を出しているが、尻尾の片方には見慣れない黄色いリボンが結ばれている。
「こんばんは。聞こえてる?」
▶聞こえてる!
▶待ってた!
▶尻尾にリボン付いてる
▶ピカチュウカラー?
▶かわいい
「リボンは今日のゲームに合わせただけ。かわいいは余計です。ポケモンの配信だから、少し雰囲気を変えようと思って付けました」
ミコトは片方の尻尾を持ち上げ、結ばれたリボンを画面へ見せる。
「本当は両方に付けようと思ったんだけど、同じ位置に結ぶのが難しかったから片方だけにした。鏡で見ると左右が分からなくなるんだよね。片方を直してる間に、もう片方がほどけるし。だから途中で諦めました」
▶十分かわいい
▶片方だけなのも似合ってる
▶自分で結んだんだ
「自分の尻尾なんだから、自分で結ぶでしょ。誰かに結んでもらう方が難しいよ。尻尾を触らせないといけないから」
▶飼い主に任せて
▶綺麗に結びます
「始まったばかりなのに、もうゲームと関係ない話をしないで。今日は『Pokémon Champions』をやります。配信では初めてだけど、ゲーム自体は配信外で少し遊びました」
ゲーム画面が切り替わり、ミコトのトレーナーが表示される。白を基調とした服装に猫耳を思わせる髪飾りを付け、全体的にミコト本人へ寄せた姿になっていた。
▶アバターもミコトだ
▶猫耳みたいな髪飾り
▶服も白い
▶何時間かけたの?
「そんなにかかってない。最初に選べる中から、一番僕に近いものを組み合わせただけだから。髪の色はもう少し白くしたかったけど、今はこれが一番近かった。衣装が増えたら変えるかもしれない」
▶ちゃんとこだわってる
▶楽しんでるね
「自分で動かすなら、好きな見た目にしたいでしょ。対戦中はほとんど見ないけど、勝った時に映るから大事です」
ミコトはメニューを操作し、使用するバトルチームを表示した。
・クチート
・リキキリン
・ガオガエン
・アシレーヌ
・モロバレル
・ガチグマ
「これが今日使うパーティーです。ダブルバトル用に作りました。基本はリキキリンでトリックルームを使って、素早さの低いポケモンから先に動かします。相手がトリックルームを警戒してきた時は、無理に使わないで普通に戦うこともできます」
▶クチートいる!
▶猫ポケモンいない
▶全体的に遅そう
▶クチートが好きなの?
「クチートを選んだのは、メガシンカした時の火力が高いからです。見た目で選んだわけじゃありません」
▶聞かれてないところまで答えた
▶好きなんだ
▶かわいいもんね
「……好きだけど、それだけで入れたわけじゃない。普通のクチートで相手の攻撃を下げてからメガシンカできるし、トリックルームの中なら先に動きやすい。タイプも優秀で、攻撃できる相手も多い。ちゃんと理由があります」
▶たくさん説明するね
▶一番好き?
「一番かどうかは決められない。ポケモンはそれぞれ違うんだから、無理に順位を付けなくてもいいでしょ。でも、クチートは昔から好きだよ。前を向いてる顔はかわ……格好いいのに、後ろに大きな口があるのがいい」
▶またかわいいって言いそうになった
▶今日は素直になろう
▶クチートと並んだらかわいい
「対戦を始めます」
ミコトは話を強引に終わらせ、ランクバトルのダブルバトルを選択した。
「今期はまだあまり対戦してないから、今日はできるところまで上げます。目標はとりあえず負け越さないこと。初めて配信でやるゲームなのに、いきなり連勝するって言って負けたら、みんながずっと覚えてそうだからね」
▶よく分かってる
▶負けたら切り抜くよ
▶何連勝できるかな
「勝っても切り抜いてください。どうして僕の失敗ばかり残そうとするの?」
マッチングが始まり、対戦相手が見つかった。
「来た。最初の相手だから、ちゃんと見せるね」
相手のバトルチームが画面に並ぶ。
・リザードン
・エルフーン
・ガブリアス
・サーフゴー
・ゴリランダー
・ミロカロス
「速いパーティーだね。エルフーンでおいかぜを使って、素早さを上げて攻めてくる形かな。リザードンはメガシンカするならどっちか分からないけど、こっちはトリックルームを通したい」
▶見ただけで分かるの?
▶選出は?
▶相手のリザードン怖い
「最初はリキキリンとガオガエン。後ろにクチートとアシレーヌを置きます。ガオガエンで相手の動きを止めながら、リキキリンでトリックルームを使う。素直に通れば、そのあとはクチートで攻めます」
残り時間を確認しながら、ミコトは4匹を選択する。
「モロバレルも使いたいけど、相手にサーフゴーがいるから少し動かしにくい。ガチグマは通れば強いけど、リザードンとミロカロスがいる。最初の試合は安定する方でいくよ」
対戦が始まる。
ミコトはリキキリンとガオガエンを繰り出し、相手はエルフーンとリザードンを選出していた。
「予想通りだね。相手はおいかぜを使いたい。でも、それをそのまま通してもいい。こっちはトリックルームで素早さの順番を逆にするから」
▶エルフーンを止めないの?
▶ねこだまし?
「ねこだましはエルフーン。おいかぜを止めたいというより、リキキリンへのちょうはつを警戒してる。リザードンは初手から大きく動かず、まもる可能性が高いと思う」
ガオガエンのねこだましでエルフーンの動きを止める。リザードンはミコトの予想通り、まもるを選択した。
「ほら、まもる。これでトリックルームが通る」
リキキリンがトリックルームを使い、空間が歪む。
▶全部当たった
▶読み通り
▶次はどうするの?
「ここでガオガエンをクチートに交代する。相手はトリックルームのターンを減らすために、もう一度リザードンを守らせるかもしれない。でも、僕はエルフーンを倒すより、リザードンへ攻撃するよ」
▶守られたら攻撃当たらないよ
▶エルフーン倒した方がよくない?
「守ると思わせて、攻撃してくる可能性もあるから。それに、エルフーンはトリックルームがある限り、今すぐ倒さなくても怖くない。相手にとって一番困るのは、リザードンを失うこと。だから守りたくなるけど、さっき一度使ってるから連続で成功する保証はない。ここで何を選ぶかを見る」
ガオガエンが戻り、クチートが戦場へ出る。威嚇によってエルフーンの攻撃が下がったが、相手の2匹はいずれも特殊攻撃を中心に戦うため、直接の影響は少ない。
「威嚇は今の2匹にはあまり意味がない。でも、後ろにガブリアスかゴリランダーがいたら交代しただけで役に立つ。こういう小さな得を重ねるのが大事なんだよ」
エルフーンがおいかぜを使う。しかし、トリックルームによって素早さの順番が逆転しているため、相手のポケモンはさらに動きづらくなった。
「おいかぜを使った。これでトリックルーム中は、もっとこっちが先に動きやすくなる」
クチートがメガシンカする。後頭部の大顎が2つに増え、画面いっぱいに力強い姿が映し出された。
▶メガクチートきた!
▶格好いい!
▶ミコト嬉しそう
▶尻尾揺れてる
「好きなポケモンが活躍するんだから、少しくらい嬉しそうでもいいでしょ。いわなだれ、当たって」
メガクチートが放った岩の攻撃がリザードンを襲う。
リザードンの体力が一気になくなり、そのまま倒れた。
「よし!」
▶一撃!
▶強い!
▶本当に倒した
▶今の声嬉しそう
「リザードンはいわ技がかなり苦手だからね。これで相手の一番大きな攻撃役を倒せた。エルフーンだけではこっちを倒せないから、かなり有利になったよ」
相手の3匹目はガブリアスだった。
「ガブリアスか。メガクチートならフェアリー技で倒せるけど、相手もそれは分かってる。素直に攻撃したら、まもるでトリックルームの時間を使われるかもしれない」
▶じゃあ隣を狙う?
▶読み合いだ
「うん。ガブリアスは守ると予想して、エルフーンを攻撃する。リキキリンはアシレーヌに交代。リキキリンはトリックルームを使い直すために残しておきたい」
ガブリアスがまもるを使い、メガクチートのじゃれつくはエルフーンへ向かった。
「合ってた」
エルフーンも一撃で倒れ、相手の残りは2匹となる。
▶また読んだ!
▶クチート強すぎる
▶ミコトも強い
「クチートが強いのは本当だけど、動かしやすい状況を作ったから強く見えるんだよ。トリックルームがなかったら、攻撃する前に倒されることもある。強いポケモンを入れるだけで勝てるなら、みんな同じパーティーを使えばいいでしょ?」
相手の最後のポケモンはサーフゴーだった。
「サーフゴーか。ガブリアスと並んだなら、どっちもクチートに強い攻撃を持ってる。トリックルームはあと2ターン。ここはクチートを守らせて、アシレーヌでガブリアスを攻撃する」
▶クチートで攻めないの?
▶倒されそう?
「ここで無理に2匹とも倒そうとしなくていい。相手が一番倒したいのはクチートだから、攻撃が集まる。だったら守らせるだけで、隣のアシレーヌが自由に動けるでしょ」
メガクチートがまもるを使う。
ガブリアスの攻撃も、サーフゴーの攻撃も、揃ってクチートへ向けられていた。
「両方こっちだったね」
アシレーヌの水の攻撃がガブリアスへ命中し、体力を大きく削る。
▶完全に読んでる
▶相手の攻撃が無駄になった
▶ポケモン対戦も上手いんだ
「まだ1試合目だよ。最後まで終わるまでは褒めないで。褒められると、勝った気になって変な選択をしそうだから」
次のターン、メガクチートがガブリアスを倒し、アシレーヌがサーフゴーの体力を削る。トリックルームは終わったが、相手に残されたのは傷ついたサーフゴーだけだった。
「ここまで来たら大丈夫。クチートが倒されても、後ろにガオガエンとリキキリンがいる。4匹残ってるから、急いで決める必要もないよ」
サーフゴーの攻撃でメガクチートの体力がなくなる。
「あっ」
▶クチート倒された
▶悲しそう
▶仇を取ろう
「悲しくない。役目は十分に果たしたから。リザードンとエルフーンとガブリアスを倒したんだよ? これ以上を求めたらクチートが大変でしょ」
▶優しい
▶好きなの隠せてない
「ポケモンを大事にするのは普通です」
ミコトはガオガエンを繰り出し、最後はアシレーヌとの集中攻撃でサーフゴーを倒した。
・WIN
「勝った!」
▶初戦勝利!
▶おめでとう!
▶選出から全部上手かった
▶解説分かりやすい
▶クチート大活躍!
「うん。クチートがちゃんと活躍できたのが一番よかった。最初にトリックルームを通せた時点で有利だったけど、相手がどこで時間を稼ごうとするかも分かりやすかったからね」
勝利によってVPを獲得し、ランクのゲージが伸びる。
「VPももらえた。これはポケモンを仲間にしたり、育てたりする時に使うから、もっと集めたい。使いたいポケモンがまだ何匹もいるんだよね」
▶次は猫パーティー作ろう
▶ニャオハを育てて
「猫パーティーは勝てる形を思いついたら考える。でも、見た目だけで6匹を決めるのは嫌だよ。せっかく使うなら、それぞれに役割を持たせたいから」
すぐに次のマッチングを始める。
2戦目の相手は、先ほどとは違って耐久力の高いポケモンが多いパーティーだった。
「今度はトリックルームを使われる側かもしれない。相手にも遅いポケモンが多いから、何も考えずにトリックルームを使うと、向こうを助けることになる」
▶同じパーティーでも戦い方が変わる?
▶クチートは出す?
「変えるよ。6匹全部を毎回使えるわけじゃないから、相手の6匹を見て、どの4匹なら一番動きやすいか考える。クチートは……出したいけど、今回は少し厳しいかもしれない」
▶好きなポケモンを信じて
▶クチート見たい
「好きだからって、苦手な相手ばかりの中へ出す方がかわいそうでしょ。今回は休ませます。僕は勝つために対戦してるから、そこはちゃんと決めるよ」
2戦目はガオガエン、モロバレル、アシレーヌ、ガチグマを選出した。
先ほどとは異なり、相手の攻撃を受けながら少しずつ有利な位置を作る戦いになった。ガオガエンで相手の攻撃力を下げ、モロバレルで攻撃を引きつけ、その隙にガチグマが力を発揮できる状態を整えていく。
「相手はガチグマを倒したいけど、モロバレルが攻撃を引きつけてるから簡単には触れない。ここで無理にガチグマを動かさず、まもるを使うよ」
▶攻撃しないの?
▶倒せそうなのに
「倒せそうな時が一番危ないんだよ。相手も、ここでガチグマを止めないと負けるって分かってる。だから大きな攻撃を使ってくるはず」
ガチグマがまもるを使った直後、相手の2匹が攻撃を集中させる。
「やっぱりね。このターンは攻撃できなかったけど、相手の狙いが分かった。次はガチグマをガオガエンに交代して、モロバレルで相手を眠らせる」
▶すぐに攻撃しないんだね
▶スト6の時と似てる
「少し似てるかも。相手が何をしたいのか考えて、その行動が一番強くなる瞬間をずらす。自分の技を押しつけるだけじゃなくて、相手の選択を利用できた方が楽しいんだよね」
ミコトの読み通りに試合が進み、最後はアシレーヌの全体攻撃が相手の2匹を同時に倒した。
・WIN
「2連勝!」
▶強い!
▶全然違う戦い方だった
▶説明しながら勝てるのすごい
▶もうポケモンも上位勢?
「まだ2回勝っただけ。すぐに上位勢って言わないで。僕より上手い人はたくさんいるし、知らない組み合わせもいっぱいあるから。ただ、対戦ゲームは好きだよ。相手が何を考えてるか分かった時が一番気持ちいい」
▶負けず嫌いだから?
▶どのゲームでも読み合いが好きなんだ
「負けず嫌いなのは認める。でも、勝つことしか楽しくないわけじゃないよ。負けても、自分が知らなかった戦い方を見せられたら面白い。次に同じことをされた時、どう返すか考えられるから」
3戦目のマッチングが始まる。
「次も勝ちたいけど、そろそろ簡単にはいかないと思う。連勝すると強い相手と当たりやすくなるからね」
相手のバトルチームを見た瞬間、ミコトの表情が少しだけ固まった。
「……このパーティー、強そう」
▶珍しく弱気
▶何が危ないの?
「選択肢が多い。速く攻めることもできるし、トリックルームも使える。どっちで来るか、今の時点では決めきれない。こういう相手が一番難しいんだよ」
選出時間が減っていく。
ミコトは何度も相手の6匹を確認し、自分のポケモンを入れ替える。
「待って。最初はリキキリンとクチートにしようと思ったけど、それだと相手のこの並びがきつい。ガオガエンから入って様子を見る。隣はアシレーヌ。後ろにリキキリンとクチートを置く」
▶結局クチートは入れるんだ
▶好きだから?
「後半なら動かしやすいと思ったからです。好きだからじゃありません」
▶両方でしょ
「……両方でもいいでしょ。もう時間がないから決定するよ」
3戦目が始まる。
序盤から相手の交代と守りに翻弄され、ミコトはなかなか思い通りに攻撃できなかった。
「上手いな、この人。こっちが攻撃したい方を毎回下げてくる。しかも、交代した先でも攻撃を受けられるようにしてる」
▶苦戦してる
▶頑張れ!
「大丈夫。まだポケモンの数は同じだから、焦らなくていい。相手はずっと正しい交代をしてるように見えるけど、交代したターンは技を使えない。こっちはその間に少しずつ準備できてる」
ミコトはリキキリンを場へ出し、トリックルームを使う。しかし、相手もそれを読んでおり、トリックルームを解除する技を重ねてきた。
歪んだ空間が、すぐに元へ戻る。
「……返された」
▶相手も読んでた
▶すごい試合だ
「相手は最初から、僕がどこかでトリックルームを使うと思ってたんだろうね。さっきまで使わせないように動いてたのも、このタイミングで重ねるためだったのかもしれない」
ミコトの尻尾の動きが止まる。
「でも、今ので相手が持ってる技は分かった。次は同じことをされないよ」
相手の攻撃でリキキリンが倒され、ミコトは先に1匹を失った。
「クチートを出す。トリックルームはないけど、相手の場にいる2匹なら素早さは負けてない。ここでメガシンカして、右を攻撃する」
▶左じゃないの?
▶体力が少ない方は左だよ
「左はまもる。さっきから、体力が減ったポケモンをすぐに倒させないように動いてるから。僕に左を狙わせて、その間に右でクチートを倒したいんだと思う」
相手の左側のポケモンがまもるを使う。
「合ってる!」
メガクチートの攻撃が右側へ命中し、一撃で倒した。
▶読んだ!
▶一気に同数!
▶クチート格好いい!
「これで3対3。まだ分からないよ」
相手は次のポケモンを繰り出す。
そこからは、1ターンごとに倒すか倒されるかが決まる激しい展開となった。ミコトは技を選びながらもほとんど話さなくなり、相手の残り時間とポケモンの体力を見比べている。
最後に残ったのは、ミコトのメガクチートと相手のポケモンだけだった。
どちらも次の攻撃を受ければ倒れるほど体力が減っている。
▶最後の1匹同士
▶素早さはどっちが上?
▶頑張れ!
「素早さは相手。でも、相手はクチートを一撃で倒せる技を持ってるはず。普通に攻撃したら負ける」
技の選択画面で、ミコトはふいうちにカーソルを合わせた。
「だから、先に攻撃する」
▶ふいうち!
▶相手も読んでそう
「うん。相手が変化技を使ったら失敗する。でも、相手も体力が少ないから、クチートの攻撃を受ける余裕はない。僕がふいうちを使わないと思って攻撃するか、ふいうちを警戒して別の技を使うか。最後は読み合いだね」
残り時間が減っていく。
ミコトは一度カーソルを別の技へ動かし、すぐにふいうちへ戻した。
「変えない。ここまでクチートで来たんだから、最後も信じる」
技が決定される。
メガクチートが相手より先に動いた。
「お願い!」
ふいうちが命中し、相手の最後のポケモンの体力がなくなる。
・WIN
一瞬の静寂のあと、ミコトの二本の尻尾が勢いよく持ち上がった。
「勝った!」
▶勝った!
▶3連勝!
▶最後のふいうち格好よかった!
▶すごい試合だった
▶クチートを信じて正解だった!
「危なかった……。相手が攻撃しない選択をしてたら、たぶん負けてた。でも、あの状況なら攻撃してくると思ったんだよ。クチートを倒せる時に倒さないと、次のターンは向こうが耐えられなかったから」
▶手震えてない?
▶緊張してた?
「少しだけね。技を決めたあとは何もできないから、見てるしかなかった。スト6なら最後まで自分で操作できるけど、ポケモンは選んだ技が正しいか、結果が出るまで分からない。その時間が怖いけど、面白い」
勝利画面からランクの表示へ切り替わる。3連勝によってゲージが大きく伸び、ランクが1段階上昇した。
「ランクも上がった!」
▶昇格おめでとう!
▶初配信で3連勝!
▶ポケモンも上手かった
▶クチートもミコトも格好いい!
「そう。今日は最後まで格好いいで終われそうだね」
▶リボン付けた尻尾はかわいい
▶勝った時の反応もかわいかった
「どうして最後に付け足すの!」
▶今日もかわいかった
▶クチートとお揃い
▶好きなポケモンで勝ててよかったね
「……それは、よかったけど」
ミコトは片方の尻尾に結んだ黄色いリボンへ触れ、ほどけていないことを確認した。
「好きなポケモンが活躍すると、普通に勝つより嬉しいね。パーティーを考えてる時は、クチートを外した方が安定するかもしれないって何度か思ったんだけど、残してよかった」
▶好きだから入れたんじゃないって言ってたよ
「好きなだけじゃないって言ったの。ちゃんと強いし、役割もある。その上で好きなんだから、一番いいでしょ」
▶素直になった
▶クチートへの愛を語る猫又
「愛を語ってない。活躍したから褒めてるだけ」
再びランクバトルの画面を開き、ミコトは次の対戦を探そうとする。しかし、時刻を確認すると手を止めた。
「もう3時間近くやってる。3試合しかしてないのに、思ってたより時間が経ってるね。パーティーの説明を長くしすぎたかな」
▶分かりやすかったよ
▶もっと見たい
▶次もやって
「僕もまだやりたいけど、今日はここまでにします。今の試合で綺麗に終われたから、このあと負けて機嫌が悪くなる前にやめた方がいい」
▶負けると思ってる?
▶連勝続けよう
「勝てると思ってても、負ける時はあるよ。それに、僕は一回負けたら取り返すまでやめられなくなるから。今から始めると、朝まで終われないかもしれない」
▶負けず嫌い
▶配信外で潜りそう
「配信を切ったあとに続けたら、みんなに見つからないでしょ」
▶やる気だ
▶ランクを確認しておくね
「確認しなくていい! 次の配信でランクが上がってても、少し練習しただけだからね」
▶少しで済むかな
▶次は別のパーティーも見たい
「別のパーティーも作りたい。今日はトリックルームを中心にしたけど、次は速いポケモンを使って、最初から攻める形も試してみたいな。VPも増えたから、新しく仲間にできるポケモンを見ながら考えます」
ミコトはゲーム画面を閉じ、配信終了用の画面へ切り替えた。
「今日は『Pokémon Champions』のランクバトルを見に来てくれて、ありがとうございました。3戦して3勝。ランクも上がったし、クチートも活躍したから、最初の配信としては完璧だったと思う」
▶全部勝った!
▶次回も楽しみ
▶目指せ最上位!
▶お疲れさま!
「最上位は簡単に言わないで。目指すならちゃんとパーティーを考えて、もっと対戦しないといけないから。でも、途中で諦めるつもりもないよ。やるからには、行けるところまで行きたい」
二本の尻尾が自信を表すように大きく揺れる。
「次までに、今日の3試合を見直しておきます。勝った試合でも、もっと安全に動けたところはあったと思うから。みんなも暇だったら、アーカイブでもう一度見てね。僕の読みが当たったところだけ切り抜いてもいいよ」
▶外れたところは?
▶クチートを出すか迷ってたところは?
▶かわいいところも切り抜くね
「当たったところだけって言ったでしょ! 特に最後のふいうちは絶対に入れて。あそこが今日一番格好よかったから」
▶分かった
▶尻尾が跳ねたところまで入れる
▶リボンも映しておくね
「もう好きにして。勝ったことが分かれば何でもいいです」
ミコトは少し頬を膨らませながらも、満足そうに笑っていた。
「それじゃあ、今日は終わります。次の配信にもちゃんと来てね。おやすみ」
▶おやすみ!
▶3連勝おめでとう!
▶次も応援する!
▶クチートとミコトかわいかった!
「だから、最後は格好いいで終わって!」
最後までリスナーへ言い返しながら、白妙ミコトの初めての『Pokémon Champions』配信は終了した。