槍の聖女の軌跡を超えて   作:アマシロ

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最後ノ試シと、士官学院祭2日目

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『《起動者》候補ニ告ゲル─――コレナルハ“巨イナルチカラ”の欠片。手ニスル資格ガ汝ニアリシカ『最後ノ試シ』ヲ執行スル―――』

 

 

 

 

 異界のような旧校舎第7層、その最深部にあったのはローエングリン城にもあった宝玉、それと同じようなものがはめ込まれたゲート。

 

 

 

 

「巨いなる力……!? 手にする資格って、一体どういうことだ!?」

「気を付けて、取り込まれます!」

 

 

 

 

 

 

 景色が歪み――――私たちは気づけば、異界の戦場へいた。

 無数の剣、槍が突き立つ、その場所こそは。

 

 

 

 

「風が泣いている……」

「なんだろう。なんでこんなに――――」

 

 

 

 

「気を確かに! 来ます!」

 

 

 

 

 そうして現れたのは巨いなる力の影、ロア・エレボニウス―――。

 

 

 

「これが“最後の試し”だ――――俺たちの全力をもって、あの巨大な影を撃破する!」

「「「「おおっ!!!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 ゲーム的には遅延が通るからそう怖い敵でもないんだけど―――デカい! 速い!

 現実に出てきていいタイプの敵じゃないぞこれ!?

 

 

 

 

 

「――――固いっ!?」

「くっ!」

 

 

 

 

 真っ先に飛び出したフィーの攻撃は動くまでもなく弾かれ。巨体に見合わぬ素早さで振り回される長い腕と爪にラウラが吹き飛ばされる。

 

 

 

 

 

「―――ガーちゃん!」

 

 

 

 

 追撃はさせじとミリアムのアガートラムがバリアで防ぐが、それでも防ぎきれずにじりじりと下がる。クロウの双銃が乱れ撃たれ、マキアスもショットガンを放つが手応えなし。

 

 

 

 

 

「―――神気、解放――――業炎撃!」

 

 

 

 

 “鬼の力”を宿したリィンさんが切りかかり――――僅かに表面を削る程度。

 エマの魔女の力の剣も弾かれ、ガイウスとユーシスが脚部の関節を狙うがそこも手応えなし。

 

 ならば、とアリサの矢で目くらまししてもらいつつシュトルムランツァーで突撃。

 

 

 

 

 

(――――固いっ! ゼムリアストーン並…!)

 

 

 

 

 凄まじい衝撃にギリギリとゼムリアストーン製のランスが悲鳴を上げるが、それならばとアルティウムセイバーで表面を切り裂く。

 

 

 手ごたえは――――ある。

 だが霧を切り裂いたかのようなもので、欠けたそばから埋もれていくようにも思える。

 

 

 

 

 だが、ARCUSでつながった仲間たちがその隙を作らない。

 

 

 

 

「合わせろ!」

「くっ、一々命令するんじゃない!」

 

 

 

 なんだかんだと言いつつも完璧なコンビネーションで攻撃を繋ぐユーシスとマキアスが。

 

 

 

「行くよ…!」

「うむ!」

 

 

 

 

 Ⅶ組最強アタッカーコンビであるフィーとラウラの力を合わせた一撃が傷を広げ。

 

 

 

 エリオットとエマの放つアーツがその傷を更に大きくし。

 

 アリサにマキアス、クロウが途切れずに射撃を入れ。

 仲間たちの道をミリアムのアガートラムとガイウスの槍が守り。

 

 

 

 

 

 

「リィンさん!」

「――――ああ!」

 

 

 

 

 

「―――我は鋼―――全てを断ち切るもの!」

「八葉一刀流、七の型――――――!」

 

 

 

「「――――双覇、十文字斬りッ!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

『コレニテ『最後ノ試シ』を終了スル――――《起動者》ヨ、心セヨ――――コレナルハ、巨イナルチカラの欠片―――――世界ヲ呑ミ込ム焔ニシテ顎ナリ――――』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

「だ、大丈夫…!?」

「しっかりしなさい!」

 

 

 

 

 聞こえてくるトワ会長と、サラ教官の声。

 

 

 

 

「ここは、元の場所か…?」

「委員長、さっきの出来事は……」

 

「恐らくは何かの“幻視”、現実の出来事ではなかったんでしょう。ですが、私たちが“試練”に打ち克ったのは確かです――――教官たちがここに居るのが、何よりの証拠でしょう」

 

「もしかして、“異変”が収まった?」

 

「えへへ、うんっ! 鐘の音も完全になくなったし、あの障壁もなくなったよ!」

 

 

 

「そうか、良かった……これで明日の学院祭を中止にしなくて済みますね」

「―――それは無理ね」

 

「「「ええっ!?」」」

 

 

 

「サラ教官、今の時刻は?」

「ふふっ、現在の時刻は0時20分ね。学院長の言いつけもあるし、今日はもう帰って寝なさい。本番はあくまで“今日”の午後のステージでしょう?」

 

 

「ふふっ、それじゃあシャワーでも浴びて早めに――――ええっ」

 

 

 

 

 

 

 

 振動音と共に、封じられていた巨大な扉が開き――――その中にあったのは――――膝をついて鎮座する騎士人形だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 士官学院祭2日目!

 母様が! 私服で! トールズに!

 

 なんというかやっぱり槍の聖女様も伯爵家の令嬢だったんだなって……。

 母様の鎧姿じゃない服装とか私でも殆ど見たことないもん。美人だわ。

 

 

 

 

 みんなの身内も遊びに来てるみたいで。

 アルゼイド子爵を見て何やら母様が満足気でした。さすが<光の剣匠>。お眼鏡にかなったみたい。

 

 

 

 

 

 まあそんなことよりも!

 母様と《星の庭園》をお散歩して、二日連続で東方喫茶《雅》を堪能。みっしぃパニックの最高得点は母様がパーフェクトで塗り替えた。ふふっ、流石母様。

 

 

 

 

 

 Ⅰ組の古典劇も悪くはなかった……いや素直に興味なくても楽しめる素晴らしい出来だったと思うけれど。

 

 我らⅦ組も負けてはいられない。

 

 

 

 

 あと陣中見舞いに、アンゼリカ先輩が来てくれました。ドレス姿で。

 この人ナチュラルにセクハラ決めてくるからなるべく近寄らないようにしてるんだけどね。リィン君ガード!

 

 フィーが不覚を取ってたけどそれは陣中見舞いに心動かされたからなのか舞台のことで緊張してたからなのか。まあどっちにせよ見てる分には可愛い。

 

 

 

 

 

 

 というわけで、舞台が始まってしまえば後は流されるまま。

 流れとしてはマキアス・ユーシスのコンビ、エマを中心にフィーとミリアムの3人、そして私を中心にフィーとミリアムの3人、そしてアンコールでまたエマが頑張る形である。

 

 

 

 

 

 

 観客席で微笑む母様の笑顔……うーん、最高!

 

 

 

 

 

 なんか……ん? 歓声が凄い……。

 まあいいや。気分がいいので今日はファンサしていこう。

 

 イェーイ! オリヴァルト皇子、見てる~!?

 ひゃっほう! アルフィン殿下だぁ!

 

 母様最高! 母様最高!

 

 やっほー、デュバリィ発見! アイネスとエンネアまで!

 

 

 

 笑顔や手を振るだけで歓声が上がると最高ですね。もちろん歌もダンスも抜かりはないけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして鳴り響くアンコールの声。

 やっぱりクロウ、仕込んでたんじゃない?

 

 

 

 

『皆さん――――ご声援ありがとう。アンコールにお応えして4曲目、いかせてもらいます』

 

 

 

 

 そしてそこからは我らがエマ委員長の独壇場。

 あのヴィータ姉さまの妹分というのも伊達ではない歌とパフォーマンス。

 

 

 

 

 

 

 

 

 皆で声を合わせてアンコールを歌い切った後は燃え尽きたけど。楽しかった。

 

 

 

 

 

 そして、無事にというかなんというか。

 在校生、来場者による投票の結果。Ⅶ組のステージが1位になりましたー!

 

 よかった。これで取れなかったら私のせい(原作だと取れてたから)だから割とガチ目に凹んだと思う。

 

 

 

 

 そしてこの後は後夜祭。

 キャンプファイヤーを囲んで踊るのだとか。……母様とも踊れる!?

 

 

 

 

 かがり火を囲んで、母様と踊って。

 ふっ、私はもう満足だ……。

 

 

 ええぃ、男子ども寄ってくるな!

 女性陣も!?

 

 

 

 くっ、母様に似てるっていうのは最高に嬉しいけどこういう時は不便と言うかなんというか………。

 

 

 

 

 

 

「――――ライナ」

「あれ、リィンさん。エリゼさんはいいんですか?」

 

 

 

 

「ああ。そのエリゼに背中を押されちゃってさ。……俺と踊ってくれないか?」

「……私とですか?」

 

 

 

「ああ。……ダメかな?」

「……仕方ないですね。リィンさんだけ、特別ですから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 というわけで、ダンスである。

 簡単なステップだけど、さすが八葉一刀流の中伝というか。体幹も足さばきも文句なし………あと顔が近い。

 

 まあでも、なんというか。

 偶にはこういうのも悪くはない、かも。しれない。

 

 

 

 

 

 そんなわけで無事に踊り終えて。

 なんとなく二人で並んで座る。

 

 

 

 

 

「――――ありがとう、ライナ」

「な、なんですか急に」

 

 

 

「あの日、入学式の日にライナと出会ってから―――畏れていた“力”と少しは向き合えて、その分だけ自分に自信を持てるようになったと思う。ライナ、いつも気を配ってくれていただろう?」

「…………」

 

 

 

 

 うっ。まあそうなんだけど直球で言われるとなんだか恥ずかしい…。

 な、なんて返せばいいの!? 答えは“沈黙”でいい!?

 

 

 

 

 

「――――だから、ライナさえ良ければ。俺もライナの力にならせてくれないか」

「え」

 

 

 

 

 

 思わずリィンの顔を見つめると、ちょっと困ったような顔でリィンは言った。

 

 

 

 

 

「最近、何か悩んでいるだろう?」

「…………こ、心当たりが多くてどれのことだか」

 

 

 

 

 いやまあ一番の悩みはこの後の内戦――――そこでどう動くべきかなんだけど!

 《結社》の一員として動くのか、《Ⅶ組》の一員として動くのか――――どちらを選んでも誰かを裏切ることになるのでは、という懸念は正直なところある。

 

 

 

 

 

「俺なんかじゃ役に立たないかもしれない―――いや、こういう言い方は良くないか。俺だけだと正直力不足なことも多いと思う。けど、Ⅶ組の皆で力を合わせれば――――“俺たち”なら、君の力になれるんじゃないかと思う」

 

 

 

 

 

 そっと私の手に重ねられたリィンの手の温もりが伝わってくる。

 

 

 

 

 

 

 

「……覚えておきます――――ありがとう、リィン」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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