ガレリア要塞、跡地――――。
そこにたどり着いたリィン達は、罠を仕掛けて待ち伏せていた《西風の旅団》のゼノとレオニダスの二人と邂逅し。
「―――――くっ!」
「なかなかやるやないか!」
「想定以上の速さと技量だ―――」
神気を解放したリィンが、導力地雷をわざと踏み抜いて味方が踏まないように処理しつつゼノとレオニダスと斬り合う。同時に戦術リンクを繋いだフィーがフォローに回り持ち前の瞬発力と銃撃で援護するが、目まぐるしく動く戦況にマキアスとエリオットは援護の隙を見いだせずにいた。
「ダイナストスパイク―――!」
「――――螺旋撃! 裏疾風!」
レオニダスの持つ武装、その巨大なパイルバンカーに対してリィンは《螺旋》の動きで力の軸をズラすことで地面に暴発させてカウンターの一撃を叩きこみ。そのままの勢いでレオニダスの放つ罠をかたっぱしから斬りまくっていく。
いやリィン君つっよ。
まだ西風の二人も本気ではなさそうだが、リィン君もまだまだ余力を残している。
「ほな、いくで―――――ジェノサイドレイン!」
「シルフィードダンス!」
雨のように降り注ぐ罠をフィーの銃撃が撃ち落とし。
その破壊の嵐の中をリィンが突っ切っていく。人外じみた反射神経―――いや、動きを完全に“見切って”いるのだろうか。
まるで弾丸の雨が勝手に避けていくかのように錯覚するリィンの動きに、ゼノの額に汗が浮かぶ。
「嘘やろ―――!」
「はああああっ! 斬ッ!」
辛うじてブレードで防いだゼノだが、大きく吹き飛ばされ。
レオニダスもマキアスの援護射撃にトヴァルの高速アーツ、フィーの攻撃で足止めされて実質1対1。
うおおおリィン君いいぞー! やれー!
とガレリア要塞の壁の上から観戦していたらいいところで領邦軍の機甲兵部隊が到着。
恐らく第四機甲師団を側面から攻撃しようとしていたのだろうが、そこにリィン達が偶然居合わせた格好である。
幸いと言っていいことに、ゼノとレオニダスは巻き込まれてはたまらないとばかりに退避してくれた。
「来い―――灰の騎神《ヴァリマール》!」
というわけで颯爽登場ヴァリマール。
並みの飛空艇なんて目じゃない速度で空を翔け、堂々と着地。
『なっ……!?』
『は、灰色の――――騎士人形!?』
『馬鹿な……どうしてこんなところに現れる!? まさか、貴様たちは―――』
見せてもらいましょうか、今のヴァリマールの実力を――――と思っていたのだが。
『お、おのれ小癪な! ――――行くぞ、我らが誉れ高き
『『はッ!』』
数、多くない…?
6機ものドラッケンがわらわらと近寄ってくるが、リィンは冷静に包囲される前に側面の敵を叩く―――振り上げようとした腕を押さえ、コクピットの部分に破甲拳を一撃。パイロットを気絶させて剣を奪い取ったかと思うとそのままの勢いで二体目、三体目と撫で斬りに。
それでもなんとか数で押そうとする機甲兵部隊だが、完全にリィンに動きを見切られて反撃の“斬月”を叩き込まれる。
うわー、なんか相手が可哀想になってきた。
と思ったところでARCUSが共鳴しはじめる。
ああ、準起動者のアレね……絆ポイントが一番高い子がリィンのサポートをするんだっけ。………ん?
リィンの動きが乱れる。
いやちょっ。前! リィン前!
『――――ライナ!? ライナなのか―――!?』
――――アングリアハンマー!
ヴァリマールの霊力によって強化された迸る雷鳴に撃たれて一時的に全てのドラッケンが停止する。
……いや我ながらかなり無法だなこれ……騎神にはたぶんそんなに効かないだろうけど。
そして私はクールにする余裕もなく去るぜ……。
母様リスペクトで意味深に背中を向けて少し歩いたところで転移。
(……裏切られても絆ポイントは減らないとか、リィン君律儀すぎでしょう)
……まあそのくらいで好感度が下がるくらいならクロウとの関係も無かったか…。
と、ちゃんと第四機甲師団も到着したようだし大丈夫そう。よかったよかった。
………なんか機甲兵部隊が逃げることもできずに立ち往生しているところに一方的に砲撃されまくって壊滅してるように見えるけど……私は悪くないもん! 何も見てない!
―――――――――――――――――――――
貴族連合旗艦、パンタグリュエル――――。
「と、いうわけでリィンさんが敵をばっさばっさとなぎ倒して大活躍でした」
「まぁ、そんなに凄いのね! その《灰の騎神》というのは」
「《灰の騎神》もそうですが、リィンさんの操縦がまた凄くてですね……」
「うーん、これはエリゼに手強いライバルができちゃったかしら」
「さすがに《灰の騎神》といえどリィンさんにとってのエリゼさんには代えられないと思いますけど……」
「あらあら」
―――――――――――――――――――――――
ガレリア要塞、演習場―――。
「リィン、本当なの? あの場所にライナがいたって」
「ああ、間違いない……確かに感じたんだ」
『あのヴィータが姉代わりで、結社の使徒の娘って……どう考えても仲良くできそうな気がしないんだけどね』
「それでもライナは俺たちⅦ組の仲間だ。……それに、さっきも助けられた」
『お姫様も攫われたのに?』
凄まじい威力の戦技―――ヴァリマールの霊力との相乗効果もあるのだろうが、機甲兵部隊を纏めて行動不能にするのは相変わらずというか何というか。
「今のユミルに殿下を守るだけの“力”がないのは悔しいけど事実だ。……アルフィン殿下も、ライナが付いていてくれれば安心だしな」
「いざとなれば殿下を連れ帰ってくれるかもだもんね」
『ふーん、まあいいけど。そう上手く行くかしら』
そうしてリィン達はクレア大尉と合流してユミルに戻り―――次なる地、ノルドでの戦いに備えて英気を養うのだった―――。