槍の聖女の軌跡を超えて   作:アマシロ

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手配魔獣戦

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――手配魔獣との戦い!

 

 

 ライナがいると戦いにならないから見学しててくれと言われる!

 ひどい……仲間外れ良くない……。

 

 

 

 いやまあ、マキアスとユーシスが戦術リンクを試すためにはグランドクロスしない必要があるから仕方ないんだけどね。

 

 そんなわけで離れて応援していたら案の定途切れる戦術リンク。戦闘後、完全に魔物が死んでないのに喧嘩を始めるマキアスとユーシス。何か忘れている気がするなぁ、と思ったら魔獣が再び起き上がる。

 

 

 

 

「――――リィン!」

「―――くッ」

 

 

 

 

 位置的にリィンしか届かない。

 そういえばこんなイベントあったわ―――。

 

 マキアスとユーシスを庇って攻撃を受けるリィン。それ以上の攻撃を防ぐため素手で手配魔獣フェイトスピナーをかち上げ、そのまま八つ当たりグランドクロスを叩き込む。

 

 いやほんと閃の軌跡の細かいところ結構忘れてるわ……ダメだ気を付けないと。幸いリィンは軽傷っぽいけど。

 

 

 

 

 

 

「だ、大丈夫か!?」

「いや、すまない俺も迂闊だった」

 

 

 

 

 リィン君はさぁ……ほんとそういうところだよ。

 自己犠牲を厭わないところはある意味で好感が持てるけれども。本当に仕方ないとなったら自分のことを犠牲にして仲間を守る――――その結末を、私は知っているから。

 

 さすがに気まずそうなマキアスとユーシスをよそに、エマが治癒魔術?を使ってリィンの傷を癒してくれる。

 

 でもリィン君はしばらく休んでいるように。

 前衛はもちろん私が行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

「……傷の方はどうだ?」

「その、痛むようなら移動速度を少し落とすか?」

 

 

 

 

「はは、そんなに気を遣う必要はないって――――」

 

 

 

 

「――――さあ、耐えてみなさい! 聖技――――グランドクロスッ!」

 

 

 

 

 

 ちゅどーん、と景気のいい音とともに魔獣がセピスに変わる。

 

 

 

 

 

「――――痛みもほとんど感じない。委員長の手当ての仕方がよっぽど良かったんだろうな。ライナのお陰で魔獣も近づいてこないし」

 

 

 

 

 

 ふんす、と馬上槍を振り上げるライナの威嚇に、近くにいた魔獣たちは蜘蛛の子を散らすように逃げ去っていく。

 おおー。と感心したようにフィーはそれを眺めていた。

 

 

 

 

「今宵の私はグランドクロスに飢えています」

「まだお昼過ぎだけど」

 

 

 

「今の私は飢えています……」

「……それ、ただお腹すいてるだけじゃ」

 

 

 

「グランドクロスりすぎました」

「メイドさんに頼んだら持ってきてくれたり?」

 

 

 

「しそうですけど、流石にデュバリィに悪いかなぁって……。けっこう忙しいんですよ、デュバリィ」

「忙しいのに泡立て器は呼ぶんだ……」

 

 

 

 

「あの時は気配が近くにあったので」

「……割と過保護?」

 

 

 

「そうかもしれません」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなことを話しながら手配魔獣討伐の報告のため、オーロックス砦に到着。

 改修され、近代化した砦に驚くユーシスをよそに、新主力戦車アハツェンを満載した貨物列車が入ってくる。

 

 報告をした砦の領邦軍の人もユーシスに畏まりつつも「いつまでも正規軍の連中の好き勝手にさせませんよ!」と自信ありげな様子。

 

 

 

 

 うん。原作プレイしてる時は気にしてなかったけど内乱フラグがバリバリに立っていたんだね。

 

 

 

 

 

 オーロックス砦から離れて、領邦軍の軍備増強に憤るマキアスに「これが今の帝国の現状だ」と告げるユーシス。

 内乱、かぁ……。

 

 

 

 私も身の振り方を今から考えておかないといけない。

 

 

 

 

 

 母様も、ヴィータも、多少のやんちゃは笑って見過ごしてくれるだろうけど。

 <結社>と貴族連合の関係、ユミルの襲撃事件―――。

 

 

 ……まあ、このまま行けば母様たちとは敵対することになる、のかなぁ?

 使徒でも執行者ですらない、私になにか責任があるわけでもないんだけど。

 

 最終目標は原作のノーマルエンドを阻止してリィンが無事なルートを確保すること。

 そのためにはⅦ組としてある程度信頼関係は欲しくて。でもあれだけ優しくしてくれている母様と戦う気にもなれなくて。

 

 

 

 

 いや、良くない良くない。

 中途半端なのが一番良くない。

 

 要は自然な流れでリィンたちに合流できればいいのだ。

 少なくとも内戦終結から2年くらいは動きはないわけだし。

 

 オズボーンにマークされないようにできるだけ大人しくして、できれば第Ⅱ分校に紛れ込めればなおよし。

 

 細かいところは忘れてるから高度な柔軟性を保ちつつ臨機応変に対応しましょう。

 

 

 

 

 

 そうこうしているとサイレンが鳴り響き、アガートラムに乗ったミリアムの姿がチラ見えするが。オーロックス砦に一体何の用事だったのだろう。割と真剣に謎である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 街に戻ると、ユーシスに冷たい態度のアルバレア公と遭遇したり。ついでの課題として受けていたピンクバスソルトを納品したりしたが――――ユーシスゆかりのレストランで美味しい食事をご馳走になり。

 

 今日一日あったこと、貴族派と革新派の対立から始まる諸般の問題を振り返っているとなんでか現れるブルブラン。なんでいるんだブルブラン。

 

 

 

 

 

「おお、青春の悩みとはかくも美しく尊いものか――――」

「ブルブラン、邪魔なので帰って下さい」

 

 

 

「フム。キミのそういったところは本当に御母堂によく似ている」

「そうですか? ありがとうございます。褒めてもグランドクロスしか出ませんが」

 

 

 

 

「……えーと、知り合い、なんだよな?」

 

 

 

 

 微妙な顔のリィン君だが、こんなのと仲間だと思われたくない。

 知り合いだと思われたら恥ずかしいから話しかけないで下さいというヤツである。

 

 

 

 

「他人に迷惑を掛けないと生きられない宿命を背負った面倒な大人です」

「直截すぎるが否定はできんね。“美”のためならば、どのような宿業も背負う覚悟だよ」

 

 

 

 

「とりあえず邪魔なので帰って下さい」

「アルバレア公は趣味人と聞いたが、近ごろは火遊びに夢中のよう――――」

 

 

 

 

「仕方ないです。無視して話を進めましょう」

「い、いいのか…?」

 

 

 

「まあ残り1日、せいぜい頑張って美しいものを見せてくれたまえ。成長の美となるか挫折の美となるかは、君たち次第だが」

 

 

 

 

 

 

 

 なんでブルブランが実習の残り日数を知っているかって?

 気にするだけ無駄だよ。変態だもんコイツ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなわけで男女で別れてホテルへGO。

 ふっかふかのベッド! これだけでも最高!

 

 

 

 

 

「ライナ、楽しそうだね」

「いやだってこんなふかふかのベッドがあったらとりあえず跳ねてみたくならないですか? なりますよね!?」

 

 

「ならないけど」

「……えっと。私もやったことはありますよ……?」

 

 

 

 

 それ小さい頃ってオチじゃ…?

 

 

 

 

 

「くっ、こうなったら女子トークしましょう! 好きな人とか!」

「いないけど」

「いませんね…」

 

 

 

 

 

 くっ、いいもん! 

 どうせみんなリィン君にメロメロになるんだ! そして最終決戦前に十人以上から「私のところに来て!」ってされるリィン君を見て私は爆笑するんだ……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

「――――ユーシス・アルバレア」

「……なんだ。マキアス・レーグニッツ」

 

 

 

「ARCUSの戦術リンク機能……この実習の間に、なんとしても成功させるぞ」

「なに……?」

 

 

 

「いくら君相手とはいえ、他のメンバーができていることができないのは不本意だからな。ちょうど新たな手配魔獣も出ているし、昨日のリベンジをするのはどうだ?」

「やれやれ。我らが副委員長どのは単純だな。大方、昨晩の話を盗み聞きして絆されたといったところか?」

 

 

 

 

 

 おー、言われてみればあった気がするリィンとユーシスが夜にベッドで話してる展開。

 

 

 

 

 

「なっ。決めつけないでもらおう! 君の家の事情や、リィンの話など僕はこれっぽっちも―――――あ」

 

 

「マキアス……」

「ふふっ」

「語るに落ちた」

「(せめてもの慈悲です。何も言わないであげましょう)」

 

 

 

 

 私はニコニコと生暖かい笑みを浮かべて、だいぶ角が取れた気がするマキアスに視線を送る。

 

 

 

 

 

「フッ―――いいだろう。その話、乗ってやる。俺の方が上手く合わせてやるから、大船に乗った気でいるがいい」

「ふ、ふんっ! それはこっちの台詞だ! せいぜい寛大な心をもって君の傲慢さに合わせてやろう」

 

 

 

 

 

 と、いい感じに話がまとまったところでアルバレア公付きの執事アルノーがユーシスを迎えに来てしまった。

 

 アルバレア公からの呼び出しということで逡巡するユーシスだったが、マキアスが「行ってきたまえ」と背中を押したことで午後までは別行動に。

 ………うーん、これ確かユーシスを分断してマキアスを捕まえる策略か何かだった気が………どうだっけ?

 

 

 

 

 

 

 とりあえず手配魔獣戦である。

 巨大な食虫植物型の魔獣、ヴィナスマントラ。

 

 やっぱりライナはサポートに回って?と戦力外通告を出されたので応援に回っていたのだが。

 

 

 

 

 

「神気、解放―――――秘技、裏疾風!」

 

 

 

 

 

 リィン君つっよ。

 フィーも負けじとシルフィードダンスで雑魚敵を蹴散らしているのだが、剣の冴えが初伝詐欺レベルになっている。敵を倒すほどに技が研ぎ澄まされていく気がするのは気のせいではないだろう。

 

 

 

 そしてリィンが攪乱したところに的確に突き刺さるマキアスの<ブレイクショット>。うーん、これぞ戦術リンクの醍醐味。

 

 

 更に敵の体勢が崩れたところにリィンが追撃。たまらずダウンした敵を全員で袋叩きにしてそのまま討伐完了。これはグッジョブ。

 

 戦闘終了後にはマキアスがみんなに、そしてリィンに謝って。リィンも謝罪を返して和やかな雰囲気に。うんうん、いいね。青春だね。

 

 

 

 

 

 

 

 そうして意気揚々と街に戻った私たちを待っていたのは領邦軍と、マキアスにかけられたオーロックス砦への侵入という冤罪で。エマが咄嗟にユーシスの名前を出しても領邦軍は余裕の表情。

 

 

 

 

「重要なのはそちらの彼に複数の容疑がかけられており――――我々、領邦軍に取り調べる権利があるということだ」

「抵抗しても無駄だ。大人しく拘束されるがいい」

 

 

 

 

 たかだか数人くらい……かと思いきや、出るわ出るわ。

 20人くらい軽く集まってきた領邦軍には流石にドン引きである。まあ有象無象がいくらいたところでグランドクロスすればその場は粉砕できるんだけど……。

 

 さすがに領邦軍と真正面から衝突するのは良くない。

 分かってるからみんな私の方を見ないで!?

 

 

 

 

 

 

 そんなわけで、マキアスは投獄されてしまい――――ユーシスは実習に合流できないと領邦軍からの“伝言”があって。

 

 

 

 

 

 

 私たちは、マキアス奪還のための作戦を練ることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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