―――――――ブリオニア島で実習しても特に何にも無いよ!?
乱入してきたデュバリィを退場させてたら、その間に実習先が発表されており。ゴネ損ねたことで原作のノルド高原には行けず。閃の軌跡Ⅲで行くことになるブリオニア島へ行くことに。
ノルド側では共和国と戦争の危機になるのが分かってるので向こうに行きたかったんだけども。
メタ的に言って、リィン君がいない場所では大事件は起きないからなぁ……。
ラウラとフィーがぎくしゃくしているのがちょっとアレではあるけど。言ってしまえばそれだけだし。
何を思ってブリオニア島を実習地にしたのだろうか。
………実習の定番となっている手配魔獣を倒して、そんなに広くもない島を探索しつくして、特段大きな事件はなく実習は終了。
ノルドの方も原作通りに進んだようで。パワーアップしたリィン君ならあるいは主犯を取り逃さないかもと思ったのだが……そこは流石に無理だったらしい。
―――――そんなこんなで、旧校舎地下で赤い扉が発見されたとの報告が。
(あれですね、セリーヌがエリゼを旧校舎に誘導しちゃうヤツ)
リィン君ブチギレで鬼の力の初披露するところだけど……
正直本当に危ないので介入しようと思う。
エリゼさんに万が一のことがあったらリィン君立ち直れないだろうし。
ある程度力を制御できている現状、そんなに無理する必要もない。
そんなこんなで、エリゼちゃんがリィンに会いに来たのでみんなでこっそり覗いていたところ。どうやら「家を出るつもりだ」とか手紙に書いてしまった模様。そりゃエリゼちゃんも焦るよね…。
「――――これ以上、俺はシュバルツァー家に迷惑をかけたくない。流石に貰った姓まで返すのは難しいだろうけど……それでもお前の将来に迷惑をかけることだけは避けたいんだ」
「家を出たとしても、ユミルには顔を出すつもりだ。父さんと母さんにだって、育ててもらった恩はずっと―――――」
「……分かってない」
「え」
「兄様、ぜんぜん分かってない…父様の気持ちも……母様の気持ちも……わたしの気持ちも………」
「――――兄様のバカッ! 朴念仁! 分からず屋! 大ッキライ!」
そりゃあね。
エリゼからしたら「お前とシュバルツァー家をずっと守らせてくれ」って抱きしめてほしいところなのに家を出るつもりとか言われたらこうもなるよね……。
リィン君は早く追いかけて下さいな。
というわけでアリサさんからの一喝。
「ちょっと……何をボケっとしているの!?」
「って、みんな!? なんで―――」
「ああもう! 聞いちゃったのは謝るけど―――早く追いかけなさいってば!」
「妹さん、泣いていましたよ」
エマからの言葉に駆けだすリィン。
Ⅶ組のみんなも顔を見合わせて、それぞれ校内に散っていく。今はいないメンバーにもARCUSで連絡を取っての捜索――――ゲーム的には全員と話さないと見つけられないのだけれど。
最終的な行き先が旧校舎だと分かっていれば回り込めばいいだけの話。
あんまり得意ではないのだが、気配をなるべく殺してセリーヌに気づかれないように旧校舎の傍で待機。
パトリックが余計なことを言ったので旧校舎に入ってしまったエリゼは、セリーヌに釣られて昇降機に乗り込んでしまったので私も昇降機に飛びこむ。
「きゃっ!? え、貴女は―――」
「リィンさんのクラスメイトのライナと申します。此処は少々危険な場所なので、付いてきてしまいました」
セリーヌが何かやったのか、特別な操作もなしに今行ける最下層―――赤い扉の前まで昇降機が降りてくる。
『第四拘束解除後ノ“初期化”ヲ完了。――――起動者候補の波形を50あーじゅ以内ニ確認』
『コレヨリ『第一ノ試シ』ヲ展開スル―――』
――――――――――――――――
―――――エリゼらしき悲鳴を聞きつけて旧校舎に駆け付けたリィン、クロウ、そしてパトリック。
「な、なんだありゃ!?」
「きょ、巨大な甲冑…!? あ――――」
巨大な甲冑型の魔物。
へたりこんだ黒髪の少女。
その前に立ちふさがるのは―――――。
「―――――エリゼええええっ!」
「に、兄様――――!?」
首のない騎士人形――――オル・ガディア。
迎え撃つ金髪の少女、ライナ。
巨大な剣と、ライナの身の丈よりも大きな馬上槍が激突し――――オル・ガディアが一方的に押し負けてたたらを踏む。
「うっそだろ」
「んな――――っ!?」
「リィンさん、エリゼさんを安全なところに!」
「すまない、助かる――――!」
「―――――ハアアアァァァッ!」
凄まじい金属音と共に数合打ち合う。が、ライナの槍はアリアンロードが用意したゼムリアストーン製の逸品である。傷一つない。
小柄であっても、気功術で強化された肉体は多少の体格差などものともしない――――が、流石に質量に差がありすぎるためか、あるいはオル・ガディアがライナのパワーを把握したためか。
鍔迫り合いのように押し合う形に持ち込まれたことでじりじりと後ろに押し込まれ。
「―――――ォオオオオオオッ!」
エリゼをひとまず後方に退避させ、神気を解放したリィンが加勢したことでまたしても状況が一変する。
ARCUSの戦術リンクを繋ぎ、“鬼の力”でオル・ガディアと互角のパワーを発揮できるようになりつつも暴走することなく制御しているリィンが速度で攪乱し、ライナが真正面から打ち合う。
かと思えばリィンがオル・ガディアの動きの“起こり”を潰すことで体勢を崩し。そこをライナの強烈な一撃が襲う。
「業炎撃! ――――ライナ!」
「そこです――――アルティウムセイバー!」
「うへぇ」
「い、一方的だな……」
どこか何かを見定めるように見つめるクロウと、ドン引きしているパトリック。そして、かつては呑み込まれるだけだった“力”を的確に振るう姿を、どこか安心したように見つめるエリゼ。
アルティウムセイバーで両脚を真っ二つに切り裂かれ。
更に追加の業炎撃で胴体も粉砕されたオル・ガディアはあっけなく沈黙。
完全に動かなくなったことを確認したリィンは、すぐにエリゼの元へ駆け寄った。
「エリゼ……! だ、大丈夫か!? どこか痛むところは無いか…!?」
「ええ……地響きに脚を取られて転んでしまっただけで……それに……兄様が、守ってくれましたから」
「あの日みたいに……ううん。あの日とは違う形で……そうですよね?」
「エリゼ……ああ。なんとか乗り越えられたよ」
「ふふ……よかった」
そうこうしている間に他のⅦ組メンバーや捜索に協力してくれていたトワ会長たち、そしてサラ教官も到着して。
オル・ガディアの残骸を見ながら無事を祝うのだった。
あとその後エリゼにしっかりお礼は言われました。
まあ恋する乙女には兄様が最優先だよねぇ、とにっこり笑顔で受け取りましたけども。
――――――――――――――――――――――――――――
「―――――さて、楽しい実技テストのお時間だけど。リィン、体調は問題ないのね」
「はい。むしろ調子がいいくらいです」
「それは結構……なら先鋒を務めてもらおうかしら。メンバーを一人選びなさい。相手は――――ラウラとフィーにやってもらおうかしら」
「強敵だな………ならガイウス、頼む」
「ああ、任された」
そうして始まった実技テストは、なんというかラウラとフィーの噛み合わなさがモロに出てしまった結果になった。
神気解放により速度でフィーに、パワーでラウラにも匹敵するリィンが的確にラウラとフィーの連携を阻害し。そこをガイウスが突いての勝利。
元猟兵のフィー、帝国の武の名門アルゼイドのラウラ。
嫌っているわけではなさそうなものの、どこか噛み合っていない二人。
「何かきっかけがあればいいのかもだけど」
呟くエリオットをよそに、発表される今度の特別実習。
その行き先は、帝都ヘイムダル。
かのドライケルス大帝の凱旋を理由にひと月遅れで夏至祭が行われる場所であり――――<帝国解放戦線>の暗躍と、そしてまたしてもエリゼのピンチが待ち構える場所であった。
「班分けに文句はないんですが―――何だかダシに使われてないですか?」
前はマキアスとユーシスの仲をなんとかさせられ。今度はフィーとラウラ。
口笛を吹いてそっぽを向くサラ教官だったが、流石のリィン君もちょっとお怒りだった。
「口笛を吹いて誤魔化さないで下さい」