厳かな教会に集まる子ども達。
その様子は期待に溢れ友人とコソコソと話し合っていた。
「なぁ、お前は何のスキルだど思う?」
「この話何回目だよ、俺は出来るだけ楽が出来るやつなら何でも良いよ」
ルークはこれまで何度も話した内容を楽しそうに聞く幼馴染のトーラスに普段の様に返す、周りを見ても今日は何処もその話で持ちきりの様だ。
「お前は本当に夢ないな〜、俺は絶対父ちゃんと同じ弓のスキル貰えると思うんだよね」
「スキルはランダムなんだから期待し過ぎない方が良いだろ、弓ならスキルが無くても撃てるし」
「そうだけどやっぱスキル有無で違えし、一流の狩人目指すなら欲しいだろ」
幼馴染の父は弓のスキルを持つ村でも優秀な猟師であり、そんな父に憧れている幼馴染は期待に胸を膨らませていた。
「それでは皆さん、これより享受の儀式を始めます」
少しふくよかな老齢の神父が告げる。
「これから君達はスキルを授かります、それがどの様なスキルかは誰にもわからない。しかしどんなスキルでも必ず与えられた意味があるはず。」
そう語る神父に子ども達は目を輝かせて聞いていた。
"この世界では15歳になるとスキルを授かる"
スキルは弓や剣などの武器術、体力増加や怪力と言った身体能力、各属性魔法に特殊な技能など様々な物の中から1つだけ与えられる。
スキルは選べず、また、変える事も出来ない。
「では1人づつ前へ」
神父の案内が始まり、1人づつ水晶の前に手を翳す。
水晶が淡く光ると手を翳した本人も同じ光を帯びる、その後神父から授かったスキルを聞き喜ぶ者、泣く者に分かれていく。
「よっしゃ!弓だ!弓のスキルだ!」
トーラスは無事に父と同じスキルを引けたようで涙を浮かべながら、満面の笑みでこちらに手を振る。
「ルーク!次はお前の番だぞ、ルークもきっと良いスキル貰えるぜ!」
調子の良い幼馴染に呆れつつもルークは水晶に手を翳した。
(魔法系だったら当たりだな、索敵とか隠密であいつと猟師やるのでも良いし、武器とか肉体系は面倒くさそうだから来ないでくれ)
ルークがそんな事を考えていると水晶に異変が起きる。
これまでの淡い光は無く、いきなり目が散らつく様な虹色の眩い光を放ちだした。
「うわっ何だこれ!」
「虹色⁉︎こ、これは!」
慌てる神父を他所に今度はルーク自身も虹色に光出した。
騒然となる教会で当人でありながらも全く状況が掴めないルークは困惑する。
やがて光が収まると興奮した神父が唾を飛ばしながら話しかけて来た。
「素晴らしい!私は30年この儀式を行なって来たがこんな光は初めてだ!ルーク君、、、君が授かったスキルは
"英霊召喚"
名前から召喚魔法の1つだとは思うが詳しいことは私にもわからない!」
「英霊召喚、、?」
「あの虹色の光、教会では勇者が現れた時も同じく虹色に光ったと記録が残っている!君はもしかしたら伝説級のスキルを授かったのかも知れない!」
「え?勇者?伝説?」
(おいおい、如何いう事だよ、魔法系が欲しいとは思ったけどそこまでは求めてねぇよ、、もっと普通ので良いんだよ)
「ルーク!大丈夫か!お前スゲー光ってたけど」
心配しかけ寄ってくるトーラス、辺りもざわざわと騒がしくなる。ルークは自分の体を確かめるも特に異常も変わった所も見当たらなかった。
「ルーク君、君のスキルで私がわかるのは日に1度英霊を召喚出来るという事だけ、試しにここでスキルを発動させて見てくれないかな?」
「発動って、どうやれば良いんですか?」
「召喚系のスキルなら発動の意思を持ってスキル名を言えば使えると思うが、もし発動に条件があるとなると私にもわからないな」
(本当に大丈夫か?発動条件って代償とかあったりしないのか?ただこのままじゃ何もわからないしな)
ルークは迷いながらも意思を持って唱えた。
「英霊召喚!」
するとルークの目に魔法陣が出現し光を放つ。
その時、頭の中に声が聞こえてきた。
"その力、並ぶ者なし"
"纏う鎧に傷は無く、その生涯で彼が敗北を知る事は無かった"
"森の王者"
"黒き絶望"
"皇角の覇者"
"数多の異名は、その強さを恐れた者たちが与えたもの"
"彼の名はヤマト!彼こそが最も強き甲虫とし伝説となった者"
声が止むと魔法陣のあった場所に現れたのは1匹のカブトムシだった。
「え?ええ?虫?英霊は?」
先ほどまであった騒がしさが嘘だったかのように静まり返る教会でルークはただただ困惑するばかりだった。