静寂の弟子が次代の英雄に加わるのは間違っているだろうか   作:ダンまちにヘラファミリアを求める人

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だんだん字数の増やし方のコツがわかってきました。
もとから小学生レベルの文章と開き直り、積極的に字数を増やしていきます。今から考えると、なんで最初は五百字とかにできたのかわからん。
小学生レベルの文章を読んでくださる読者さんに感謝。
あと、少しずつ書き換えたく予定だったのを新しい話として投稿したので時系列ぐちゃぐちゃですが、雰囲気でお読みください。
改行多すぎかなぁ。


九話 特訓を選ばないのは間違っているだろうか。byベル・クラネル

 

 

少し前、教会で一緒に暮らしているアルテリアさんは、実はあのアイズさんと同じ第一級冒険者(レベル6)らしいと神様から聞いて、僕は

思わずひっくり返った後にソファからずり落ちて床で逆立ちするというシュールな絵面を作りがてら、満を持して驚いた。

 

『うわぁ大丈夫かいベル君!?』『た、大丈夫です神様ぁ……』

『ベル、曲芸を嗜むにはもう少し腹筋が必要だ』『はいっ!……は、はい……?』

『ベル、返事ははっきり』『はいっ!』

『ベル。大声を出すのではなく、小声でも部屋の構造的に響いて聞こえやすいような音程で喋れ』

『はい……(部屋の構造ってなんだろう……)』

『んな無茶できるわけ無いだろアルテリア君!?ボクのベル君になんて事を要求するんだよ!君は出来るのかい!?』

『私は6歳の頃すでにできたが』『oh……(ドン引き……)』

 

そんなことをしゃべりつつ、都(・)市(・)外(・)で(・)第(・)一(・)級(・)冒(・)険(・)者(・)というアルテリアさんの偉業にひとしきり驚いた後。

 

ここまでレベルが違うと一緒にダンジョン攻略は少し厳しいかもしれない、と神様に言われ、そうでもないと思うが、とアルテリアさんが返して今は僕のダンジョン攻略の進捗状況を確認しているところだった。

 

 

「……つまり。まとめると、ベルの普段の活動階層は五階層前後。この間行った十階層が最深の到達階層で、普段は朝の7時半ごろから夜の6時半ごろまで往復の時間を含めてダンジョンに滞在している。アビリティの伸びは普通……だが、最近は伸びが早いということだな?」

アルテリアさんは、質問という名の尋問に怯えつつ、つっかれつっかれに答えた僕の答えをわかりやすくまとめてくれた。

左手には、更新したばかりの僕のステイタスを記した記録用紙がある。

「はいっ!」

「ベル。私と共にダンジョンを攻略するのをどう思う?」「す、すごく行きたいです!アルテリアさんは強くってすごくて……見てて、なんか勉強になると思うし」「そうか。なら」

 

瞼を閉じてトントン、と指先で古びた机を叩きながらアルテリアさんはこう言った。

 

「なるほど、ならば訓練でもするか?」「えっ? あ、良いんですか?」

レベル6でアイズさんぐらい強い人と訓練。

きっとアビリティはすごい伸びるだろうし、技や駆け引きといった実戦経験も身につくはずだ。

「ぜ、是非っ!アルテリアさんの迷惑でなければ、その、やってみたいですっ!」

「ベル、訓練と練習と本番と特訓。どれがいい?」

「あ、えーっと………ん?訓練って練習より簡単なんですか?」

「ああ、名称は特に気にしなくていいが、想定しているのは……そうだな。訓練が一番、生(・)温(・)く(・)て(・)甘(・)々(・)だ」

「いや君がそう言ってるやつは十分キツイやつだよ!? ベル君、ボクの主神命令だ!いいかい、君は絶対に、訓練以外を選んじゃダメだぞ、絶対だからな!?」

 

本音を言うと、特訓とか、惹かれなくも無いけどーーというかこの状況で、一番難易度が高いものを選ぶ以外の選択肢なんて普通は無いんだけどーーなんとなく、また酷い目に遭う予感がする。

……具体的には、巨蒼の滝(グレートフォール)に突き落とされたり、食料庫(パントリー)に叩き落とされたりする予感がした。

(うん、やめておこう!)

 

「じゃあ訓練でお願いします」

「わかった」

 

そして次の日から訓練が始まった。

まず、起きるのは夜の5時、寝るのは朝の7時から。俗に言う昼夜逆転生活である。

アルテリアさんに理由を聞くと、夜の方がダンジョンが空いていて、人口密度ならぬ怪物密度が高いからだと返ってきた。

(なるほど……?)

夜の5時に起き、魔石灯がポツポツとオラリオを照らし始めた頃に僕たちはダンジョンに入る。

バベルのダンジョンへ続く階段を無視して飛び降り(予想はしてたけどやっぱり……)。

始まりの道を走って抜けるとあら不思議。

もうダンジョンに着いてしまった。

まだ5分も経っていない。

(…………。)

僕が普段、いかに無駄な時間を使っているかよくわかりました。

ハイ。

「ベル。ちなみに、ヘラ(私達)にとって、十階層まではダンジョンではない」

「………?」

「ギルドの発表している、レベルと対応する攻略階層に十を足したものが、私達にとっての一般的な攻略階層だ。」

「……え?」

「よって二十階層までは誰しもが行けて当然であり、階層主(ゴライオス)を倒せないレベル1なとレベル1ではない」

「…………………」

イヤ、チョット間違ッテナイ?

んんん?

ゴライオスの推定レベルは4なんですが……

表情を引き攣らせる僕。

「補足すると、十階層までしか行けない冒険者は、冒険者ではなく一般人と呼ばれる」

「え!?」

なにソレ怖い!

僕は実は一般人だったの!?

 

「まあ、一般人に護身術を教えるぐらいの訓練だと思っていればいい。内容を説明する……残光は少し早いか。行きは私と共に十階層に行き、最初は怪物進呈(バス・パレード)も怪物の宴(モンスターパーティ)もなしで、ただ一階層に返ってくればいい。簡単な訓練だ。もはや訓練と言うのも烏滸がましいが。それを、そうだな、夜の12時頃までつまり七時間ほど繰り返したあと、朝の7時までの七時間で私が武器の使い方を教えてやろう。それでどうだ?」

「はい!ありがとうございます!」

……さらっと戦う時間が二割増えたけどまあ良いか。

強くなってあのミノタウルスに勝ちたいという建前と、アルテリアさんとの訓練でアイズさんとの距離を縮めたいという本音。

あー、ランクアップとかして名前を覚えて貰えたらな。偶然会ってあの綺麗な声で名前を呼んでもらって……そして縮まる距離、からのまさかの両思い。いやそんなこと有るわけないけど。

つい顔がニヤけてしまう。

 

なんていう幸せな妄想に僕が浸っていられるのはわずかな時間だった。

 

「行くぞ、ベル。【ーーーー、ーーーーーーーーー。】【ーー・ーーーーー】」

 

神様の受け売りだけど、魔法には、たまに追尾属性や爆散属性などの補助効果を持つものがある。その中でこれは静寂効果、と呼ばれる(おそらくは)アルテリアさんだけが持つ唯一無二の魔法(オンリーマギア)だ。

内容は、詠唱文ならびに魔法名の隠匿。

だから僕もアルテリアさんの本当の魔法を知らない。知ってるのは神様とアルテリアさんだけ。

魔法やスキルは全て、眷属の中に埋まっていた可能性が芽吹いた物と言われる。

いいかえれば、自分の心、望みや時には過去も映し出す鏡でもある訳で……アルテリアさんにも、多分他者には知られたく無い秘密があるんだろう。

 

ーーって、あ〜!?

目の前に、

因縁の(と言うほどでは経験した無いけどしっかりトラウマ)階層ブチ抜き⭐︎恐怖(ドキドキ)自由落下(フリーフォール)が……。

どうぞとばかりにぽっかりと空いた穴を見て僕は(アルテリアさんから見れば不自然に)沈黙した。

そうだった。あの魔法唱えられた時点で気づけよ僕。魔法効果の解説とか呑気にしてる場合じゃなかったよ。うわぁ。

「行かないのか、ベル?」

「行かないというか行けないです……」

 

アルテリアさんが、なるほど確かに一般人だなと心の中で呟いた声を僕はバッチリ受信した。

そんなアンテナいらないので、すみやかに故障して欲しいものである。

 

そんなこんなで、流れるようにすっと足払いを受け、速やかに僕は体勢を崩し。アルテリアさんの細い手が僕の背中と足を地面と水平になるように持って。

(お姫様抱っこ!?)

夜で良かったと、現実逃避気味に思いつつ。

目を瞑る。

一瞬の浮遊感の後、奈落に引き摺り込まれるような感覚と共に身体が勢いよく落下していった。

(1,2,3,4,5(いち、に、さん、しー、ごー)……)

これまでの経験則上、階層を一つ落下するのにかかる時間は3秒ほど。

もっと下の階層ーー例えば『中層』は、『上層』より広くて複雑で、高さもあるらしいから突き破るのは時間がかかるだろうけど。

風圧を感じつつ、薄目を開いて側のアルテリアさんの顔を見る。瞼を閉じたままの無表情なそれを見れば、心の安全のための減速なんて欠片も考えられていないことがわかった。

 

二十秒ほど経過。

アルテリアさんの唇が開き(そういえば距離近っ!? 顔が近いですアルテリアさん!?)あの(忌まわしき(言っちゃダメだけど))詠唱文が奏でられる。

「【ーーーー、ーーーーーーーーー。】【ーー・ーーーーー】」

ダンジョンの階層と階層の間の暗闇に、深紅と白の二色の魔法円(マジックサークル)が足元で眩い光を放った。

魔法の反動で落下の勢いを殺し、精密調整(コントロール)で、音も立てずふわりと地面にアルテリアさんは着地した。

落下の反動が微かに殺し切れずに爪先に集まるが、第一級冒険者からすれば痛みにも入らない。

 

十階層、十階層に到着いたしましたーー。

エイナさんと一回だけ乗った、バベルの昇降装置(エレベーター)の放送の幻聴が聞こえた。

ダンジョンの壁面の青光苔(ヒカリゴケ)の燐光が辺りを照らしている。

少し暗く感じたのは、普段の五階層に比べて明かりが乏しいからだった。

「少し待っていろ」

お姫様抱っこから僕を短い草で覆われた地面に下ろし、アルテリアさんは僕から見て背後の方の道へ進んだ。

曲がり角ですぐ姿が見えなくなってしまう。

(そういえば夜のダンジョンは初めてだし、静かでちょっと心細いかも……)

同業者の声や気配がない、それだけで少し緊張する。肩慣らしの一階層での戦闘とか無かったし……。足元の草のしげみからモンスターが今にも飛び出してきそうな想像をしてしまう。

 

僕は不安を紛らわすためにも、エイナさん直伝のダンジョン図鑑をペラペラと頭の中で巡った。

えーっと、十階層。

まず、そもそも八階層からは八階層以浅の階層と様子が違う。確か、壁面には苔がまとわりつき、地面には短い草の生えた草原に変わる。

ここまでは見ての通り。

あとは、迷路構造では有るんだけど、通路よりはルームが中心。つまり、ルームの間を繋ぐ通路が短くなるかわりに、ルームはこれまでの階層より広くなって数も増える。

濃霧で視界が遮られるといった迷宮の罠(ダンジョンギミック)も起こり、それまで出てこなかった大型級モンスターも出現する。

(いやどう考えても来る場所間違えたよね僕!?)

訓練を選んで本当に良かった。

特訓とか選んでたらどうなることか。

まじで神様に感謝を僕は捧げた。

ありがとうございます神様!

あやうく僕は男の矜持(プライド)が〜、とか言いながら特訓を選ぶところでした!

 

あっ、『ふぅ、ボクは君が死にかけなくて本当に良かったぜベル君』と幻聴が聞こえる!

無駄にクールな神様のお声が!

 

それはさておき。

(もう三十秒は経ったよね……?)

まだ光源の乏しいこの階層に目が慣れてないのと、若干眠気がするのとで感覚が鈍っている。

足元が硬い地面ではなく柔らかい草なのもあって、いまいち緊張感が湧かない。

が、最低限の警戒心ぐらいは残っている。

(遅くない……?)

アルテリアさん地図とか持ってなさそうだし、都市外にいたのなら迷ってるかも、と白兎の姿をした感情が思う反面。

あの第一級冒険者がそんな事になるわけない、と神様の姿をした理性が首を横に振る。

探しに行ってもすれ違うだけだと思うよ?、とエイナさんの姿をした意志が首をかしげた。

多数決の結果。

待機。

「…………」

「…………」

「…………………」

「……………………」

「……………………………………」

「……………………………………………………」

……きっかり百数えて、僕は流石に顔を顰めた。

多分もう、訓(・)練(・)は(・)始(・)ま(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)。

ーー動くのが正解なのか?

ゆっくりと顔を正面に向け直したところで。

 

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