静寂の弟子が次代の英雄に加わるのは間違っているだろうか 作:ダンまちにヘラファミリアを求める人
ヘスティア ロキをなんとしてでも言い負かさねば(ガクガクブルブル)
アルテリア 全てヘスティアの妄想だ^_^
アルフィア 生温い……派閥ごと叩き潰せ!^_^
メーテリア お姉ちゃん、ロキファミリアは人望あるんだから潰しちゃダメ!連帯責任なんて可哀想!責任はベートさんだけなんだから、ベートさんが全部の罰を受けるべきよ〜ふふっ♪^_^
ザルド おい、戦るなよ?だが、……確かにレベル5程度で調子に乗るなよ?
「あっ……あそこにいるのは、ド貧乏ファミリア代表のタケミカヅチ君じゃないか。フヒヒッ」「あっ……あの年中幸の薄そうなシケた顔はタケミカヅチさんじゃないですか。フヒヒッ」「この、クソ神どもがぁっ……!?」
そんな会話が行き交うのは、ガネーシャファミリアのホーム、「アイ・アム・ガネーシャ」。神々がぞくぞくと集まっている、象の頭を持つ巨人像の形をしたこの奇怪な建物は、なんと入り口が胡座をかいた股間の中心である。
(……うーん、こども達は嫌じゃないのかな?)
そんなのとを思いながらくぐると、外装とは違う意外にも落ち着いた内装の大広間に迎えられた。大広間に設けられたステージの上で、浅黒の肌に象頭の神ガネーシャが宴の挨拶を行っている。
「本日はよく集まってくれたみなの者!俺がガネーシャである!今回の宴もこれほどの同郷者に出席していただきガネーシャ大感激!愛してるぞお前達!」
馬鹿でかい上に暑苦しいスピーチをほとんどの神が聞き流す中、ヘスティアはじっ……とバイキング形式の料理を見た。美味しそう。なにより、無料だ。きら、とヘスティアの目が輝く。心なしか神威も増す。
「給仕くん!踏み台を持ってきてくれ!大至急だ!」
「は、はい!」
主神はアレだが、ガネーシャファミリアは有力派閥である。有能な団員が即座に踏み台を持ってくると、ヘスティアはサッ!サッ!サッ!と、持参した大量のタッパーに料理を詰め込んだ。給仕が何とも言えない顔をする。周りの神からのちょっかいを無視し、タッパーと口に料理を放り込んでいると。
「ヘスティア?何やってるのよ……」
呆れた声に振り向くと、親友の女神がいた。紅髪紅眼の姿、片方の目には眼帯を付けている。鍛冶を司り、下界に降りてきて新参のヘスティアの面倒を見てくれた、心優しい女神。ヘファイトスである。
……余談だが、一ヶ月ぐうたらと、娯楽を楽しむだけのヘスティアにヘファイトスがブチ切れて、追い出してからはあまり接点がなかった。
「ヘファイトスかあ!びっくりした……実は——」
「よおー、どチビ!」
「ロキ……!」
さっとタッパーをしまい、臨戦体勢に移るヘスティア。ツインテールがビシッと決まる。
「やあロキ! 今日はボクに無乳をアピールしに来たんだねぇ、そのドレスを見る限り!」
先制攻撃によって、タッパーに頑張って料理を溜め込んでいるという事実をロキに忘れさせるという作戦である。
「はぁー!? んな訳あるかあ、ボケェ!」「でも実際、ロキがドレスを着てるのって珍しいわね。何かあったの?」
(ありがとうヘファイトス……これでボクが料理をすこしでも持ち帰ろうとしていたことをいじられる可能性は完全に無くなった!!)
内心、親友に喝采するヘスティア。
「ふん!いっつもは、自分のコンプレックスを隠すために男装してるからね!この負け犬は!」
そのいきおいのまま、胸を張るヘスティア。
「……あんた何でそんな攻撃的なの?本当になんかあったの?」「生意気やなあ、どチビ。んで、ファイたん、それはあれや。ドレスを着れない貧乏な女神を笑いに来たんやwww」
都市最大派閥は、財産の規模も都市最大レベル(とある歓楽街のファミリアには劣るが)である。超零細派閥など目じゃない。
イラッとするヘスティアは、
「はあぁぁー!?……ふぅ、ふぅ。ボクは確かにお金がないけど、それは頑張ればどうにでもなる。でも君の胸のなさは永遠に変わらないんだ!可哀想だな!ふんっ!」
深呼吸して落ち着き、さらなる爆弾を投下した。
「言うたな……くたばれ、この腐れおっぱい!」
外野の神々が、「やけに今日ロリ巨乳の攻撃エグくない?なんかあったん?」「ロキ無乳弱すぎw」と騒ぐ中。
ついにロキが実力行使に出た。取っ組み合いである。
幼女姿のヘスティアがロキに勝てる訳もなく、ほっぺたを掴まれたまま、左右に揺さぶられる形になる。
揺れる、揺れる。
ドコとは言わないが……たゆんたゆん、揺れる。
「き、今日はこの辺にしたる……」
「ふんっ!視線が泳いでるぞロキッ、ボクの圧勝だな!」
「うっさいわボケェー!?」
涙を撒き散らしながら退場するロキ。
ヘファイトスの呆れた顔も、外野のガヤガヤも気にせず、ヘスティアはドヤ顔をした。
(よしっ、これで大丈夫……!)
無事に帰れる、と。
♢♢♢
そんなことはまったく知らないアルテリアは、というと。
ベルの寝顔をじっと見ていた。
戦いによってボロボロになり被服面積が無きに等しい故に、自身の上着をかけている。年は離れているし、着替えさせても良かったが、遠慮した。ベルが嫌がる。
(メーテリアさまにそっくりな顔……髪の色も、か。美しい……)
目を細める。
(あの訓練は、私が回復魔法をかけ続けなければ、間違いなくベルは負けていた。ミノタウルスを凌駕する程に強化したのだから。でなければ訓練にならない。……経験値はどれほど溜まった?)
彼女にとって、本来なら24階層から始まる、とある滝に叩き落とすところからが訓練。あれはいわば練習だが……
(少し甘やかしても、まあ、問題ないだろう)
と、そう思っている。
「ただいま、アルテリア君!」「うるさい」「ひ、ひどい……」「改宗をさっさとしろと言いたいところだが……もう寝るか?」「ああ、そうさせてもらうよ……」
生きた心地がしなかった、と言うヘスティア。
元凶が自分だと知らないアルテリアは怪訝そうな顔をするばかりだった。
ぷ、プロットを全然消化できない……なんでだ!?