転生スライムテイマーの現代無双〜〜この世界も滅びそうなので俺が何とかします   作:現代ダンジョンですぐ死ぬ人

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本試験の波乱

 

 翌年、二月末。攻略者学園の在る都市には3時間かけて着いた。

 

受験者は学園近辺の宿泊施設にて一泊し、翌日試験に臨むこととなった。

 

案内されたホテルにて、同年代の男女を何人も見かけた。

誰もが緊張と期待の入り混じった顔をしていた。きっと俺も同じ顔だっただろう。

 

 

そして本試験当日。

 

全国から集まった数百人の受験者が攻略者学園の門を通った。

 

広大な敷地には校舎を始めとして様々な設備、施設が存在し、その中には学園の管理しているダンジョンもあるという。

 

驚きと好奇に目を輝かせながら受験者たちは体育館内に設置された試験会場に到着した。

 

全員が着くと、本人確認ののち整列、そして試験の内容を説明される。

 

 

ひとつは【マナレベル測定】。

 

受験者は測定カプセル内に入り、中をマナで満たしたのち、どれだけマナを受容できるか計測するという。

通常はアルファベット順に高い方からAで最低がFだが、まれにA以上のレベル、Sというのもあるらしい。

 

もうひとつは【スキル判定】

 

【スキル】はマナを宿すことで発現する。

先のマナレベル測定でマナを宿した受験者を特殊な機械で調べることで、受験者の持つスキルがわかるのだ。

なおスキルは有用性によってマナレベル同様AからF、まれにSランクが出るという。

 

 

これらの審査を経て、表れた結果によって攻略者になれるかどうかが決まる。

 

マナレベル、スキルランクともに高ければそれに越したことはないが、トップでなければならないわけじゃない。

そこそこのマナレベル、攻略者に適したスキルさえあれば合格ラインとしては十分だ。

たとえ攻略者に選ばれなくとも、攻略者をサポートする【支援者】として貢献する道もある。

 

攻略者学園の生徒に求められるのは、ダンジョンという脅威に対抗するための力と才能と自覚なのだ。

 

 

 「では、試験を始めます」

 

女性職員の声を合図に本試験が始まった。

 

数台のマナレベル測定カプセルに受験生たちが入り、高濃度のマナにその身を浸していく。

マナレベルが高い者は数分は平気だが、低い者は早々に体調の不良を訴え、カプセルから出ていく。

 

「おおっ!?出ました!!マナレベルAです!!」

 

測定員の声が弾み、受験生たちの間からどよめきが上がった。

 

間もなくしてカプセルから長い黒髪をなびかせてひとりの少女がスッと出てくる。

その端正な顔には驚きも喜びもなく、彼女は淡々とした様子で次のスキル判定に向かった。

 

「さすがは有名攻略者を輩出している【冥光院】の一族なだけある………」

「幼少から英才教育を叩き込まれてるらしいしな、ある意味当然の結果だな」

「スキルもきっと高ランクのすごいやつなんだろうな」

「まさに攻略者になるべく生まれたエリート様だぜ」

 

受験生たちが口々に噂するほど彼女は有望な人材らしい。

 

そして再び湧き上がるどよめき。

 

 

「す、スキル【剣神スサノオ】!!Sランクです!!」

 

「なにぃーッ!?」

「マジかよ!」

「エリート様はスキルまでエリートだぜ!!」

 

まさに理想のマナレベル、高スキル。攻略者学園の新たな英雄候補がここに誕生した。

 

「おめでとう冥光院(ミョウコウイン)サヤさん。期待とおりの結果で当主様もお喜びになるでしょう。後は我々に任せて今日はゆっくりして下さい」

「ええ………わかったわ」

 

うやうやしく労う職員に相変わらず淡々と返す冥光院さん。

まさかのレアランクが出た以上、あとは有象無象の類いしかいない。

それでも本試験は終わらないし、もうすぐ俺の番である。

 

「よろしくお願いします」

 

測定員に声をかけ、カプセルに入る。

 

密閉されたカプセルの中にマナが注入され、空間がほんのり輝いてるように見える。

このまま待つこと数分、限界が来れば頭痛やら嫌悪感やら覚えてくると聞いていたが………

 

「………?」

 

カプセルから見える測定員たちの様子が変だ。

 

俺自身は何ともなくまだまだいける感じだが………なんて思ってたら、カプセルが開き、出るよう促された。

 

「向界さん、あなたのマナレベルは………

 

 Sです!おめでとうございます!」

 

 「!!」

 

 なんと今度は俺がマナレベルのSを引いてしまった。

 

 周囲の視線が集中し、またしてもどよめきが上がる。

 

「おい、アイツどこの生まれだよ………」

「知らない顔だな………」

「一般人のくせに運がいいな………」

「たまにいるんだよ、不相応な才能を引くヤツが………」

 

なんだか冥光院さんの時とは反応が違う。そしてその冥光院さんはというと………

 

 「………………」

 

 (ええ………)

 

 なんか俺をガン見していた。怖い顔で。

 

 

「さあ、次はスキル判定ですよ!どんなスキルが出るか楽しみですね!」

「は、はい……」

 

楽しみというより、おっかなビックリなんだが、俺のスキルは何が出てくるのか。

 

「このプレートに両手を置いて下さい」

 

職員が示したのは台に乗った1メートル足らずの長方形の石板めいたプレート。

両手を着けるとプレートの表面にスキルの名前と能力が映されるという。

 

さっそくプレートに両の手のひらを置く。

 

するとプレートの表面が輝き、模様と文字が走り、明滅を繰り返す。そしてその状態がしばらく続いた。

 

 

(冥光院さんのときはこんなにかからなかったのにどうなってんだ?)

 

 

なんか数分経ったが、ランクSの誰かさんよりスキル判定が遅い。

 

「職員さん、こういうことってよくあるんですか?」

「まさか!」

「じゃあ俺はスキルが無いとか……」

「そんなことはありません!でもこれは………」

 

俺と職員が顔を見合わせたそのとき、ザカザカと物々しい足音が近づいてきた。

 

黒一色に統一された装備を纏った数十人の集団。その胸のプロテクターには攻略者学園のシンボルである“盾の前に交差する一対の剣”のマークが押されていた。

 

俺の前に来た彼らは規則正しく整列した。

 

そして整列でできた道を、一人の女性がツカツカと早歩きでこちらにやってきた。

軍帽らしきものを被り、黒のコートを羽織り、身体にぴったりフィットした軍服じみた衣装を纏ったその女は、冷ややかな目つきで俺を見下ろしながら訊ねてきた。

 

「向界ユウジは貴様か」

 

「そうですが、何か………」

 

「向界ユウジ!貴様は不正ドーピングでマナレベルを上げた疑いがある!よって、これより治安維持隊の尋問を受けてもらう!!」

 

「はぁッッ!?」

 

とんでもない言いがかりだった。ドーピングなんてやってないし、やっていたなら今ここにいられるわけがない。

 

「待ってください!何を根拠でそんなことを………」

「黙れ!!」

「ぐはッ!!」

 

「抵抗できないよう痛めつけてから連れていけ!!」

「「「了解です!!」」」

 

反論しようとしたら女に殴られ、更には女の部下らしき連中によってたかって殴られ蹴られ、ついには手錠までかけられた。

 

 

「おら、とっとと来い!」

 

「!………」

 

女の部下が乱暴に俺を引きずる。痛めつけられた身体は思うように力が出ず、もたつくところを急かすように蹴られる。

 

 

 

(なんで………こんなことに………)

 

 

朦朧とする意識の中、わけもわからないまま俺はどことも知れないところに向かっていたのだった─────

 

 

 

 

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