Fate/Grand Order -from Hero to Hero- 作:定紋練魔
『ようこそ、人類の未来を語る資料館へ。ここは星見の展望台、カルデアです。』
『指紋認証、声帯認証、遺伝子認証クリア。魔術回路の測定……完了しました。』
『貴方を霊長類の一員である事を認めます。』
『はじめまして。あなたは本日最後の来訪者です。』
『どうぞ、善き時間をお過ごしください。』
「こんな辺境に来るとは、お前、中々の暇人だな?」
「ほぉ、"人類最後のマスター"の次の一生を知りたい?」
「中々の物好きだな。だが生憎俺はそんなものは知ら……」
「全く、そんな目で見るな。原稿の〆切前になぜこんなこと……まあいい。ついてこい」
「ん?"なぜ気が変わったのか"だと?」
「気まぐれだ。気にするな」
「そら、ここが資料室だ。好きに資料を漁るがいい。ただし、本は曲げるな、汚すな、雑に扱うな。いいな」
「おや、奇遇だね」
「ゲッ、貴様、なぜここに……まあいい。客だぞ。泣いて喜べ」
「相変わらず扱いがひどいn……ああ、行ってしまった。」
「ん?気にしないでいいさ。彼の性格の問題だろうね。」
「改めて、いらっしゃい。ここは私たちのマスターの次なる1生を記した部屋だ」
「さあ、"英雄"の話をしよう」
そこは石造の部屋で。
窓には鉄格子がはめられている。
監獄……そう、まるで監獄のような場所だった。
決して居心地は良くないはずの場所。
でも、なぜだろう。
誰かに見守られているような、そんな心地よさがあった。
「俺とお前の再会に、ここまでふさわしい場所はないだろう」
黒い人影が、話しかけてくる
「かつて魔術王に囚われたこの場所を再現し、再び招き入れることになるというのはまた因果なものだ」
人影が歩きだし、俺もそれについていく。
「我が共犯者よ。お前の旅は終わりを告げた」
部屋を通る。
まるで空を歩いているかのようだった。
「お前は足を止め、休む権利がある」
景色が変わる。
「お前はよく戦った」
景色が変わる。
あるところでは機械の鎧の
あるところでは
「英霊と比べても、誰の記憶にも残らずとも」
景色が変わる。
大いなる生命の母に、天の神、冥府の神、果ては異教の神が。
その地に生
「お前は、素晴らしき勇者と、英雄となった」
景色が変わる。
大きな盾が墓標の
「他ならぬ俺たちが認めよう」
景色が変わる。
氷漬けにされた何かの施設が見える
「だがもしも」
景色が変わる。
真っ白に漂白されたかのような、宙に浮く真っ白の地球儀が見える。
「もしもだ」
景色が目まぐるしく変わる。
永遠の吹雪が続く、狼のような人々が住まう
巨人が跋扈する、民を愛する女神が治める
学びを禁じた、恒久的平和を実現した
早く、激しく。善なるもののために輪廻が繰り返される
どこまでも広がる
遥か蒼穹に見ゆる
美しくも残酷な、冬の女王が治める
円筒のような地下空間。滅びを迎えなかった竜達が住まう
一歩踏み出す度、周囲を青白い水晶の世界に変えてゆく
世界に根付いた白く大きく、異質な
「もしもまたお前が俺たちの力を欲すなら」
人影が更に足を進め、景色が変わる。
それは、どこかの戦艦の管制室のような。
「平穏を享受する権利を持ちながら、再び戦いに身を投じるというのなら」
再び景色が変化を始める。
己の、あるいは仲間たちの
己の弱さ、あるいは激情、
人類の愚行の果て、あるいは英知の先、訪れるかもしれない
これまでの旅で重ねた功績、あるいは罪を
そして長い、長い旅の中で出会ってきたサーヴァントたちがすべての空想樹を切り倒さんと奮起する
情景が目まぐるしく入れ替わり続け、気付けば俺達は螺旋階段の前に立っていた。
「上がるぞ」
陰に連れられて、階段を上がる。
螺旋階段の壁には、数多くの絵画がかけられている。
そのほとんどが人物画だ。
馬上で仲間と共に疾走する赤い衣の大男
浅葱色の羽織を纏い、刀を上段に構えて突撃する侍
花畑の塔の上から人の営みを見守る魔術師
黄金の波紋を背後に、腕を組み見定めるようにこちらを見下ろす王
大剣を杖のようにつき、髑髏の面の奥からこちらを覗く剣士
燃えるような紅い髪の槍を持つ戦士と、黒い肌の神の戦い
玉座に腰を掛け、足を組んでこちらを見下ろす女王
12の剣を背に背負い、輝きと共に突撃する剣士
身体の右側が欠けながらも闘志を滾らせる黄金の髪の王
失った国民の魂を背負いながらも水晶の蜘蛛を討ち果たさんとする蝙蝠の王の背中
「お前が再び戦場に立つ、その時は」
数えきれない程の階段を登り切った先の最後の額縁には、紫色の髪をした女の子
「俺たちはもう一度、お前に力を貸そう」
「故に俺は声高らかに叫ぼう」
扉の前で足を止めた陰は、その先に俺を誘導するような身振りをしながら声を上げる
「『
お待たせしました。
大変、長らくおまたせしました。
所見の方ははじめまして。前作からご覧の皆様はご無沙汰しております。
この作品を楽しんでいただけると幸いです。
前作への扉はもう少し後に取り付けますので、改めての自己紹介はまた、そちらで