スカイリムCC:釣り師の痴人   作:アーマーブレイク大好きおじさん

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10大麦のシチューとライ麦パン

 シズクを釣ってから早いもので一週間。

 木の床に朝日が差し込む時間にて、

 私はリフテンの家で旅支度をしていた。

 

 次の仕事先は”ハイヤルマーチ地方”の領都――”モーサル”。

 ここ、リフテンからは結構な距離がある。

 最短経路でもリフト地方を横断しずっと北西へ、

 ホワイトラン地方も横断して、ようやく到着する距離だ。

 私は荷造りをしながら、チラリとヴィリアから渡された紙を一瞥した。

 

 『揭示

 

 この掲示を読んだ者に、釣り勝負を挑む!

 勝負をして、カース川のこちら側で一番の釣り人が誰なのか賭けようではないか。

 

 賭け金がいくらだろうと受けて立つから、好きなだけ賭けるといい。

 警告しておくが、私に勝った者はいない。

 実際、私に挑んだ者は誰もモーサルに戻ってこない。

 恥ずかしくてたまらないに違いない。

 

 自信があるなら港にこい。

 

 ーブルティウス』

 

 ヴィリアが言うにはこの釣り勝負には裏があるかもしれないということだ。

 実際に挑んだ釣り人が全員モーサルに帰還していないのだから、

 何かしら不穏な事情があるに違いない、と考えているらしい。

 

 そこで腕っぷしの強い私に白羽の矢が立ったというわけだ。

 

 ――コンコンコンッ

 

 そんなことを考えているとノックの音がする。

 

 「どうぞ。」

 

 「ファイザルさん。おはようございます!」

 

 入ってきたのはシズクだ。

 青い髪を揺らす彼女は『R〇ver Armor』の白カラーを着用している。

 露出は控えめだが、ミニスカートとブーツの可愛らしい衣装だ。

 

 それに以前見た時より表情に余裕がある。

 

 シズクがこの世界に転生してきて一週間。

 彼女は昼はリフテン水産で働き、夜はビーアンドバルブで働き、お金を貯めていた。

 聞けば、ゲームでは”行商人RP”をしていたらしく、話術スキルが高いらしい。

 次いで回復、軽装、錬金術、付呪、鍛冶、隠密……と言った感じになっているらしい。

 直接的な戦闘スキルは無いが、それ以外のことは大抵できる器用さを持っているようだ。

 

 「おはよう。」

 

 私も挨拶を返す。

 彼女が私を訪ねてきた理由は、言うまでもなく仕事の件だ。

 そう、今回の旅はシズクも同行することになったのだ。

 

 残念ながら、このスカイリムの治安は前世の日本よりも遥かに悪い。

 そんな中で今まで平和な日本で暮らしてきたシズクを放置しておくわけにはいかない。

 街中であっても危険な輩は沢山いる。特にこのリフテンには。

 一応私が目を光らせていたこともあり、彼女の貞操は守られたが、危うい場面はいくつもあった。

 故に、今回の旅にはシズクを同行させることに決めたのだ。

 転生者の先輩として、この世界で生きていく上で必要な知識やノウハウを伝えるのも、私の使命だろう。

 

 私は荷物を持ち、立ち上がる。

 

 「よし。行こうか。」

 

 「はい!」

 

☆★☆★☆★☆★

 

 日が傾き、山々が黄金色に染まる頃。

 私とシズクは一日目の目的地”ショール・ストーン”と呼ばれる鉱山の村へ到着していた。

 

 ショール・ストーンはリフテンから最も近い村だ。

 準備運動には丁度良い。

 

 私はチラリとシズクの様子を確認する。

 

 少し疲れ気味の表情だが、大丈夫そうだ。

 歩幅も広く、足取りも軽い。

 日本じゃ、こんな距離を歩く機会などほぼ無かったろうから、

 この世界に十分馴染んできたようだ。

 

 ――カン、カン、カン

 

 村に入ると、左手の鍛冶屋から音が聞こえてくる。

 燃える火花の音や叩くハンマーの音。

 そして独特の金属の匂い。

 この香りはこの村を象徴するものだ。

 

 「着きましたね……。

 ここが、ショール・ストーン……。」

 

 シズクが感慨深そうに呟く。

 異世界にて二番目に到達した場所だからだろうか。

 そんな微笑ましい光景に思わず笑みが浮かんでくる。

 

 私は鍛冶屋へ向かい、金床を打つ中年の男に声を掛ける。

 

 「フィリンジャール。どうも。」

 

 「おお、ファイザルか!

 久しぶりじゃないか!」

 

 元気良さ全開の大声が返ってくる。

 彼の名前は”フィリンジャール”。

 このショールストーンで鍛冶屋を営む男だ。

 顔見知りと言って差し支えない程度には付き合いがある。

 

 過去何度かこの村に配達の仕事(MOD:Mis〇ives)で訪れたことがあるし、

 定期的に鉱山に現れる蜘蛛の魔物”フロストバイト・スパイダー”を討伐したりしていたからな。

 

 「お?そっちのお嬢ちゃんは?」

 

 フィリンジャールがシズクへ視線を向ける。

 

 「シズクです。よろしくお願いします。」

 

 シズクが礼儀正しく頭を下げる。

 意外にも堂々としていた。

 

 「ああ、よろしく!

 ところで、今日はどうしたんだ?」

 

 フィリンジャールが首を捻る。

 

 「今日はこの村に泊まっていく予定だ。

 何か手伝うことはある?」

 

 私がそう言うと、フィリンジャールは、待ってました、と言わんばかりに答えた。

 

 「そりゃ助かる!

 また、あの蜘蛛どもが近くをうろついているみたいなんだ。

 少し間引いてくれると助かるんだが。」

 

 フィリンジャールが頭を下げる。

 あの蜘蛛とは、フロストバイト・スパイダーのことだ。

 蜘蛛型のモンスターで、このスカイリムではゴブリンよりもよく見かける存在だ。

 基本的な体色は茶褐色で、極寒の地域では白い個体も存在する。

 粘性の高い糸で獲物を捕らえるだけでなく、

 血を凍らせる毒を持っている上に攻撃力も結構高い。

 一匹や二匹ならば軽々と片付けることができるが、

 群れで現れることも多く、その際は注意が必要だ。

 

 何しろデカい蜘蛛という見た目は、多くの転生者を震え上がらせる。

 私も最初見た時はビビッたもんだ。

 

 「わかった。では少し刈ってこよう。」

 

 私が答えると、フィリンジャールは安心した様子で微笑む。

 私はシズクへ視線を向ける。

 

 「シズクはどうする?」

 

 シズクは思案顔になり、

 少し考えた後に答えた。

 

 「私も手伝います!」

 

 予想外の返事に私は驚いた。

 

 「……ほんとか?」

 

 念のため確認すると、シズクは大きく頷いた。

 

 「はい!戦闘にもなれないといけませんから」

 

 その表情は真剣だった。

 

 彼女が戦闘に参加してもあまり役に立つことは無いだろう。

 だが、それで良いと思った。

 この世界で生きていくには力や技量だけじゃなく、

 勇気や決断力、そしてなにより経験が必要なのだから。

 

 「よし、一緒に行こうか。」

 

 そして改めて、私はフィリンジャールに向き合う。

 

 「あと、今日泊めて欲しいんだ。」

 

 「……俺の家にか?」

 

 少々不安げな表情を浮かべるフィリンジャール。

 何が不満なんだ?

 

 「ダメか?」

 

 「い……いや!俺は……そんなことない。

 ただ、まぁ若い女二人が俺みたいなおっさんの家に泊まるってなると、

 まぁ、ちょっと……なんというか……心配になるだけで……。」

 

 照れ隠しなのだろうか。

 いや、本当に心配なのかもしれない。

 見た目に反して奥手そうだしな。

 まだ独身らしいし。

 

 私は彼の表情を見て納得する。

 確かに男性は若い美女が自分の家に泊まることに対して色々と気になるものだよな。

 

 別に一緒に風呂に入ったりする訳じゃないし、大丈夫だろ。

 

 私は言葉を続ける。

 

 「安心しろ。変な真似はしない。」

 

 「お……お前が言うのかよ……。

 まぁ、大丈夫だ。俺も変な真似はしない。」

 

 フィリンジャールは少し照れくさそうに顔を背ける。

 まあ、じゃあOKということで。

 

 私たち二人はフィリンジャールの家に荷物を置き、

 フロストバイト・スパイダーを討伐すべく、

 近くの森へ足を進めた。

 

☆★☆★☆★☆★

 

 「見えるか?あれがフロストバイト・スパイダーだ。」

 

 私が指差す先には蜘蛛の魔物が姿を現していた。

 茶褐色の甲殻に覆われた巨大な蜘蛛。

 脚を広げれば二メートル近くにもなる。

 

 シズクは思わず半歩後ずさる。

 顔は青ざめ、手が震えていた。

 確かに怖いよね。こんなデカい蜘蛛。

 そんな彼女に私は声を掛ける。

 

 「大丈夫だ。とりあえず今回は、戦闘の空気を感じ取ってもらえればいい。」

 

 ――キン……。

 

 私は刀を抜刀する。

 金属音が小さく鳴る。

 

 「いざ……参る!」

 

 私は腰を深く落とし、一気に距離を詰める。

 視線は正面に向けたまま、意識だけを周囲へ広げた。

 刹那――

 

 ――カサッ……

 

 葉が僅かに揺れる。

 

 (上――)

 

 木の幹から別の個体が飛び出した。

 剥き出しの牙から毒液を滴らせ、

 獲物へ覆い被さるように襲い掛かってくる。

 

 (遅い!)

 

 ――ギィィィン!

 

 解き放った刀が甲殻を断ち割る。

 緑色の体液が飛び散り、真っ二つになった一匹目が地面へ転がった。

 

 さらに刃を返し、そのまま横薙ぎに一閃。

 二匹目の胴体が裂け、断末魔を上げることすら許さず絶命する。

 

 私の間合いへ踏み込んだ瞬間、その命運は決していた。

 

 だが、――まだ終わりではない。

 

 静まり返った森に、地の底から響くような低い唸り声が響いた。

 

 ――ギギギギギ……。

 

 木々の奥で枝葉が大きく揺れる。

 一本、また一本と幹が押し退けられ、その向こうから現れたのは、先ほどまでの個体とは比較にならない巨体だった。

 

 全身を覆う褐色の甲殻。

 脚を広げれば四メートルを優に超える。

 牙は太く、その先から粘つく毒液が糸を引いて滴り落ちていた。

 

 「……ジャイアント・フロストバイト・スパイダー……。」

 

 背後でシズクが息を呑む気配がした。

 

 「お、大きい……。」

 

 彼女の声は震えていた。

 それも無理はない。

 あの顎に捕らえられれば、人一人など簡単に噛み砕かれてしまうだろう。

 ジャイアントフロストバイト・スパイダーは八つの眼で私を捉えると、威嚇するように前脚を持ち上げた。

 

 次の瞬間。

 

 ――ブシュッ!!

 

 開口部から大量の蜘蛛糸が放たれる。

 白い塊が網のように広がり、逃げ道を塞ぐように迫る。

 

 「まずはけん制か……」

 

 私は軽く踏み込む。

 糸が身体を包み込む寸前、半歩だけ軌道をずらした。

 

 蜘蛛糸は空を切り、そのまま背後の木へ絡み付く。

 太い幹がミシリと音を立てた。

 続いて巨体が地面を揺らしながら突進してくる。

 

 ――ドドド!ドドド!ドドド!

 

 一歩ごとに土が跳ね、落ち葉が舞い上がる。

 巨大な足が私の頭上へ振り下ろされた。

 

 ――ガッ!

 

 その一撃を紙一重でかわし、懐へ潜り込む。

 近付けば近付くほど、敵は自らの巨体を持て余す。

 脚で押さえ込むには距離が近すぎる。

 

 「――終わりだ。」

 

 腰を落とし、刀を静かに構える。

 

 刹那。

 

 ――ギィィィン!!

 

 銀の軌跡が一閃した。

 

 刀身は厚い甲殻を何の抵抗もなく断ち切り、

 そのまま胴体の中心まで深々と走る。

 

 一瞬の静寂。

 

 そして――。

 

 ――ズズン。

 

 巨体が左右に裂け、緑色の体液を撒き散らしながら地面へ崩れ落ちた。

 森を震わせていた唸り声は、二度と響くことはなかった。

 

 私は刀を軽く振り、付着した体液を払う。

 

 ――チャキ。

 

 静かな音とともに納刀する。

 振り返ると、シズクは呆然と立ち尽くしていた。

 

 「す、すごい……。」

 

 彼女の視線は真っ二つになった巨大蜘蛛と私を何度も行き来している。

 私は苦笑しながら肩を竦めた。

 

 「魔物との戦いで一番大切なのは、力任せに戦うことじゃない。

 相手をよく見て、動きを読むことだ。」

 

 そう言って倒れたジャイアントフロストバイト・スパイダーへ視線を向ける。

 

 「どれほど強大な相手でも、急所と隙は必ずある。」

 

 シズクは小さく頷き、その言葉を胸に刻むように倒れた魔物を見つめていた。

 

☆★☆★☆★☆★

 

 日が暮れる頃までにはショール・ストーンに戻ってくることができた。

 村の広場では鉱夫たちが集まり、夕食の支度をしているところだった。

 

 「フィリンジャール。」

 

 鍋をかき混ぜるフィリンジャールに声をかける。

 

 「お!どうだった?」

 

 フィリンジャールは振りむき、私に成果を聞いてきた。

 倒した個体の頭部を差し出す。

 

 「これは……。大物だな。

 こんな奴が村を襲うとなると……ぞっとするよ。」

 

 フィリンジャールは青ざめた表情で、その頭部に目を落とす。

 今回倒したジャイアントフロストバイト・スパイダーは、一般的なフロストバイト・スパイダーの二倍以上のサイズがあった。

 牙も太く、糸も強靭だった。毒も強力だ。

 見た目通りの油断のできない相手だったと言えるだろう。

 

 「戦闘自体は問題なかった。」

 

 「へっ!

 心配はしてねえよ。

 お前さんの腕はよく知っている。」

 

 フィリンジャールは不敵に笑う。

 

 「シズクはどうだった?」

 

 私は視線を後ろへ向ける。

 シズクは木箱に座り込み、疲れた表情をしていた。

 

 「こ、怖かったです。でも……」

 

 少し言葉を探すように口ごもる。

 やがて意を決したように顔を上げる。

 

 「体験できたことがうれしいです!」

 

 素直に喜ぶ彼女の姿に、私の胸は温かくなった。

 彼女はまだ戦いには不安が残るだろう。

 しかし、この世界は残酷で厳しい場所だ。

 行商人をするにしろ、街で生活を営むにしろ、争いに巻き込まれる機会は日本よりも遥かに高い。

 そうなった時、無事に生き延びるためには自分の身を守る力が必要なのだ。

 

 「良い返答だ。」

 

 私が頭を撫でると、シズクは嬉しそうに笑う。

 

 ――ぐぅぅぅ……

 

 突然、強い空腹感に襲われる。

 そういや、昼は軽い保存食を食べただけだったな。

 それ以降何も口にしていなかった。

 

 「はっはっはっ!ちょうどいい!

 料理が出来上がったぜ!」

 

 フィリンジャールの声で我に返る。

 広場の中央に大きな鍋が置かれ、白いスープが湯気を立てていた。

 

 「よし!お前さんらも座ってくれ!

 俺が皿に取り分けてやる!」

 

 促されるまま、私は木の長椅子へ腰を下ろす。

 

 周囲では仕事を終えた鉱夫たちが次々と集まり、

 笑い声が広場へ広がっていく。

 

 上着を脱ぎ捨てる者。

 桶の水で顔を洗う者。

 既に一杯やっている者。

 

 一日の仕事を終えた充足感が、この小さな村全体を包んでいた。

 

 フィリンジャールは大きな木杓子で鍋をかき混ぜる。

 とぷり、と木の器へよそうたび、湯気がふわりと立ち上った。

 

 「ほらよ。沢山食えよ!」

 

 手渡された器はずっしりと重い。

 

 中には、大ぶりに切られた牛肉と大麦、にんじん、玉ねぎ、それにカブが惜しげもなく入っていた。

 

 白というより、少し灰色がかった濃厚なスープ。

 派手さはない。

 見てくれもあまり良くない。

 だが、これは――腹が求めている。

 

 「それだけじゃねぇっぞ。」

 

 フィリンジャールはオーブンの脇へ歩き、大きな布をめくった。

 そこには焼きたてのライ麦パンが山積みになっていた。

 

 表面はこんがりと色付き、小麦よりも濃い茶色をしている。

 

 焼き目から立ち上る香ばしい香りに、思わず視線が吸い寄せられた。

 

 「わぁ~焼きたてですよ!」

 

 シズクも目を輝かせている。

 フィリンジャールは豪快に幾つかのライ麦パンを皿に盛り付け、私たちに配ってくれた。

 

 「おかわりもあるからな!」

 

 焼き上がったばかりらしく、まだ湯気が立っていた。

 外皮は固く焼かれているが、中からはふんわりとした麦の香りが漏れてくる。

 私とシズクは同時に手を合わせた。

 

 「「いただきます」」

 

 まずはシチューを一口。

 

 ――やっぱり熱い。

 

 だが、その熱さが心地良い。

 スカイリムの冷気に侵された身体へ、ゆっくりと染み込んでいく。

 

 牛肉は長時間煮込まれていたのだろう。

 木の匙を軽く押し当てるだけで、ほろりと崩れた。

 

 一口、頬張る。

 

 噛む必要がないほど柔らかい。

 それでいて、肉の繊維にはしっかりと旨味が残っている。

 

 噛みしめるたびに、牛肉の濃い出汁が口いっぱいへ広がった。

 

 「うわぁ……おいしいですぅ……」

 

 シズクも思わず声を漏らす。

 

 続いて、大麦。

 ぷちり、と小気味よく弾ける。

 米とも小麦とも違う、独特の歯応え。

 

 噛むほどに穀物の甘みが顔を出し、濃厚なスープを優しく受け止めていた。

 玉ねぎは形がなくなるほど煮込まれ、甘みだけを残している。

 

 にんじんやカブは大雑把に切られているが、柔らかく、それでいて崩れない。

 カブは汁をたっぷり吸い込み、口へ運ぶたびにじゅわりとスープと旨味を押し出してくる。

 

 豪華な食事ではない。

 繊細な味付けがあるわけでもない。

 

 だが、一つ一つが身体を作るための味。

 明日への活力の源となる味。

 どっしりとした重く暖かいスープがお腹を満たしていく。

 幸福感がお腹にしっかりと貯まっていく。

 

 「これが毎日の楽しみなんだ。」

 

 フィリンジャールが笑いながら、自分の器を掲げてみせる。

 

 「腹いっぱい食わねぇと、鉱山に負けちまうからな!」

 

 周囲の鉱夫たちが一斉に笑った。

 その声が広場全体を包み込む。

 この一杯が、彼らの力の源なのだ。

 

 私とシズクもつられて笑う。

 この温かさが、明日への希望となるのだろう。

 

 次に私は焼きたてのライ麦パンを割る。

 

 ぱきり、と香ばしい音が響いた。

 外側は驚くほど固い。

 

 だが、中は湯気をまとい、ふんわりとしている。

 立ち上る香りは、ライ麦独特のものだった。

 

 そのまま一口。

 

 ――カリッ

 

 噛み応えがある。

 

 噛めば噛むほど、麦の素朴な甘みがゆっくりと広がっていく。

 咀嚼するたびに、心臓が高鳴っていくようだった。

 歯ごたえの良いパン。

 それでいて優しい味付け。

 これもまた明日を力強く生きるためのエネルギーなのだろう。

 

 「このパン……美味しいです。」

 

 シズクが嬉しそうに頬張る。

 

 「だろ?」

 

 フィリンジャールは胸を張った。

 

 「この村のパンはライ麦が中心だ。腹持ちは最高だぜ。」

 

 私はパンを半分にちぎり、シチューへ浸した。

 

 ――じゅわり

 

 ライ麦パンがのスープを吸い込んでいく。

 十分に染み込んだところで口へ運ぶ。

 

 ――サクッ

 

 外皮はほどよく柔らかくなり、中は煮汁をたっぷり含んでいる。

 

 牛肉の旨味。

 野菜の甘み。

 ライ麦の香り。

 

 「……あぁ。」

 

 思わず息が漏れる。

 

 この村で働く者たちにとって必要なのは、見栄えではなく明日を生きる力だ。

 温かなシチューを口に運び、焼きたてのパンをちぎる。

 そのたびに身体の奥から力が戻ってくるようだった。

 ふと顔を上げると、鉱夫たちは皆、笑いながら同じ鍋を囲んでいる。

 

 今日一日を無事に終えられたことを祝い、明日もまた鉱山へ向かうために食べる。

 

 これは豪華な宴ではない。

 

 だが、この湯気の立つ食卓には、どんな城の晩餐にも負けない温もりがあった。




フロストバイトスパイダー君のサイズ感は適当です。
ぶっちゃけ説明も適当です。

ChatGPTの画像生成について、OpneAI側は著作権はクリアしているとのことで、参考画像(食べ物やキャラクターの見た目)を生成して掲載することは可能らしいのですが、皆さんの意見が知りたいです。念のため、挿絵の要望が多くても絶対に挿絵を生成するとは約束しませんし、挿絵反対が多くても絶対に挿絵を生成しないとは約束しません。極論、すべてを運営に任せるのが一番ですが、皆さんの意見を聞きたいです。

  • 生成AIで挿絵を作るべきではない
  • 料理は生成しても良い
  • キャラクターは生成しても良い
  • 両方生成してよい
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