スカイリムCC:釣り師の痴人   作:アーマーブレイク大好きおじさん

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注意、原作超改変(今更)


24ホーカーラーメン(前編)

 翌日。

 

 ウィンドヘルムの正門を抜け、東へ。

 

 いくつかの農場を通り過ぎ、街の喧騒がすっかり遠のいた頃には、周囲の景色もずいぶんと寂しいものになっていた。

 

 どこまでも続く、雪景色の荒野と白波の打ち付ける海岸線。

 

 ところどころに岩が突き出し、雪に覆われた地面には枯れ草がまばらに顔を出している。

 遠くには険しい山々――ヴェロシ山脈が連なり、その稜線は薄い雲の向こうへと消えていた。

 

 空からは、細かな雪が絶え間なく降っている。

 

 粉雪。

 

 ひと粒ひと粒は小さく、風に吹かれて舞い上がるたび、視界の端を白くかすめていく。

 

 時刻は昼頃。

 

 太陽は雲の向こうにあるはずだが、その姿は朧気だ。

 明るさは昼間のものなのに、周囲の景色はどこか薄暗く、寒々しい。

 

 (……寒い。)

 

 昨日も思ったが、やはりウィンドヘルム周辺の寒さは格が違う。

 

 こんな場所で暮らしているノルドたちは、いったいどういう身体をしているのだろうか。

 

 足元の雪を踏みしめるとキュッと音がした。

 

 目的地は、もうすぐのはずだ。

 

 ”ファングタスク”。

 周辺の人々を悩ませているという、厄介なホーカーである。

 

 昨日のうちに釣り上げた北極グレイリングを餌にして、そいつをおびき寄せる。

 ちゃんと新しい北極グレイリングだ。

 うん。何も問題はない。

 

 私は荷物の中から北極グレイリングを取り出した。

 

 青緑色の鱗に、黄金色の腹。鮮やかな橙色のヒレ。

 

 昨日の魚と同じく、実に立派な魚体だ。

 

 身は厚いし、脂もたっぷり乗っていそうだし、皮目をこんがり焼いたら、さぞかし香ばしいだろう。

 

 フォークを入れれば、ほろりと身がほどけて。

 口に運べば、脂の甘みがじゅわっと広がって。

 表面の焼けた皮はぱりぱりで、中はふっくら。

 

 ……ああ。

 

 想像しただけで、腹が減ってきた。

 

 ん?今デジャブっておもっただろ?

 

 大丈夫大丈夫。

 今は食べない。

 

 これは餌だ。

 ファングタスクをおびき寄せるための、れっきとした餌なのである。

 

 私は自分に言い聞かせるように頷き、周囲を見回した。

 

 依頼書の地図に書かれた印はこの辺り。

 

 私は立ち止まり、改めて周囲を見回した。

 

 雪に覆われた海岸線に、大小の岩が点在している。

 その向こうには、風雪にさらされた岩場が広がっていた。

 

 (……さて。)

 

 問題は、どこに餌を置くかだ。

 

 ファングタスクがこの辺りを縄張りにしているのなら、近くを通りかかる可能性は高い。

 ならば、わざわざ巣を探し回る必要もないだろう。

 

 私は風向きを確かめ、周囲から見つけやすく、それでいて奇襲しやすそうな場所を探した。

 

 やがて、手頃な岩を見つける。

 

 (……ここでいいか。)

 

 私は北極グレイリングを取り出し、岩の上にそっと乗せた。

 

 青緑色の鱗が、ひときわ鮮やかに映える。

 

 「…………。」

 

 いや、本当に美味しそうだな。

 

 いかん、いかん。

 

 これは餌だ。

 私の昼食ではない。

 

 私は名残惜しさを振り切るように、岩陰から少し離れた場所へ移動した。

 

☆★☆★☆★☆★

 

 (……本当に来るんだろうな。)

 

 そんなことを考え始めた頃だった。

 雪の向こうで、何かが動いた。

 

 最初は岩陰に潜んでいた影が、ゆっくりとこちらへ姿を現す。

 

 ずんぐりとした茶色い巨体。

 地面を這うように進む四肢。

 そして、その顔から伸びる、見るからに頑丈そうな牙。

 

 ファングタスクだ。

 

 巨体を左右に揺らしながら、そいつは迷いなく餌へと近づいてきた。

 

 雪を押しのけるように進むたび、重たい身体が鈍く揺れる。

 

 (……おお。)

 

 思っていたよりも大きい。

 

 なるほど、これなら船乗りや漁師が警戒するのも分かる。

 あの牙で突進されたら、普通の人間ではひとたまりもないだろう。

 

 ファングタスクは鼻先を地面へ近づけ、北極グレイリングの匂いを嗅いだ。

 

 そして――。

 

 大きく口を開ける。

 

 

 

 

 「は?」

 

 私はキレてしまった。

 それはお前の餌ではない。

 いや、お前の餌ではあるが、私が苦労して釣り上げた、北極グレイリングだ。

 

 しかも、昨日の失敗を反省して、今度こそ食べずに取っておいた貴重な一匹である。

 そこに一体どれだけの苦労があったのか。

 お前にはわかるまい。

 お前にはわかるまい(二回目)。

 

 お前に食べさせるために用意した魚ではあるが。

 

 私の目の前で、何の遠慮もなく丸呑みにされるのは、何というか……。

 

 「ゆ゛る゛さ゛ん゛!」

 

 ――ドッ!

 

 私は腰の刀を抜き、地面を蹴った。

 

 ファングタスクがこちらへ顔を向ける。

 

 だが、もう遅い。

 

 踏み込む勢いのまま、私はその巨体の懐へと滑り込んだ。

 振り上げられた牙が空を切る。

 

 その一瞬。

 

 ――キン……。

 

 私はホーカーの首筋に、刃を滑らせた。

 

 ――どさり。

 

 雪を巻き上げながら、その巨体が地面へと崩れ落ちた。

 

 討伐完了。

 

 私は武器を収め、倒れたファングタスクを見下ろした。

 見た目はなかなか迫力があったが、実際に戦ってみればこんなものだ。

 

 (……さて。)

 

 ”問題”はここからである。

 

 とりあえず、私はファングタスクの死体のそばにしゃがみ込んだ。

 まずは、どこから捌くべきか。

 ホーカーの肉とはどんな味がするのだろう。

 

 そんなことを考えながら私は――

 

 ――カンッ!

 

 背後から迫る矢を、私は刀で叩き落とした。

 

 紫色の光が、粉雪の中で弾ける。

 

 矢は地面に落ちることなく、霧散するように消えていった。

 

 ……魔力の矢か。

 

 私は刀を構えたまま、ゆっくりと振り返った。

 

 岩陰の向こう。

 

 そこには、三人の人影があった。

 

 一人は杖を手にした赤いローブの男。

 もう一人は、紫色の光を帯びた弓を構える赤いローブの女。

 

 そして、その二人から少し離れた場所に立つ、重厚な鎧をまとった男。

 

 大楯を構え、長い槍を手にしている。

 全身を覆う甲冑は、粉雪の中でも異様な存在感を放っていた。

 

 「…………。」

 

 なるほど。

 

 なかなか物騒な顔ぶれだ。

 

 「……深遠の暁、か。」

 

 私は小さく呟いた。

 

 ローブ姿の人物が、こちらへ杖を向ける。

 

 「お前には、ここで死んでもらう」

 

 物騒な挨拶だ。

 私は刀を握り直した。

 

 まあ、こうなることは分かっていた。

 

 ”あの男”から話を聞いていなければ、今頃は背後からの不意打ちに驚いていたかもしれない。

 

 だが、残念だったな。

 

 こちらも、何も知らずにこの場所へ来たわけではない。

 

 「……それで?」

 

 私は肩をすくめた。

 

 「たった三人で私を殺すつもりか?」

 

 その言葉に、杖を持った人物がわずかに眉を動かした。

 

 「減らず口を!」

 

 次の瞬間。

 

 ローブ姿の二人が、ほぼ同時に呪文を唱え始めた。

 

 足元の雪が、紫色の光に照らされる。

 

 空気が歪み、冷たい風とは異なる熱気が周囲に広がった。

 

 そして――。

 

 ゴウッ!

 

 二つの魔法陣が地面に浮かび上がった。

 

 その向こうから現れたのは、人の形をした異形の戦士だった。

 

 赤い入れ墨に黒い肌。

 頭部から伸びる角。

 そして、手に握られた巨大な大剣。

 

 ”ドレモラ・マルキナズ”。

 

 召喚された二体の戦士は、地面に足をつけるなり、こちらへと殺気を向けた。

 

 「……抗いし者の匂いがする」

 

 「貴様を倒して、主に敬意を示すのだ!」

 

 ……なるほど。

 

 召喚術師が二人。

 それぞれが上位のドレモラを呼び出すとは。

 

 なかなかの精鋭らしい。

 

 「行け!」

 

 術者の声が響いた。

 

 次の瞬間、ドレモラたちが動いた。

 

 ドッ、ドッ、ドッ――!

 

 巨体に似合わぬ速度で雪を蹴散らし、二体が左右から迫ってくる。

 

 その後方では、杖を持った男がさらなる魔法を準備し、魔力の弓を構えた女が私へ狙いを定めていた。

 

 正面からは大剣。

 後方からは魔法と矢。

 

 単純だが、悪くない連携だ。

 

 普通の戦士なら、どこかで足を止められるだろう。

 

 ……まあ。

 

 私(転生者)には、少々足りないが。

 

 最初に動いたのは、私から見て右側のドレモラだった。

 大剣が、頭上から振り下ろされる。

 

 まともに受ければ、刀ごと叩き折られかねない。

 

 だが、受ける必要などない。

 私は半歩だけ横へ踏み出した。

 

 ――ドゴォンッ!

 

 大剣が雪に覆われた地面を砕く。

 

 舞い上がる雪と土。

 その向こうで、ドレモラがわずかに体勢を崩した。

 

 「遅い。」

 

 いや、決して遅くはないのだろう。

 人間が相手ならば、十分すぎるほどの速度だ。

 

 ただ、私には届かない。

 

 私はその脇をすり抜けながら、刀を横薙ぎに振るった。

 

 ――ギィンッ!

 

 刃が、ドレモラの脇腹を覆う鎧を捉える。

 硬い感触。

 まだ浅い。

 

 流石にデイドラ鎧。

 作中最高クラスの防御力だ。

 

 「ぐぅあ!」

 

 ドレモラが悲鳴を上げながらも、冷静に距離を取る。

 流石は上位のドレモラ。

 戦士としての才覚は一流なようだ。

 

 私は追撃せず、そのまま前へと抜ける。

 

 直後。

 

 紫色の光――魔力の矢が、私のいた場所を貫いた。

 矢は雪原を一直線に走り、岩肌に激突して弾けた。

 

 続けて私は半身を反らす。

 

 ――ドゴンッ!

 

 身体の傍を熱風が通り過ぎ、背後の雪を一瞬で溶かす。

 

 なるほど。

 悪くない。

 実に悪くない連携だ。

 

 相手が”私(転生者)”でなければな。

 

 ――ドンッ!

 

 私は地面を蹴った。

 

 狙いは、後衛ではない。

 

 再び大剣を構え直そうとしている、先ほどのドレモラだ。

 

 「ぬうっ!」

 

 ドレモラが咄嗟に剣を振るう。

 

 ――ブンッ!

 

 大剣の刃が、私の眼前を横切った。

 

 私は上体を反らしてそれをかわし、踏み込む勢いを殺さず、刀の柄で相手の振り抜いた手首を打った。

 

 ――ガツンッ!

 

 ドレモラの体勢が崩れる。

 

その隙に、私は鎧の継ぎ目へ刃を滑り込ませた。

 

 ――ザシュッ!

 

 赤黒い血が、白い雪へ散る。

 ドレモラが苦悶の声を上げ、後退した。

 

 「小癪な!」

 

 「そう?」

 

 そう言いながら、私はもう次の動きに備えていた。

 

 左。

 

 もう一体のドレモラが迫っている。

 大剣を横薙ぎに振り抜くつもりらしい。

 

 私は先に懐へ踏み込んだ。

 

 「《古龍の雷奔》」

 

 掌から迸った赤い雷が、一直線にドレモラの胸元へと走る。

 

 ――バヂィィィッ!!

 

 真紅の閃光が、黒々とした鎧を呑み込んだ。

 

 「ぐ、おおおおッ!」

 

 ドレモラが苦悶の叫びを上げる。振り抜かれるはずだった大剣が、力を失った腕ごと大きく逸れる。

 

 赤い稲妻は鎧の表面を這い回り、幾筋もの火花を散らしながら、その巨躯を容赦なく焼き焦がしていく。

 

 ――バチ、バチバチッ! バヂィィンッ!!

 

 やがて雷光がひときわ強く弾けた。

 

 ドレモラの身体がびくりと跳ね、その輪郭が崩れ始める。

 黒い鎧も、大剣も、すべてが紫色の光の粒へと変わっていった。

 紫の粒子が風にさらわれるように散り、ドレモラはオブリビオンの海へと放逐された。

 

 さて、これで後は2人の深遠の暁団員とドレモラ。

 

 ……いや。

 もう一人いたな。

 

 私は視線だけを、少し離れた場所へ向けた。

 重厚な鎧をまとった騎士風の男。

 

 大楯と長槍を構えたまま、彼は一歩も動いていなかった。

 

 こちらを見ている。

 

 いや、正確には――私だけを見ているわけではない。

 

 男の視線は時折、岩陰や雪に覆われた斜面へと向けられていた。

 まるで、そこに何者かが潜んでいると確信しているかのように。

 

 (……ふむ。)

 

 奇襲が失敗した時点で、気づいたか。

 

 私が背後からの矢に反応できたこと。

 そして、あらかじめ待ち伏せを警戒していたかのような立ち回り。

 

 それだけで、こちらの情報源に気づいたのだろう。

 なかなか勘が鋭い。

 

 騎士は槍を構え直した。

 

 「……お前たち」

 

 低い声が、戦場に響いた。

 

 騎士が、ゆっくりと前へ踏み出す。

 これまで静観していた男が、ようやく動くつもりらしい。

 

 大楯を前に出し、槍の穂先をこちらへ向ける。

 

 その構えには、明らかな隙のなさがあった。

 

 「周囲を警戒しておけ、ここからは私が――……」

 

 「その心配はないぜ」

 

 騎士風の男の進路を塞ぐように、ひとつの影が横合いから現れた。

 

 雪を踏みしめる音。

 

 重厚な装甲が、鈍い音を立てる。

 暗色の鎧に身を包んだ男だった。

 

 肩から腰までを覆う甲冑は、荒々しくも精巧な造りをしている。

 頭部を覆う装具の奥に表情は見えず、その手には大斧が握られていた。

 

 「お前が探していたのは俺だろ?マルドロ。」

 

 「……アルバート。」

 

☆★☆★☆★☆★

 

 マルドロの声には、驚きよりも苦々しさが滲んでいた。

 

 まるで、いつかこうなると分かっていた相手と、とうとう顔を合わせてしまったかのように。

 

 俺は大斧を肩に担ぎなおした。

 

 「久しぶりだな。元気そうで何よりだ」

 

 「冗談を言いに来たのか?」

 

 「まさか。お前がこんなところで何をしているのか、聞きに来たんだよ」

 

 「見て分からないか。任務だ」

 

 「へえ。任務ねえ」

 

 俺は、視線の先で戦闘を再開したデカパイのねーちゃん――たしか、ファイザルへ一瞬だけ意識を向けた。

 

 魔術師の放った炎が雪原を焼き、紫色の矢が空を切る。

 その中心で、ファイザルはドレモラを相手に立ち回っていた。

 

 助けに入る必要はなさそうだ。

 

 俺は再びマルドロへ向き直った。

 

 「ずいぶん派手なことをするようになったじゃねぇか。野生動物に魔法をかけてよ。一般人を襲撃して、街を襲撃して……」

 

 俺は短く息を吐いた。

 

 「昔のお前なら、もう少しやり方を考えたと思うがね」

 

 「……それは、こちらの台詞だ」

 

 マルドロが、冷ややかな声で答えた。

 

 「野生動物に魔法をかけることは許せない。

 一般人を襲撃することも許せない。

 街を襲うことも許せない」

 

 奴は一度言葉を切り、俺をまっすぐに見据えた。

 

 「だが、お前たちが世界の歴史を捻じ曲げることは許されると?」

 

 「……何が言いたい?」

 

 「お前たちも同じだ、アルバート」

 

 マルドロは、槍の柄を握る手に力を込めた。

 

 「自分たちの正義を掲げ、前世の知識を振りかざし、この世界の住人が選ぶはずだった未来を勝手に書き換えている」

 

 マルドロは槍の穂先をわずかに傾けた。

 

 「その結果、誰かが救われるのなら構わないとでも言うつもりか?

 だがその違いは何だ?

 お前たちが世界を変えるのは善で、我々が変えるのは悪なのか?」

 

 「……そりゃあ、変えた先の未来がどうなるかによるだろ」

 

 「その判断を、誰が下す?」

 

 マルドロは間髪入れずに問い返した。

 

 「お前か?

 ブレイズに所属する転生者たちか?

 それとも、”新”グランドマスターか?」

 

 「……。」

 

 「世界を救うという大義の下で、誰もお前たちを止められなくなったとき。

 お前たちは、本当に世界のために最善の行動をし続けられるのか?」

 

 俺は、手の中の大斧を握り直した。

 

 「……だからブレイズを潰すってか」

 

 「そうだ」

 

 マルドロは、迷いなく答えた。

 

 「世界をお前たちの私物にさせないためだ。

 転生者のエゴで、この世界の未来を歪ませないためにもな!」

 

 「……そうかい」

 

 俺は大斧を握り直した。

 

 「ならよ……言葉は要らねぇよな!」

 

 ――ドンッ!

 

 次の瞬間、俺は地面を蹴った。

 

 雪煙が爆ぜる。

 

 大斧を振りかぶり、正面からマルドロへと突っ込んだ。

 対するマルドロは、大楯を前に構えたまま一歩も退かない。

 

 ――ガァンッ!

 

 轟音が雪原を揺るがした。

 

 大斧が大楯に叩きつけられ、火花が散る。

 普通の人間なら、腕ごと持っていかれてもおかしくないと自負している一撃だ。

 

 だが、マルドロは微動だにしなかった。

 

 「お前は、相変わらず力任せだな!」

 

 「お前こそ、盾の裏に隠れてばかりじゃねぇか!」

 

 マルドロが大盾を押し返す。

 俺の身体がわずかに後ろへ流れる。

 

 その隙を逃さず、マルドロのランスが突き出された。

 

 速い。

 

 穂先が一直線に喉元へ迫る。

 

 だが俺は上体を捻って紙一重でかわし、柄を握る手を返して大斧を横薙ぎに振るった。

 

 対するマルドロは軽やかなバックステップで回避し、そのまま俺の脇腹をめがけて突きを繰り出してくる。

 

 「おっと!」

 

 俺は後方へ跳んでそれをかわし、再び斧を構える。

 

 互いに重装備同士。

 されど、動きに淀みはなかった。

 

 鎧の重量など、もはや枷にすらなっていない。

 むしろ、その重量を攻撃へと変換している。

 

 俺が斧を振れば、マルドロは盾で受け、あるいは紙一重で逸らす。

 マルドロが槍を突き出せば、俺は身体を捻ってかわし、反撃を繰り出す。

 

 互いの得物が届く距離。

 互いの一撃が、致命傷になり得る距離。

 

 その間合いを、俺たちは一歩たりとも譲らなかった。

 

 「お前は、何も変わっちゃいないな!」

 

 ランスの穂先が、俺の肩を掠めた。

 

 「何の話だ!」

 

 「自分の判断が正しいと信じたら、周りが見えなくなる!」

 

 「そりゃ、お前のことだろうが!」

 

 俺は大斧を振り下ろした。

 マルドロは盾を傾け、刃を横へと受け流す。

 

 そのまま盾を押し込んできた。

 

 ――ドンッ!

 

 重い衝撃が胸当てに響く。

 

 俺は後退するどころか、踏み込んでそれを押し返した。

 

 「世界をよくするためなら、何をしてもいいと思っている!」

 

 「少なくとも、何もしないよりはマシだろうが!」

 

 「転生者様のありがたい啓蒙思想だな! 

 自分たちが正しいと信じて疑わない、その傲慢さが気に入らんのだ!」

 

 奴は盾を引いた。

 

 次の瞬間、ランスが唸りを上げる。

 

 俺は大斧の柄で受け止めようとした。

 

 ――ギィンッ!

 

 鋼が激突し、耳障りな音が響く。

 穂先が柄を滑り、火花を散らした。

 

 マルドロはそのまま槍を押し込み、俺の大斧を外側へと押し流そうとする。

 

 俺も負けじと柄に力を込めた。

 

 ギリ、ギリ、と金属が軋む。

 

 互いの顔が、手を伸ばせば届くほど近づいた。

 大斧とランスが交差し、両者の力が拮抗する。

 

 鍔迫り合い――と呼ぶには、少々無理があるか。

 だが、今はそんなことどうでもいい。

 要するに、力比べだ。

 

 「お前たちが世界を救う?」

 

 マルドロが、歯を食いしばりながら言った。

 

 「デルフィンを殺してでもか!?」

 

 「殺さなきゃ、ドヴァーキンとの協力関係が終わってただろ!」

 

 俺はランスを押し返した。

 

 「話し合いはした!説得もした!それでもあいつはパーサーナックスを殺せと言い続けた! ドヴァーキンも譲らなかった! あのままじゃ、どちらかが折れるまで争い続けるだけだったんだぞ!」

 

 「それが原作準拠だった!」

 

 「この世界はゲームの世界じゃねぇ!」

 

 ギリギリと鋼がきしむ。

 互いの武器が、腕が、魂が粉々に砕け散りそうなほどの力比べ。

 

 「……ならば、デルフィンの命も、お前たちが自由に扱っていいものではなかったはずだ!」

 

 マルドロが吠えた。

 

 「ドヴァーキンとの協力関係を守るために、デルフィンを殺した。

 そうしてブレイズの実権を握り、新たなグランドマスターの意に従う組織へと変えた!」

 

 「……!」

 

 マルドロが、力強く言葉を吐いた。

 

 「何が正しく、何が間違いなのか。

 誰を救い、誰を切り捨てるのか。

 その選択を下すのは誰だ!?」

 

 マルドロの叫びに、俺は歯を食いしばった。

 

 「だからって、ブレイズを破壊して終わりにするのか! 

 その後はどうする! 

 世界がどうなろうと知ったこっちゃないってか!」

 

 「少なくとも、お前たちの好きにさせるよりはマシだ!」

 

 「ふざけんな!」

 

 俺は全身の力を込めた。

 

 大斧がランスを弾き、マルドロの構えを崩す。

 

 その一瞬を、俺は見逃さなかった。

 

 「世界を変えるのが間違いだって言うなら、俺は何度だって間違えてやる!」

 

 俺は大斧を振り抜いた。

 マルドロは体勢を立て直しながら、大楯を構える。

 

 ――ガァンッ!

 

 斧の刃が盾を叩き、鈍い轟音が雪原に響き渡った。

 受け止められた。

 

 だが、構わない。

 

 俺は斧を引くと同時に、もう一歩踏み込んだ。

 

 ――ガァンッ!

 

 再び一撃。

 

 マルドロは盾を傾けて衝撃を逃がそうとするが、完全には殺しきれない。

 大楯の向こうで、奴の身体がわずかに沈んだ。

 

 そこへ、三撃目。

 

 「ぐっ……!」

 

 マルドロは強く踏ん張り、盾を支える足を雪へと深く沈めた。

 

 俺はさらに斧を振るう。

 右から、左から、そして上段から。

 

 重い一撃を連続して叩きつけるたび、大楯が軋み、雪面に奴の足跡が刻まれていく。

 

 さっきまでとは逆だ。

 

 今度は俺が、マルドロを押し込む番だった。

 

 「お前はさっきから、俺たちが世界を歪めていると言っているが……!」

 

 斧を振り下ろす。

 

 ――ガァンッ!

 

 「だったら聞かせてもらおうか!」

 

 斧を引き戻し、今度は横薙ぎに振るう。

 マルドロは盾を傾けて受け流すが、衝撃に耐えきれず、半歩後退した。

 

 「お前たちが手を組んでいるデイドラはどうなんだ!」

 

 「……何?」

 

 「デイドラ大公たちだ! あいつらが人間の都合なんざ考えてくれると思ってんのか!」

 

 俺は間髪入れずに踏み込んだ。

 

 「世界を自分勝手に変える転生者が許せねぇんだろ?

 だったら、世界を自分勝手に変えようとするデイドラはどうなんだよ!」

 

 ――ガギィンッ!

 

 斧と盾がぶつかる。

 マルドロは踏みとどまったものの、盾を構える腕が大きく揺れた。

 

 「奴らは……!」

 

 「世界を救うためか? それとも、ただブレイズを潰すためか?」

 

 俺は笑わなかった。

 そんな余裕はなかったし、何より、これは冗談で済ませていい話じゃない。

 

 「お前が俺たちブレイズを信用できないのは分かる。

 自分たちが正しいと妄信して、誰にも止められなくなるかもしれない。

 そういう危険があるってのもな!」

 

 俺は斧の柄を握り直した。

 

 「だがよ。だからって、もっと危ねぇ連中に世界を預けていい理由にはならねぇだろうが!」

 

 大斧を振り上げる。

 マルドロは盾を構え直した。

 

 ――ドォンッ!

 

 轟音とともに、奴の足元で雪が弾けた。

 今度は、マルドロが明確に後退した。

 

 「……貴様は、何も分かっていない」

 

 「ほう? そいつは何だ!ぜひとも、ご教授願いたいね!」

 

 「我々はデイドラを信じているわけではない!」

 

 マルドロは声を張り上げた。

 

 「奴らが善良な存在だなどと、誰が言った!」

 

 「だったら――」

 

 「それでも、貴様らに世界を委ねるよりはマシだと言っている!」

 

 マルドロが盾を前に突き出した。

 俺は斧の柄で受け止める。

 

 ――ドンッ!

 

 衝撃が腕から肩へと突き抜けた。

 

 その瞬間、マルドロは盾を押し込む力を緩めた。

 

 しまった。

 

 力を受け流された。

 

 俺の身体がわずかに前へ泳ぐ。

 そこへ、ランスが走った。

 

 ――ビュン!

 

 「っ!」

 

 穂先が胸当てを掠め、金属の表面に鋭い傷を刻む。

 俺は咄嗟に身を捻り、致命的な一撃を逃れた。

 

 だが、マルドロは攻撃の手を止めない。

 

 盾を引き戻すと同時に、ランスを突き出す。喉元、脇腹、そして膝。

 正確な連続突きが、俺の動きを封じるように迫ってきた。

 

 「この世界に本来存在しえなかった我々(転生者)よりも!」

 

 マルドロの声が、鋼のぶつかり合う音を突き抜けた。

 

 「我々よりもデイドラ大公の方が、この世界の未来に干渉する資格があるとでも言いたいのか!」

 

 俺はランスの穂先を斧の柄で逸らしながら、思わず声を張り上げた。

 

 「そうだ!」

 

 「馬鹿げてる!」

 

 「勘違いするな、アルバート! 我々はデイドラ大公をこの世界の支配者として迎えようとしているわけではない!」

 

 ランスが突き出される。

 俺は上体を反らしてかわし、反撃の斧を振るった。

 

 マルドロは盾で受け止めたが、今度は完全に衝撃を殺しきれず、雪の上を後退する。

 

 それでも、奴は言葉を止めなかった。

 

 「奴らが人間を弄び、国を滅ぼし、世界を己の玩具に変えようとする可能性などは、百も承知だ!」

 

 「だったら、なおさら――!」

 

 「それでも、奴らはこの世界の外から来た我々とは違う!」

 

 マルドロの声が、怒号となって響いた。

 

 「この世界のことは、この世界の生命が決めるべきことだ!」

 

 ランスが俺の肩を掠めた。

 反撃に移ろうとした俺の動きを、奴は盾で押し留める。

 

 「それなのに、貴様らは前世の知識や道徳を根拠に、何が正しく、何が間違いなのかを決める!

 自分たちなら、”もっとよい未来”を作れると信じている!」

 

 ――ガァンッ!

 

 盾が俺の斧を弾き返した。

 

 マルドロは、わずかに間合いを取る。

 

 「その傲慢さこそが、我々の最大の罪だとは思わないのか!」

 

 「……!」

 

 俺はすぐには言い返せなかった。

 

 確かに、俺たち転生者はこの世界の住人ではない。

 この世界で生まれ、この世界の歴史と共に歩んできたわけでもない。

 

 だが俺たちは、知っている。

 

 この先に何が起きるのか。

 どこで誰が死に、どの選択がどんな結末につながるのか。

 

 ……いや。

 

 本当に、知っていると言えるのか?

 

 俺たちが知っているのは、ゲームとしてのスカイリムだ。

 そこに描かれた歴史(設定)と、用意された選択肢(プログラム)と、その先にある結末。

 この世界はもうゲームではない。

 

 俺たちが知っているのは、あくまでゲームとして描かれた世界の姿だ。

 そこに生きる人々の思いも、選択の先にある未来も、すべてを知っているわけじゃない。

 

 俺たちが介入したことで、救われた命はあるだろう。

 だが、俺たちの知らないところで、何かを失った人間だっているかもしれない。

 

 それでも、俺たちは世界を変えてきた。

 自分たちなら、もっとよい未来を作れると信じて。

 

 「……ああ、そうだな。

 俺たちが常に正しいなんて保証はどこにもねぇ」

 

 俺は大斧の柄を握り直した。

 

 「デルフィンの件だって、俺たちに都合のいい判断だったのかもしれねぇ。

 あいつを排除すりゃ、ドヴァーキンとの協力関係は守れる。

 ブレイズだって、俺たちの手で動かせるようになる」

 

 口にしてみれば、ひどく身勝手な話だった。

 

 「……実際、俺たちはそうした。

 世界のためだ、なんて大義を掲げながら、自分たちの目的を通すために、一人の人間を殺したんだ」

 

 俺はマルドロを見据えた。

 

 「だから、お前の言うことが全部間違ってるなんて、俺には言えねぇよ」

 

 ほんの一瞬、言葉が途切れた。

 

 「だがな。それでも俺は、”原作を守るために、何かを諦める”なんてつもりはねぇ」

 

 大斧を構え直す。

 

 「俺たちが何かを選べば、誰かが傷つくこともある。

 間違えることだってあるだろうさ。

 ……だが、だからって、何も選ばずに済むわけじゃねぇんだ」

 

 俺は一歩、雪を踏みしめた。

 

 「お前は俺たちが世界を歪めると言ったな。

 なら、聞かせてもらおうじゃねぇか。

 俺たちを潰したあと、お前は何をする?」

 

 「……。」

 

 「デイドラの力を借りて、ブレイズを潰す。

 それで本当に、この世界の人間が自分たちの未来を選べるようになるのか?」

 

 俺は大斧の刃を、マルドロへと向けた。

 

 「俺たちが間違ってる可能性は否定しねぇ。

 だが、お前のやり方が全部正しいとも限らねぇだろうが!」

 

 「……。」

 

 「自分たちの正義を信じるのが傲慢だってんなら、俺たちだけじゃねぇ。」

 

 俺は力強く叫んだ。

 

 「自分たちなら世界を正せる。

 デイドラの力を借りれば、俺たちを止められる。

 ……そう信じてるお前も同じじゃねぇか!」

 

 「……ッ!」

 

 「だったら、最後まで責任を持てよ。

 俺たちを潰した先に何があるのか、その選択で誰が傷つくのか。

 そこまで考えたうえで、それでも正しいと言い切れるのか!」

 

 俺は大斧を握りしめた。

 

 「俺は、お前の考えそのものを否定してるんじゃねぇ。

 転生者がこの世界を好き勝手に変えていいなんて、俺だって思っちゃいねぇ」

 

 俺は真正面からマルドロを睨みつける。

 

 「だが、俺たちを止めるために、もっと危ねぇ連中に世界を引っかき回させる。それだけは認められねぇ!」

 

 「……」

 

 「俺たちが間違ってるって思ってんなら、デイドラ抜きで止めに来い。

 俺たちが道を踏み外したってんなら、その責任を言葉で問いに来い!」

 

 大斧を構える。

 

 「…………ほざけ。」

 

 マルドロが短く吐き捨てる。

 

 「……その責任の取り方も知らないくせにッ!」

 

 マルドロの叫びが、雪原に響き渡った。

 

 次の瞬間、彼は地を蹴った。

 

 「っ!」

 

 繰り出された槍の穂先が、一直線に俺の喉元へ迫る。

 俺は大斧を引き戻し、間一髪でそれを弾いた。

 

 ――ギィンッ!

 

 甲高い金属音が鳴り響く。

 間髪入れず、マルドロが盾を叩きつけてきた。

 

 「ぐっ……!」

 

 受け止めた大斧ごと身体を押し込まれ、俺の足が雪の上を滑る。

 

 重い。

 

 昔からコイツは、槍を操る技量もさることながら、盾を使った体捌きが厄介だった。

 こちらが大斧を振るうための間合いを取ろうとすれば、すかさず懐へ踏み込んでくる。

 かといって距離を詰めれば、盾でこちらの動きを封じ、槍の一撃を叩き込んでくる。

 

 俺の戦い方を知り尽くしているかのようだった。

 

 「どうした、アルバート!」

 

 マルドロが吠える。

 

 「先ほどまでの威勢はどこへ行った!」

 

 「うるせぇ!」

 

 俺は大斧ごと盾を押し返し、無理やり身体を捻った。

 

 大斧を振り抜く。

 だが、刃が届くよりも早く、マルドロは身を沈めていた。

 

 斧の刃が頭上を通り過ぎる。

 その隙を逃さず、槍の柄が俺の脇腹を打ち据えた。

 

 「がはっ……!」

 

 息が詰まる。

 続く突きを、俺は大斧の柄で受け止めた。

 穂先が胸当てを掠め、火花が散る。

 

 あと少しでも反応が遅れていれば、致命傷になっていた。

 

 ――こいつ、本気で殺しに来てやがる。

 

 当たり前だ。

 俺たちは互いに、相手の信念を認めることができなかった。

 ここで引けば、自分が信じてきたものまで否定することになる。

 

 ならば、残された答えは一つしかない。

 

 俺は歯を食いしばり、再び大斧を構えた。

 

 「……上等だ」

 

 息を吐く。

 

 「だったら、最期まで付き合ってやるよ!」

 

 俺は踏み込んだ。

 大斧を振り下ろす。

 マルドロは盾を掲げ、真正面からそれを受け止めた。

 

 ――ガァンッ!

 

 衝撃が腕を駆け上がる。

 盾が軋み、刃が食い込む。

 

 だが、止められた。

 

 マルドロはそのまま盾を押し返し、俺の体勢が崩れたところへ槍を繰り出す。

 

 俺は身を捻った。

 穂先が肩を掠め、鎧の一部を抉り取る。

 熱いものが肌を伝った。

 

 それでも、止まるわけにはいかなかった。

 

 俺は槍の柄を左手で掴み、引こうとするマルドロを引き寄せる。

 

 「なっ……!」

 

 驚きの声。

 その一瞬を逃さず、俺は――

 

 ――ガァンッ!

 

 「ぐっ……!」

 

 頭突きを叩き込んだ。

 鈍い音が鳴った。

 互いの身体が揺らぐ。

 それでも、俺は槍の柄を掴んだ手を離さなかった。

 マルドロが盾を引き戻そうとする。

 だが、密着したこの距離では、大盾を振るうこともままならない。

 

 ――ガァンッ!

 

 もう一発。

 再び頭突きを叩き込む。

 マルドロがよろめく。

 

 「……貴様らは!」

 

 マルドロのヘルムから僅かに血が流れる。

 

 「この世界を、どこまで自分たちの都合で変えるつもりだ!」

 

 「どこまでだろうと、俺たちはよりよい未来を目指すことをやめねぇ!」

 

 ――ガァンッ!

 

 三度目の頭突き。

 

 「私は、それは傲慢だと言っている!」

 

 「俺は、それを正義と呼んでいる!」

 

 互いに突き放す。

 俺はよろめきながら後退し、マルドロも盾を構え直した。

 

 呼吸が荒い。

 

 腕は痺れ、脇腹は痛み、頭からは血が流れている。

 

 相手も同じだった。

 

 鎧にはいくつもの傷が刻まれ、盾は大きく歪んでいる。

 ヘルムから流れた血が、雪の上へ落ちていた。

 

 それでも、マルドロから闘志は消えていなかった。

 

 ……大した男だ。

 

 心の底から、そう思った。

 

 こいつは自分の信じるもののために、ここまで戦っている。

 

 その選択が正しいかどうかは分からない。

 

 だが、少なくとも、目の前の男が覚悟もなく武器を振るっているわけではなかった。

 

 だからこそ、俺も退くわけにはいかない。

 

 俺は大斧を握り直した。

 

 その時だった。

 

 ――空間が、歪んだ。

 

 「……っ!」

 

 不意に背後で魔力が膨れ上がり、俺は反射的に振り返った。

 

 青白い光が渦を巻く。

 

 その中心から、金髪の女が姿を現した。

 

 「フィオナ……!」

 

 マルドロが、驚いたような声を出す。

 

 「マルドロ!」

 

 「来るなと言ったはずだ!」

 

 マルドロが声を荒らげる。

 

 「これは私の戦いだ! 君が手を出すことではない!」

 

 「……ええ。分かっています」

 

 フィオナは怯まなかった。

 ただ、彼の傷ついた姿を見つめる。

 

 「ですが、このままではあなたが死にます」

 

 「構うものか!」

 

 「あなたが死ねば、転生者を止めるという目的も果たせなくなる。それでもいいのですか?」

 

 「……っ!」

 

 マルドロが言い淀んだ。

 

 「私は、奴らの戦力をここで……!」

 

 「ええ。あなたがどれほど彼らを止めたいのか知っています」

 

 フィオナは静かに告げた。

 

 「だからこそ、ここで命を捨てないでください」

 

 フィオナの手がマルドロの手に触れる。

 

 「あなたの誇りも、あなたの信念も、理解できます。……けれど」

 

 彼女の手が、マルドロの腕を支える。

 

 「私は、あなたを失いたくないのです」

 

 「…………」

 

 マルドロは、言葉を失った。

 

 「マルドロ、失礼します」

 

 フィオナが彼の身体を抱きしめる。

 

 「アルバート……この勝負は預けたぞ。」

 

 光が二人の身体を包み込む。

 

 ――転移MODだ。

 

 そう理解した時には、マルドロとフィオナの姿は雪原から消え去っていた。




【悲報】デルフィン、ナレ死。

転生者VS転生者は複数転生者の醍醐味ですよね。

ちなみに転生者は強いけど中身は一般的な小市民なので、心の弱さを突かれてデイドラ大公の洗脳がじわじわ効いている……なんて設定も考えてたのですが、まぁ入れる場所なかったのでもうスルーですよ。

あとまぁ、長々とブレイズと深遠の暁の話しましたが、まぁ、あんまりこれ以上話は深堀しないかも。
もし、スカイリムの二次創作する人いたらいい感じに流用してもいいいいですよ(投げっぱなし)。

ぶっちゃけ本作品も某スカイリム転生モノの影響を強く受けてますしお寿司。

スカイリム二次創作もっともっと生まれろ生まれろ。
更新停止中のスカイリム二次創作ももっともっと甦れ甦れ。
スカイリム劇場動画ももっともっと生まれろ生まれろ。
更新停止中のスカイリム劇場動画ももっともっと甦れ甦れ。
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