スカイリムCC:釣り師の痴人 作:アーマーブレイク大好きおじさん
まぁ、ジャガイモも爆発的に普及したのが18世紀らしいのであんまりその辺深く考えるのも野暮かなーなんて。
みんなファンタジー世界でおいしいもの食べたいでしょ?
「タレン!もう一杯!」
その夜、リフテンの酒場『ビーアンドバルブ』は騒がしかった。
顔を赤くした老人の男――ヴルウルフ・スノー・ジョットがテーブルを叩きながら、
給仕のタレン・ジェイにお酒を要求している。
「もう十分だろう、ヴルウルフ。水にした方がいい。」
「このマヌケなトカゲ野郎!もっと酒を出せっていっただろ!
さもなけりゃ、槍にお前の頭を突き刺すぞ!」
「勝手にしろ。」
そんなやり取りを横目に、私は――
「ヒット」
ブラックジャックで遊んでいた。
え?
ファルクリースから帰ってくるのが早すぎるって?
カットだよ。
その辺はカットだよ。
ちなみにルールは至ってシンプル。
ハンド(手札)の合計を21に限りなく近づける遊びだ。
数字のカード(2~10):そのままの点数
絵札(J、Q、K):10点
A(エース):1点または11点として扱える(手札に応じて有利な方を選択可能)
最初にカードが2枚配られる。
プレイヤーは、3枚目以降好きにカードを追加できる。(これがヒット)
ただし、どんな状況であっても、引いたカードは必ず手札に加わる。
カードの合計は常に21を超えてはならない。
超えた場合は負け(バースト)となる。
「いいのよ、タレン。
これを彼に持って行ってあげて。」
そういって女主人のキーラバは蜂蜜酒――ではなく蜂蜜の水割りジョッキをタレンに渡す。
酔っ払いには丁度いいや。
どうせわからないだろうし。
毎度のことだし。
そんな風に思いつつ、私はブラックジャックに集中する。
今回のテーブルは――
ディーラー:ブラン・シェイ
プレイヤー:シャドル
プレイヤー:ヴルウルフ
プレイヤー:私
……なんというかすごい面子だ。
ブラン・シェイは灰色の肌と黒い髪をした”ダーク・エルフ”の男で、
シャドルは褐色肌で坊主頭の”レッドガード”の若い男、
ヴルウルフは白い肌で白くなった長髪と長いあごひげの”ノルド”のお爺さん。
そして私は”ハイエルフ”の女……なんというかすごい国際的なメンバーだ。
しかも”アルゴニアン”の経営する酒場でブラックジャックをしているという、
なんとも国際色豊かな光景が広がっていた。
現在、ブラン――ディーラーの公開されている一枚のカードは3。
プレイヤーの手札(ハンド)は以下の通り。
シャドル:7、8、J(バースト)
ヴルウルフ:9、10
私:3、Q……そして追加されたカードが5
シャドルは既にバースト状態だった。
慎重にプレイしていたようだが、
この男はハッキリ言って運がない。
「合計は18か……ヒットだ。」
「へぇ、なかなか攻めるじゃないか。」
ブランが感心した声を上げる。
確かにこの点数は少し危険かもしれない。
だが、勝ち目が薄いのも事実なのだ。
そして配られたカードは――
――K
「……バーストですね。」
シャドルが苦笑いを浮かべる。
なんでこういう時に大きい数字ばっかり出るの?
私は不思議な気持ちになる。
「がっはっはっは!残念だったな、帝国の犬め!」
ヴルウルフが叩きつけるようにジョッキをテーブルに置く。
その手元は震えており、明らかに酔っ払っていた。
それ、ただの蜂蜜水なんですけどね。
「タレン!また酒を持って来い!」
キーラバは無言で頷くと、再び蜂蜜水を用意した。
「まぁまぁ、ヴルウルフさん。
ゲームはまだ終わっていませんぜ。」
ディーラーのブランが伏せられたカードを開く。
そこに現れたのは――Qだった。
「3とQなので合計は13だ。追加でヒットするぞ」
そういえばディーラーのハンドは
ハンドの合計が16以下:必ずカードを引く(ヒット)
ハンドの合計が17以上:必ず勝負する(スタンド)
っていうルールだったな。
そして追加で捲られたカードは――
――8
「なんだと!?」
「すごい!ピッタリだ!」
ヴルウルフが目を見開く。
シャドルも驚きの声を上げる。
ブランが21をピッタリ出したことで、
結局プレイヤーは全員敗北ということになる。
「ふう……まあ、昔から運が良いんでね」
得意気に笑うブラン・シェイ。
「くそ……!?エルフにしてやられた!」
頭を抱えて呻くヴルウルフ。
本当に悔しそうだ。
せっかくだから私も……
「ヴルウルフ。負け犬同士、仲良くやろう。」
そう言って、私は少し口角をあげる。
「バーストしたやつと一緒にするんじゃない!」
そんな私に対して、ヴルウルフは激しく怒り出した。
「ブラン!もう一回!もう一回だ!」
「いいぜ。何度でも付き合おう」
再びゲームが始まった……のだが。
――ぐぅぅぅうう―……
腹が、減った。
空腹感が急速に高まっていく。
こんな状態で勝負などできるわけがない。
とはいえ、ヴルウルフは逃がしてくれそうにもない。
どうすべきか、考えていると――
「はい、これ。食いしん坊達が何かを欲しがると思ったのよ。」
キーラバが料理を運んできた。
無造作に積み上げられたそれは、
切り分けられた断面を見せつけるように並んでいた。
赤く熟れたトマト。
ほくほくに潰されたポテト。
香りの強いリーキ。
厚く切られた肉。
焼き魚の身。
バターで炒められたキノコ。
――それは、サンドイッチだった。
目の前に置かれたサンドイッチは少々大きい。
具材の量が多過ぎる気がする。
だが――美味しそうだった。
――ゴクリッ……
生唾を飲み込む音。
誰のかはわからない。
……いやおそらく、全員のものだろう。
「早くカードを配れ、ブラン!」
「なんて美味しそうなんだ!」
「早速頂くとしよう。」
「ずるいぞ!人がシャッフルしている時に!」
ヴルウルフが我先にと手を伸ばす。
シャドルと私も続けて手を伸ばす。
残念ながらブランはカードを配らなければならない。
一番運が良い男が不幸な立場になっていた。
ブランがカードを配るのを横目に手近なものを取る。
トマトと肉のサンドにかぶりつく。
――サクッ
パンは外側が軽く焼かれていて、さくっと軽い音を立てて歯が入る。
すぐに、中のトマトが潰れ、じゅわ、と汁が溢れた。
その酸味を、肉の塩気と脂が受け止める。
「うまい……」
思わず漏れる。
ヴルウルフ達も同様の反応を示していた。
配られたカードには気もくれず夢中でサンドイッチを食べる。
キーラバは満足げな表情を浮かべており、
「お代は貰うから、きっちりおなかを満たしてね」
やっぱりこの人は商売人だな。
そして、サンドイッチを片手に再びゲームが始まった。
「ヒットか、スタンドか?」
「ヒットでお願いします。」
シャドルが祈るように言う。
ブランが一枚目のカードを捲る。
そこに現れたのは――10だった。
「8、6、10で合計24、またバーストだな」
「ガハハハハハハハッ!!!残念だったな若造!」
「素晴らしく運がないな、君は。」
「本当に運が良くありません……」
ヴルウルフが大声で笑い出す。
せっかくなので便乗してシャドルを煽ってみたら、
隣に座っているシャドルも苦笑いを浮かべ、頭を抱えていた。
「次、ヴルウルフは、ヒットか、スタンドか?」
「ふん……決まっている!真のノルドはヒットだ!」
自信満々に宣言するヴルウルフ。
ブランが追加のカードを捲る。
そこに現れたのは――Jだった。
「5、7、Jで合計22、残念こちらもバーストだな」
「ぐぬぬぬぬぬぬぬううううううううううううっ!!!
またしてもエルフにやられた!」
「逆にすごいと思うぞ。」
「くそ!次はお前の番だぞ!」
その間私はサンドイッチを食べ続けていた。
最初は美味しいな、程度だったが、
段々とサンドイッチが好きになっていた。
中の具材も当然、美味しいのだが、何よりパンの外側が焼かれた香ばしさが良い。
そして内側は少々柔らかく、それがまた良い感じだった。
「よし、ファイザル。ヒットか、スタンドか?」
ソースを頬っぺたに付けたブランに問われ、
視線をカードに移す。
(9、7……小さい数が見えてないから、もう一声欲しい。)
「ヒットだ」
カードが置かれる。
同時に、今度はポテトとリーキのサンドを齧る。
サクッとしたパンの後に、ほくりっとしたポテトが舌の上で崩れる。
そこにリーキの甘みと香りが重なり、さっきの肉とはまるで違う、柔らかい味が広がる。
だが、そこへ――
「Q、バーストだな」
短く言われる。
「なんで。」
思わず私が呻く。
どう考えても運が悪すぎる気がする。
ショール様、マーラ様、ディベラ様、キナレス様、アカトシュ様、とにかく神様、お願いです。もう少しだけ勝負運をください。
がはがは、とヴルウルフが笑い、蜂蜜酒――いや蜂蜜水の中で溺れそうになる。
「お前ら!もうちょっと緊張感持ってプレイしろよ!」
ブランが爆笑しながら、ディーラーのカードを捲る。
「4、9……ヒットするぞ。」
ブランが追加のカードを捲る。
そこに現れたのは――Kだった。
「おい!!!」
「嘘ですよね!!!」
「ッ!!!」
「マジかよ!!!」
大爆笑が起きる。
ディーラー、プレイヤー、全員バースト。
どうなってんだ。
「ブラン!カードはちゃんとシャッフルしたのかよ!」
「したぞ!俺はちゃんと!」
みんな心底楽しげな表情を浮かべていた。
ブランが念入りにシャッフルする間、サンドイッチに意識を戻す。
今度は、魚とキノコ。
軽く焼かれた魚の身は、しっとりとほぐれる。
そこに、バターで炒めたキノコの香ばしさが絡み、じわりとした旨味が広がる。
濃厚だが落ち着いた味だ。
「お前は食ってばっかだな!」
「勝つために最善を尽くしているだけだ。」
適当な理屈に、また笑いが起きる。
「おーい!タレン!俺がもっと勝つために、もっと酒を持って来い!」
ヴルウルフが大声で言う。
「わかったわかった……」
タレンが持ってきたのはジョッキに注がれた蜂蜜水……いや、もはやただの水だった。
それをヴルウルフは美味しそうに、一気に飲み干す。
テーブルの上では、カードとサンドイッチが入り乱れている。
手が伸びる。
今度は肉とキノコの重いやつ。
噛んだ瞬間、脂と旨味がどっと溢れる。
噛むごとに歯の中で肉がほぐれ、そこにキノコの風味が混じる。
これもまた美味しい。
――そしてハンドもこれまた美味しい。
「次、ファイザル――……ッ!」
ブランが驚愕の表情で私のハンドを見る。
いや、ブランだけじゃない。
シャドルもヴルウルフも目を見開いていた。
「完璧だ。スタンド」
Aと10……Aは11としても扱える。
それはつまり……
「21……!?」
シャドルが呆然と言葉を漏らす。
「やるな!ようやく運が回ってきたんじゃないか!」
ディーラーのブランが笑顔で言う。
――そうか。最後の最後に運が回って来たんだ。
何度も死線を越えてきた結果が今なんだ。
これで、私の勝ちだ。
そう思った瞬間――
ディーラーのハンドは……
スペードのAとJ。
つまり?
「「「「ブラックジャック!!!」」」」
はい、最強役です。
はい、私の負けです。
さっき食べたサンドイッチ美味しかったなぁ。
☆★☆★☆★☆★
残念ながら夜はまだ終わらない。
この酔いつぶれたお爺さんを家に送らなければならないのだから。
「ブランさん……もう少しちゃんと持ってください。」
「待てって、こっちはお前さんほど若くないんだって。」
ヴルウルフをシャドルとブラン・シェイが支える。
こういう時は男に任せよう。
自分が逆の立場だったら気をつかうしね。
……まぁ絶対私の方が強いんだけど。
そんな感じで家へ向かう途中――
「帝国の奴らは俺達の歴史を取り上げ、”何とか”という条約の下にすべてを押しつぶそうとしているんだ」
爺さんが酔っぱらって語り出す。
いつの時代、いつの世界でも酔っ払いは同じように突然語りだすもんだ。
「足元の土を俺達が踏めるのも、先祖がこのために血を流してきたからだ。」
愚痴っぽくなるのもそうだ。
酒場ほど政治とスポーツの話題が飛び交う場所は他に無い。
「この土地のために戦い、そして……死んでいった。」
苦々しい声音。
私達はそれを静かに聞いていた。
「リリージャ……リリージャ……」
ヴルウルフは何度も口にしていた。
娘の名前を――この内戦で亡くなった娘の名前を。
ヴルウルフは反帝国の立場にあり、
反乱軍であるストームクロークに肩入れする立場にある。
ストームクローク。
ノルドの誇りを守るために剣を取った者たち。
ヴルウルフも、その一人だった。
誇りと信念に生きる戦士たちが多く、熱量は非常に高い。
ただし、その思想ゆえに排他的な一面も見え隠れする。
ヴルウルフもまさにその思想に共感し、反帝国派閥に加わった人間だった。
「リリージャ……自慢の娘だった……。」
呟くように言うヴルウルフ。
普段は強い口調で帝国を糾弾し、
よそ者を見れば帝国のスパイかと疑うし、
他種族を見れば敵視していたが――
「タロスの名にかけて……これ以上、誰も失うまい……。」
初めてヴルウルフとあった時は大変だった。
ハイエルフだったこともあって余計に警戒されたしね。
会うたびに罵倒されたし、酒をぶっかけられたこともある。
だがそれは……守りたかったのだろう。
失うことが、何よりも怖かったのだろう。
家族や友人、先祖代々の土地、伝統。
全部が失われないように必死で戦ってきたのだろう。
かつてスカイリムと帝国は強い絆で結ばれていた。
互いに尊重し合い、お互いに利益を分かち合う関係だった。
それ故に帝国への憎悪は人一倍強いのかもしれない。
……もし、内戦がなければ。
ヴルウルフは、ただの少し頑固な老人で済んだのかもしれない。
「……戦争は人を変える」
シャドルがぽつりと言った。
「そうだな、戦争は人を変える。」
ブランも同意するように言う。
夜風は冷たく、酔いを少しずつ覚ましていく。
ヴルウルフの家が見えてきた頃、入口の前に二つの人影があった。
「……遅いわね」
「もう少し待とう。父上のことだ、また誰かと話し込んでいるのかもしれない」
老女と、若い男。
「……あ」
こちらに気づいたのか、ローブを着た年配の女性――”ヌーラ・スノー・ジョット”が、こちらに駆け寄ってくる。
その後ろから、落ち着いた足取りで青年も続いた。
「あなた……!」
言葉を失いかけたヌーラの視線が、
シャドルたちに支えられたヴルウルフへと向く。
「……少し飲み過ぎたみたいで」
「いや、“少し”じゃないですよ」
ブランが苦笑しながら言うと、
シャドルが肩をすくめて笑った。
そんな二人を見てヌーラは深く頭を下げた。
「……ここまで運んでくださって、本当にありがとうございます」
そんな二人を見てヌーラは深く頭を下げた後、
そっとヴルウルフの頬に触れる。
「……この人、昔はね」
ぽつり、と零すように言った。
「誰にでも声をかけて……よく飲んで、よく笑う人だったんです」
その手が、わずかに震える。
「でも……あの子がいなくなってからは」
言葉が、そこで途切れた。
誰も何も言わない。
夜の音だけが、静かに流れていく。
ヌーラは、少しだけ困ったように笑った。
「外に出ても、怒ってばかりで」
……想像はつく。
今のヴルウルフを見ていれば、十分に。
ヌーラは深呼吸を一つして、再び口を開いた。
「でも」
その一言で、空気が少しだけ変わる。
「最近は……少し、戻ってきたみたいなんです。……昔に」
ヌーラの視線が、私たちへ向く。
「誰かと飲んで、笑って……また、カードなんてやるようになって」
ほんの少しだけ、目元が柔らかくなった。
「だから――」
一瞬、言葉を選ぶように間が空く。
「あなた達には、感謝しているんです」
それは、取り繕われた言葉ではなかった。
ただ、自然に出てきた言葉だった。
息子の”アスゲール”が静かに続ける。
「最近、父はノルド以外とも話すようになったんです。」
ヌーラは少しだけ困ったように笑いながら言う。
「種族に関係なくね。」
青年――アスゲールは、ヴルウルフを見て小さく微笑む。
「父が楽しそうで、本当に良かったです」
その言葉に私たちは一様に頷いた。
短い言葉だったが、十分だった。
「……さて!中へ運びましょう。」
ヌーラの言葉に頷き、ヴルウルフの体を引き渡す。
家の中から漏れる暖かな灯りが、彼らを包み込んだ。
その光景を、少し離れた場所から見ていた。
「……行きますか……」
シャドルが小さく言う。
「そうだな」
ブランも頷いた。
私は、最後にもう一度だけ家の方を見る。
扉の向こうに消えていった背中。
戦争は人を変える。
だが、楽しい時間があれば、人は元の姿を取り戻せるのかもしれない。
それが酒であれ、遊びであれ――。
「帰ろう。」
私達は、夜道を歩き出した。
夜の時間は静かに流れていった。
注意!性格改変(遅)
ヴルウルフってバリバリのストームクローク信奉者なのにビーアンドバルブの太客なんですよね……
ってことで実はもともと排他的ではなかった概念をお出ししました。
まぁ、息子のアスゲールがいいやつなので……っということで……なにとぞ……なにとぞ……
ChatGPTの画像生成について、OpneAI側は著作権はクリアしているとのことで、参考画像(食べ物やキャラクターの見た目)を生成して掲載することは可能らしいのですが、皆さんの意見が知りたいです。念のため、挿絵の要望が多くても絶対に挿絵を生成するとは約束しませんし、挿絵反対が多くても絶対に挿絵を生成しないとは約束しません。極論、すべてを運営に任せるのが一番ですが、皆さんの意見を聞きたいです。
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生成AIで挿絵を作るべきではない
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料理は生成しても良い
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キャラクターは生成しても良い
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両方生成してよい