スカイリムCC:釣り師の痴人 作:アーマーブレイク大好きおじさん
日の高い正午。
リフテンは快晴であった。
太陽光線が降り注ぎ、ホンリッヒ湖を照らしている。
空気も澄み渡り、遠くに見える山々の景色も美しい。
しかし――そんな良い天候にも関わらず、私の周りは暗い雰囲気に包まれていた。
「……ふぅ。」
私はリフテンの城壁の外側、
ホンリッヒ湖の北岸沿いのノースショア地区の岸辺に腰を下し、ため息をつく。
はい、ボウズです。
……髪の話じゃないよ。
釣りの話だよ。
今日は休み(ということにした)なので、
私は早朝から湖で釣りを始めた。
目的は――鯉。
そう、あの鯉だ。
前世の日本でもなじみのある鯉だが、
スカイリムにも生息している。
前世では食べる機会に恵まれなかったが、
今世では是非一度食べてみたい。
水質の悪いところにいるイメージの鯉ではあるが、
少なくとも、このあたりの湖なら水は澄んでいる。
きっと清らかでおいしいだろう。
それにキーラバから”鯉のエール煮”という料理も教えてもらった。
期待大である。
しかし――
「……全然釣れない……」
釣りをすること数時間、鯉はおろか小魚一匹釣れない。
どういうことなの?
私が知っている鯉はもっと馬鹿で釣りやすい気がするんだけど(失言)。
鯉だからと舐めていたかもしれない。
ふと、横目で”本日の成果”を見る。
鉄の兜に、指輪、短剣。
最後に壊れた鋼鉄の剣が1本。
……なんだこれ。
はい、ガラクタです。
前世でもバケツや長靴を釣るなんて話はよく聞いたが、
まさかファンタジー世界では鉄製品が釣れるとは思わなかった。
釣り竿の強度どうなってんの?
考えれば考えるほど混乱するだけであった。
「……もう少し待つか」
地面に座り直し、再び湖面を見据える。
風が心地良く、日差しは温かい。
――その時だった。
ふ、と竿先が震えた。
続いて、大きく沈み込む。
「……来た……!」
喜びと共に立ち上がり、竿を手に取る。
引き寄せるように糸を巻き取ると、
水中からゆっくりと影が現れた。
――バシャッ!
「ぐえっ……ごほっ……ごほっ!」
水面から青い髪が出てきた。
どう見ても鯉じゃありません、ありがとうございました。
「たしゅけ……!ごほっ……ごぽぽ……」
湖面から顔を出したのは、青い髪の美少女だった。
そして、彼女は私の釣り糸にガッチリと結び付いていた。
なんでやねん。
とりあえず私は思考を放棄する。
この状況を理解する必要はないだろう。
今はとりあえず助けることを優先するべきだ。
グイっと釣り竿を引っ張り、とりあえず岸に上げる。
少女はプルプルと震えており、意識が混乱している様子だった。
背中をさすろうとしたが、手を止める。
咳き込んでいるが、大丈夫そうだ。
動く気配がある。
そして、少女はゆっくりと目を開けた。
「あれ……?」
私を見て目を丸くする少女。
その目には動揺の色が浮かんでいた。
「え……っと、まず、助けて頂いてありがとうございました。」
深々と頭を下げてくる少女。
どうやら礼儀正しい性格のようだ。
しかし――
「君、名前は?」
私は問う。
私の中に現れた違和感を確かめるために。
「名前は、えっと……シズクです……」
なるほど。
このスカイリムにおいて、シズクという名は相当珍しい。
ましてや、彼女の種族――ウッドエルフの命名規則からはかなり外れている。
それはつまり――
「私はファイザル。おそらく君と同じ――”転生者”だ。」
「……!?」
私が言うと、シズクは目を大きく見開いた。
予想通りの反応である。
「こ……、ここは日本じゃない、ということ……ですか?」
シズクが戸惑った声音で尋ねてくる。
うん、すごい超速理解だ。
まぁ、おそらくここで溺れるまでにいろいろあったのだろうが。
私は頷いて答える。
「ああ、ここはスカイリムという国だ。日本とは全然違う世界だ。」
「スカイリム……。それってまさか……」
「そう、ここは『The Elder Scrolls V: Skyrim』というファンタジーゲームの世界。」
驚愕の表情を浮かべるシズク。
そして、次第に理解へと移行していく様子が見て取れた。
「あの……どうして私が転生者だってわかったのですか?」
シズクが問う。
「名前もそうだけど、一番は見た目かな。
日本人がキャラクリすると、そういう顔立ちになりやすい。」
正直な話だ。
『The Elder Scrolls』のMOD文化において、
どこまでが”ロアフレンドリー(世界観を壊さないか)”なのかは議論の余地がある所ではある。
しかしたいていの日本人はロアフレンドリーは大切だと思いつつも、見た目も重要視する傾向にあるのだ。
洋ゲーのケバイキャラメイクには忌避感がある。
それ故に分かりやすい。
日本人好みの外見といえば――シズクのような可愛い系の少女だ。
「……そんな理由で私が転生者だってわかったのですか?」
シズクが少し不満げな表情で言う。
「まぁ。」
ちなみに、何故彼女が釣れたのかはまだよくわかっていない。
まぁ、それはいいや。
「えっと……とりあえず、本当にありがとうございました。
何かお礼をさせて頂きたいんですが……。」
シズクが言う。
お礼ねぇ……。
私はちょっと考え込む。
普通は金銭的な報酬を求めるものだけど、
目の前にいる少女はあまりお金とか持ってなさそうだ。
では、体で払ってもらう?
しかし残念、今の私にはSOSもTNGもない。
ん?なんのことかわからないって?
お母さんに聞いてみな。
――ぐぅぅぅぅぅ……
どうしようか考えているうちに、お腹が空いてきた。
朝にパンと鶏肉を食べたきり何も食べてないのだ。
沸き上がってきた食欲を誤魔化すことはできない。
「お腹空いているんですか? 何か作りましょうか?」
「実はそのつもりだったんだが。」
私は釣り竿を持ち上げる。
「問題は、肝心の鯉が釣れない。」
シズクは湖と私の釣り竿を交互に見やる。
「こ、鯉ですか……?」
「ああ、どうしても鯉が食べたい。」
鯉のエール煮を食べられなければ、今回の釣りは意味がない。
ファンタジー世界の楽しみの一つが達成できないのだ。
最悪死ぬかもしれない。
シズクは少し考え込むような表情になると、
「わ、私で良ければ手伝います!」
力強く宣言してくれた。
転生者に立派な人々がいることが分かってよかった…
ドスケベファンタジー侍お姉さんに希望をありがとう。
☆★☆★☆★☆★
「わ~!釣れましたよ!鯉です!多分鯉です!」
シズクは大興奮で魚を見せびらかしてくる。
湖面下から引き上げたそれは、間違いなく鯉だった。
いや、なんでやねん。
さっきまで一匹も釣れなかったのに、
この子一発で来ちゃったよ。
何が起こってんの?
「驚いた……君の能力は一体……?」
私は思わず問う。
魔法的なものなのか、あるいは超自然的な何かなのか。
シズクは遠慮気味に答える。
「い、いや……ビギナーズラックかと……」
ビギナーズラック?
初心者が経験する比較的高確率の幸運現象のことか。
つまり、単なる偶然ということだろう。
それにしては出来過ぎじゃないかな……。
ま、考えても仕方がない。
ばしゃり、と音を立てて草の上へ転がったその魚は、丸々と太っていた。
流れの緩い場所で十分に餌を食べてきたのだろう。
腹は厚く、身もよく乗っている。
「とにかく、今日はご馳走だ。」
「じゃあ、早速料理しましょう!」
シズクは目を輝かせながら言った。
どうやら料理は嫌いではないらしい。
「私は魚を捌くから、シズクは野菜を。」
「はい!」
とりあえず返事は一人前である。
私が板前なら一発で正規採用するレベルだ。
私は荷を解き、まな板と包丁を取り出した。
川辺の平らな岩を即席の調理台にする。
鯉をまな板へ乗せ、鱗取りで丁寧に鱗を落としていく。
ガリ、ガリ、と乾いた音が響き、銀色の鱗が陽の光を受けて舞った。
「わぁ……。」
シズクが興味深そうに覗き込んでくる。
「捌くのを見るのは初めて?」
「はい。スーパーでも切り身しか見たことなくて……。」
なるほど。
まぁ現代日本なら、それが普通か。
腹を開き、内臓を取り出す。
ホンリッヒ湖の澄んだ水で血を洗い流すと、淡い桜色の身が姿を現した。
腹は厚く、脂の乗りも申し分ない。
当たりだ。
「すごく綺麗ですね……。」
「新鮮だからな。これなら臭みも少ないはずだ。」
私が魚の調理をしている一方で、
シズクは野菜を切っている。
――とん、とん、とん。
小気味良い音が聞こえてくる。
包丁さばきは慣れたものであるようだ。
「包丁、使うの上手いね。」
「えへへ、お母さんのお手伝いで少しだけ。」
細く刻まれたリーキが木皿へ移される。
続いて玉ねぎ。
にんじん。
最後にエルフイヤー・リーフを指先で細かく砕いていく。
葉が潰れるたび、爽やかな香りがふわりと風へ溶けた。
「この葉っぱ、すごくいい匂いですね。」
「エルフイヤー・リーフ。
料理にも薬にも使える便利な香草だ。」
「うわぁ~本物なんですね~!
解像度が高過ぎて葉脈までくっきり見えます~!」
ゲームの世界じゃないので、解像度とかありませんけど?
と、まぁ転生したては色々と感動するよね。
焚き火へ薪を一本くべる。
ぱちり、と火の粉が弾けた。
鉄鍋を火へ掛ける。
まずは獣脂をひとかけ。
じゅう、と白く溶け始める。
「野菜お願い。」
「はい!」
リーキと玉ねぎが鍋へ入った瞬間、
――じゅわぁぁぁ……
小気味良い音とともに甘い香りが立ち上る。
木べらを動かすたび、野菜が艶を帯びていく。
「もうお腹空いてきました……。」
「まだ始まったばかりさ。」
野菜が透き通ってきたところで、鯉を鍋へ並べた。
皮目が軽く色付くまで焼く。
身を崩さないよう、そっと返す。
「ここで主役の登場。」
私は黄金色の瓶を持ち上げた。
シズクの目が丸くなる。
「エールですか?」
「そう。」
瓶の栓を抜く。
ぽん、と小気味良い音。
そして、そのまま鍋へ――
――ジュッ……
どぽどぽどぽ……
琥珀色のエールが魚を包み込んでいく。
立ち上る湯気。
麦芽の香り。
「わぁ……。」
シズクが思わず声を漏らした。
「すごい……パン屋さんみたいな匂い。」
「麦だからね(知らんけど)。」
そこへ塩をひとつまみ。
砕いたエルフイヤー・リーフ。
黒胡椒を少々。
最後にフロスト・ミリアムの葉を一枚。
蓋を閉じる。
――ことり。
「これで、しばらく待つだけ。」
鍋の中から、やがて小さな音が聞こえ始める。
――こと……
――ことこと……
――ことことこと……
湖のせせらぎと混じり合うように、
穏やかな煮込み音が辺りへ広がっていく。
二人並んで岩に腰掛ける。
風が湖面を渡り、草花を揺らした。
太陽も傾き、空は赤みを増していく。
しかし、急がない。
誰も急かさない。
誰も急ぐ必要がない。
鍋から漂う香りだけが、少しずつ濃くなっていく。
麦芽の甘い匂い。
リーキと玉ねぎの優しい香り。
魚の脂の匂い。
黒胡椒とエルフイヤー・リーフのスパイシーで爽やかな香り。
それらが混じり合い、独特の調和を生み出す。
空気が空腹をじわじわと刺激する。
――ごくり
「……これ、絶対美味しいですよね。」
シズクが鍋を見つめながら、小さく唾を飲み込む。
私は苦笑しながら蓋へ手を伸ばした。
「さて――そろそろ完成かな。」
蓋を持ち上げる。
ふわり、と立ち上る白い湯気。
エールはゆっくりと煮詰まり、
透き通った琥珀色から、
とろりとした黄金色の煮汁へ姿を変えていた。
その中で、鯉の身は崩れることなく、ふっくらと煮上がっている。
思わず二人同時に顔を見合わせる。
「「いただきます。」」
スプーンで鯉の身を持ち上げる。
煮崩れはしない。
だが、身はスプーンを入れるだけでほろりとほどけた。
一口。
熱い。
だが、その熱さの向こうから、
まずエールの芳醇な味わいが広がる。
煮込まれて角の取れた麦芽の風味。
そのあとを追うように、
鯉の淡白な旨味が静かに舌へ溶け出す。
川魚らしい上品な味わいを、
エールがしっかりと包み込み、
驚くほど奥行きのある味へ変えていた。
リーキはとろりと柔らかくなり、
玉ねぎは姿がなくなるほど煮溶けている。
その甘みが煮汁へ溶け込み、
一口ごとに味を丸くしていた。
黒胡椒は控えめであるものの、
スパイシーな風味をプラス。
エルフイヤー・リーフがふんわりと香り、
麦芽の優しさに深みを与えていた。
「すごい……美味しいです!」
感動した様子でシズクが言った。
私も同意見だ。
これは――詩だ。
食材の持つ素朴な味わいを引き出し、
複数の調味料で幾重にも味付けを施したマジック。
心が舞うような美味しさがそこにはあった。
「……すんばらしい。」
思わず笑みがこぼれる。
豪快に焼いた魚もいい。
だが、こうして時間をかけて煮込むと、まるで別の魚のようだ。
パンを二個、袋から取り出す。
「あげる。」
片方をシズクへ差し出す。
「ありがとうございます!」
嬉しそうに受け取ったシズクは、それを煮汁へ浸す。
じゅわ、と黄金色の煮汁を吸い込み、リスのように頬張る。
「うわぁ~……美味しいです……。」
感動した様子で目を潤ませている。
私もパンをスープにつけながら食べる。
ふんわりとほどけた生地が、エールの甘みを素直に引き出してくれる。
麦の甘み。
魚の旨味。
野菜のコク。
すべてを吸ったパンは、それだけで一つの極地に至っていた。
川のせせらぎを聞きながら、ゆっくりと鍋を空にしていく。
釣った魚を、その日のうちに、その場所で味わう。
旅人にとって、これ以上に豊かな食卓はそう多くはないのだろう。
というわけで新転生者シズクちゃんです。
実はこの子を主人公にドスケベ変態レイプリムでも書こうかと思ってたんですが、なんだかちょっとかわいそうになってきたので、没にしました。
あとAIくんはR18描写書いてくれないので、私の現状の文才じゃ無理そうだったってのもあります。
あと、しれっと登場したノースショア地区もMODだったりします。
ChatGPTの画像生成について、OpneAI側は著作権はクリアしているとのことで、参考画像(食べ物やキャラクターの見た目)を生成して掲載することは可能らしいのですが、皆さんの意見が知りたいです。念のため、挿絵の要望が多くても絶対に挿絵を生成するとは約束しませんし、挿絵反対が多くても絶対に挿絵を生成しないとは約束しません。極論、すべてを運営に任せるのが一番ですが、皆さんの意見を聞きたいです。
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生成AIで挿絵を作るべきではない
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料理は生成しても良い
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キャラクターは生成しても良い
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両方生成してよい