元殺し屋がバイオ事件に巻き込まれる話   作:オッパッピー

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本日一度目の投稿です。
18時頃に二度目の投稿をする予定です。


Chapter5 追跡者 Part2

 二人は警察署の廊下を駆け抜ける。

 

 背後では、あの重い足音が変わらぬ間隔で響いていた。

 

 ドン。

 

 ドン。

 

 ドン。

 

 振り返るまでもない。

 

 奴はまだ追ってきている。

 

 レオンは前方へ視線を向けたまま声を上げた。

 

 「電子部品は揃いました! このまま配電盤へ向かいましょう!」

 

 「ああ」

 

 次郎は短く応じる。

 

 「カードキーを手に入れれば地下駐車場へ出られる」

 

 レオンは力強く頷いた。

 

 「もう寄り道はしません。一気に抜けます!」

 

 二人は角を曲がり、階段を駆け下りる。

 

 足音はなおも一定の間隔で追ってくる。

 

 決して走らない。

 

 それでも確実に距離を詰めてくる。

 

 その不気味さが、二人の背中へ見えない圧力を与えていた。

 

 ようやく足音が遠ざかった。

 

 だが、二人は決して安堵しない。

 

 巨人を完全に振り切ったとは思っていないのだから。

 

 

 

 配電盤のある区画へ続く廊下は、不気味なほど静まり返っていた。

 

 割れた蛍光灯が明滅し、壁には乾き始めた血痕が残されている。

 

 床へ転がる薬莢が靴底へ当たり、乾いた音を立てた。

 

 レオンが息を整えながら呟く。

 

 「あと少しです」

 

 次郎は廊下の奥、天井、左右の扉を順に確認する。

 

 「気を抜くな」

 

 「ここまで来ると、何が出てもおかしくない」

 

 その言葉が終わるより早く――。

 

 

 

 ガシャァァンッ!!

 

 右側の窓ガラスが激しく砕け散った。

 

 鋭いガラス片が廊下一面へ飛び散る。

 

 一頭の犬が窓を突き破り、一直線にレオンへ襲い掛かった。

 

 「レオン!」

 

 次郎が叫ぶ。

 

 レオンは即座に拳銃を構えた。

 

 パンッ!

 

 放たれた銃弾が犬の肩口を貫く。

 

 しかし、犬は怯むことなく牙を剥き、レオンへ飛び掛かる。

 

 「くっ……!」

 

 レオンは素早く一歩下がり、肩へ掛けていたショットガンへ持ち替えた。

 

 バァンッ!!

 

 轟音と共に散弾が炸裂する。

 

 犬の身体は空中で弾き飛ばされ、そのまま廊下の壁へ激突した。

 

 勢いよく床へ転がると、二度と起き上がることはなかった。

 

 「一頭です!」

 

 レオンがショットガンを構えたまま叫ぶ。

 

 「ああ。まだ来る!」

 

 次郎は窓から視線を逸らさない。

 

 

 その直後――。

 

 ガシャァンッ!!

 

 反対側の窓も砕け散った。

 

 二頭の犬がほぼ同時に飛び込んでくる。

 

 狭い廊下では回避する余裕はない。

 

 レオンがショットガンを構えようとした、その瞬間だった。

 

 次郎の右手が一瞬だけ霞む。

 

 速い。

 

 そう認識した時には、すでに銃声が響いていた。

 

 パンッ!

 パンッ!

 

 二発。

 

 間隔はほとんどない。

 

 一頭目の眉間が弾け、跳躍した勢いのまま床へ叩きつけられる。

 

 続く二頭目も空中で頭部を撃ち抜かれ、そのまま廊下を転がった。

 

 わずか一瞬の出来事だった。

 

 リボルバーの銃口から細い硝煙が立ち上る。

 

 次郎は静かに撃鉄を戻した。

 

 「来るとわかっていれば、対処もしやすい」

 

 レオンはショットガンを構えたまま、思わず息を呑む。

 

 「……相変わらず、信じられない早さですね」

 

 「今は感心している場合じゃない」

 

 次郎は短く言うと、周囲へ鋭い視線を巡らせた。

 

 「銃声を聞きつけて、また何か来るかもしれない」

 

 レオンもすぐに気を引き締め、ショットガンを構え直した。

 

 「急ぎましょう」

 

 

 二人は再び廊下を駆け出した。

 

 床へ転がる犬の死骸を飛び越え、一直線に配電設備のある区画を目指す。

 

 廊下の先には非常灯だけが赤い光を放ち、静まり返った空間をぼんやりと照らしていた。

 

 レオンは角へ差しかかる直前で速度を落とす。

 

 拳銃を構え、壁へ身を寄せる。

 

 次郎も反対側へ回り込み、互いの死角を補い合った。

 

 レオンが小さく頷く。

 

 次郎も頷き返す。

 

 二人は同時に角を曲がった。

 

 幸い、新たな敵の姿はない。

 

 「行けます」

 

 「ああ」

 

 二人は再び走り出す。

 

 ほどなくして、配電設備室の前へ辿り着いた。

 

 重厚な鉄製の扉をレオンが押し開ける。

 

 室内には大小さまざまな配電盤が並び、非常灯の淡い明かりだけが機械類を照らしていた。

 

 「これですね」

 

 レオンは中央の配電盤へ駆け寄り、懐から二つの電子部品を取り出す。

 

 慎重に部品をはめ込むと、小さな作動音が響いた。

 

 カチッ。

 

 一つ目。

 

 続いて二つ目。

 

 「よし……」

 

 レオンは配線を確認し、ゆっくりとスイッチを操作する。

 

 直後、警察署のどこかで機械が動き出す低い駆動音が響いた。

 

 非常用電源が復旧したのだ。

 

 天井の照明が次々と点灯し、薄暗かった室内が一気に明るくなる。

 

 レオンは安堵の息を吐いた。

 

 「復旧しましたね」

 

 次郎も配電盤を確認すると、小さく頷く。

 

 「これでやっと、留置場へ入れる」

 

 「あとはベンの遺体からカードキーを回収するだけですね」

 

 「ああ。急ごう」

 

 二人は配電設備室を後にし、留置場へ向けて足を速めた。

 

 

 復旧した照明が廊下を白く照らし出す。

 

 先ほどまで薄暗かった警察署は、静寂に包まれながらも最低限の機能を取り戻していた。

 

 レオンは歩きながら電子部品が収められた配電盤を振り返る。

 

 「これで留置場の電子ロックも解除されているはずです」

 

 「ああ」

 

 次郎は短く答え、リボルバーを構えたまま周囲へ鋭い視線を巡らせる。

 

 「カードキーを回収したら、すぐに駐車場へ戻るぞ」

 

 「はい」

 

 二人は留置場へ続く通路へ足を踏み入れた。

 

 鉄格子の前まで来ると、先ほどまで赤く点灯していた制御盤のランプが緑へ変わっている。

 

 レオンは静かに頷き、解除スイッチを押した。

 

 ガコン――。

 

 重い駆動音が響き、電子ロックが解除される。

 

 鉄格子がゆっくりと開いていく。

 

 「開きました」

 

 二人は警戒を怠ることなく通路を進み、一番奥の留置房へ辿り着く。

 

 そこには変わらず、ベン・ベルトリッチの亡骸が横たわっていた。

 

 レオンは静かに目を伏せる。

 

 「……失礼します」

 

 しゃがみ込むと、ベンの胸元からカードキーを外した。

 

 「これで駐車場のゲートを開けられます」

 

 次郎は室内を見回し、トイレの裏に隠されていた小型の携帯レコーダーを見つける。

 

 「レオン」

 

 「それも持っていこう」

 

 レオンは頷き、レコーダーを拾い上げる。

 

 「駐車場へ戻りながら確認します」

 

 「そうだな」

 

 

 二人は留置場を後にし、地下駐車場へ戻ってきた。

 

 薄暗い空間には、不気味な静寂だけが漂っている。

 

 レオンはカードキーをポケットへしまうと、手にしていた携帯レコーダーを見つめた。

 

 「確認しておきましょう」

 

 レオンは再生ボタンを押した。

 

 ザーッ……というノイズの後、ベンの疲れ切った声が流れ始める。

 

 『もしこれを誰かが聞いているなら……俺はもう助からなかったんだろうな』

 

 『アンブレラは、この街の地下で極秘研究を続けてきた。警察の上層部にも手を回し、証拠は何度も揉み消されてきた』

 

 レオンは黙って耳を傾ける。

 

 『俺が掴んだ資料には、地下研究所と"ウイルス"の記録が残っている。全部は持ち出せなかったが、研究所へ行けば真実はまだ眠っているはずだ……』

 

 『……気を付けろ。アンブレラは証拠だけじゃなく、それを知った人間も消してきた』

 

 ザーッ……ザーッ……

 

 激しいノイズが走り、そのまま録音は途切れた。

 

 

 

 「地下研究所……」

 

 「やっぱり、この事件の中心はアンブレラなんですね」

 

 次郎も静かに頷く。

 

 「そのようだな」

 

 「まずはここを出よう」

 

 その瞬間だった。

 

 ドゴォォォンッ!!

 

 地下駐車場を揺るがす轟音とともに、コンクリートの壁が内側から吹き飛んだ。

 

 砕けた瓦礫が雨のように降り注ぐ。

 

 「っ!」

 

 レオンが振り向いた瞬間――。

 

 黒い巨体が咆哮を上げながら猛烈な勢いで突進してきた。

 

 「レオン!」

 

 次郎が叫ぶ。

 

 巨人が振るった腕がレオンの身体を掠めるように弾き飛ばした。

 

 「ぐあっ!」

 

 レオンは数メートル先まで吹き飛ばされ、コンクリートの床を転がる。

 

 ショットガンが手から離れ、金属音を響かせた。

 

 次郎は即座にリボルバーを抜き放ち、巨人へ照準を向ける。

 

 パンッ!

 パンッ!

 

 銃弾は二発とも頭部へ命中する。

 

 しかし、巨人は一歩も止まらない。

 

 巨大な右腕が一瞬で次郎へ伸びた。

 

 「しまっ――」

 

 太い指が次郎の胸ぐらを鷲掴みにする。

 

 そのまま片腕だけで軽々と持ち上げられた。

 

 足が宙を切る。

 

 呼吸が詰まり、リボルバーを握る腕にも力が入らない。

 

 無機質な瞳が、次郎を見下ろしていた。

 

 

 次の瞬間――

 

 キィィィィィッ!!

 

 激しいブレーキ音が地下駐車場へ響く。

 

 ドォォォンッ!!

 

 大型トラックが猛スピードで突っ込み、そのまま巨人の横腹へ激突した。

 

 不意を突かれた巨体は勢いよく吹き飛び、そのままコンクリートの壁へ叩き付けられる。

 

 さらにトラックはアクセルを緩めない。

 

 エンジンが唸りを上げ、車体が巨人を壁へ押し付けた。

 

 轟音が地下駐車場に響き渡る。

 

 巨人は壁とトラックの間へ完全に挟み込まれ、身動きが取れなくなった。

 

 巨人の手から解放された次郎は素早く受け身を取る。

 

 運転席のドアが開く。

 

 赤いジャケットの女が顔を覗かせ、小さく笑う。

 

 「間に合ったみたいね」

 

 

 次郎は軽く咳き込みながら立ち上がった。

 

 首元を押さえ、一度深く息を吸う。

 

 エイダは運転席から降りると、拳銃を構えたまま巨人へ視線を向けていた。

 

 次郎は静かに歩み寄る。

 

 「助かった。ありがとう」

 

 短い言葉だった。

 

 しかし、その言葉には素直な感謝が込められていた。

 

 エイダは肩をすくめ、小さく笑う。

 

 「どういたしまして」

 

 「借りは今度返してもらうわ」

 

 その時だった。

 

 「うっ……」

 

 少し離れた場所でレオンが身を起こす。

 

 床へ転がっていたショットガンを拾い上げ、二人のもとへ駆け寄った。

 

 「アリスさん、大丈夫ですか?」

 

 「ああ。何とか無事だ」

 

 次郎が答えた、その直後だった。

 

 ギギギギ……

 

 鈍い金属音が地下駐車場へ響く。

 

 三人が一斉に振り向く。

 

 壁と大型トラックに挟まれ、身動きが取れなくなっていたはずの巨人が、ゆっくりと動き始めていた。

 

 巨体がわずかに身じろぎするたび、コンクリートの壁とトラックの車体が軋みを上げる。

 

 「あいつ、何で出来てるんだ……」

 

 レオンが息を呑む。

 

 巨人は二本の腕をゆっくりと持ち上げると、自らを押さえつけているトラックの前部へ手を掛けた。

 

 ギギギギギ……

 

 鋼鉄が悲鳴を上げる。

 

 巨人は怪力だけでトラックを持ち上げ、壁から引き剥がそうとしていた。

 

 車体がゆっくりと浮き上がり始め、サスペンションが軋む。

 

 「まずい……!」

 

 レオンが思わず叫ぶ。

 

 その瞬間、エイダはジャケットの内ポケットから小型の起爆装置を取り出した。

 

 親指でスイッチを押し込む。

 

 カチッ。

 

 次の瞬間――

 

 ドォォォォンッ!!

 

 トラックの下部へ取り付けられていた爆薬が一斉に炸裂した。

 

 凄まじい爆炎が地下駐車場を揺るがす。

 

 衝撃によって天井や壁へ無数の亀裂が走り、コンクリートが悲鳴を上げた。

 

 直後、爆発に耐えきれなくなった天井の一部が崩落した。

 

 ゴゴゴゴゴッ!!

 

 巨大なコンクリート片や鉄骨が雨のように降り注ぎ、トラックごと巨人を飲み込んでいく。

 

 轟音と土煙が地下駐車場一帯を覆った。

 

 やがて崩落は収まり、そこには瓦礫の山だけが残されていた。

 

 巨人の姿は完全に見えない。

 

 レオンは警戒を解かないまま尋ねる。

 

 「……倒したんですか?」

 

 エイダは首を横に振る。

 

 「いいえ」

 

 「あの化け物は、そう簡単には死なない」

 

 「でも、あれだけの瓦礫に埋まれば、しばらくは出てこられないはずよ」

 

 次郎は瓦礫の山を見据えたまま、小さく頷く。

 

 「時間を稼げたなら十分だ」

 

 

 「レオン、生存者を呼んで来てくれ」

 

 「はい!」

 

 レオンは管理室へ向かって駆け出した。

 

 その背中を見送ると、次郎はすぐに駐車場出口の制御盤へ向かう。

 

 ベンから回収したカードキーを読み取り機へ差し込んだ。

 

 ピッ――。

 

 認証音が鳴る。

 

 続いて、重々しい駆動音が地下駐車場へ響いた。

 

 ゴゴゴゴゴ……

 

 閉ざされていた大型シャッターがゆっくりと持ち上がり、地上へ続く長いスロープが姿を現す。

 

 次郎は出口を確認すると、再び巨人の埋まる瓦礫へ視線を戻した。

 

 怪物は瓦礫に埋もれたまま、なお動く気配はない。

 

 「急げよ……」

 

 

 しばらくして、レオンがマービンを先頭に店長と生存者たちを連れて戻ってきた。

 

 マービンは崩れ落ちた天井と、山のように積み重なった瓦礫を見て目を見開く。

 

 「……これは、お前たちがやったのか」

 

 「説明は後だ」

 

 次郎は開いたシャッターを指差した。

 

 「出口は確保してある。あの化け物も瓦礫に埋まっている」

 

 「今のうちに脱出するぞ」

 

 一行は頷き合い、地上へ続く長いスロープを一斉に駆け上がる。

 

 

 

 長い上り坂を駆け抜けるにつれ、湿った地下の空気は次第に冷たい夜風へと変わっていく。

 

 先頭を走るレオンが、地上へ続く最後のカーブを曲がった。

 

 「もうすぐ外です!」

 

 一同の表情に希望が差す。

 

 しかし、その希望は次の瞬間に打ち砕かれた。

 

 「……そんな」

 

 レオンが立ち止まる。

 

 その声に続いて次郎たちも足を止めた。

 

 目の前に広がっていたのは、無残に崩れ落ちた道路だった。

 

 アスファルトは途中から大きく陥没し、数十メートル先まで巨大な穴が口を開けている。

 

 崩れたコンクリートや鉄骨が積み重なり、完全に通行不能となっていた。

 

 マービンが険しい表情を浮かべる。

 

 「これじゃ先へは進めない……」

 

 店長も愕然と崩落した道路を見つめる。

 

 「街全体がここまで……」

 

 重苦しい沈黙が流れる。

 

 その時、エイダが周囲を見回し、一軒の建物へ視線を止めた。

 

 「あそこ」

 

 一同が振り向く。

 

 崩落した道路の脇には、レンガ造りの銃砲店が建っていた。

 

 古びた看板には『KENDO GUN SHOP』と書かれている。

 

 「建物を抜ければ、向こう側へ出られるかもしれない」

 

 次郎も店の構造を確認し、小さく頷いた。

 

 「可能性はあるな」

 

 「行こう」

 

 一行は銃砲店の入口へ向かった。

 

 

 ガラス扉には鍵が掛かっていたが、エイダは慌てる様子もない。

 

 細いピッキングツールを取り出すと、その場にしゃがみ込む。

 

 カチ……

 

 カチッ……

 

 静かな夜に金属音だけが響く。

 

 その手つきは迷いがなく、まるで何度も繰り返してきた作業のようだった。

 

 レオンは思わず感心したように呟く。

 

 「すごい……」

 

 「FBIって、そんなことまでできるんですね」

 

 エイダは手を止めることなく、口元だけで小さく笑う。

 

 「仕事柄、必要になることもあるの」

 

 そのやり取りを横目に見ながら、次郎は無言でエイダの指先を観察していた。

 

 ――違う。

 

 鍵穴を探る工具の動きに一切の迷いがない。

 

 熟練した工作員か、それ以上の訓練を積んだ者だけが身につける手際だった。

 

 FBI捜査官でも習得している者はいるだろう。

 

 だが、この女の技術は「できる」というレベルではない。

 

 日常的に侵入任務をこなしてきた者の動きだ。

 

 (……この女、絶対にFBIじゃない)

 

 次郎は表情一つ変えず胸中で結論を下した。

 

 もっとも、その正体を今ここで問い質すつもりはない。

 

 少なくとも現状では敵対する理由はなく、この場を切り抜けるには彼女の力が必要だった。

 

 コトリ。

 

 小さな解錠音が鳴る。

 

 エイダは立ち上がり、ドアノブを回した。

 

 「開いたわ」

 

 ゆっくりと扉を押し開ける。

 

 店内は停電しているらしく、薄暗い。

 

 壁にはライフルやショットガンが並び、火薬と機械油の匂いが鼻をついた。

 

 次郎はリボルバーを構え、先頭で店内へ足を踏み入れる。

 

 レオンとマービンも銃を構え、生存者たちを背後へ下がらせた。

 

 静まり返った店内を数歩進んだ、その時――。

 

 「動くな!」

 

 低く張りのある声が暗闇から響いた。

 

 カチャリ、とショットガンの撃鉄が起こされる音。

 

 商品の棚の陰から、一人の中年男性が姿を現した。

 

 無精髭を生やした屈強な男は、ショットガンをしっかりと肩付けし、その銃口を次郎たちへ向けていた。

 

 鋭い眼光が、一行全員を警戒するように見据えている。

 

 

――Chapter5・完――

 




Re2ファンの皆様へ。
Chapter4でベンの苗字を間違えて入力しておりました。
謝罪致します。m(_ _)m
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