らぶみーとぅー!~NTR性癖の幼馴染を満足させるため、僕は真実の愛を探す~ 作:大豆亭きなこ
私は天才だった。
ああ、これは自惚れとか傲慢とかじゃなくてね。診断されているんだ、医者から。私はギフテッドだって。タレンテッドともいうね。まあそれはいいか。
とにかく私は非凡だった。
物事を理解する力がずば抜けて高かったし、好奇心も旺盛でたくさん本を読んだ。物理学とか哲学とか、古典的文学作品とか、普通の子供じゃおおよそ読まない、読めないものをね。
最初はさ、こんなの普通だって思っていた。
だってそうだよね、自分のことは自分しか知らないし、他人は自分ではない。だから分かっていなかった。ほかの子供は私のような生活を送っていると思っていたし、同じような能力があると信じていた。大人は万能で質問をすればなんでも答えてくれると思っていた(これは私の祖父の対応がよくない、彼は何でも知っていたし何でも答えてくれたのだ)。
両親はそんな私を良しとしなかった。
私の父は婿入りで、母は歴史ある都の香道家の一人娘。父の職業は調香師。香りのエキスパート一家にして、伝統を重んじる家系には私のような異常は許されない。
初めのころはよくできた娘だなぁと感心されていたのだけどね。だんだん私の異質さが分かってくると、態度が一変した。教育されたよ。強制されたよ。普通になれ、普通であれってね。出る杭は打たれる日本の良くないところでもあるよ、日本ではまだギフテッド教育が体系化されていないしさ。
そんなこんなで小学生も三年になるころには、もう私は他人に、世界に失望していたのだ。
でもさ、そんな私にも一つだけ、希望があった。
私の家の隣に住む、幼馴染の男の子、時田サダツネのことだ。
それまで彼のことはそんなに気に留めていなかった。
私の後ろをトーコちゃん、トーコちゃんと言ってついてくるだけの取るに足らない存在だったのだが、私がほかの同級生や先生に無視され始めて、寂しくなり彼とよく遊ぶようになってから、気づいたのだ。
彼は私ほどではないが、頭の回りが早く、私の言うことを理解してくれる。
私がいろいろと考えたことを披露すると、その感想を伝えてくれ、わからないところを質問してくれ、読めといった本を読んでくれる。
なんだ? 最高の相棒じゃないか。彼が分からないところは私にとってもまだ理解が浅いところで、彼の感想は鋭いところをついてきており、私に新たな洞察を与えてくれる。
それに気づいてから私たちは日常の多くの時間を共有することになった。
何をするにしても、彼と一緒にすれば楽しくなったし、学びにもなった。私の知的好奇心を加速させ、満たしてくれる。鏡合わせの自分の様な存在だった。魂の伴侶、片割れと言っていい。彼も私のことをそう思ってくれていることは分かっていた。そして、それが何よりうれしかった。
そんな彼にも問題があった。反社会性パーソナリティ障害。平たく言えばサイコパス(ソシオパス?)。感情のいくつかが欠落しており、他人への共感性がない。
こんなエピソードがある。彼が家族で飼っていたインコを殺してしまったのだ。
理由はそのころ私たちがハマっていたファーブルとか、ダーウィンとかの生物学を、実感を持って理解したくなって、インコを殺し、解剖したのだという。他人の痛みに鈍感なのだ、好奇心や自身の快不快以上に優先されるものがない。
この行動を私は好ましく思える。
私ならば、他人の感情すら勘定に入れ(ギャグじゃないよ)行動できる。彼はそれができない、そもそもそういった感情を発生させる機能が付いていない。
いいよね、愚直じゃないか。私が欲しかったものだ。私の優れた脳は余計なことまで考えすぎる。彼くらいにピーキーで、純粋で、愚直ならばよかったのに! そんな他を考慮しない好奇心が、他を顧みない愚直さを持った人間がきっと今まで、人類と言うものを前進させてきたのだ。彼のそれと、私の持っているものが合わさったらきっと無敵だ。人生は最高になる。
中学に入学する頃、私は私の人生のストーリーにこういったキャッチフレーズをつけていた。
『ギフテッドとサイコパスが、お互いを慮り、敬い、学び合い、共に過ごし、人生をこれ以上ないくらいまで幸福に溢れされる物語』
これが、この感情こそが恋じゃなくて何と言う!
愛以外にこの感情を正確に、端的に表すことができようか!
私の人生に彼以外の不純物はいらないのだ。
彼の人生に私以外は必要じゃないのだ。
そして私はこの関係をより強固にするために手を打った。
寝取られはもともと、私の性癖の一つではあるのだが、そんなものはどうだっていい。大切なのは、彼が外に目を向けたうえで、私以上が存在しないことを再確認すること。
でも、彼から告白してくれたのは嬉しかったなぁ。
あの日から一年、私は我慢した。彼も頑張った。もうそろそろいいだろう。素晴らしき人生が幕を開けるのだ。輝かしき未来が私たちを待っている。
少し予定外のこともあったが、さしたる問題ではない。
私と彼の間に結ばれた絆以上に、尊いものはないのだから!