魁!イェーガーズ高校 作:聖獅
「ねぇ、あんたとアカメさんってどうして同じ学年なのにお姉さんなの?」
「それは姉貴が4月生まれで、あたしが3月の早生まれだから・・・小さい頃は年上
だと思ってたけど、同学年じゃん?ま、小さい頃の名残でお姉ちゃんって呼んでるけど」
「なるほどねぇ~~」
「きゅねぇ~」
クロメとセリュー、コロは話しながら家庭科教室へ向かう。
「セリュー今日部活は?」
「今日休み。」
「ねぇあんた?結構さぼってない?」
「違うよ!クロメの居ない所で毎日あたし頑張ってるから、何言ってんの?」
「ま、良いけど・・・・さぁて今日は何作ろう・・・、誰か居る?」
「?・・・他の部員さんかな?」
教室のドアから差し込む筈の光が無く、どうにもおかしい。
「カーテンでも閉めたの?全く暗くしてどうするつもり?」
クロメがドアを開けるとそこには
「くくく・・・ふふふふ・・・・」
室内のカーテンを全て閉め、蝋燭一本だけ灯し・・・包丁を丹念に研いでいるエスデスの姿がそこに遭った・・・。
クロメは巻き戻しのようにドアを締め、
「よし!今日は解散!」
「ちょ!!クロメ!エスデスさん何かやってたよね?何か摩訶不思議なことしてたよね?」
「エ?ワタシナニモミテナイ?」
「とにかく、何とかしないと!」
「セリュー!!あれきっと、包丁持って、恋敵的な人に何かするつもりだよ!」
「そ、そうだよね?ほらあれきっと、『この包丁良く切れるんです・・・良かったら使って下さい!』って」
「なるほどね~『あら~奥さん~こんな良い物頂けるなんて~いつもすみませんね~ああ、これ詰まらない物ですけど、皆さんでどうぞ~』って、話になる訳ね~・・・・・って、なるかああああ!!」
「じゃあ、最悪のパターンなら止めなきゃ!!」
「止めるってどうやって止めんの?人間離れしたロボットのパゥワァーよ?あの前世は拷問ラブな凶悪な顔した人(?)どうやってとめんの!!」
「こういう時こそ、無双してくれそうな凄い人連れて来てよ!そうだ、ウェイブ君は?」
「あいつは、別の高校よ?瞬間移動でもしない限り無理でしょ!!あたしまだ死にたくないよ!」
「あたしだって!!・・・ど、どどどどうしよう・・・刃物持った人相手に・・・くっ・・・、一かバチか説得してくる!」
「セリュー!?」
「だ、だだ大丈夫だよ、ほら?きっと危ない理由じゃ無くて、儀式的な何かとか?」
「きゅきゅきゅいい!!」
コロがセリューの足を掴み、後方を指差す。
「いやぁ~失敗失敗、うっかり忘れるなんて僕はドジだなぁ~」
白いマスクを被り、上半身の学生服が破れんばかりの巨漢がやってきた。
「ボ・・・ボルス君?」
「あれ?君達は確か・・・セリューさんにクロメさん?」
セリューは一旦気を取り直し、彼と対応する。
「え・・・ああ・・・、ボルス君はどうしてここに?」
「うん?ああ・・・家庭課室に教科書忘れちゃってねぇ~君達も忘れ物かい?」
「え?ええ~とその~」
「あ!噂で聞いたけど、君達校内の面白い人を探してるんだったっけ?ごめんね、僕はそんな面白くない人間だけど・・・でも、面白いと思ったのかい?いつだったっけ?ちょっと離れた所から長い間見られたけど・・・その、恥ずかしかったからもう勘弁してね?」
『あ~・・・この人あたし達尾けてたの、モロばれだったんだよね~』
クロメは悪い人探しで、尾行した事に感づかれた時の事を回想している。
「と、とにかくボルス君、今入っちゃ駄目!!」
「え?先生でも居て何か話しているのかい?困ったなぁ~明日テストだから早目に勉強したいのに・・・悪いけど、直ぐ終わるから謝って入るよ」
ボルスはドアを開け、室内の異様な雰囲気も気にせず・・・
「え~と、やっぱりあった・・・あれ?ああ、何かの取り込み中かな?ごめん、忘れ物取って直ぐ出るからね!」
そう言ってボルスはエスデスの後ろを通ると、
「おい・・・・・・貴様、私の間合いに無断で入るとは良い度胸だ・・・・くくく、肩鳴らしに丁度良いだろう・・・」
「え?」
次の瞬間、エスデスの強烈な針の如き蹴りがボルスを刺す。
彼は吹っ飛ばされ、入って来たドアを破りクロメ達を過ぎ去り、廊下の壁へと・・・。
「ボ、ボルス君!!」
「な、何が起きたの一体!?くっ・・・セリュー、コロ行くよ!」
「ま・・・待ってくれ・・・君達が中に入っちゃいけない・・・僕が行くよ・・・」
二人と一匹は何故?と振り返ると、そこにボルスは上着の学生服を破り、悠然と立っていた。
『え?は?・・・え?』
「今のは流石だったね・・・僕も油断してたよ・・・中々良い攻撃だったよ」
ボルスは教室内へと入り、その後ろ姿を後方の彼らはドアだった所から固唾を呑んで見守った。
「ほぉ・・・今のはほんの小手調べだったが・・・やるではないか?」
「君、名前は?・・・そう、エスデスさんか、何故こんな事を?」
エスデスは哄笑し、
「私にはやらねばならない事が有る、例え恋敵が居ようとも・・・例えこの身が朽ちんとも・・・彼の彼シャツをくんかくんかせねばならんのだ!!」
『『格好良く、最悪な事言ってるしぃーーー』』『きゅい!』
「なるほど・・・君には君の信念があるんだね・・・だが、僕には僕のやらねばならない事が有る・・・退いて貰うよ!」
『『そこ納得しないで、もっとツッコンでーーー!』』『きゅい!』
「ねぇセリュー、あたしとんでも無い事に気付いたんだけど、どうして他の皆この辺に居ないの?」
「そういえば?そうだね、先生達呼んで来よう!」
「待って!ひょっとしたら、このままいけばボルス君・・・エスデスの異常さにロボットだって気付いてくれるかも?」
「え?ひょっとしてそれって・・・」
「そう、それはつまりエスデスの事で頭痛い仲間・・・もとい、秘密を知ってる仲間が増えるってことよ!」
「じゃあ、ここで見守ってボルス君があたし達の仲間になる瞬間を見届けるんだね!」
「きゅい!」
ボルスは呼吸を整え、息を吐く。
「コオオオオオオオオオオオ・・・」
「ふ・・・」
エスデスの何度もの蹴り技をボルスは手刀でいなしている。
「強いね・・・エスデスさん・・・僕が圧されているなんて・・・」
「遺言が有るなら聞いてやるぞ・・・」
「・・・恐らく君はろ・・・」
『『そう、言ってロボッツ!!』』『きゅい!』
「・・・くに鍛錬していないだろうけども、その強さなんだね・・・天才だよ」
『『それはひょっとして、わざと言っていたりしませんか?』』『・・・』
「ふっ・・・、こう見えても私は今では只の女学生だぞ?」
『『居ないと思うよ、貴女みたいな女学生!!』』『きゅい!』
「だけど例え相手が天才でも、負ける訳にはいかないよ?はぁああああああ」
ボルスの肉体は隆起し、より強力になる。
「ふぅ~・・・、今の僕は80%って所かな?この姿を見て、病院送りになっていないのは、後ろのセリューさん、クロメさん、コロ君・・・そして、エスデスさん・・・君だ・・・けど、少しお灸を据えてあげるよ」
「ふっ・・・面白くなってきたぞ」
ボルスは拳圧を繰り出す。エスデス後方の窓ガラスを数か所粉々にし、教室内に明かりが差しこむ。
「・・・やるねぇ、今ので微動だにしないなんて・・・」
「面白い攻撃だ・・・だが、私には通じんぞ?」
『『ど、どういう展開なのこれーーーーー!?』』『・・・』
ボルスは指を弾き、見えない空気の弾を撃つ。
「ぐ・・・がは・・・なんだこ、これは・・・」
「・・・僕は自分から女性には手を上げない主義だけど・・・空気位なら掛けさせて貰うよ・・・」
「女性には手を上げんだと・・・ふっ・・・私を女だと思うな・・・!」
「・・・確かに君の強さは、人間離れしているよ」
「私は最早・・・人では無い・・・」
『『え!?それってひょっとして自覚してるの??』『っきゅい!』
「恋する乙女は、人の力をも凌駕するのだ!!」
『『やっぱり違ったかぁーーー、ってぇ色々ツッコミ追いつかないー!!』』『・・・』
「そうか・・・成程、そういう事だね・・・君の目を覚まさせる為に、ちょっときつ目をお見舞しよう・・・」
「来るが良い・・・私も死力を尽くそう・・・」
「じゃあ僕は明日のテストの為に・・・」
「私は自らの(くんかくんかする為の)信念の為に・・・」
「「いざ・・・尋常に・・・勝負!」」
「・・・ちょちょちょっと、どうすんのよセリュー、早く止めさないよ!!」
「無理無理無理無理無理!!あれはもう色んな意味で無理だよーー!!」
「あ、あたし達無力な民は・・・強者の戯れにただ我慢して見てるだけなのね・・・ウェイブ・・・もう一回だけ・・・」
「うん・・・あたし今まで楽しかったよ・・・」「きゅい・・・」
「あれ?先輩達、何してんすか、こんな所で?」
2人と1匹が振りかえると、そこには2年生のタツミが立っていた。
「な・・・この匂いは・・・」
エスデスは即座に場から離れ、教室外のタツミの元へ駆け寄った。
「タ~~ツミ~~~く~ンンン!!!」
「どうわぁあああああ!!」
エスデスに抱きつかれ、タツミは廊下へとへたり込んだ。
勝負を中断されたボルスは、それ以上何もする事は無かったが只、エスデスに対し『最後の動きは速かった・・・』と。
「ンもう!タツミきゅ~ん、もう離さないんだからな!恋敵が居ようと関係無いんだからな?何故なら私達は前前前世からの付き合いなのだからな!!」
「え?は?え?だだだだだれですか?貴女は?3年生ですか?だ、誰か説明して下さい!」
タツミは顔を真っ赤にしながら、狼狽するが振りほどこうとはしない。セリューとクロメとコロは顔を見合わせ、取りあえず一難去った事は自覚したが、
「え~とね・・・この人は」
「3年生の変態ストーカーお姉さんよ」
「クロメ!?」
「だって本当の事だし~」
タツミは、きっと仲の良い彼女達の冗談だろうと思って苦笑した。
「それはそうと・・・エスデス先輩ですか?どうやって俺の事知ったんですか?」
聞いた途端、エスデスはドアだった入口の側に立っていたボルスの後ろに隠れ、顔半分だけこっそり出して彼を見た。
「そ、それはそりょ・・・え~と、、ととと、、、、、、」
セリューが助け船を出し
「それはね、タツミ君が体育大会とか部活動の姿を偶然見かけて、格好良かったからだって」
「ここここここらぁ!!」
「え?あ?そ、そうなんですか・・・」
タツミはそれに照れ、エスデスはシャッターチャンスとばかりに、眼球に搭載のカメラ機能で連写する。エスデスのHDD記憶媒体にまた彼の画像が記録された。
「いやぁああああ、ふうううう!!!」
彼女は小躍りして去っていった。
残された4人と1匹。
「エ・・・エスデス先輩は面白い人ですね・・・」
タツミの一言に、クロメもこの時ばかりはもう何もツッコムまい、と思った。