ソバは巡る   作:モンです

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金さんに憑依しました その1

 銀魂って漫画を知っているだろうか。

 簡単に言うと坂田銀時という天パが愉快な仲間たちと共にエイリアンな江戸で繰り広げるギャグ漫画。おお、字面だけ見ると地雷臭漂いまくりだ。ところがぎっちょんこれがなかなか面白く、今も50巻以上続くベストセラー漫画である。人気の秘密は登場人物一人一人が個性豊かで魅力的だからだと俺は思ってる。まあ、なんにせよ俺が結構好きな漫画だったわけだ。

 だけどもし。もしその主人公に成り代われるとしたら、やってみたい人はいるのか。

 

「ってーな」

 

 坂田銀時は坂田銀時だからこそ銀魂は面白いのだ。坂田銀時ではない銀魂なんて肉のない焼肉、たまごのない寿司、ヒロインが志村けん一択のラブプラスだ。あの生き様は誰にも真似できない。当然だろう、坂田銀時は二人もいないのだから。成り代わっても坂田銀時を、あの銀色の魂を殺すだけである。

 そろそろ坂田銀時がゲシュタルト崩壊してきた。もう銀さんでいいよな。

 

「オイ、無抵抗の奴殴って楽しいか?」

 

 そんな中銀さんを金の光で塗りつぶそうとした敵キャラがいる。それは源外が作り出した理想のリーダー超合金製完全体坂田銀時弐號機、つまり坂田金時である。

 彼は催眠波を駆使することで銀さんのポジションを奪い取り最強最悪の敵として立ちはだかる。しかし銀さんが孤軍奮闘し仲間を取り戻してついにみんなと力を合わせて金時を倒す、という最終回を作り銀魂を終わらせることで新たな漫画の主人公となることを画策した。

 まあ結局銀さんたちの絆によって敗れるわけなのだが。

 

「ああ、心配すんな。答えは自分で見つける」

 

 それでも銀魂を八訓に渡って乗っ取り続けた猛者であり、実力的には全キャラの中で上から数えた方が早い。手強い敵だったのは間違いないだろう。

 Q.上記のようなそこそこ重要な人物に憑依してしまった俺は、どうすればいいでしょう。

 

「てめーらサンドバックにしてなァ!」

 

「スイマセンっしたァァァァ!!」

 

 A.とりあえず散々殴ってくれた万事屋に倍返しだァ!

 

 

 

 とりあえず被告人二名(メガネとチャイナ)を粛清した後。源外の爺に事情を聞くとどうやら俺はたびたび不在になる銀さんの代役として生み出されたようだ。

 そういえばそんな設定だったな。目が覚めたらサンドバックにされてたからまったく思い出せなかった。こんな奴らのために働かなくちゃいけないんかい……(濁りきった目)

 だが俺はプラモデル。創造主の命には従わなくてはいけないのでゴミ二名を引きずってしぶしぶ万事屋へ向った。

 

「依頼が二十件ほどたまってるんですが一体君たちは何やってたのかなああそうだね俺をサンドバックにしてたんだね耳かき奥まで突っ込むぞゴラァ」

 

「もうなんか本当にごめんなさい」

 

 メガネは真摯に謝ってくれるからいいとして、チャイナは鼻くそほじくってるのでフロントチョークの刑に処す。タップしてもやめられない止まらない。

 

「一件ずつ地道にやってくしかないな」

 

「冷静に言ってるとこ悪いけど神楽ちゃん泡吹いてるからァァ!! もう止めてあげてください!!」

 

 しょうがないので離してあげる。まったく、今度からはちゃんと人の話を聞きなさいねっ☆

 

「じゃあさっそく依頼に向かおうか。イイヨネ?」

 

「「ウッス」」

 

 素直なのは良い事です。

 

 

 一件目

 

「主人が浮気をしているかもしれないんです」

 

「だから調べてほしいと。じゃあチャイナちょっとご主人持ってきてくれる?」

 

「分かったアル!」

 

「いや人を物みたいに言っちゃダメでしょ。って神楽ちゃんご主人ぐったりしてるけど何したの」

 

「とりあえず催眠波をみわーん。ご主人浮気してる? あ、しちゃってるんだ。その相手は? いつからしてたの? ふむふむなるほど、そういう事らしいですよ奥さん」

 

「そんな……」

 

「可愛そうに……。チャイナ、ご主人にネックロックの刑」

 

「フンッ」

 

「いや自然な流れでなにやってんのアンタら!」

 

「だってモヤモヤするんだもん」

 

「もんじゃねーよ!!」

 

 

 五件目

 

「最近クマ太郎のストレスがたまっているので遊び相手になってほしいのじゃ」

 

「ペットがクマの時点で遊びが殺し合いになりそうな件」

 

「とか言いつつ真面目に相手になる金ちゃんは万事屋の鏡ネ」

 

「クマとの攻防が激しすぎて残像が見えてるんですけど。あ、木刀が折れた」

 

「クマの爪を素手で受け流してるアル」

 

「もうそろそろ満足したっしょ。スピニングチョークで終わりっと」

 

「あんたは毎回最後に絞め技をしないと生きていられないんですか」

 

「締めだけに絞め技とか寒いよメガネ」

 

「んなこと一言も言ってねーよ!?」

 

 

 十四件目

 

「五分後に地球を半分消し飛ばすほどの隕石が落ちてくるから何とかしてほしいんだ」

 

「それうちに依頼してる場合じゃねーだろォォォォ!!」

 

「もうさんざん手は尽くした。藁にもすがる思いなんだ、頼むよぉ……っ!」

 

「しかたないなあNASA太君は」

 

「すごいヨ、空まで跳んだと思ったら隕石を観察してるモニターに映ってるアル」

 

「金さんはどんだけ規格外なんですか」

 

『スリーパーホールドォォォォ!!』

 

「それただのパンチだから!」

 

「隕石がこなごなネ」

 

「ちなみに声は通信機をハッキングしてお届けしました」

 

「そこ拘るところ!?」

 

「だって皆期待してるんでしょ、絞め技」

 

「「「してねーよ」」」

 

「冷静にハモんな傷つくだろーが」

 

 

 

 依頼を全て終わらせ万事屋に帰宅するともうすっかり夜になった。

 新八君は帰る体力がないようで今日はお泊りだ。というか未だに家主帰ってきてないんだけどいいんだろうか。どうせどっかで酔っぱらってるんだろうけども。

 

「おやすみアル―」

 

「おやすみなさい神楽ちゃん」

 

「あ、ちょいまち」

 

 なにアルかーと不機嫌な声を聞き流しつつ、今回もらった報酬を元に未払いの給料をまとめて渡す。あとは家賃を払わないとn

 

「金時様」

 

「この体、いかようにもお使いください」

 

「どんだけ豹変してんだよ。用はもうないからさっさと寝ろ」

 

 ちょろい、ちょろすぎるよ。給料渡しただけでこの忠誠とかこの年で苦労しすぎだろ。反応に困るよ。

 跪く二人をとりあえずスル―して一階のスナックお登勢へ向かう。そういやはじめましてだし挨拶しないといけないな。

 ……一番挨拶(物理)したいのは銀さんなんだけどナァァ……。

 

「というわけでこんばんは、超合金製完全体坂田銀時弐號機、通称坂田金時です。今日は銀さんの代理で家賃を届けに来ました」

 

「おや、わざわざありがとうよ。私のことはお登勢と呼んでおくれ」

 

 カウンターに座るよう促されたのでご厚意にあずかりくつろぐ事に。

 

「お登勢さん、オイル一つください」

 

「初ッ端カラ無茶ブリシテンジャネーヨ」

 

「うるせー顔面凶器。たま先輩居るんだからあるだろ」

 

「ブッ壊スゾポンコツ」

 

「あの。もう一度私の事呼んでくれませんか」

 

「ん? たま先輩、だよね。間違ってた?」

 

「いえ、合っていますよ。……先輩ですか。……なんだか素敵な響きです……」

 

「恍惚としてるとこ悪いけど口からオイル垂れてるよ」

 

 正式名称は芙蓉 伊-零號試作型だ。ロボットつながりでデータに入っておりました。

 忘れていたけどたま先輩のモデルは芙蓉ちゃんだったね。俺のモデルとか死んだ魚の目をしててパチンコ通いまくってて酔ってその辺に行き倒れてるマダオだから。希望がないから。不謹慎だけども羨ましいです。

 

「銀さんっていつ帰ってくるか知ってる?」

 

「サァナ。帰ッテキテモゲロゲロウルサイダケダヨ」

 

「まあそうかもしれんけど。というか名前教えてよ」

 

「金髪ストパニ名乗ル名ハナイ」

 

「じゃあいいや」

 

「モウ少シ食イツケ!! 草食系男子カテメーハ!」

 

「あの、金時。もう一度私をたま先輩と呼びなさい」

 

「テメーハテメーデ何イキナリ先輩面シテンダ!?」

 

 いつのまにかたま先輩とキャサリンの言い合いに発展した様子。オイルをゆっくり飲みつつぽつりと呟く。

 

「にぎやかですね」

 

「ここは大体こんなもんさ」

 

「また来ようかな」

 

「ああ、いつでも歓迎するよ」

 

 そんなある夜の光景。今日もスナックお登勢は平和でした。

 

 




これ金魂知らないと分かんないね。
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