薬漬けの小学生が普通を目指す(なれるとは言っていない。) 作:お寿司のネタのサーモン
ザアアアア
雨が降りしきる中二人の少女が路地裏の屋根の下に傘代わりに鞄を掲げながら走りこんでくる。
「急に降り始まるなんて聞いてないよ~!」
「響が傘持っていくって言うから私持ってこなかったのに・・・も~服がびちゃびちゃだよ。」
「ごめんね未来・・・私が傘忘れちゃったから。」
「ううん、気にしてないよ、ただ、風邪は引きたくないからね。」
「ありがと、未来。」
栗色の髪をした少女は響、黑髪の少女は未来と互いに呼び合いながら雨が止むのを待っていた。
響「そうだ、未来、雨雲レーダーは?」
未来「30分は確実に降るって。」
響「そっかぁ・・・これじゃあ初回特典は売り切れちゃうかな~」
未来と呼ばれる少女がスマホを取るために視線を横にすると一つの小さな人影が見えた。
未来「ねえ、響、あれ、小学生?」
響「え?未来・・・どこ?」
未来「ほら、あそこの下。」
響「あれ?・・・傘もささずに・・・どうしたんだろう?」
迷子か何かなのかと話合いをしていると小さな人影は意識を失ったかのように倒れた。
未来「ちょっと!響あの子倒れたよ!?」
響「え!?」
響「子供・・・?」
響の目の前には完全に意識を失っている子供が横たわっていた。
響は子供に近付く前に動揺しながらも未来に指示を出した。
響「と、取り敢えず未来は救急車お願い!」
未来「わ、分かった!」
『すまないがそれはよしてくれるか?』
人影の近くに戦車の様な物体があるのを見つけた響とどこからか聞こえる声に未来は少しパニックになった。
未来「ど、何処から!?」
『早くしてくれないか?奴らに見つかってしまう。』
響「もしかして・・・君?」
『話が早くて助かる。早くマスターを安全なところに匿ってくれないだろうか?』
戦車の形をしたロボットぽい奴が続けざまに喋ったのを見て響は確信した。
未来「響・・・もしかしてそれが喋ってるの?」
響「うん、原理はわかんないけど、取り敢えず病院が駄目ならフラワーに行こう!」
未来「ええ!?担いでいくの!?絶対目立っちゃうよ!」
それもそうだと必死に考えるが、地頭が良くない響は何も思いつかなかった。
響「・・・そうだ!貴方・・・えっとタンク『タンクで良い・・・ならタンク!何とかできるよね?」
タンク『勿論。』
タンク『マスターの右ポケットにボトルがある、それを振るんだ。』
響「ボトル・・・ボトル・・・あ、ねえこれ!?」
タンク『そうだ、あと私を肩に乗せろ。』
響「未来、お願い!」
未来「ええ!?本当に連れて行くの!?」
響「桐生兄さんなら何とかしてくれる!」
子供を担ぎ路地裏を出る。
未来がボトルを振ると何故か周囲の人がそこに誰もいないかのように見向きもしなかった。
暫く雨の中を走り抜けて行くと響と未来の行きつけの店、お好み焼き屋『フラワー』に到着した。
未来「はあ・・・はあ・・・響・・・足・・・早いね・・・」
響「ゴホッゴホッ・・・ありがとう未来。」
息を切らしながらも店に入店した二人はボトルを振ることを忘れていた。
おばちゃん「あれ?何時からそこにいたんだい二人?」
響&未来「「あ。」」
おばちゃん「・・・なんか訳アリなんでしょ?入りなさい。」
響&未来「「失礼します!!!」」
その日の二人の声は良く通った。
「で?俺の隠れ家兼バイト先に尾行も確認せずに来た理由を100字以内にまとめて答えよ。」
響「ごめんなさい・・・」
未来「すみません、桐生兄さん。」
桐生「・・・もういい、それで?こいつをここに匿った理由を説明してくれるかね?戦車くん?」
タンク『ああ、説明しよう、ライダーシステム開発者、桐生戦兎。』
桐生「(自立型人工知能、まだ束の奴も作ったことが無いAIがなぜこんな子供に・・・あと何で俺の事知ってんの怖)」
タンク『説明するとは言ったが私自身も停止されていた期間が在ってな、そこまで詳しくは説明することができない、許してくれ。』
桐生「ふん、良いだろう。」
タンク「すまない、まずこの子供は私のマスターで、名を『
桐生「なっ!?」
タンク『どうした?知り合いか?』
桐生「いや・・・何でもない。」
タンク『我がマスターはとある理由からある組織に目を付けられてな、人体実験を受けていたんだ。』
桐生「・・・それで?」
タンク『研究所から何とか逃げ出してくることには成功したが・・・体内の薬が効果を発揮し、意識を失った。』
桐生「そうか・・・よ~く分かった。」
桐生「俺一人ではどうしようもない・・・が。」
響「おお!」
桐生「束に保護してもらえれば何とかなるだろう、連絡がつくかどうかは別だがな。」
未来「おお!」
桐生「ということで、風呂に入ってこいお前ら、その・・・目のやり場に困る。」
響「え?」
未来「変態!!!」
意味を理解したのか響は赤くなり未来は平手打ちを桐生に食らわせた。
バチン!!!
どたどたと風呂に向かう二人を横目に桐生はぶたれた所をさすりながら呟いた。
桐生「これ俺悪い?」