グラウンドには、負傷した生徒たちの苦しそうな声と、
教師たちの指示が絶え間なく飛び交っていた。
校舎の各所で発生した爆発によって、多くの生徒が煙を吸い込み、
転倒や瓦礫によって軽い怪我を負っている。
重傷者こそいないものの、恐怖から立ち上がれない者や、
過呼吸を起こしている者も少なくなかった。
一之瀬帆波は隅に座り込んだ女子生徒の前へ膝をつき、
震える両手を優しく包み込んでいた。
「大丈夫だよ。もう校舎の外まで逃げられたから、ここにいれば安全だからね」
「でも……まだ友達が中に……」
「先生たちが捜してくれてる。
私たちも確認しているから、今は呼吸を整えることだけ考えよう」
一之瀬は相手の目を見ながら、ゆっくりと呼吸の速さを合わせていく。
女子生徒は何度か浅い息を繰り返した後、ようやく僅かに頷いた。
その近くでは、平田洋介が足を痛めた男子生徒へ肩を貸し、
救護用のテントまで連れていこうとしていた。
「無理に歩かなくてもいいよ。僕に体重を預けて」
「わ、悪い……」
「気にしなくていい。転ばないように、ゆっくり行こう」
軽井沢恵と櫛田桔梗も、
集められた水や毛布を配りながら、混乱する生徒たちへ声をかけていた。
「ほら、これ飲んで。全部一気に飲まなくていいから」
軽井沢がペットボトルを差し出すと、
煤で顔を汚した女子生徒が震える手で受け取った。
「ありがとう……」
「お礼はいいって。まだ気持ち悪いなら、すぐ先生に言いなよ」
少し離れた場所では、櫛田が泣いている一年生の背中を優しく撫でている。
「怖かったよね。でも、もう一人じゃないから。
ここには先生も先輩もいるし、何かあったら私たちがすぐに呼ぶからね」
普段と変わらない明るい笑顔だったが、
その額には汗が浮かび、声にも隠しきれない疲労が滲んでいた。
綾小路や龍園たちが中央管理棟へ向かい、堀北や坂柳も別の場所で動いている。
さらに南雲まで不在の今、指揮を実質的に任されていたのは、三年生の桐山だった。
桐山は教師や三年生から届く報告を整理し、
避難者の人数と救護状況を確認し続けている。
「北側の避難区域には近づけるな。
煙の流れが変わっている。救護テントの場所も、もう少し風上へ移動させろ」
普段の桐山は、南雲の影に隠れた存在として扱われることが多い。
しかし今は、躊躇している余裕などなかった。
誰かが指示を出さなければ、生徒たちは再び混乱する。
その責任を理解しているからこそ、桐山は次々と判断を下していた。
そこへ、三年生の男子生徒が息を切らしながら駆け込んできた。
「桐山!」
「どうした?」
「学生寮だ!一階の設備区画で、怪しい装置が見つかった!」
桐山の表情が一変する。
「怪しい装置とは何だ。詳しく説明しろ」
「複数の箱が配線で繋がれてる。近くの表示も動いてた。
警備員が確認して、山内が仕掛けた爆弾の可能性が高いって……!」
周囲の空気が凍りついた。
桐山は一瞬だけ学生寮の方向へ目を向ける。
高度育成高等学校の学生寮は、単に生徒たちが眠るための建物ではない。
衣服や教材、個人の所有物だけでなく、
この学校で築いてきた生活そのものが集まっている場所だ。
現在は多くの生徒が避難区域へ移動しているものの、
寮の周辺には負傷者の救護や確認作業に当たっている者も残っている。
何より、一階部分で大きな爆発が起これば、
建物全体が深刻な被害を受ける可能性があった。
生徒たちの生活基盤そのものが失われる。
部屋も、荷物も、積み重ねてきた日常も、すべてが破壊されることになる。
「残り時間は?」
桐山が尋ねると、報告へ来た男子生徒は苦しそうに答えた。
「正確には分からない。
でも、警告表示らしいものが減り続けてる。あまり時間はないと思う」
桐山は周囲を見渡した。
グラウンドには介抱を必要とする生徒が大勢いる。
ここから人員を動かせば、救護体制に穴が生まれる可能性もあった。
その迷いを察した一之瀬が、女子生徒へ毛布をかけてから立ち上がった。
「桐山先輩、私たちが行きます」
桐山が険しい目を向ける。
「危険だ。爆発物の処理は、生徒がすることではない」
「分かっています。
でも、専門の人たちは校舎や地下の対応で手が足りていませんよね?」
桐山は答えなかった。
その沈黙だけで、一之瀬の言葉が正しいことは明らかだった。
平田も救護テントから戻り、一之瀬の隣へ立つ。
「僕も行きます。寮にはみんなの生活があります。それを見過ごすことはできません」
「あたしも行く」
軽井沢が迷いなく続いた。
「ここで待ってて寮が吹っ飛ぶのを見るなんて、絶対に嫌だから」
櫛田も表情を引き締める。
「私も一緒に行きます。四人なら、手分けして確認できます」
桐山は四人を順番に見た。
「遊びではない。装置へ不用意に触れれば、
その場で全員が巻き込まれる可能性もある」
「分かっています」
一之瀬は真っ直ぐに答えた。
「だからこそ、焦らずに確認します。危険だと判断したら、無理はしません」
それが完全に守れる約束でないことは、桐山にも分かっていた。
しかし、他に動かせる人間がいないのも事実だった。
桐山は短く息を吐くと、近くで救護活動を続けていた茶柱と真嶋へ目を向けた。
「茶柱先生、真嶋先生。グラウンドの救護をお願いできますか」
茶柱は事情を聞くと、すぐに一之瀬たちを見た。
「本気で行くつもりか?」
「はい」
一之瀬の返事に迷いはなかった。
茶柱は何かを言おうとしたが、最後には止めなかった。
「分かった。ただし、無茶だけはするな。寮よりも自分たちの命を優先しろ」
「はい」
真嶋も厳しい表情で続ける。
「通信は常に繋いでおけ。少しでも異常を感じたら、直ちに離れろ」
四人は頷き、学生寮へ向かって走り出した。
グラウンドを離れると、周囲の騒音は次第に遠ざかっていった。
学生寮へ続く通路には人影がほとんどなく、
普段なら生徒たちの話し声が聞こえているはずの場所が、不気味なほど静まり返っている。
割れた窓から風が吹き込み、床に散った小さな破片を転がしていた。
「寮にまで仕掛けるなんて、本当に最悪」
軽井沢が走りながら吐き捨てる。
「山内くんにとっては、学校に関係するもの全部が復讐の対象なのかもしれないね」
櫛田の表情にも、いつもの柔らかさはなかった。
平田は前方を確認しながら言う。
「でも、寮が壊れれば山内くん自身の思い出も消える。
以前ここで生活していたなら、彼にとっても何もない場所ではないはずだ」
一之瀬は小さく頷いた。
「だからこそ、壊したいのかもしれない。
自分だけが失った場所を、みんなが今までどおり使い続けることが許せないのかも」
四人が学生寮の正面玄関へ到着すると、警備員が待っていた。
「一階の共用設備室だ。中に七つの装置がある。
下手に近づけないから、遠隔映像だけ確認した」
「七つも……?」
軽井沢の顔が引き攣る。
「嫌がらせにしても多すぎない?」
「一つの制御装置に繋がっているようだ。順番に停止させる必要があるらしい」
警備員は四人へ簡易端末を渡した。
画面には、設備室内の見取り図と七つの反応が表示されている。
「専門班へ映像は送っているが、通信障害がひどい。
指示が届くまで待っていれば、間に合わない可能性がある」
一之瀬は端末を受け取ると、三人を見た。
「行こう」
四人は設備室へ入った。
内部には寮の電源や給水、空調を管理する装置が並び、低い駆動音が響いている。
その間へ、不自然な形で七つの黒い箱が設置されていた。
それぞれが異なる場所へ固定され、中央にある表示装置と繋がっている。
大型表示には、残り時間が映されていた。
【18:42】
軽井沢が唇を引き結ぶ。
「二十分もないじゃん……」
「まだ十八分あるよ」
一之瀬は努めて落ち着いた声を出した。
「一つずつ確認しよう。慌てて間違える方が危ないから」
その時、天井のスピーカーから雑音が流れた。
『おいおい、今度はスクールカースト上位の陽キャ集団かよ』
山内の声だった。
四人は一斉にスピーカーを見上げる。
『一之瀬に平田、軽井沢、櫛田。
すげぇメンバーだな。クラスの中心にいる奴らばっかじゃん』
軽井沢が眉を寄せた。
「その言い方、すっごくムカつくんだけど」
『図星だからだろ?お前らみたいな奴には分かんねぇよな。
周りに人が集まって、普通に笑って、何もしなくても居場所がある奴らにはさ』
一之瀬は装置を確認しながら、静かに答える。
「何もしなくても人が集まるわけじゃないよ」
『優等生の説教はいらねぇ』
「説教じゃないよ。私だって失敗するし、嫌われたこともある。
人と一緒にいることが、いつも楽なわけじゃない」
山内は鼻で笑った。
『でも一人じゃねぇだろ』
その言葉に、一之瀬の手が僅かに止まる。
「……そうだね」
彼女は否定しなかった。
「だから、誰かを一人にしないようにしたいと思ってる」
『綺麗事ばっかだな』
「そうかもしれない。でも今は、あなたと話すことより、寮を守る方が先だから」
一之瀬は端末へ視線を戻した。
最初の装置には、複数の図形と数字が表示されている。
平田が周辺の設備を確認した。
「この装置だけ、寮の電力使用状況と連動しているみたいだ。
各階の表示を、現在の避難状態へ合わせれば停止するのかもしれない」
「今、寮に残ってる人はほとんどいないよね」
櫛田が端末の情報を照合する。
「だったら、使用されていない階の表示を全部下げて、警備室だけ残せばいいのかな」
一之瀬が頷く。
「やってみよう。ただし、同時に合わせた方がよさそう」
四人はそれぞれの表示を確認し、タイミングを合わせて切り替えた。
数秒の沈黙の後、最初の装置にあった赤いランプが緑へ変わる。
【解除 1/7】
「できた……!」
軽井沢が安堵の息を漏らした。
しかし、残り時間は既に十六分を切っている。
二つ目の装置では、寮内の部屋番号と共同施設の位置が複雑に組み合わされていた。
櫛田が画面を覗き込み、すぐに違和感へ気づく。
「これ、部屋番号そのものじゃないよ。共用スペースから近い順に並べるんじゃないかな」
「どうして分かるの?」
軽井沢が尋ねる。
「表示されてる部屋の住人、全員が同じ時間帯に食堂を使ってたことがあるの。
前にアンケートを取った時に覚えてる」
山内がスピーカー越しに呆れた声を出す。
『何でそんなことまで覚えてんだよ』
「みんなと話すのが好きだからかな」
櫛田は笑顔で答えながら、正しい順序へ表示を入れ替えた。
二つ目のランプも緑へ変わった。
【解除 2/7】
三つ目の装置は、複数の鍵を同時に操作しなければならない仕組みだった。
「一人では解除できないようになってる」
平田が構造を確認する。
「四つの操作部分を、同時に押さえる必要がありそうだね」
「いかにも協力してくださいって感じ」
軽井沢が自分の位置へ移動する。
「山内くんって、こういう皮肉好きそう」
『うるせぇな。陽キャなら協力得意だろ』
「だったら期待に応えてあげる」
四人は互いの顔を見た。
一之瀬が静かに数える。
「三、二、一、今!」
全員が同時に操作すると、三つ目の装置も停止した。
続く四つ目では、平田が設備の配管図から正しい順序を見抜き、
五つ目では一之瀬が表示された生徒名の共通点へ気づいた。
六つ目の装置は、軽井沢が普段の寮生活で覚えていた
照明の点灯順を利用することで解除できた。
【解除 6/7】
残ったのは、最後の一つだけだった。
しかし、残り時間は三分を切っている。
【02:48】
最後の装置は、これまでとは明らかに異なっていた。
中央には小さな画面があり、その周囲に三つの入力部分と、複数の記号が並んでいる。
平田が端末を確認したが、対応する情報は表示されていない。
「手掛かりがない……」
一之瀬も周囲を調べる。
「他の装置と連動している様子もないね」
櫛田が記号を見つめる。
「適当に入力するのは危険だよね」
「当たり前でしょ」
軽井沢は焦りながらも、装置から目を離さなかった。
【02:13】
スピーカーから山内の笑い声が響く。
『どうしたよ、陽キャ四人組。人望があっても、分かんねぇもんは分かんねぇよな』
「黙ってて!」
軽井沢が叫ぶ。
『あと二分だぜ。寮がなくなったら困るよな。部屋も服も、思い出も、全部消える』
その言葉に、軽井沢の表情が強張った。
寮の自室には、この学校へ入学してから積み重ねてきた生活がある。
何気なく買った小物も、友人からもらったものも、
誰にも見られたくない思い出も置かれている。
それを失いたくないと思うのは当然だった。
だが、焦れば山内の思うつぼだ。
軽井沢は強く息を吐き、もう一度装置の画面を見た。
画面上では、三つの記号が一定の間隔で点滅している。
最初は赤、次に白、最後に青。
その横には、何かを挟むように配置された二本の線があった。
「……これ」
軽井沢が小さく呟く。
櫛田も同時に顔を近づけた。
「どこかで見たことがあるような……」
「私も。何だったっけ」
【01:34】
平田が二人を見る。
「何か思い出せそうなの?」
「ちょっと待って。これ、たぶんテレビで……」
軽井沢が額へ指を当てる。
櫛田も記憶を辿るように目を閉じた。
やがて二人は、ほぼ同時に顔を上げた。
「「探偵アニメ!」」
声が重なった。
一之瀬が驚く。
「探偵アニメ?」
「昔見た話に、これと似た見た目の装置が出てきたの」
軽井沢は画面を指差した。
「確か、見たままの順番で操作するんじゃなくて、画面が反射してる前提で考えるの。
左右を逆にして、最後の入力だけ少し遅らせるんだったはず」
櫛田も頷く。
「私も覚えてる。犯人が鏡越しに指示を残していた話だよ。
点滅の色と記号の位置がそっくり」
平田が装置を見た。
「山内くんが、そのアニメを参考にして作った可能性があるということか」
「でも、確証はないよ」
櫛田の声が僅かに震える。
一之瀬は残り時間へ目を向けた。
【00:58】
他に手掛かりはない。
待っていても、時間が尽きるだけだった。
「山内くんは、仕掛けの多くに自分が知っているものや、学校での経験を使ってる」
一之瀬は落ち着いて状況を整理する。
「最後だけ完全に無関係な方法にするとは考えにくいよ。
アニメを参考にしていても不思議じゃない」
軽井沢が苦い顔をする。
「まさか、昔見たアニメがこんなところで役に立つなんて思わなかったけどね」
「やってみよう」
平田が言った。
「僕は二人の記憶を信じる」
櫛田は一瞬だけ不安そうな顔を見せたが、すぐに頷いた。
「うん。私も軽井沢さんと同じ場面を覚えてるなら、たぶん間違ってない」
【00:39】
四人は装置の前へ並んだ。
軽井沢が左右を逆に読み替え、櫛田が点滅の順番を確認する。
平田が全体のタイミングを取り、一之瀬が最後の入力を担当することになった。
「赤の反対側から」
「次が白」
「最後の青だけ、一呼吸遅らせる」
残り時間が減っていく。
【00:21】
平田が四人の動きを確認した。
「始めよう。焦らず、順番どおりに」
軽井沢が最初の操作を行い、櫛田が二つ目を続ける。
装置は反応しない。
一之瀬は最後の入力部分へ指を置いたまま、画面の点滅を見つめた。
【00:11】
「まだだよ」
櫛田が囁く。
【00:08】
「今!」
一之瀬が最後の入力を行った。
一秒だけ、何も起こらなかった。
軽井沢の心臓が止まりそうになる。
次の瞬間、時限表示が停止した。
【00:06】
赤く点滅していた七つ目の装置から警告音が消え、表示が緑色へ切り替わる。
【解除 7/7】
四人は、すぐには声を出せなかった。
爆発音が響かないことを確かめるように、その場で装置を見つめ続ける。
やがて平田が大きく息を吐いた。
「……解除できた」
一之瀬も胸元へ手を当てながら、安堵の息を漏らす。
「よかった……本当によかった」
櫛田は緊張から解放され、その場へ座り込みそうになった。
軽井沢も壁へ手をつき、乱れた呼吸を整える。
「ギリギリすぎるでしょ……。寿命が縮んだんだけど」
スピーカーの向こうでは、山内がしばらく黙っていた。
やがて、不満を隠そうともしない声が響く。
『……陽キャもアニメ見るのかよ』
軽井沢は呆れたようにスピーカーを見上げた。
「当然でしょ。何で見ないと思ってんのよ」
櫛田も苦笑する。
「さすがに偏見がすぎるよ。友達が多いとか明るいとか、そういうことと趣味は関係ないから」
山内は納得できないように舌打ちした。
『一之瀬と平田も見るのか?』
一之瀬は困ったように笑う。
「私は有名な作品なら見ることもあるよ。詳しいかどうかは別だけどね」
平田も僅かに肩を竦めた。
「好みは人それぞれだからね。誰が何を好きでも、不思議ではないと思うよ」
『……何なんだよ、お前ら』
山内は吐き捨てるように言うと、通信を切った。
設備室に静けさが戻った。
四人は停止した七つの装置を見回す。
寮は無事だった。
生徒たちの部屋も、荷物も、ここで積み重ねてきた生活も失われずに済んだ。
一之瀬は端末を取り、桐山へ報告を送った。
「こちら一之瀬です。
学生寮一階にあった七つの装置は全て停止しました。寮に大きな被害はありません」
通信の向こうから、桐山が深く息を吐くのが聞こえた。
『了解した。よくやった。ただちに建物から離れろ。最終確認は警備班へ任せる』
「分かりました」
通信を終えると、一之瀬は三人を振り返った。
「戻ろう。グラウンドには、まだ私たちを必要としている人がいるから」
平田が頷く。
「そうだね。僕たちの仕事は、まだ終わっていない」
軽井沢は疲れ切った顔で設備室の出口へ歩き出した。
「戻ったら、絶対に少し休ませてもらうからね」
「さっきまで休まず動いてたもんね」
櫛田が笑う。
「軽井沢さん、実はすごく真面目だから」
「実はって何よ。普通に真面目なんだけど」
「うんうん、そういうことにしておくね」
「ちょっと、櫛田さん!」
言い合いながら出口へ向かう二人を見て、一之瀬と平田は顔を見合わせた。
「二人とも元気だね」
一之瀬が小さく笑うと、平田も穏やかに頷いた。
「話せる余裕が戻ったなら、きっと大丈夫だよ」
四人は学生寮を後にし、再びグラウンドへ向かって走り出した。
華やかで、明るく、いつも周囲に人がいる。
山内から見れば、四人は何の苦労もなく
スクールカーストの上位へ立っているように見えたのかもしれない。
だが、彼らが人の中心にいるのは、
単に目立つ容姿や明るい性格を持っているからではない。
誰かが苦しんでいれば手を差し伸べ、
危険を前にしても互いを信じ、必要な時には自分の恐怖を押し殺して動く。
そうした小さな選択の積み重ねが、彼らの周囲に人を集めていた。
そして今回、四人を救ったのは優れた学力でも、特別な身体能力でもなかった。
かつて何気なく見ていた一本のアニメと、それを覚えていた二人の記憶だった。
人の好みや価値は、表面的な立場だけでは決められない。
山内が最後まで理解できなかったその事実が、
皮肉にも学生寮と、そこに残された大勢の日常を守ったのだった。
一日一話で三作品を投稿するのは多いですか?
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いいぞ、どんどんやれ
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多い!読みきれない