六眼と無下限持って生まれたけど何か世界観が違う   作:杏鷲

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第三話

 

 無数のモニターが壁一面に立ち並び、薄暗い空間に青白い光を投げかけている雄英高校の監視室。

 先程まで行われていた実技試験の熱狂と余韻が未だに立ち込めるその部屋の中で、この国の未来を担う若き才能たちを見定めていたプロヒーローたる教師陣が一様に押し黙り、メインモニターに映し出された一人の少年のリプレイ映像を食い入るように見つめていた。

 

『終了──────!!』

 

 プレゼント・マイクの試験終了の宣言と共に画面が切り替わると、今度は別のサブモニターに今年度の一般入試における成績上位陣のリストが獲得したポイントと共にずらりと表示される。

 

 第一位、五条枢。敵P・135P。救助活動P・30P。総合P・165P。

 第二位、爆豪勝己。敵P・77P。救助活動P・0P。総合P・77P。

 

 二位の受験生も、例年の基準からすれば文句なしのトップ通過と言える素晴らしい成績であり、本来であれば彼が今年の目玉として教師陣の話題を独占していたはずだった。

 しかし、その下に続く優秀な受験生たちの成績すらも全て霞ませてしまうほどに───トップに君臨する白髪の少年が叩き出したスコアはあまりにも常軌を逸していた。二位の受験生と優に二倍以上もの得点差をつけるという、雄英の歴史においても類を見ない圧倒的大差。

 

「……ムチャクチャだな、彼の“個性”は」

 

 静まり返っていた監視室の中で、カウボーイハットを被ったヒーロー───スナイプが、呆れたような、それでいてどこか恐怖すら孕んだ感嘆の息を漏らした。

 そのポツリと溢された言葉を皮切りに、重い沈黙が破られ室内の各所から同意の声と重々しい頷きが次々と返ってくる。

 

 彼らの手元には、各受験生の願書と“個性”の詳細を記したファイルが配られている。

 

 五条枢───“個性”『無下限』。

 

 そこに記された能力の詳細は『無限を現実に具現化する』という、にわかには信じ難い文言であった。

 

 炎を操る、身体を鋼鉄に変える、重力を操作する。そういった物理的、あるいはエネルギー的な干渉を行う個性であれば彼らもこれまで数え切れないほど目にしてきた。

 しかし『無限』という数学的な概念そのものを現実に持ち込み、空間の在り方そのものを支配するなどという力は、数多の生徒を指導し数え切れないほどの凶悪なヴィランたちと死闘を繰り広げてきた歴戦のプロヒーローたる彼らからして見ても、到底理解の及ばない、あるいは想像すらつかない領域の力であった。

 

「加えて、それを扱う本人の資質も歴代の受験生でも随一と来たもんだ」

 

 雄英高校の実技試験が長年採用し受験生たちを審査してきた基準、それは単に“仮想敵”を倒す力だけではない。

 限られた時間、そして広大な模擬市街地で仮想とは言え“(ヴィラン)”という存在を相手取る非日常の状況下において、如何にして市井の平和を守るための基礎能力を素早く、的確に発揮できるかという総合力の評価である。

 即ち、周囲の状況を正確に把握する『情報力』。現場へと誰よりも早く急行するための『機動力』。刻一刻と変わる戦況に対応する『判断力』。そして、脅威を確実に排除するための純粋な『戦闘力』。

 

 それら四つの評価軸から見れば、今年の受験生たちは非常に優秀なヒーローの卵が多いと言わざるを得ず、プロヒーローでもある教師陣をして「今年は稀に見る豊作だ」と頬を緩ませるほどに、光る“個性”と才能を併せ持った原石たちが多数見受けられた。

 だが───その中にあっても、第一位に輝いた少年、五条枢の存在は正に『別格』の一言に尽きたのだ。

 

 実技試験の開始直前。プレゼント・マイクの意図的なカウントダウンすらない咄嗟の開始宣言。これに周囲の受験生が呆然と立ち尽くす中、誰よりも早く、瞬きする間もなく実戦へと意識を切り替え、行動に移してみせた完璧な『判断力』。

 スタート地点の待機エリアからまだ誰も足を踏み入れていない演習場の最奥部まで、空間を圧縮するかのように一瞬にして跳躍して見せた反則的な『機動力』。

 遥か上空から眼下の市街地に配置された数多の“仮想敵”の分布と、他の受験生が巻き込まれる危険性がないかを瞬時に視認し、状況を完全に支配した『情報力』。

 そして───『蒼』と呼称したあの一撃。たった一度、空中に掌大の球体を生み出しただけで、周囲の仮想敵を瓦礫ごと吸い寄せ、圧し潰し、一瞬にして100ポイント以上もの得点を稼ぎ出してみせた、天災と見紛うほどの圧倒的な『戦闘力』。

 

 ヒーローとして必要な全ての要素において、五条枢という少年は他の受験生たちとは正に次元の違うレベルに立っていた。

 

「(……物が違うな)」

 

 どよめきが収まらない監視室の片隅。

 壁に背中を預け、首に巻かれた捕縛布に顔を半分埋めるようにしてモニターを見据えていた男───イレイザーヘッドこと相澤消太は、ひっそりと胸中で嘆息した。

 

 相澤自身は、雄英の伝統であるこのロボット破壊の実技試験を心底から毛嫌いしている。

 この試験は、対人戦において真価を発揮するような絡め手や精神操作系の個性を持つ者たちを無慈悲に切り捨てる、極めて合理性に欠けた不平等な試験形式だからだ。

 だが、それはそれとして。自身が嫌悪する不合理な試験システムの中で、一切の文句のつけようがない十全以上の圧倒的な結果を叩き出した五条枢に対して、相澤は確かな感心を覚えていた。

 

「(孤児院出身ね……)」

 

 手元のファイルに視線を落とす。

 五条枢。15歳。家族構成の欄は空白。現住所は、とある地方の児童養護施設となっている。

 

 その経歴を見返し相澤はさらに目を細めた。

 空間そのものを操作するような能力であれば一歩間違えれば自滅、あるいは周囲の人間を無差別に巻き込む大惨事を引き起こしていてもおかしくないと言うのに、それを完全に制御し仮想敵を的確に圧殺してみせたあの手腕は、あの歳でよくもまぁあれほどまでに緻密に“個性”を使いこなせるものだと素直に称賛せざるを得なかった。

 

 本来であれば、これほどの実力と個性を持った逸材は有力なプロヒーローや名門校からの『推薦入試』の枠で早々に囲い込まれて入ってきてもおかしくない。

 しかし、五条枢という少年は後ろ盾の一切ない児童養護施設の出身であるが故にその道は叶わなかったのだろう。だと言うのに、あの少年は推薦という特権を得られずとも、誰の力も借りず、こうして己の実力のみで一般入試の枠を蹴破り雄英に入学する権利を堂々と勝ち取ってみせた。

 強大な力を持て余し、恵まれない環境を社会のせいにして腐っていく人間を、相澤はこれまで嫌というほど見てきた。だが、あの少年は決して腐ることなく己の牙を研ぎ澄ませてここまで歩んできたのだ。その精神の強靭さを、相澤は一人の教師として高く評価していた。

 

 だからこそ───。

 相澤の胸中には、賞賛とは別の、一つの拭いきれない疑問が黒い染みのように浮かび上がっていた。

 

「(───にしても、手慣れ過ぎてる感は否めないがな)」

 

 その類稀なる実力もさることながら、何よりも相澤の鋭い観察眼が注目し警戒していたのは、五条枢のその異常なまでの精神性であった。

 

 実技試験という人生を左右する大舞台。誰もがプレッシャーに押し潰されそうになる中、あの白髪の少年からは緊張の気配など微塵も感じられなかった。

 試験開始前から終了の合図が鳴り響くまで、終始余裕然とした雰囲気を崩さず、まるで散歩のついでにゴミ拾いでもするかのような手軽さで試験に臨んだかと思えば───極めつけはあのお邪魔虫、0ポイントの“巨大仮想敵”と対峙した時の態度だ。

 

 見上げるほどの巨体が唸りを上げ、自身を粉砕せんとする鋼鉄の剛腕が振り下ろされたというのに、あの少年の目には一切の恐怖も、焦燥も、動揺すら浮かんでいなかった。

 いくら自身の“個性”に絶対の自信があったとしても、15歳の少年が死の恐怖に直面してあそこまで表情を乱さずにいられるものだろうか。

 

 その異常なまでの落ち着き。それは、あの“巨大仮想敵”をも赤子同然に下して見せた自身の圧倒的な“個性”からくる絶対的な余裕が理由なのか……はたまた、もっと別の何か。例えば、すでに幾度も本物の死線を潜り抜けてきた経験からくる、暴力に対する慣れのようなものなのか。

 

 相澤の脳裏に警鐘のような微かな違和感が鳴り響く。

 しかし、いくら推測を重ねたところで今ここで結論が出るわけではない。相澤の成すべきことは、いついかなる時も一つだけだ。

 

「“巨大仮想敵”と言えば……()もまた極端な結果を出してくれたねぇ」

 

「ああ、敵Pゼロのあの少年か───」

 

 周囲の教師陣が五条枢という受験生についての議論を一区切りさせ、別の受験生───試験の終盤、自らの腕を犠牲にして巨大仮想敵を粉砕した緑谷出久へと話題を移した。

 

 それを機に、相澤はモニターから視線を外し手元にあった五条枢のファイルをパタンと静かに閉じた。

 そして誰にも聞こえないほどの小さなため息と共に、胸中で一人ごちる。

 

「(十中八九、俺の受け持ちになるだろうし……その時に直接見定めればいい)」

 

 圧倒的な力を持つが故の傲慢か、それとも底知れぬ何かを隠し持つ本物の怪物か。

 見込みがあるなら育てる。見込みがないと判断すれば、その場で容赦なく除籍処分を降す。ただそれだけのことだ。

 

 合理性の権化たるヒーローは、来るべき新学期に向け、乾ききった目を細めながら次の受験生の映像へとその眼差しを向けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 雄英の入試から、ちょうど一週間が経過した頃。

 とある地方の長閑な街外れにひっそりと建つ児童養護施設。その地下深くには、施設で暮らす他の子供たちはおろか、職員の多くすら存在を知らない広大な隠し部屋が建造されていた。

 

 陽の光など一切届かない、分厚いコンクリートと特殊な合金によって完全に密閉された無機質な空間。

 しんと静まり返ったその地下演習場の中央で───五条枢は一人、静かに座禅を組んでいた。

 

 身に纏っているのは一週間前の実技試験の際に着用していたものと同じ、黒のタイトなシャツとゆったりとした白のボトムスという出で立ち。自身の肉体の動きを一切阻害しないお気に入りの一張羅に身を包み、枢は深く、長く、規則正しい呼吸を繰り返しながら、閉ざした瞼の裏側で自身の今日までの歩みを振り返る瞑想に耽っていた。

 

「──────」

 

 深く沈み込む意識の中で枢の脳裏を過るのは、自身がこの世界に生まれ落ちて明確な自我を獲得した全ての始まりの日の記憶。

 

 『六眼』と『無下限』という、前世の記憶を持つ彼にとってどこか聞き馴染みのある、しかし現実には決して存在し得ないはずの“異能”を宿して生まれたあの日。

 彼の脳髄には凡庸で退屈な前世の記憶だけでなく、さらにもう一つの他者の人生の記憶(・・・・・・・・)が膨大な濁流となって流れ込んできたのだ。

 

 それは、この力の本来の持ち主であるとある『呪術師』の記憶。

 

 生まれながらにして世界の均衡を変えるほどの、周囲の大人たちから畏怖の対象として『怪物』のように扱われた孤独な幼少期。

 

 たった一人の親友と出会い、馬鹿みたいに笑い合って掛け替えのない青い春を謳歌した少年期。

 

 そして、すれ違いの末にその親友と決別し、次世代の若人たちを導かんと教鞭を取っていた青年期。

 

 嬉悦、悲哀、怒り、絶望、そして底知れぬ孤独。

 “五条悟”という一人の男が歩んだ、どこまでも数奇で、そしてどこまでも壮絶な人生の記憶と莫大な情報量。

 それは、転生者とは言え自我を獲得したばかりの未成熟な子供の脳に流し込むには、あまりにも無理難題が過ぎる猛毒であった。

 

 通常であれば、脳のキャパシティを限界まで超過し、瞬時に焼き切れて廃人になっていても何らおかしくはなかった。あるいは、己よりも遥かに強大で鮮烈な『現代最強の術師』の自我の波に呑み込まれ“五条枢”という個人の人格は完全に塗り潰され消滅していたことだろう。自我の境界をあやふやにするほどの記憶の濁流は、それほどまでに圧倒的だった。

 

 しかし、枢の心は壊れず、自我も失われることはなかった。

 彼に宿った『六眼』の加護───原子レベルの莫大な情報処理を可能とするその眼が、脳髄に押し寄せる記憶の濁流を完璧に整理し、防壁となって負荷を最小限に抑え込んだからだ。

 

 結果として、枢は『彼』の人生をまるで超高度なVR映像のように追体験しながらも、決して『彼』そのものになることはなく、あくまで“五条枢”という確固たる自我を保ったまま、その記憶だけを己の血肉として取り込むことに成功したのである。

 

「(……にしても、ほんと笑える話だよ)」

 

 暗闇の中で、枢は自身の原点を懐かしそうに想起しながら、どこか呆れるような小さな笑みを溢した。

 

 術式の格としては最高峰の『無下限呪術』と『六眼』───そして、現代最強と謳われた呪術師の記憶。

 これほどまでに呪術に特化した、呪いを祓うための完璧な素質を持って生まれ落ちておきながら───まさか自分の生きるこの世界には呪霊はおろか、その源となる呪力という概念すら一切存在しなかったのだから。

 

 この世界にあるのは人々の肉体に備わった特異体質である“個性”という超常の力だけで、呪いなどというオカルトは欠片も存在しない超人社会。

 最強の呪術師の力を持ってヒーロー社会に転生するなど一体何の冗談だと、枢自身当初は己の運命を笑ったものだが……幸いなことに、彼に宿った“異能”はこの世界の“個性因子”という形に最適化されて十全に機能を果たしてくれた。

 

 そして何より、枢が己の能力を磨き上げる上で、彼にはこれ以上ないほどのアドバンテージがあった。

 彼の脳内には他でもない現代最強の術師の記憶(・・・・・・・・・・)という、その能力を極限まで使いこなすための最高の教科書が完全にインプットされているのだ。

 呪力の流れを個性因子由来のエネルギーに置き換えるという多少の変換作業こそ必要だったものの、どのタイミングで、どのように演算し、どうすれば無限を操ることができるのか。その全ての手順を頭が理解しているため、力を持て余して研鑽の方向性に迷うようなことはただの一度もなかった。

 

 しかし───

 

「(───まだまだ、『彼』みたいな高みには程遠いや)」

 

 枢の胸中に去来するのは、決して現状への満足感ではなく、果てのない向上心と焦燥感だった。

 

 幾ら最高の手本が脳内にあってその理論を完璧に理解していたとしても、それを現実の肉体で実現出来るかどうかは結局のところ自分次第なのだ。

 プロスポーツ選手のスーパープレイを映像で何度見たところで、素人がすぐに同じ動きをできないのと似たようなものである

 

 本家の呪術師が息をするように行っていた『無下限』のオート調整。二十四時間三百六十五日、『六眼』の圧倒的な呪力効率を利用しての脳を修復し続ける反転術式の常時発動。そして、自身の心像風景そのものを現実に顕現させる呪術戦の極致。

 それらの神業に比べれば、枢の現在の練度などまだまだ理想の姿には程遠いと言わざるを得ない。だからこそ、枢は自身の現在地に一度たりとも満足感を抱いたことはなかった。

 

 前世で味わった退屈な日々はもう御免だ。

 もっとこの“個性(術式)”を使いこなして、史上最強の術師とも渡り合ってみせた『彼』のように強くなりたい。

 誰にも縛られず、何者にも脅かされない絶対的な自由を手に入れるために。

 

 その一念で幼い頃から周囲の目を盗み、時には血を吐き、時には脳が焼き切れるほどの激痛に耐えながら一心不乱に狂ったような鍛錬を重ねてきた。その途方もない修練の果てに在るのが、今の“五条枢”という人間の姿なのだ。

 

 ふう───、と。

 肺に溜まった空気を全て吐き出し、枢は長かった瞑想を終えてゆっくりと閉じていた双眸を開いた。

 

 アイマスクを外した状態のマリンブルーの瞳に、極彩色の情報と共に飛び込んで来た景色。

 そこには相変わらずだだっ広い無機質な空間が広がっている───と、言いたいところだが、目の前の惨状(・・)を目の当たりにすれば、流石の枢も苦笑いと共に僅かな申し訳なさを隠すことはできなかった。

 

「(……改めて見ると、ほんと酷い有様だな)」

 

 視界に映る地下演習場は、もはや初めて足を運んだ時の原型を留めていなかった。

 この施設は曰く、五条枢という少年の持つ規格外の“個性”が、将来必ず大化けすると見込んだ篤志家の大人が特別に融資して造ってくれたものだとのことだったのだが……しかし莫大な資金を投じて用意されたはずの最新鋭の地下要塞は今や見る影もない。

 真っ白だったはずの壁や天井の各所には蜘蛛の巣のように巨大な罅割れが走りひしゃげた鉄骨が剥き出しになっており、床に至ってはさらに悲惨な有様で、『蒼』の引力によって抉り取られた数多のクレーターと、不完全な『赫』の暴発によって吹き飛ばされ理不尽に割断された爪痕までもが見受けられた。

 

 その戦場跡のような凄惨な景色は、枢が誰の目にも触れないこの地下室で、己の肉体と能力を限界まで追い込む日々がいかに壮絶なものであったかを如実に物語っている証でもあった。

 

「……まぁ、これからは雄英の施設を遠慮なく使うことになるだろうし、この部屋がこれ以上傷つくことはないか」

 

 独り言のように静かに呟きながら、枢は組んでいた足を解いてゆっくりと立ち上がる。

 

 本家の練度に追いつくための鍛錬はこれからも続いていく。

 しかし、その舞台はもうこの薄暗く窮屈な地下室ではない。光の当たる表舞台、日本最高峰のヒーロー育成機関こそが彼が次に暴れ回る場所だ。

 

 枢の足元には、先ほど雄英から送付されて来た一通の封筒と、そこから転がり出た小さな円盤状の投影機が置かれていた。

 すでに再生を終えたその投影機の空中に浮かび上がっているのは、ホログラムで映し出された雄英高校のエンブレムと、その横に燦然と輝く首席合格(・・・・)の文字。

 

「(春からオールマイトも加わるなら……うん、退屈はしなさそうだ)」

 

 見慣れた白い天井の罅割れを見上げながら、五条枢は次なる舞台への期待に胸を躍らせると、マリンブルーの瞳の奥で微かに、しかし確かな熱情の炎を揺らめかせるのだった。

 

 

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