除籍処分を賭けた波乱の個性把握テストから一夜明けた、翌日。
国内最高峰のヒーロー育成機関である雄英高校といえども、午前中のカリキュラムは一般的な高校と何ら変わらない、ごく普通の必修科目で構成されていた。
「───さぁ、この英文の中で間違っている箇所はどーこだ!? エヴィバディヘンズアップ!!」
黒板の前に立ち、やたらとテンション高く叫んでいるのは英語を担当するボイスヒーロー、プレゼント・マイク。
革ジャンのようなコスチュームの中に巨大なスピーカーを首から下げたド派手な出で立ちと、ラジオDJさながらのハイテンションなノリ。しかし、彼が教鞭を執って教えているのは関係代名詞の用法という、極めて地味でオーソドックスな座学であった。
そのギャップにクラスの面々が「普通だ……」と戸惑い静まり返る中。
最後列の座席に座る枢は、退屈そうに頬杖をつきながら、黒板のモニターではなく窓の外の青空をぼんやりと眺めていた。
「(入院、ねぇ……)」
アイマスク越しに降り注ぐ春の陽気を感じながら、枢の意識は昨夜の出来事へと飛んでいた。
個性把握テストを終え、クラスメイトたちと軽い自己紹介を交わして友好を深めた後───電車に揺られて孤児院へと帰宅した枢を待っていたのは、普段の静けさとは打って変わった異様な喧騒だった。施設の廊下を行き交う職員たちは皆一様に顔を青ざめさせ、どこか焦燥に駆られたように忙しなく駆け回っていたのだ。
しかし、今朝方に施設の責任者である所長が突然倒れ救急搬送されたのだから、彼らが引き継ぎや諸々の連絡でパニックに陥るのも無理はない。
そんな職員たちの姿を視界に入れつつも、枢は特に手を貸すことなくさっさと自室へ向かいシャワーを浴びようとしていた。だが、その時。
『あっ、枢くん! おかえりなさい!』
顔見知りの女性職員が小走りで枢の元へ駆け寄ってくるや、枢の顔を見て気まずそうに告げたのだ。
『あのね、所長なんだけど……容態が急変して少し悪化しちゃったみたいで、しばらくは施設に顔を出せそうにないの。だから何か困ったことがあったら、私か他の先生に遠慮なく言ってね』
大方、枢が所長を慕っていると勘違いした一種の気遣いなのだろう。枢からすれば、育ててくれた恩こそあれど別段それ以上の感情は持ち合わせていないため、それとなく相槌を打ってその場を丸く収めた。
しかし、その知らせを受けて全く驚かなかったと言えば嘘になる。
「(正直、そこまで症状が悪かったなんて思いもしなかったよ)」
朝の時点ではただ泡を吹いて気絶していただけに見えたが、どうやら見えない病魔が進行していたらしい。思い返してみれば所長もそれなりにいい歳だ。普段からしかめっ面でストレスを溜め込んでいそうだったし、何らかの要因が重なって倒れたのなら道理とも言える。
ただ、どこまでいっても、枢にとって所長は『篤志家から預かった資金で自分を管理しているだけの大人』でしかない。彼が不在になろうと、自身の生活が脅かされないのであれば、特段心を乱されるような事態ではなかった。
「───ヘイ! そこの物思いに耽ってる白髪のリスナー!」
唐突にスピーカーを通した大音量が教室に響き渡り、枢の意識は強制的に現実へと引き戻された。
見れば、教卓の前のプレゼント・マイクがビシッと自分を指差している。どうやら上の空だったことを注意されたらしい。
昨日の個性把握テストでトップの記録を叩き出した枢が当てられたことで、クラスメイトたちの視線が一斉に最後列の窓際へと集まる。「あいつ、勉強の方はどうなんだ?」という、お手並み拝見と言わんばかりの好奇の眼差し。
しかし、枢は焦る素振りも見せず、気怠そうに立ち上がって黒板のモニターへ視線を向けた。
「関係詞の場所が違うから4番ですね」
一瞥しただけで、さらりと正解を告げる枢。
彼の脳内にはこれまでに培ってきた知識の源泉と、何より前世という既に一度学習した経験が確とインプットされている。高校一年生レベルの英語など、授業を聞いていなくても解ける容易い問題でしかなかった。
「ビンゴ! これは関係代名詞の主格と目的格の引っかけだ、皆ちゃんとノート取っとけよー!」
マイクがテンション高く正解を告げると、教室内に「おおー……」という感嘆のどよめきが小さく広がった。
「この才能マンめ……」
前列の席に座る上鳴が、ノートにペンを走らせながら恨めしそうに軽口を叩いてくる。
それに気付いた枢は僅かに肩を竦めると、悪戯っぽく笑いながら自身の頭をトントンと指差して見せた。
「ここの出来が違うからねー。分からないところがあったら、後で教えてあげよっか?」
「うっわ、腹立つ……でも後でマジでノート見せて!」
嫌味にならない絶妙なラインで煽り返す枢に、上鳴も思わず笑いながらツッコミを入れる。圧倒的な実力を見せつけながらもこうして等身大の学生らしい一面を見せる枢は、すでに二日目にして1-Aというクラスの空気に自然と馴染み始めていた。
☆
やがて退屈な午前中の必修科目が全て終了し、待ちに待った昼休みのチャイムが鳴り響く。
枢は一人、雄英高校が誇る巨大な大食堂へと足を踏み入れていた。
食堂を仕切るのは、クックヒーローとして界隈でその名を知らぬ者はいないプロヒーロー、ランチラッシュ。提供される料理は栄養満点な上、その味も絶品の一言。しかも学生向けに安価で提供されているというのだから、午前中の座学で降下していた枢のテンションも一気に回復するというものだ。
「───んー、美味い」
白身魚のフライがメインの日替わり定食に舌鼓を打ちながら、枢はアイマスクの下で瞳を瞑り、満面の笑みを浮かべていた。
しかし、そんな至福のランチタイムは唐突な乱入者によって中断される。
「ん?」
向かいの空席に、勢いよくプラスチックのトレイが叩きつけられた。
怪訝そうに枢が視線を上げると、そこには同じ1-Aのクラスメイトであるツンツンに尖った金髪の少年───爆豪勝己の姿があった。
ドカッと粗暴な動作で椅子に座り込んだ爆豪は、ギリッと歯を食いしばりながら親の仇でも見るかのような鋭い眼光で枢を睨みつけている。
昨日の個性把握テストの直後から、爆豪は常に枢に対して敵意にも似た視線を向けていた。だが、枢からしてみれば別段言葉を交わしたことはなく、過去に何か面識がある訳でもない。
ならばこそ、プライドの高い彼が、自分を遥かに凌駕する記録を叩き出した己に良い印象を抱いていないのだろうと考えるのは自然なことだった。それだけに、枢の顔には思わず「え、なんでわざわざ俺のところに?」と言わんばかりの疑問符が浮かんでいた。
そんな枢の無言の問いを察したように、爆豪はチッと舌打ちを一つ溢す。
「……他に席が空いてなかったんだよ」
不機嫌極まりない声で吐き捨てると、爆豪は割り箸をパチンと割り、凶悪な三白眼で枢を睨み据えた。
「こっち見んじゃねぇ。殺すぞ」
初対面の、しかも相席をさせてもらった相手に対するあまりにも理不尽な挨拶。
しかし枢は怒るどころか、口悪いなぁ……と内心で苦笑するだけだった。
観察してみれば、口の悪さや態度の大きさに反して、爆豪は肘をつくこともなく魚の骨を器用に避けながら、意外なほど行儀よく定食を食べ進めている。そのアンバランスさが枢には少しだけ面白く映ったからだ。
「(……にしても、流石にちょっとキツくなってきたか)」
枢はおかずに手をつけるのをやめ、周囲の様子をぐるりと見渡した。
お昼時の中盤に差し掛かり、巨大な大食堂は全学年の生徒たちでごった返し、空席を見つけるのが困難なほどの混雑具合になっていた。
『六眼』という常時発動型の力を持つ枢にとって、これほどまでに“個性”を持つ人間が密集する空間は、入試の時と同じくまさに目に毒な最悪の環境である。
数百人分の“個性”の残滓、熱源、躍動。それらが情報という暴力と化して網膜と脳髄をガンガンと殴りつけてくるのだから、お世辞にも気分が良いとは言えなかった。
「(ランチラッシュの料理が絶品なだけにゆっくり味わえないのは勿体ないけど……これ以上混雑する前に、教室に避難した方が無難だな)」
胸中でそう愚痴を溢し、枢は早々にトレイの上の食事を平らげた。
そして「ごちそうさま」と手を合わせた枢は、食後の楽しみにと買っておいた紙パックのいちごミルクにストローを刺すと、その甘い液体を口に含みながら未だに不機嫌全開で食事を続ける目の前の金髪の少年へと視線を向けた。
「(そう言えば───)」
思い返すのは、昨日の個性把握テストを終えた後のこと。緑谷という、爆豪の幼馴染だと言う少年との会話だ。
彼が目の前で自身に強い敵意と闘争心を向ける野犬を何と呼んでいたのか……それを記憶領域から引っ張り出した枢は、このまま爆豪を放置しておくのも面白くないと、アイマスクの奥の瞳を細めて人を食ったような笑みを浮かべた。
「それじゃ、お互い午後の授業も頑張ろうね───
「ッ!!?」
その瞬間、爆豪は思わず口に含んでいた白米と味噌汁を盛大に吹き出しそうになった。
ゴホッ、ゲホッ! と激しく咽せ返りながら、額に青筋をビキビキと浮かび上がらせ、信じられないものを見るような目で枢を見上げる。
『かっちゃん』───それは、あの気に食わない幼馴染だけが使う、彼にとって最も屈辱的で苛立たしい呼び名であった。それをなぜ、昨日会ったばかりのこの白髪の同級生が知っているのか。
「てめェッ……!! 今、何つっ……!!」
顔を真っ赤にして立ち上がろうとする爆豪を余所に、枢はくつくつと楽しげに喉を鳴らす。
「じゃあねー」
怒りで顔を引き攣らせ、唖然として言葉を失っている爆豪に背を向けてひらひらと手を振ると、枢は手元の紙パックの中身を啜りながら、悠然とした足取りで喧騒に包まれた学食を後にした。
後に残されたのは、完全にペースを乱された悔しさからか、唇を噛みしめわなわなと肩を震わせる爆豪勝己の姿だけだった。
☆
雄英高校の午前中のカリキュラムは一般的な高校と何ら変わらない必修科目で構成されていたが……しかし、午後からは違う。昼休みという短い休息を挟んだ後に待ち受けているのは、雄英高校ヒーロー科の根幹にして、生徒たちが最も心待ちにしている特別な講義───即ち、ヒーロー基礎学の授業である。
授業開始のチャイムが鳴り終わり、教室内に独特の緊張と期待が入り交じった空気が満ち始めた、その時だった。
「わーたーしーが……!」
バンッ!! と、教室の巨大な扉が勢いよく開け放たれる。
「普通にドアから来た!!」
その場にいるだけで空気が震えるような、圧倒的な声量と存在感。
星条旗を模したようなド派手なマント付きのコスチュームに身を包み、常人を遥かに凌駕する巨大な筋肉の鎧を纏った金髪の巨漢───平和の象徴たるNo.1ヒーロー、オールマイトが、絵に描いたような豪快なポーズで教室へと足を踏み入れて来たのだ。
「すげぇ! 本物だ!!」「シルバーエイジのコスチュームだぞ!」と、出久たちを始めとしたクラスメイトが一斉に目を輝かせて歓声を上げる中、最後列の座席で頬杖をついていた枢もまた、アイマスクの奥でその碧眼を微かに見開いていた。
「(あれ……?)」
しかしそれは、周囲の生徒たちのような純粋な歓喜によるものではない。どこか訝しむような、疑念を孕んだ眼差しだった。
「(……“個性”が消えかかってる)」
テレビの向こう側でしか見たことのなかった『最強のヒーロー』。その一挙手一投足から溢れ出る圧倒的なプレッシャーこそ本物だが、枢の『六眼』に映るその“個性”の器には、風前の灯火の如く、今にも燃え尽きてしまいそうな弱々しい残り火しか視認できなかったのだ。
「───早速だが、今日の記念すべき第一回目はコレ! 『戦闘訓練』!!」
オールマイトが手にしたフリップを掲げると、教室のボルテージは最高潮に達する。
「(……まあ、今言及することじゃないか)」
その熱狂を肌で感じながら、枢は小さく肩を竦める。一先ずは静観に努めることにして、彼はオールマイトの説明に耳を傾けた。
曰く、これから行うのは“個性”を用いた対人訓練。より実践的で、よりヒーローとしての適性が問われる授業だという。
「そして、それに伴って……こちら!!」
オールマイトが教卓のスイッチを押し込むと、機械音と共に教室の壁面がスライドし、生徒たちの座席番号が印字されたアタッシュケースがずらりと姿を現した。
「入学前に提出してもらった『個性届』と『身体情報』、そして君たちの『要望』を元に作られた───
「「「うおおおおおおおおっ!!」」」
「(お、やっと貰えるんだ)」
プロのヒーローとして活動する上で、決して欠かすことのできない最重要アイテムであるコスチューム。
それは自身の個性を最大限に活かすサポート機能や、弱点を補う防護機能、そして何より、ヒーローたる己を世間に知らしめるための『象徴』としての役割を持つ。
雄英高校には、これらを実現するための被服控除と呼ばれる独自の便利なシステムが存在しており、入学前に個性の詳細なデータや身体情報を提出し「こんな機能が欲しい」という具体的な要望を申請すれば、学校と提携している最高峰のサポート会社が莫大な予算と最新鋭の技術を駆使して生徒専用のコスチュームを仕立て上げてくれるのだ。
枢自身も当然このシステムを利用して申請を行っており、携帯での図面のやり取りこそあったものの、実物を見るのは今日が初めてである。
「着替えたら、順次グラウンドβに集まるように!」
オールマイトの弾むような声に背中を押され、生徒たちは各々のケースを抱えて足早に更衣室へと向かっていった。
☆
男女別に分かれた広大な更衣室。
そこかしこから「お前それすげぇな!」「俺の要望通りになってる!」といった、新品のおもちゃを与えられた子供のような興奮冷めやらぬ歓声が響き渡っている。
装甲に覆われた者、マントを翻す者、全身タイツのような流線型のスーツに身を包む者。皆がそれぞれ、己の個性を象徴する派手でヒーロー然とした衣装へと着替えていく中。
更衣室の一角、自分のロッカーの前に立った枢は、手元のキャリングケースのロックを解除し蓋を開いた。
「(……おー、完璧じゃん)」
ケースの中に綺麗に折り畳まれて収納されていた自身のコスチュームを目にした瞬間。枢は満足そうに口角を吊り上げ、会心の笑みを溢した。
そこに収められていたのは、他のクラスメイトたちのような一目でヒーローだと分かる派手な装飾や特殊なガジェットが一切付いていない、極めてシンプルなコスチュームだった。
首元までをすっぽりと覆うような高い襟が特徴的な、黒を基調とした上着。そして、それに合わせた同色のゆったりとしたスラックス。一見すれば、どこか古風な高校の学生服のようにしか見えない、ありきたりで地味なデザインである。
「五条のコスチューム随分シンプルだな」
「それな、もっと派手で奇抜なの想像してたぜ」
近くで着替えを終えた上鳴や切島が不思議そうに声をかけてくるが、枢にとってはこの『シンプルな制服』こそが何よりも重要な意味を持っていた。
「(逆にこれ以外の選択肢ないでしょ)」
そう、この漆黒の制服は、枢の脳内にインプットされている前世の記憶───かつて現代最強と謳われた呪術師が『高専』と呼ばれる学び舎で着用していた制服と、全く同じデザインなのだ。
そもそも、枢の個性である『無下限』の特性を考えれば身を守るための装甲など一切不要であり、故に彼がコスチュームに求める機能はただ一つ───自身の動きを一切阻害しない、極限の動きやすさのみ。
最新鋭のサポート会社が手掛けただけあって、見た目こそただの学生服だがその生地には最先端の特殊繊維が使用されている。それは驚くほど軽く、伸縮性に富み、通気性も抜群で熱がこもらない。更には刃物や衝撃に対する最低限の防刃・耐衝撃性能まで編み込まれているという、まさにオーダーメイドの最高傑作であった。
しかし、そんな機能性以上に枢の心を高揚させていたのは、その
前世と今世で幾度も夢に見た、あの最強の術師と同じ姿。
この制服に袖を通すということは、枢にとって自らが『最強』に至るという覚悟の表れであり、五条枢という人間が何者であるかを定義するための、彼だけの儀式に他ならない。
「(これを着て弱かったら、それこそあの人に顔向けできないからね)」
枢はケースから漆黒の制服を取り出すと、ワイシャツを脱ぎ捨てて素早くそれに袖を通す。
高められた襟が首元を覆い、オーダーメイドで作られただけあって枢のしなやかで長身のシルエットに一切の狂いなく完璧にフィットした。首を回し、腕を軽く振ってみても、引っかかりは全くない。
そして仕上げに、枢はポケットから取り出した彼にとってのもう一つの象徴───顔の半分を覆うお馴染みのアイマスクを着用した。
アイマスクを隠すように垂れる白髪と、全身を覆う漆黒の制服。ただそれだけのシンプルな出で立ちであるにも関わらず、その姿からは周囲の空気を一変させるような、底知れぬ強者のオーラが自然と滲み出していた。
「───お待たせ。それじゃ、行こっか」
準備を終えた枢が振り返ると、その立ち姿のあまりの完成度に上鳴たちは一瞬言葉を失って見惚れた後、「お、おう!」「やっぱお前、雰囲気あるなぁ……」と興奮気味に呟いて後に続いた。
更衣室を出て、薄暗い連絡通路を歩いていく。
前を歩く同級生たちの背中には、マントが揺れ、金属の装甲が鈍い光を放っており、誰もがヒーローという非日常を具現化した色彩豊かなコスチュームを纏って、これから始まる未知の戦闘訓練への高揚感に身を委ねている。
そんな色鮮やかなヒーローの卵たちの輪の中で、どこかの高校生が紛れ込んだかのような五条枢の黒一色のコスチュームは、異質でありながらも不思議と誰よりも目を引く存在感を放っていた。
やがて、長いトンネルの先から眩い太陽の光が差し込んでくる。
視界が開け、生徒たちの前に姿を現したのは、広大な敷地に本物のビル群や道路が緻密に再現された巨大な模擬市街地。ついこの間の入試の実技試験でも使用された、雄英高校が誇る演習場の一つグラウンドβ。
「───格好から入るってのも大切な事だぜ、少年少女!!」
演習場の入り口で腕を組んで待ち構えていたオールマイトが、太陽を背にしながら眩しいものを見るような目で生徒たちを見渡した。
「自覚するんだ!! 今日から自分は……ヒーローなんだと!!」
その圧倒的な熱量を持った言葉に、1-Aの生徒たちの表情がグッと引き締まる。
出久も、爆豪も、麗日も、飯田も。誰もが己の夢の結晶であるコスチュームに身を包み、決意に満ちた瞳で前を見据えていた。
「(さて、どんな授業になるのかな)」
アイマスクの奥に隠されたマリンブルーの瞳を細め、五条枢はこれから始まる『戦闘訓練』という未知の授業に思いを馳せながら、口角を深く吊り上げて静かな笑みを溢すのだった。
コスチュームは悩みましたけどやっぱり高専の制服にしました。
個人的には新宿決戦の衣装も好きです。