天剣へと至る愚者   作:一般通過害悪

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※フィットア領捜索団
パウロ・グレイラットが団長としてフィットア領転移事件の被害者たちを救出する目的として結成された団体。
拠点を冒険者ギルドの本拠地があるミリス神聖国に起き、情報を掻き集め手当たりしだい救出、或いは遺品の回収に動いたとされ、成果としては、フィットア領人口の半分の安否を確定させたと伝えられている。




捜索団〜ルーデウスとの再会

甲龍歴417年◯月◯日

父親のパウロさんと合流しフィットア領捜索団に加入して早数カ月。

 

情勢の動きとして。

ボレアス家の貴族たちがフィットア領の転移事件の責任を負わされ上級大臣の命によって処刑された。

 

 

復興支援として、アスラ王国の上級大臣から探索団に資金援助が成された。他で言えば、母親ゼニスの実家であるミリス神聖国の貴族家系ラトレイア家から得ていたりする。

 

大きな動きはこの二つ。

 

探索団の動きとして、冒険者ギルドの本拠地があり情報が集まりやすい、ミリス神聖国へ移動しそこを拠点に情報を集めながら救出、或いは遺品の回収と言う感じ。

 

この数ヶ月の成果は、騙されて奴隷にされた5人の買い戻し、奇跡的に平和な場所に転移し生きていた10人の安否を確認、迷宮内に転移した10人の遺体の残骸、その他、他の身元が分かる者たちの所持していた物など回収。

 

ちなみに、探索団に加わった人は約10人。

どの人物も剣術や魔法の階級を持っている者たちだ。

そのうち、三人はファデュイさんの知り合いであり腕の立つ人達で危険な迷宮としての戦力として重宝している。

 

 

 

数ヶ月の成果としては上々と言うところだろう。

 

数ヶ月といえ、生存者や遺品を合わせても百人ぐらいは見つけれているので今のところは、資金援助をしてくれている貴族様たちの反感もなく上手くは行っていると言える。

 

だが、肝心のゼニスとリーリャ、アイシャ、そして、ルーデウスの影は掴めずにいる。

 

だが、パウロさんは諦めない。

必ず、どこかに居るはずだと確信してい……いや、信じたいだけなのだろう。

 

僕目線でも、パウロさんは、気を詰め過ぎのように感じる。

 

それも、まぁ、仕方ないと思う。

探索団の団長、そして、まだ小さいノルンと記憶を失った僕。

 

色々な重責にパウロさんは押し込まれている。

 

そのパウロさんのことを気にかけてか、ノルンが僕の部屋を訪ねてきた。

 

なんでも、パウロさんの助けになりたいから何かいい案がないかなと。

 

それに、どうしたものかと頭を悩ませた。

 

パウロさんについては数ヶ月前に頂いた手帳からある程度の人間性は知っただけ。

 

つまり、僕自身、パウロについて何も知らないのだ。

とはいえ、妹からの頼みを無下にするのはと思う。

 

だからこそ。

ファデュイさんを頼ることにした。

 

親としての経験がある彼女なら何か分かるのではと。

 

結果として言えば、贈り物をすることにした。

手作りか、何か既存の物を買うかをノルンに聞くと手作りがいいと。

 

出来るなら、ポケットに入る感じで物がいいとノルンは言う。

 

そこから、色々と考えてノルンはハンカチを送ることにしたらしい。

 

ファデュイさんに編み物を教えてもらうとか。

 

最後に感謝と兄さんと言ってくれたので、まぁ良いだろう。

 

 

甲龍歴417年◯月◯日

ノルンの相談から数週間が経過した。

今日も今日とて、忙しい日々が続いている。

 

時々、ファデュイさんに教えられながらハンカチ作りに苦戦しているノルンの姿を確認した。

 

そろそろだろう。

 

 

甲龍歴417年◯月◯日

ノルンがハンカチを渡した。

パウロさんは涙を流しながら、ありがとうと言っていた、うん。とても微笑ましい光景だった。

ノルンに付き合ってくれたファデュイさんにも感謝を伝えておいた。

ファデュイさんも昔を思い出せてよかったから気にしないでと言ってくれた。

 

 

甲龍歴417年◯月◯日

あれ以来、ノルンと会話をすることが増えた。兄として信頼されはじめたと言ってもいいのかも知れない。

 

 

 

甲龍歴418年◯月◯日

フィットア領転移事件から一年が経った。

発見者や遺品回収で、ざっと1万人の安否が分かった。

 

だが、肝心のゼニスとリーリャ、アイシャ、ルーデウスは発見できず。

 

僕はパウロさんに頼み、各国に赴いて調べてくると提案してみる。パウロさんは団長であり自由に動くことが難しいから。

 

結果としては、頼まれた。

 

僕自身が記憶喪失状態ではあるのだが、そうも言ってられないらしい。これまでの働きから信頼されていると考えよう。数人連れて行くかと聞かれたが断った。人数は少ないほうがいいと考えたから。

 

パウロさんは一ヶ月に一回は手紙を出すことを条件として出してきた。

 

ファデュイさんと二人旅である。

というわけで、明日から中央大陸へ向けて向かう。

 

ノルンに一言を入れて他の交流を重ねた皆さんと挨拶して見送られながら中央大陸へ向かう。

 

甲龍歴418年◯月◯日

野営をしながら、ファデュイさんと軽く手合わせをした。

注意するのは、闘気を扱いについてだ。

まず、闘気というのは体内の魔力を纏うことで身体能力を飛躍的に伸ばす技術のことだ。

 

ファデュイさんと初めて稽古をした時に、指摘された闘気を纏う時に無駄な魔力の漏れが多いという物があった既にここ一年で漏れ出さずに扱えるようにはなった。

 

もっと細かく、イメージを固める。

 

彼女の言葉通り、闘気を「薄い膜」のように全身に張り巡らせるイメージでやっている。まぁ、まぁではあるが、完成形には程遠い。

 

この力は、もっと自由に、もっと精密に扱えるはずだ。

 

甲龍歴418年◯月◯日

王竜王国に着いた。

事前情報から内部は整頓されていないと聞いていたがここまでとは。早速、聞き込みを開始して、数時間で驚くことに数人の情報を入手した。

 

やっぱり、現地には行ってみるものである。

なんでも、現在その人物たちは奴隷として売られ貴族に買われたとか。

 

取り敢えず、情報を集めよう。

 

 

甲龍歴418年◯月◯日

闘技場で勝ち抜けばいいことが、分かった。

この国は数々の逸話が存在する歴史ある国なのだが伝統や格式をあまり重要視しない実力主義であり王族主導で闘技場というのも存在しており、勝てば願いをなんでも叶えてくれるとか。

 

考えても仕方ないので行動しよう

 

 

甲龍歴418年◯月◯日

闘技場での戦いから数日が経過。

無事、勝ち残り、権利を勝ち取った。

奴隷とされていた二人は生きては居なかったらしいが遺品の回収は無事に出来た。王竜王国の王様に騎士団に入らないかとスカウトを貰ったが丁重に断った。

 

甲龍歴418年◯月◯日

移動はファデュイさんに頼んでいるのだが、都合のいいように扱い過ぎではと思い始めている。

その旨を伝えてみたのだが、ファデュイさんは気にしてないようだった。

どうにも相互理解が難しい。

 

 

甲龍歴418年◯月◯日

あれから、2週間、サナキア王国に着いた。

この国は王竜王国の属国である。

主に米の栽培が盛んで街道を移動していると、一面の水田が広がっている。

 

転移者がいるかもしれないので、適当な人を見つけて声をかける。

 

すれば、4人程度の家族が、ここに転移してきたと確認できた。

 

訪ねてみれば、そこそこ大きな家に二人の姉妹が庭を駆け回っていた。

 

転ばないでね〜と声をかけている奥さんと目が合い中で話しましょうと促してきたのでお邪魔することにした。

 

奥からことのあらましを聞いて、色々とあったが今は安定した生活が送れていると教えてくれた。

 

どうやら、既にサナキア国の国民として根付いたらしい。

 

農作業から戻ってきたお父さんから今日は泊まっていきなと言われたので遠慮なく泊まらせて貰う事にした。

 

こう言う転移者もあるのかと思った今日この頃。

 

それと、ファデュイさんを見た姉妹たちは綺麗な人だ〜とか翼触っていい!?とはしゃいでいたりを見た。

 

それに、ファデュイさんは微笑みながら触らせていた。

 

 

甲龍歴418年◯月◯日

4人家族と別れて2週間。

キッカ王国に着いた。

白っぽい花が一面に咲いている花畑が見える。

これらは全て油という燃料?になるらしい。

この国では、『ナナホシ焼き』と呼ばれる料理が流行しているようだ。

 

肉に麦粉や米粉で衣をつけて高温の油で揚げる、というものだ。

 

最近になって、アスラ王国の方で開発されて大流行。

その煽りが流れてきたらしい。

 

観光はあとにして、転移者について探すとしよう。

 

 

 

甲龍歴418年◯月◯日

転移者の目撃情報は集まらずに一週間が経過した。

この国には居ないのかも知れない。

ちなみに、『ナナホシ焼き』を食べてみたのだがどうにも口に合わなかった。

不味くはないのだがどうにも受け付けなかった。

 

尚、ファデュイさんは結構食べてた。

うーむ、一ヶ月経ったので、パウロさんにひとまずの成果だけでも手紙を出しておく。

 

 

甲龍歴418年◯月◯日

三週間後、手紙の返信が来た。

よくやったという言葉と、現状での発見者と安否についてこと細やかに書かれていた。

救助した人間よりも圧倒的に死亡報告が多い。

パウロさんはよくやっていると思う。

他は、パウロさんとは違う筆跡で、がんばってと最後に書かれていた。

多分、ノルンだろう。

お兄ちゃん頑張ります。

 

 

甲龍歴418年◯月◯日

シーローン王国の首都ラタキアに着いた。

この周辺には迷宮が多く存在しているので、冒険者の出入りが激しい。

自然と、実力者だろう人間とすれ違う。

闘気の質が違う。

宿を取った。着いた時には夕方だったので捜索は明日に回すことに。

 

眠りそうになった時、ドアがノックされ開けてみるとファデュイさんが居た。

 

どうやら、何か用事があるようで。

 

招き入れたら開口一番、頭を撫でてきた。

ふんわりと優しい感じ。

 

撫でながらこう言った。

一週間に一回、お母さんと呼んでほしい、頭を撫でさせてと。

 

理由を聞けば、彼女は言い淀む。

 

僕も察しが悪いわけじゃない。

要するに、亡くなった子供と重ね合わせているのだろう。

 

ファデュイさんの過去については詳しく知らないが、昔一人の男性と恋に落ち子供を産んだ。だが、何かしらで二人とも亡くなったとしか知らない。

 

ここで、彼女と会って一ヶ月の出来事について思い返してみれば、それが浮き彫りとなっている。

 

彼女は長い時を過ごしたのだが、過去と折り合いが付けれてないのだ。

 

それは、家の構造で大体把握出来ている。

 

天から落ちてきた血の繋がりの無い赤の他人をその子供が帰ってきたと自分に言い聞かせることで精神を安定させているのだろう。

 

まぁ、世話になってるしそれぐらいならということで僕は肯定した。

 

 

甲龍歴418年◯月◯日

今日は、自由行動ということで適当に街を歩くことにした。

 

のは、いいのだが、うん。

兵士に追われていた女の子を助けた。

 

もう一つ、面倒なことがある。

兵士から追われる立場となったことだ。

 

軽く10人程度は居たが全員気絶させた。

 

命は取ってない。峰打ちというやつ。

 

宿に戻り、ファデュイさんに一言シーローン王国と揉めるかもと伝え女の子を部屋に入れて軽く現状把握。

 

女の子は驚いたことに、アイシャ・グレイラットを名乗った。そう、腹違いの妹その人だったのだ。

 

僕も自己紹介を行いレイモンド・グレイラットと名乗るとまともな方のお兄さん!?と驚いていた。

 

まともじゃない方の兄なのか、ルーデウスという奴は。

 

そのまま、話を始める。

 

彼女らはこの国の王宮に転移したらしい。

当然不審者として捕まったが、母親のリーリャさんがあれこれと話をした結果、王宮に軟禁される下りとなったそうだ。

 

まぁ、残当である。

 

処刑されてないだけマシだろう。

 

なぜ、王宮からアイシャが出れているのかは疑問であるが彼女自身わかってないよう。

 

うーむ、パウロさんにも手紙を書かねば。

 

取り敢えず、手紙はこっちで出しとくと言ってアイシャを戻らせた。

 

助けてくれないんですか?と心配そうにしていたが、頭を撫でて物事には順序があるから少し待ってと言ってみると信じてくれたのか戻っていった。

 

甲龍歴418年◯月◯日

次の日。

国は待ってくれなかった。

王宮から迎えが来たが言動がおかしい。

多分、兄のルーデウスと勘違いしてるなこれ

ファデュイさんも一緒に来るらしいので王宮へ。

ファデュイさんとは一旦分かれた。

 

場所についてそうそう、恰幅のいい男がふんぞり返っていた男が貴様がルーデウスかと言う、勘違いされてるな。その両脇にはメイドが二人縛られている。

 

どちら共に面識はないが、直感的に左の方がアイシャの母親リーリャだろうことは分かった。

 

そんなことを思っていると穴が空いた。

 

魔法陣の上に落ちたようだ。

 

僕が落ちたことを確認した男は高笑いしながら自信満々に名前を名乗ったパックス・シーローンというこの国の第七王子とか。

 

取り敢えず、泳がせてみれば口を開く。

 

ロキシーと言う人物に心当たりが無い。そう言えば手帳に兄ルーデウスの魔法の師匠だったかと思い出す。

 

なんとも、率直に言えばバカだ。

 

そこから、簡単に魔法陣を破壊して穴から抜け出してパックスに自分がルーデウスではないことを告げる。

 

めっちゃ、驚いていた。

 

リーリャとアイシャについて連れて行っていいかと聞くとやはりと言うか駄目だと言う。

 

困った。そこで僕がやったのは国王にチクること。

パックスを顔が変形するぐらいボコボコにして国王のいる場所に行く。

 

普通なら一国の王子をボコしたら処刑されるはずなのだが、王様はつまらなさそうにため息を吐いて何があったと聞いてくれた。

 

これだけで、日頃のパックスの行いがどれだけ酷いのか、想像できるだろう。

 

ことのあらましを説明。証言者としてあの場に居た兵士たちを招集したがそのまま、その場に居た貴族たちによる証言や証拠の違法ギリギリの数々。

 

そこからパックスを国外追放に処した。

体裁が悪いので死んでもいい人質としてどこかに送られるとのこと。

 

リーリャとアイシャはパウロのもとに護送されることに。口封じのために殺されるかも知れないので僕も付き添うことにした。

 

王様から近衛騎士としての座を用意してやれるから停まってくれないかと言われたが丁重に断った。

 

王様もダメ元だったのかあっさりと引いてくれた。

今日一日の出来事である。

 

 

甲龍歴418年◯月◯日

リーリャとアイシャと共に、護送されていく今日この頃。

ファデュイさんには、先にパウロさんのもとに手紙と伝言を頼んだ。圧倒的に天族のほうが早いからだ。

 

そこから、二人に記憶喪失だと打ち明けて軽く雑談。

アイシャが言っていたまともじゃない方の兄についてリーリャさんに聞いてみた。

 

うん。酷かった。

 

聞くんじゃなかった。

一応、手帳にも書かれていたが女性主観で聞くと受け取り方がこうも変わるとは。

 

やべぇ、会いたくない。

 

甲龍歴418年◯月◯日

次の日、ファデュイさんと合流、パウロさんからの手紙を持ってきてくれた。

アイシャとリーリャ、そして、僕宛の三枚だ。

内容はと言うと、まずはよくやったと褒め、現状報告、兄ルーデウスと再会したことだった。

 

兄であるルーデウスとは合流できたがボレアス家のお嬢さんを送るのでフィットア領に向かっているらしい。

護送の最中にすれ違うかもと書かれていた。

他にはスキンヘッド長身のスペルド族の護衛がいるらしいのでわかると思うとか。

 

 

甲龍歴419年◯月◯日

シーローン王国から南下して6ヶ月ちょっとの間に。王竜王国へと続く道で、ルーデウス一行と遭遇。と言っても気付けたのはあっちが話しかけて来たからだ。

 

話しかけて来たのは長い赤髪の女の子……確か、お世話になった貴族の令嬢のエリスだ。

 

やっぱり!レイモンドじゃない!?

 

そこから、兄であるルーデウスも気付いたようで話しかけて来た。僕が記憶喪失であることはパウロさんから聞かされてるらしい。

 

そこから、軽い会話をしてなぜかエリスと模擬戦をすることになった。

 

結果とすれば、勝てた。

伊達に危ない橋を渡ってない。無論、話を聞く限りエリスや兄も危ない橋を渡ってきたのかも知れないが今回は僕の勝ち。

 

そのまま、軽くみんなで雑談をしてまた会うと約束して別れた。

 

ルーデウスにリーリャさんが四角い箱を渡していたのは見なかったことにする。案外まともよりかと思ったがファデュイさん曰く、女の乳とケツしか見てなかったと言っていた。

 

やっぱりろくでもないのかも知れない。

 

さて、関わりあった人物とある程度、話して見たのだが、困ったことに、今のところ何も思い出せそうにない。

何か引き金がいるのだろうか。

 

そう言えば、エリスさんに伝え忘れていた。ボレアス家の人間は処刑されたということを。

 

甲龍歴419年◯月◯日

パウロさんのもとに戻ってきた。

出会ってすぐにリーリャ、アイシャ、そして、僕はまとめて抱き締められ男泣きを頂いた。

暑苦しい。

取り敢えず、見つかってないのは母親のゼニスだけとなった。

 

ここで僕は一つわがままを言ってみることにした。

 

強くなりたいから好きに動きたいと。

 

パウロさんは驚いたように口をあんぐりと開けて固まった。




結構強引な感じがしますがサクサク行きます。
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