七星天の導くままに〜幼馴染の妹が魔法少女をやってるらしい〜   作:Ziz555

10 / 10

 仕事が忙しくて本編の更新が少し時間かかりそうなので、パッと書ける外伝を代わりにおいておきますね……。
 時系列は適当なタイミングの、短めの話となっております。


リリカル与太話:その1 謎のヒーロー

 

「なあなあ!高町!」

 

 ——ある日の学校、その昼休みの出来事だった。

 

 なのはの通う私立聖祥大附属小学校は共学であり、勿論なのはのクラスメートにも男子達は存在する。

 普段は男子は男子で、女子は女子のグループが存在する以上、なのはは小学校で進んで男子達と会話する機会というものはさほど多くなかった。

 なのはと仲の良いアリサが男子顔負けの気の強さをしており、すずかもすずかでクラスメートすべての男子より足が速いなどの理由もあるのだろうが。

 

 しかしこの日は珍しい事に、なのはの席へと数人の男子達が集まっていた。

 

「どうしたの?」

 

 別に男子達と仲が悪いと言うこともないし、なのはの身近には子供っぽい側面を持つ男性が1名ほど存在しているため、慣れた様子で用件を聞いてみると——。

 

「たまに迎えに来るあの人!誰なんだよ?」

「迎えに来る人?」

「そう!あの——」

 

 

 

「——スッゲェカッコいい人!!!!」

 

 

 

 なのはの頭が混乱した。

 

 自分を学校まで迎えに来てくれる人、その候補は概ね2人しかおらず、この点に絞るのであれば実質1人となるのだが。そこに“カッコいい人”という条件が加わった瞬間、なのはの脳は問の答えを見失った。

 目の前の男子の瞳を見れば、それは憧れの人を見るかのようにキラキラと輝いており、余程その“カッコいい人”について知りたいように見える。それ程までに印象がつくほどの“カッコいい人”など、なのはは知らなかった。

 

「え、ええっと……ごめん。ちょっと分からないかも」

「アレってなのはの兄ちゃん?確か兄ちゃんがいるって言ってたよな」

「お兄ちゃん?……うん。いる、けど……」

 

 なのはの兄、高町恭也は確かになのはを迎えに来たことはある。しかし、それは本当に数えるほどの回数だけであり、クラスの男子がここまで広く彼のことを知っているとは考えにくかった。

 

「居るだろ!よく校門に!」

 

 その言葉を聞いてなのははとても嫌な予感がした。

 

「——目に傷があって!かっちょいいライダージャケットとグローブしてる人!」

 

 ゴン。と大きな音がした。

 

「うわっ!?いきなりどうしたんだよ!?」

「ううん……別に、なんでもないの……」

 

 なのはが思い切り頭を机に叩きつけた音だった。

 

 ——見られてた……!!!!

 

 なのははその名前を聞いた瞬間、顔から火が出る思いをした。ちらちらと脳裏をよぎっていた嫌な予感の的中に、胃が締め上げられるような感覚もする。

 

 小城明日斗。アストさん。それは確かに、よくなのはを迎えに来てくれるお兄さんであり、なのはにとってのヒーローだ。

 どんなピンチにも必ず駆けつけてくれるし、なのはの為なら例え火の中水の中。天地が裂ける次元震や魔法が使えなくなる虚数空間すら突っ切って現れる憧れの人。

 

 なの、だが。

 

 ……その左手にはとある事情から人様には見せられない物が埋まっており、それを隠すために彼は常に左手に指抜きグローブを着用している。

 健康診断などはその点に理解のある時空管理局が協力をしてくれているので何とかごまかしごまかし生活を続けていられるのだが、問題はその様相にあった。

 

 そう。“指抜きグローブ”だ。あの妙に奇抜で珍妙な服装。いやまあ、何らかの目的があって装着している以上、無意味ではないというのはなのはも理解しているところではあるのだが。

 

 しかし、その着用が()()()()と言うのが非常にその……香ばしさを醸し出してしまっていた。

 

 当のアスト本人も最初は気にしていた様子だったが、むしろ最近は一周回ってそれを活かした()()()()を模索し始めているようで、今までは殆ど着ることのなかったライダージャケットや金属のアクセサリー等を見繕う様になっており。その、なんというか……。

 

 ——見ているコッチが恥ずかしくなるからやめて欲しかったの……!

 

 ……()()()のだ。どうにも見た目が。

 

 なのはは見慣れているから忘れてしまう瞬間もあるが、小城明日斗の容姿はタレントもかくやと思うほどに整っており、街ゆく女性は彼の姿に振り返らずにはいられないと言うほどの絶世の美男子だ。

 但し、彼のファッション趣味というわけではないが、前髪の半分は白く染まっているし、右目には大きく傷はあるは瞳は赤いわであまりにも浮世離れしている為にあまり声をかけられることはないのだが。

 しかし、今回の件に関してはその“浮世離れ”がひどく裏目に出る結果となった様だった。

 

 それをクラスメートに見られていたという事実はなのはに非常に重いボディーブローとなり突き刺さっていた。

 あまりの衝撃とダメージに、なのはは学習机に突っ伏したまま男子と会話を続ける事にした。目を合わせられる自信がなかったからだ。

 

「アストさんの事……だと思う」

「アストさんって言うのか!あの人!」

 

 うおおおおお!と男子たちから興奮の声が上がる。

 どうやら彼らはアストの格好に嫌悪は示していないらしく、妙に興奮した様子の彼らになのはは少しの安堵を感じた。

 それがきっかけとなり、ようやくチラリとなのはが視線を向けると——、間近へと迫った男子たちの顔がそこにはあった。

 

「ふぇっ!?!?」

「なあなあ、アストさんって普段何してるんだ!?」

「何か秘密があったりしないの!?」

「バイク!バイク持ってたりしない!?」

「カードゲームとかさ!」

「ちょ、ちょちょちょっ……と!待って待って待って!」

 

 凄まじい熱気と距離感に、なのはは思わず大きく椅子を引き——。

 

「あっ……わっ、わわっ!?」

 

 椅子の後ろ足が床につかえて、そこを支点に大きく後へバランスが崩れる。

 子供の体は特に重心が頭に寄っているものだから、そのままぐらりと後方へなのはの身体が引き寄せられた。

 

 倒れる——その直前に、なのはの背中へ手が伸びた。

 

「よっ……と」

「アリサちゃん……!」

 

 いつの間にか背後へと付いていたアリサが倒れそうになるなのはの背を押さえ、ゆっくりとその椅子を元の位置へと戻す。

 ニコリとなのはへ笑ったアリサは、そのまま男子たちのほうを見た。

 

「アンタたち!!いい加減にしなさい!!なのはがケガしたらどーするつもりよ!!」

「ヤッベ!!アリサがバーニングした!!」

「バーニング・バニングスだ!!」

「だぁぁれがバーニングよ!私の名前はアリサ・()()()()()よ!!」

「逃げろーー!!」

 

 激怒したアリサの気迫に負けた男子達は蜘蛛の子を散らすようになのはの席から離れていくが、当然その程度で彼女の怒りの烈火の炎(バーニング)は収まらない。

 

「逃がすかぁ!すずか!手を貸しなさい!」

「えぇ……私も……?」

「ずるいぞバーニング!月村はズルだろ!」

「なんとでも言いなさい!」

 

 うがー!と吠えながら走り去る男子をアリサは追撃に走り、そんなアリサと呆然とした様子のなのはを見比べてから、すずかはひと言なのはに謝罪してからアリサの後を追いかけた。おそらく、頭に血がのぼったアリサを諌める為だろう。

 

「あ、あははは……」

 

 ドタバタと音を立てて過ぎ去っていく嵐に、なのはは思わず苦笑をこぼした。

 

 ——とりあえず……アストさんには格好をなんとかしてもらおうかな。

 

 なんて、そんな事を遠い目で考えていた。





男子「うわぁぁぁ!バーニングフィンガーだぁぁ!」
男子「ヒートエンドされる!!」


 等という悲鳴が聞こえてきたとか聞こえてこなかったとか。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

魔法少女リリカルなのはMissing in Ace~高難易度で行くリリカルなのは世界~(作者:ちょわわ)(原作:魔法少女リリカルなのは)

【あらすじ】▼転生先は『リリカルなのは』の世界。▼ただし、ジュエルシード事件と闇の書事件で人類がほぼ全滅した後の。▼原作知識は死んだ。地球も死んだ。それでも生き延びたいクルス・リョウは、時空管理局のロストロギア対策部隊『ゼロイチ』に配属され、そこで出会ってしまう。魔力を使うほど命を削る、壊れかけの魔法少女・高町なのはに。▼※原作沿いではありません。主要キャラ…


総合評価:2813/評価:8.64/連載:22話/更新日時:2026年07月31日(金) 19:00 小説情報

自己加速しすぎてスタープラチナ・ザ・ワールド(作者:常谷 優大)(原作:魔法科高校の劣等生)

‐自己加速術式‐▼術者自身の運動速度を向上させ、移動速度や白兵戦の攻撃速度を爆発的に高める魔法である。▼魔法師の中では初歩的な魔法...▼のはずだった。▼西暦2095年、国立魔法大学付属第一校--通称"第一高校"に入学した一人の少年、▼「比企谷八幡」▼彼の使う自己加速魔法は、世界の理さえ覆す。▼「魔法科高校×やはり俺の青春ラブコメは間違っ…


総合評価:1304/評価:7.16/連載:4話/更新日時:2026年07月18日(土) 10:59 小説情報

紐になりたいといったな。あれは冗談だった。(作者:紺南)(原作:魔法少女リリカルなのは)

将来は紐になりたいと冗談を言った主人公。▼それを真に受け、受け入れる準備を始めたフェイト。▼そこから始まるドタバタコメディ。


総合評価:10009/評価:8.34/完結:26話/更新日時:2026年08月02日(日) 18:36 小説情報

心配性の実力者は今日も鍛え続ける(作者:大気圏突破)(原作:魔法少女リリカルなのは)

 青信号で横断歩道を渡っている時に上級国民が運転する暴走車に轢かれてしまい彼は命を落とした。本来ならもう67年ほど生きる予定だったが天国に来てしまった。定員オーバーなので神は二次創作特有のアニメ作品内に彼を転生させる▼ 部屋で目を覚ました彼は9歳の姿になっていた。そして机の上置かれていた手紙に▼「その世界は実力が無いと死んじゃうから頑張って鍛えてね♡ byゴ…


総合評価:3495/評価:7.15/完結:63話/更新日時:2026年05月02日(土) 20:55 小説情報

全肯定合法ロリ娘の本性を誰も知らない(作者:ロリコンではない。好きな子がロリなんだ。)(原作:わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?))

転生全肯定合法ロリ娘、周囲の脳を焼く。▼なお本人の思考()。


総合評価:2808/評価:8.85/連載:5話/更新日時:2026年05月13日(水) 19:11 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>