入学式も終わり、新入生は来週にクラス対抗大会があるので、その準備のために新一年生の生徒会メンバーが集まった。
瑠那以外は殆ど初めて見る顔だ。
恐らく、他の島から来たのだろう。
この学園は、大小様々な島の中央にあり、今俺達がいるこの島は本島と呼ばれている。
ついでに、その本島から本土へ直行便が出ている。
この学園は、この学校の大本である定篠(サダシノ)学園の分校に当たる。
その学校の周辺は、色々色々教育上宜しくない施設が立ち並んでいるらしい。
いや、〔いたらしい〕だった。
何年か前に、とある警察官とその友人が潰して回ったらしい。
今まで放置だったのは、特に実害がなかったからだが、未成年が誘拐されかけて潰すことが決定したとか。裏にはヤクザや暴力団がいるかと思いきや、実際はチーマーみたいなちょっとはっちゃけた青年達だったらしく、全員に拳骨制裁と共に、刑務所へぶち込んだらしい。当事者達はその時、清々しい笑みを浮かべていたとか。
あ、そうそう。
それでこの島は、学校や会社、レジャー施設などがある政令指定都市の一つだ。
周囲の島々は農場や漁業従事者、それに本島の会社に通勤している者が住んでいる。
ちなみに、俺や瑠那の家は後者だ。一応、生まれも育ちも島である。
簡単に自己紹介して、本題に入ることにした。
急がないと、期限は来週だ。
「ダイビングして水中サッカーとか・・・」
「できるか!!」
「あの、誰にでも参加できるものに・・・」
「なら、かくれんぼ。見つかったら袋~」
「却下。何故袋にする必要がある」
「フツーに球技にしませんか?」
「あぁ・・・」
良かった。ここに、マシな奴がいた。
「砲丸ソフトボールとか・・・」
「投げれるかぁ―――!!!」
ダメだ。コイツも瑠那と同類だ。このままじゃ、収集がつかない。
「あのぉ・・・」
「え?」
「テニスと卓球とバレーの選択にしたらどうでしょう?」
「それだ」
やっとまともな意見が出た。
なんて安心したのも一瞬だけ。
「そうですね・・・被害が少なそうだ」
「学園外にでないから、器物破損も学園内だけで済みますしね・・・」
「・・・・・・壊れる事前提かよ・・・」
もういい。この会話で分かった。このメンバーも結局は同類なのか。
「種族で固まっているから、ハンデをつけた方がいいですかね?」
「入学前の体力データあるだろう?アレ見て考えよう」
「クラス全体対抗にするとしても、弱点属性使わないように言っておかないと・・・」
「あ、前任者のるるぶみっけー」
「あ、嗅覚が発達した者への刺激物投下禁止って書いてある」
「ここで種族を書かない所が苦肉の策だな」
「というか、相手への妨害として劇物を投げるなとかにしましょうよ」
「甘い。劇物なんて書いたら、食べ物投げるバカがいる」
「うわぁ・・・」
「まともにプレイしようよ・・・」
何となく悟りの境地に立ったような気分になりつつ、意見をまとめる。
何はともあれ、クラスマッチについては決まった。
後は、配布プリントと先生達への報告だ。
「じゃ、手分けして行くぞ」
プリント作りを、パソコンを使える者がやり、他は報告などをしに向かう。
「あー・・・」
「どうしました?」
「何で、俺が仕切っているんだろう…」
「適任だから?」
「何で疑問系・・・」
「瑠那さんを、止められるから」
「あぁ・・・なるほどな」
「それで納得するんだ・・・」
生ぬるい生徒会メンバーに、やさぐれた表情を返して、職員室のドアを開けた。
「失礼します」
「蘇芳君!」
「頼む!君が、君だけが頼りなんだ!!」
「どうかあの魔お・・・いや、夕月君を止めてくれ!!」
入った瞬間拘束された。え、そこまで胃にキてたのか?
というか今、さり気に魔王って言おうとしたよな?
書類を渡しつつ、印鑑を待ちながら頬を引きつらせる。
「彼の身内である君なら、君ならきっとやってくれる!」
「え、いや、あの・・・」
「あぁ、あの伝説のストッパーの身内ならきっと」
「え、何ですかその伝説」
「大丈夫だ!君ならやれる!頑張ってくれ!君の行動に我々の胃がかかっている!!」
「新入生、楽しみだなーなんて、話していたのにっ!」
「い、いたっ!?ちょ、先生!肩が!肩が痛いです!!」
その後、職員達に「穏便に。頼むから穏便に・・・」と念を押されてから帰宅。
「先生。それは彼女を生徒会に入れた時点で無理です・・・」などとは言えなかった。
だって、あまりにも彼らの表情が真剣だったから。
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翌日、授業が全て終わった放課後。
もう一度生徒会メンバーで集まる。
ここで、他の生徒会メンバーを確認しておいた方が良いだろう。
まず一人目は、昨日健全的かつまともな意見をだした人物の、朝生 沙那。
一日、行動を共にして思ったが、なかなかの天然な少女だ。
まさか、何もない廊下で転びそうになるとは思わなかった。
二人目は、泉 彰。
彼は・・・うん、腹黒策士や猫被りの天才という言葉を送ろう。
昼休みの教師達と、彼とのやり取りは思い出しただけで震えが走る。
三人目は、高瀬 柚斗。
中学からの親友だが、器用貧乏というか、要領が悪い。パソコンに詳しいので、昨日からあちこちで引っ張りだこだ。
気がいいやつなので、その分色々周囲が手を貸しているのを見かける。
俺?まぁ、またには手を貸すな。たまには・・・
で、四人目は倉林 翔。
たまにズレた発言をするが、常識人・・・のはずだ。
最後は、武仲留衣。
名前だけだと、女っぽいがれっきとした男だ。
そして・瑠那に憧れていたりする。
本当に止めて欲しい。
今日も、瑠那にパシリ同然に使われているのに笑顔だ。
メンバーの考察を終えて、ふと考える。
これからの3年間・・・無事に終わるだろうか?